キューブリックブログ記事

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He wanted to take us places we could never have imagined, and so he imagined them for us.He is Stanley Kubrick.

He died before he could witness the century he had already made famous with 2001: A Space Odyssey.Stanley wanted us to see his movies absolutely as he envisioned them. He never gave an inch on that.He dared us to have the courage of his convictions, and when we take that dare we’re transported directly to his world and we’re inside his vision.

And, in the whole history of movies there’s been nothing like that vision… ever. It was a vision of hope and wonder, of grace and of mystery.It was a gift to us, and now it’s a legacy.

We will be challenged and nourished by that as long as we keep the courage to take his dare, and I hope that will be long after we’ve said our thanks and our goodbyes.

 彼は想像もできなかった場所に私たちを連れて行きたかったので、私たちのためにそれらを創り上げました。彼の名はスタンリー・キューブリックです。

 彼は『2001年宇宙の旅』ですでに有名になった世紀を目撃する前に亡くなりました。スタンリーは私たちに自身の映画を自分が思い描いたとおりに観てもらいたいと考えていました。彼はそれについては一歩も譲りませんでした。彼は私たちに自分の信念を貫く勇気を与えてくれました。私たちがその勇気を持てば、私たちは直接彼の世界に連れて行かれ、彼のビジョンの中に入り込むことができるのです。

 そして、映画の歴史を通じ、かつてそのようなビジョンはありませんでした。それは希望と驚異、優美で神秘のビジョンでした。それは私たちへの贈り物であり、今では遺産となっています。

 私たちが彼の勇気を受け入れ続ける限り、私たちはそれによって挑戦し続け、育まれるでしょう。それが私たちが感謝と別れを告げた後もずっと続くことを願っています。

スティーブン・スピルバーグ




 1999年3月7日にキューブリックが逝去し、その2週間後の3月21日に開催された71回アカデミー賞のオープニングで、スピルバーグがスピーチしたキューブリックへの賛辞の全文です。この時からすでに25年の月日が流れていますが、映画界においてキューブリックの存在感(と喪失感)はますますその大きさを増しているような気がします。アカデミーもそろそろキューブリックに何かの賞を贈るべきだと思うのですが、いかがでしょうか?『2001年宇宙の旅』の視覚効果賞だけなんて、その功績に比してあまりにも塩対応すぎると思うんですけどね(キューブリック作品をアカデミー映画博物館の広報に使うなら尚更)。

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shellyD
おそらく生涯最後の出演になる、インディーズホラー映画『フォレストヒルズ』(公開未定)に出演したシェリー・デュバル

 『シャイニング』でジャック・トランス(ジャック・ニコルソン)の妻、ウェンディ・トランスを演じたシェリー・デュバルさんが2024年7月11日、糖尿病の合併症で亡くなりました。享年75歳でした。

 シェリーが精神疾患と糖尿病を患っていたのは当ブログでも何度かご紹介した通りですが、当人が精神疾患の治療を拒否していたのは事実のようで、そうであれば糖尿病の治療も拒否していた可能性があります(投薬程度の治療はしていたかもしれません)。晩年は歩行も困難になり、車で移動していたという記事も目にしていました。ならば、糖尿病の合併症で死去いうのはある程度予想がつく結末であり、本人が望んだ穏やかな生活での結果だとしたら、遅かれ早かれ死は彼女のすぐ近くにあったのだろうと思います。

 重度の糖尿病は精神の不調をきたすことが知られています。もしシェリーの精神疾患の原因が糖尿病によるものであれば、かなり筋の通った推察になりますが、これはあくまでも「推察」の域を出ません。過去には「『シャイニング』におけるキューブリックによるイジメのせい」などとデマが流布されたこともありますが、それは様々な事実や本人の証言から完全に否定されています。

 実際のシェリーは『シャイニング』で演じたウェンディのような「ひ弱で怖がりでオドオドしたいじめられやすい女性」とは正反対で、自立した自我を持った強い女性でした。それは女優という与えられる仕事だけではなく、自らプロデュース業に乗り出し成功を収めたことからもわかります。ですが2002年にそれらを全て放棄し、突然テキサスに引きこもってしまいました。その原因はノースリッジ地震(1994年)と兄弟の重病(ガン)と説明しましたが、これがそのまま精神疾患の原因とは考えにくいです。なぜなら時期が合わないからです。

