スペシャルレポート

    このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
IMG_0575

 2021年8月1日に、午前十時の映画祭11『シャイニング』〈北米公開版〉を、TOHOシネマズ日本橋で鑑賞してきました。

 映画館で『シャイニング』を鑑賞するのは1985年頃、大阪の大毎地下で観て以来ですので実に36年ぶり(!)ということになります。管理人が知る限りですが、近年では2014年に『爆音映画祭in福岡』『カナザワ映画祭』で上映実績があるだけで、2015年のムービーマスターズ『スタンリー・キューブリック特集』でも『シャイニング』はかかりませんでした。今回の『シャイニング』〈北米公開版〉は、2019年にレオン・ヴィタリをゲストにロサンゼルスで上映された4K版(レポートはこちらこちら)と同じものだと思います。もちろんその効果は絶大で、映像面も素晴らしかったですが特に音響面の改善が素晴らしく、吹雪の音まではっきりと聴こえるなど、そのクリアさに驚きました。もちろん4K映像とBGMや効果音で迫力が倍増した、ジャック・ニコルソンの狂気を存分に堪能したのは言うまでもありません。キューブリックの存命時代は映画館の音響設備の品質が場所によってバラバラで、モノラルにこだわるしかありませんでしたが(いわく「悪いステレオより良いモノラル)、現在のシネコンでは映像も音響も一定の品質が保証されていますので、もしキューブリックが存命なら、徹底的にこだわってリマスタリングを施していたと思います。この『シャイニング』4K化については、キューブリックのアシスタントだったレオン・ビタリが中心的な役割を果たしました。エンドロールに彼の名前を見つけた時は、心の中で拍手をさせていただきました。

 近年、『レディ・プレイヤー1』で採り上げられたり、続編の『ドクター・スリープ』の公開が『シャイニング』人気のきっかけになったとは思いますが、やはりTシャツなどのアパレル展開を無視できないのも事実です。Twitterで芸能人や著名人が『シャイニング』Tシャツを着た写真を投下しているのを見かけるのは日常になりました。もちろん街で見かけたことも何度もあります。それは客層にも表れていて、若い世代、特に女性ファンが増えてきていることは実感しています。キューブリック作品は決して「女性に優しい」とは言えないのですが、そういった表層レベルでは語れない魅力に気づかれた方にとっては、年齢や性別は関係ないと思います。その事実がやっと(本当にやっと・・・)広まりつつある現状に、いちファンとして非常に嬉しく思っております。

 来年以降もぜひ「午前十時の映画祭」を継続していただき、再びキューブリック作品の採用を期待したいですね。
【ご注意】当ブログの記事は報告不要でご自由にご活用頂けますが、引用元の明記、もしくは該当記事へのリンク(URL表記でも可)を貼ることを条件にさせていただいております。それが不可の場合はメールや掲示板にてご一報ください。なお、デマサイトやデマ動画チャンネルの制作者、アクセス稼ぎだけが目的のキュレーションサイトのライター様などは当ブログの閲覧、ならびに利用は禁止させていただきます。※当ブログはネタバレありです。


KUBRICK.Blog.jp おすすめ記事





    このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
IMG_0536-2

 2021年7月11日に、午前十時の映画祭11『2001年宇宙の旅』を、TOHOシネマズ日本橋で鑑賞してきました。

 TOHOシネマズ日本橋を選んだのは、スクリーン9はサイズが10.1×4.2mと若干大きめだったからです(当初予定していた池袋は8.3×3.5m)。あと、雨が予想されていたので、地下通路と直結というアクセスの良さもありました。ただ、結局雨には降られませんでしたが。

 前回の2014年「新・午前十時の映画祭」から7年ぶりの鑑賞になります。その間にライブ・シネマ・コンサートアンレストア70mm版上映IMAX版上映がありましたので、最近は1〜2年ごとに鑑賞していることになります(過去の上映実績はこちら)。都内ではそれ以前でも名画座や映画祭などでの上映が繰り返されてきていますので、『2001年…』は「お客さんを呼べる鉄板コンテツ」と言えると思います。ただ、地方ではそんなに繰り返し上映されているわけではないでしょうから、「午前十時の映画祭」という全国規模の企画で『2001年…』が公開されている、というのは非常に大きな意義があると思います。ぜひこの機会を逃さないでほしいと思っています。