 パートナーのダン・ギルロイ氏によれば、精神疾患は2000年代のある日突然に始まったそうで、その日以降、シェリーは目に見えない敵に怯える、指をパチパチと鳴らす、突然視界から消えるなど挙動不審を繰り返すようになったといいます。個人的には、その精神疾患による突然の精神の不調により、突発的に自死を選んでしまうことを危惧していて、それによってキューブリックに対して謂れのない批判が(「キューブリックのパワハラがシェリーを死に至らしめたんだ!!)巻き起こることを懸念しておりました。ですが、それは杞憂に終わったようです(こちらの記事を参照)。それはそれとして、人生100年時代が叫ばれる現代において75歳はあまりにも早い退場であり、非常に残念でなりません。

 謹んで故人のご冥福をお祈りいたします。R.I.P.

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DSCN2026
著者の津田ゆうじ様よりご提供いただきました。ありがとうございました。

黒木探偵に持ち込まれた「私を探しますか?」と微笑むスマホ映像の美少女。同じ顔の少女が大正時代の古い写真の中にもいた。二つの時代に同じ少女。この謎から、全てが始まる。意図を持って刷り込まれる映像の「魔」。仕組まれた洗脳装置は映画だった。映像が、人々を最悪の世界へコントロールする。映画オタクの天才美少女、蟻亜三久がその謎に挑む。相棒は、前作『ピノキオは死を夢みる』のゾンビ男、火野時生。あのスタンリー・キューブリックが映画に隠した謎。様々な映画に隠された洗脳装置。そして巨悪は…第三帝国の男。映像に潜むマインドコントロールを暴け。二人は時空を超え、究極のゲームに挑んで行く。

(引用元:amazom『ピノキオは鏡の国へ 』津田ゆうじ 著




 おおまかにプロットを説明すれば「JKがゾンビ男とコンビを組み、タイムマシンを駆使して世界を救う話」となるでしょうか。時代も場所もあちこちに「飛び」、その「飛んだ先」での大活躍で二人は世界を(日本を)救おうとするのですが・・・そう簡単にはコトは運ばず、ありとあらゆる試練が行く先々で待ち受けています。いわゆるタイムトラベルものとして、タイムパラドックスは当然絡んできますし、歴史上の人物も続々登場します(ナチスドイツの面々は特に)。その登場人物の中にキューブリックがおり、「スタンリー・キューブリック監督に現代のJKが会いに行く」というくだりがあります。

 実はこの小説、全編に映画の引用や解説(裏話)が散りばめられていて、その種類も古今東西かなりの分量があります(映画ファンなら楽しめます)。で、その解説に一番文章を割いていたのがキューブリックなんですね(著者は大ファンなのだそう)。もちろんキューブリックとJKが会った、などという事実はなく完全な創作なのですが、虚実取り混ぜた「会談シーン」はファンならニヤニヤできること請け合いでしょう。

 最近話題になったクリストファー・ノーランの『オッペンハイマー』でも問題提起されていたように、この小説の中心には「核問題」があります。それはプロローグからも示唆されているし、核を巡るまるでスパイ小説のようなスリリングな展開(もしナチスドイツが核兵器を手に入れていたら)もあって、読むものを飽きさせません。

 読み終わって感じたのは「アニメ化すれば面白くなりそう」というものでした。ただ例のチョビ髭やお寺マークの扱いをどうするかというセンシティブな問題はありますが・・・。個人的にはスーパーJKミクちゃんの八面六臂の大活躍と、イケメンゾンビ男の凸凹っぷりをアニメ絵で見てみたいと思いました。その際はぜひ魅力的なキャラデザ(『リコリコ』な感じがいいかな)でお願いしたいですね。
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SK_Barry
画像引用:IMDb - Stanley Kubrick

 完璧主義者であったスタンリー・キューブリック監督。彼の映画の欠点についてあえて論じた評論が出版されることになった。

 映画史に残る名作の数々を監督した容赦ない完璧主義者スタンリー・キューブリックは、1970年、自身の映画の欠点を論じた本の出版を阻止するため、法的措置を取ると脅すほど批判に敏感だった。『スパルタカス』や『2001年宇宙の旅』の監督は、この本の著者と出版社に対し、出版を阻止するために「徹底的に戦い」「あらゆる法的手段を駆使する」と警告した。そして、彼の死後25年経った今、キューブリックが誰にも読ませたくなかった本が、半世紀以上遅れて出版されようとしている。

〈以下略〉

(全文はリンク先へ:The Guardian.com/2024年4月21日




 1970年といえばキューブリックは『ナポレオン』の企画を通そうと必死になっていた頃です。キューブリックはこの『ザ・シネマ・オブ・スタンリー・キューブリック』の出版には自分の了承が必要であると契約に明記しており、それを行使したとのことです。記事中ではこの本のどこにキューブリックが「容認できない」とNGを出したのか明確にはわかっていませんが、おそらく『ロリータ』に関しての部分では?とのこと。その内容は

「あまりにも多くの点で、原作を浪費し、貧しくし、ありきたりにし、その複雑さ、ニンフェティズム、エロティシズムを奪っている」

と批判していますが、著した当人は

「脚色された映画版は、原作小説に対する無意味な裏切りだと思った。しかし、私はキューブリックの他の作品のほとんどに大きな賞賛を表明している」『2001年宇宙の旅』を 「偉大な業績 」とし、キューブリックの1957年の第一次世界大戦映画『突撃』を 「酔わせるような洗練された映像の映画 」と評している。

と困惑気味です。

 キューブリック研究者のフィリッポ・ウリビエリ氏(管理人は彼の協力者の一人です)によると

「キューブリックの弁護士とニールの出版社とのやりとりを読むと、非常にショッキングだ・・・キューブリックは自分の映画を賞賛する本を望んでいたが、ニールの本はそうではなかった。それまでの彼の映画は、特にニューヨークでは批判的な批評家もいたが、肯定的に評価されていた。だから、彼は完全に肯定的な本を必要としていた」「キューブリックの映画について非常に正確で偏りのない見方を提供している」「キューブリックに関する文献の中で、欠点をひとつでも見つけるのは非常に難しい」

とコメント。フィリッポ氏の言う「ニューヨークでは批判的な批評家」とは『2001年宇宙の旅』のプレミア公開時、批評家に散々にコケにされた経験(その代表はポーリン・ケイル。詳細はこちら)のことで、1970年になってもその批判から完全には立ち直れてないことを感じさせます。

 それに加えて前述の通り、なかなか思う通りに『ナポレオン』の企画が進まない現状に神経質になっていたであろうことは容易に想像でき(『ナポレオン』の売り文句満載の企画書はこちら)、旧知の友人の映画評論家アレクサンダー・ウォーカーと緊密に協力し、『スタンリー・キューブリックが監督する』という本を1972年に出版したのも、そういった「企画を通したい」事情があるものと推察できます。

 映画が大好きで、人生の全てを映画製作に捧げたキューブリック(決して大げさではない)にとって「作りたい映画を作らせてもらえない」という状況はなんとしても避けなければなりませんでした。それがこの「出版差し止め」という強硬措置に及んだ理由ではないかと思います。そんな事情を知らない著者が「そこまで批判はしていないのに何故?」と困惑するのも当然でしょう。ですが歴史の皮肉と言うべきか、1972年に自身の手で『時計じかけのオレンジ』を製作・発表し、『2001年…』以上の大批判と(生命を脅かすほどの)脅迫に晒されることになります。

 ニール・ホーニック著『ザ・シネマ・オブ・スタンリー・キューブリック』は4月30日、スティッキング・プレイス・ブックスより刊行される予定です。ぜひ邦訳を望みたいですね。
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tubbz_SK

 スタンリー・キューブリック公式Xでもアナウンスがありましたが、コスプレしたアヒルのフィギュアシリーズ「TUBBZ」がスタンリー・キューブリック作品『2001年宇宙の旅』『時計じかけのオレンジ』『シャイニング』『フルメタル・ジャケット』とコラボし、それぞれの作品のキャラクターがラバーダックになりました。amazonでも取り扱いを開始し、現在予約受付中。価格は5,940円(変動の可能性あり・税込)、発売開始は2024年7月31日です。公式サイトはこちらです。

TUBBZ 『2001年宇宙の旅』 デヴィッド ボーマン
PVC製 塗装済み完成品フィギュア(amazon)


TUBBZ 『時計じかけのオレンジ』 アレックス デラージ
PVC製 塗装済み完成品フィギュア(amazon)


TUBBZ 『シャイニング』 ジャック トランス
PVC製 塗装済み完成品フィギュア(amazon)


TUBBZ 『フルメタル ジャケット』 ジェイムズ T デイヴィス[ジョーカー]
PVC製 塗装済み完成品フィギュア(amazon)
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