 ところで上映は、前回の2014年で上映されたものと同じDCPだと思います。せっかく8Kスキャンされたソースがあるのですから、それをダウンコンバートして上映して欲しかったのですが、現状それはIMAX専用しかないのかもしれません。その前にシネコンが4Kや8Kに対応しなければならないかも・・・ですが。汗。確かにIMAX版を観てしまっていると、2KDCPはマニア的には「こんなものかな」と思ってしまいますが、劇場で『2001年…』を初体験する方にとってはそれはあまり問題ではありません。まずは「何はともあれ劇場体験を!」ですね。

 この『2001年…』に比べ、他のキューブリック作品はあまり劇場にかかる機会が少ないように感じます。『博士の異常な愛情』『フルメタル・ジャケット』『時計じかけのオレンジ』(『時計…』は、前回第10回で上映された)などは人気を集めるでしょうし、『ロリータ』『バリー・リンドン』『アイズ ワイド シャット』もそこそこの客入りは期待できます。今回の『2001年…』、そして『シャイニング』が、キューブリック人気の高さを証明してくれると思います。ぜひ来年以降も「午前十時の映画祭」を継続していただき、これらキューブリック作品の上映を(特にDCP化されていない『ロリータ』『博士の異常な愛情』をぜひ!)お願いいたします。
【ご注意】当ブログの記事は報告不要でご自由にご活用頂けますが、引用元の明記、もしくは該当記事へのリンク(URL表記でも可)を貼ることを条件にさせていただいております。それが不可の場合はメールや掲示板にてご一報ください。なお、デマサイトやデマ動画チャンネルの制作者、アクセス稼ぎだけが目的のキュレーションサイトのライター様などは当ブログの閲覧、ならびに利用は禁止させていただきます。※当ブログはネタバレありです。

    このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
diskunion
住所は東京都新宿区新宿3-28-4 三峰ビル3Fです。

 新宿の雑踏のど真ん中、ビックロや新宿マルイの裏側一体は、ロックファンにはおなじみの「ディスクユニオン」の各店舗が点在しています。今回はロックではなく映画、すなわち「ディスクユニオン シネマ館」へ。目的は『時計じかけのオレンジ』のトランプの購入です。

 店内は所狭しとDVDやBD、サントラCDやLPレコード(最近人気が復活していますね)、映画関連グッズ、関連書籍などが並べられ、処分を考えるお客様にも信頼いただいているという品揃えは充実の一言。輸入品は米国からの直輸入をメインにスタッフが選別して仕入れているそうで、「ネットでは見ていたけど現物はこうなのか!」と驚くばかり。中古品は常に市場価値を意識し値付けされていて、価格面でも安心できます。入荷情報など、最新情報は公式Twitterをメインに活用しているとのことなので、気になる方はフォローをしておくと吉。管理人も『時計…』のトランプの情報はTwitterで仕入れました。

 1980年代のサントラ全盛期を知っている世代にとって、昨今の一般店舗のサントラの扱いの小ささは嘆かわしいばかりですが、そこはディスクユニオンさん、手抜かりはありません。壁に架けられている、綺羅星のごとく時代を彩ったサントラLPを眺めているだけでも、あの懐かしい時代の空気を思い出します。もちろん未体験の世代は追体験できますね。最近はアナログLPを聴くのではなく、部屋に飾っておくという方も多いそう。当時売れたサントラは枚数が多いこともあって、非常にリーズナブルなお値段で手に入る場合も多く、そういったニーズにも満たしてくれそうです。

 「映画好きならとりあえず寄っていくべき!」的なお店ですが、新宿の雑踏のど真ん中にあり、入口も狭いので見失う可能性があります(実は管理人も少し迷いました。汗)。店のビルの反対側にはいつもなら行列の絶えないラーメンの有名店「一蘭」があるので、それを目標にすれば上京組も迷いにくいのでは? ちなみに当該ビルの1階は紳士服の「ミツミネ」さんです。前述しましたが、このエリアには他のディスクユニオン各店舗が点在しているので、それに惑わされないようにお気をつけください(映画兼ロック好きには無駄のないエリアですが。笑)。

 ディスクユニオン シネマ館の公式のページはこちら。「久しぶりにディグりたいなー」と思ったり、東京や新宿にお越しの際はぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
【ご注意】当ブログの記事は報告不要でご自由にご活用頂けますが、引用元の明記、もしくは該当記事へのリンク(URL表記でも可)を貼ることを条件にさせていただいております。それが不可の場合はメールや掲示板にてご一報ください。なお、デマサイトやデマ動画チャンネルの制作者、アクセス稼ぎだけが目的のキュレーションサイトのライター様などは当ブログの閲覧、ならびに利用は禁止させていただきます。※当ブログはネタバレありです。

    このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
GYREよりYouTubeにてイメージビデオが公開中。

 現在、表参道のギャラリーGYREで開催されている『2021年宇宙の旅 モノリス_ウイルスとしての記憶、そしてニュー・ダーク・エイジの彼方へ』展に訪問してきました。ただ、公式リーフレットの解説がかなり難解なので、それは一旦置いといてキューブリックファン、『2001年』ファン目線で勝手に(!)解説してみたいと思います。【ネタバレ注意!】



(ファーサイド)『モノリス』

 おなじみのモノリス比率1:4:9(最初の整数1、2、3の乗数)で制作されている…と思いますが裏側は(以下略。実は映画のモノリスはこの比率ではありません。「(宇宙言語的なものとして)後から思いついたもの」とクラークは語っています。

no title


(1)赤瀬川原平作『宇宙の罐詰』『ハイレッド罐詰』

 缶詰(宇宙)の外と内をひっくり返すという発想は「白い部屋」に通ずるアイデアです。キューブリックはそれを「人間動物園」と表現しましたが、高次の存在から見れば人類なんて、空き缶に放り込まれた蟻みたいなものでしょう。

2


(2)アニッシュ・カプーア作『Syphon Mirror- Kuro』

 覗き込んでみると暗く歪んだ空間が出現しますが、ブラックホールのようで、スターゲートのようでもあります。ちなみにスターゲートはワープ(空間跳躍)ではなくワームホール(空間移転トンネル)です。

2


(3)ダレン・アーモンド作『Perfect Time(14 x 1)』『Intime (4 x 2) 』

 クラークの小説版ではスターゲートをくぐるボーマンがスペースポッドのデジタル時計が停止する瞬間を目撃するシーンがあります。時間が時間として意味をなさない空間であることを端的に表現しています。

3


(4)ダレン・アーモンド作『Between Somewhere』『Somewhere Between』

 マクロで見ればスターゲートシークエンスの「宇宙の誕生」を思い出させます。キューブリックはそのシーンを溶液で満たした水槽に、着色した異なる溶液を落として高速度撮影しました。

4


(5)ピエール・ユイグ作『100万の王国』

 月面をトボトボ歩くキャラの姿はそのままフロイド博士一行が月面を歩く姿と重なります。『2001年』の月面シーンはよくアポロ月面着陸がフェイク映像との根拠とされますが、展示室に流れる実写とフェイクを混ぜ合わせた映像がそれを示唆(茶化)していて楽しい。

5-1

5-2


(6)森万里子作『トランスサークル』

 キューブリックとクラークは構想段階ですでにストーンヘンジへの言及をしています。人間と宇宙をリンクするものとしての巨石文明は、世界中にいたるところに存在したんでしょうね。

6


(7)オノデラユキ作『月の裏側 No.1』

 月の裏側…Darkside of the Moon…狂気…ピンクフロイド…エコーズ…2001年宇宙の旅。日常風景に突如差し込まれた脈絡ない写真は、見慣れた風景に突如差し込まれた異物のモノリスを想起させます。

7


(8)ネリ・オックスマン作『流離う者たち』

 現在得られる知識と技術を総動員し、宇宙空間に順応した新人類(スターチャイルド)を創るにはどうすればいいか?という制作過程の映像に見えます。

8


(9)ジェームズ・ブライドル作『Se ti sabir』

 意味不明の言語が延々と流れる映像を見ていると、白い部屋で聞こえてくるリゲティを思い出します。キューブリックはあのBGM(声)をリゲティに無許可で加工して、あとで訴訟を起こされています(和解済)。

9


(10)プロトエイリアン・プロジェクト(Proto-A)作『FORMATA』

 人類によるエイリアン創生プロジェクト。クラークは「充分に発達した科学技術は魔法と見分けがつかない」、キューブリックは高次元の存在・異星人を「科学的に定義された神」と語っています。科学はどこまで神の領域へと近づくのだろうか?

10




 以上、各作家さまを全く存じ上げないまま(!)キューブリックファン、『2001年』ファン目線だけで作品解説してみました。これが正鵠を射ているかはともかく、ファンにはとっても楽しめる展示なので是非会場まで足をお運びください。会期は4月25日(日)まで。入場無料です。公式サイトはこちら
【ご注意】当ブログの記事は報告不要でご自由にご活用頂けますが、引用元の明記、もしくは該当記事へのリンク(URL表記でも可)を貼ることを条件にさせていただいております。それが不可の場合はメールや掲示板にてご一報ください。なお、デマサイトやデマ動画チャンネルの制作者、アクセス稼ぎだけが目的のキュレーションサイトのライター様などは当ブログの閲覧、ならびに利用は禁止させていただきます。※当ブログはネタバレありです。

    このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック
DSC00465
会場エントランスに鎮座する「モノリス」。

 『2001年宇宙の旅』がいかに世界中のアーティストにインスパイアを与え続けているか、などというのは今更語るようなことでもないかもしれません。2017年には「白い部屋」のインスタレーションが展示されたこともありました。今回の企画展も、はっきりと言ってしまえば『2001年宇宙の旅』という作品がなければ存在し得なかった作品ばかりで、言うなれば「キューブリック先生とクラーク先生から出された宿題に生徒(各アーティスト)が提出した回答用紙」だと思って鑑賞すれば、さほど難解ではないのではないか、と感じました。

 展示は3つの部屋に分かれており、第1展示室は「時空の歪み」、第2展示室は「月面とポストトゥルース」、第3展示室は「隠喩としてのスターチャイルド」と題されています。これだけでも『2001年…』を鑑賞済みなら「ああ、あのことね」とピンと来るものばかりです。キューブリックは「人間が知覚できない人智を超えた存在や世界」を「人間が知覚できる映像」として描き出そうとして挑戦し、絶望的な戦いを強いられましたが、最終的には「想像できないものは想像できない」と諦めてしまいました。それから約半世紀以上、世界中のあらゆるアーティストがそれに挑戦し、そしてあいもかわらず玉砕を続けています。厳密に言えば今回の展示もその「玉砕の記録」です。しかし「玉砕と知りながらも立ち向かう人間の姿」はとても素晴らしく、感動を呼ぶものです。『2001年…』をはじめとするキューブリック作品にはその「どうしようもなく愚かで、その愚かさゆえに愛おしい人間の姿」が描かれています。キューブリック作品に「(とってもひねくれてはいるが)人間愛・人類愛」を感じ取れる感性を持っている方なら、この企画展も楽しめるのではないでしょうか。ぜひ『2001年宇宙の旅』における「自分の回答」と「各アーティストの作品」とを比べ、感じてみてください。

 会場は表参道の「GYRE GALLERY」です。MoMAのストアが入っているビルの3階と言えばわかりやすいでしょう。ラルフローレンの向かいのビルです。入場無料ですので、お気軽に立ち寄ってはいかがでしょうか。



 『2001年…』が、あなたの感情を刺激し、潜在意識に訴えかけ、神話的なものへの興味をかき立てたのなら、この映画は成功したと言える。
−スタンリー・キューブリック

 昨日、私はこの会場で、あるファンレターを見つけました。「親愛なるスタンリー、あなたはこの映画において、私たちにどのように感じ、どのように考えればよいのかということについての説明をしませんでした。あなたは責任を持ってこの映画の製作を担当しました。私の担当は、責任を持ってこの映画の意味を解釈することです」──これは正に、50年以上の時を越えた今でも生まれる、フィルムメーカーと観客の完璧な組み合わせ以外の何物でもない、そう思います。
−カタリーナ・キューブリック

(引用:『【スペシャルレポート】ニューヨーク映像博物館(Museum of the Moving Image)で開催された『エンビジョニング2001』(Envisioning 2001: Stanley Kubrick's Space Odyssey)特別イベントのレポート[その1]』




2021年宇宙の旅 モノリス
_ウイルスとしての記憶、そしてニュー・ダーク・エイジの彼方へ


主催:GYRE / スクールデレック芸術社会学研究所
会期:2021年2月19日(金)- 4月25日(日)
会場:GYRE GALLERY 東京都渋谷区神宮前 5-10-1 GYRE3F Tel.03-3498-6990
出展作家:赤瀬川原平(日本、1934〜2014)、アニッシュ・カプーア(イギリス、1954年〜)、ピエール・ユイグ(フランス、1962〜)、オノデラユキ(日本、1962〜) 、森万里子(日本、1967〜)、 ダレン・アーモンド(イギリス、1971〜) ネリ・オックスマン(アメリカ、1976〜)、ジェームズ・ブライドル(アメリカ、1980〜)、プロトエイリアン・プロジェクト(Proto-A)

(詳細は公式サイトへ)
【ご注意】当ブログの記事は報告不要でご自由にご活用頂けますが、引用元の明記、もしくは該当記事へのリンク(URL表記でも可)を貼ることを条件にさせていただいております。それが不可の場合はメールや掲示板にてご一報ください。なお、デマサイトやデマ動画チャンネルの制作者、アクセス稼ぎだけが目的のキュレーションサイトのライター様などは当ブログの閲覧、ならびに利用は禁止させていただきます。※当ブログはネタバレありです。

このページのトップヘ