キューブリックの家族たち

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 ヤン・ハーランを代表に、甥のドミニク、マニュエル、ベン・ハーランと孫のジャック・エリオット・ホッブスが制作した、クリスティアーヌ・キューブリックについての新しい短編映画を紹介できることを誇りに思います。

 この動画では、クリスティアーヌの幼少期の生活や幼少期、美術の勉強や初期の絵画、そして画家として独自のスタイルを自由に会得した後の作品について語られています。




 2000年代から2010年代にかけてクリスティアーヌは積極的にキューブリック関係のイベントに登壇していましたが、最近はめっきりその姿を見ることがなくなりました。その代役として長女のカタリーナが活躍中です。それも仕方のないことでしょう、すでに88歳のご高齢です。この動画はそのクリスティアーヌの、主に「画家」としての生涯を紹介したものになりますが、こういう動画が家族の力によって制作されるということは、やはり一種の「終活」ということなんでしょう。

 クリスティアーヌは高名な(ある意味悪名高い)ナチスのプロパガンダ御用監督、ファイト・ハーランの姪に当たります。オペラ歌手のフリッツ・モリッツ・ハーラン(ファイト・ハーランの弟)と同じくオペラ歌手のインゲボルグの間に生まれました。弟はキューブリック作品のプロデューサーであり、この動画の制作者代表であるヤン・ハーランです。クリスティアーヌは当初、その愛らしいルックスから女優として活躍していましたが、ご本人は女優業にはあまり積極的ではなく(キューブリックは女優として自作への出演を望んでいましたが)、画家としての道を歩み始めます。動画によれば、両親はクリスティアーヌに音楽家を目指して欲しくてピアノを習わせたそうですが、どうも音楽は苦手だったようです。それよりも絵を描く方が好きだったと語っていますね。

 画家、アーティストとしてのクリスティアーヌはキューブリック作品に多大なる貢献をしています。『2001年宇宙の旅』ではエイリアンの造形を、『時計じかけのオレンジ』では作家宅のアートを、『アイズ ワイド シャット』ではハーフォード家のアートを担当しました。しかしそれ以外にも多くの有形無形の貢献(内助の功)をしているでしょう。キューブリックはTVに出演していたクリスティアーヌに一目惚れ(おそらく『突撃』のロケでドイツに滞在中)、ラストシーンに登場するドイツ人少女役に抜擢しましたが、そこに私的な感情がなかったかといえば・・・そうとは言い切れないでしょう(動画ではその経緯はぼやかしていますが)。

 この動画の制作スタッフは以下の通りです。

マニュエル・ハーラン
甥。弟ヤン・ハーランの長男。絵画の撮影を担当。『アイズ ワイド シャット』ではロケハンの写真撮影を担当した。プロカメラマンとして活躍中。

ドミニク・ハーラン
甥。弟ヤン・ハーランの次男。編集とピアノ演奏を担当した。『アイズ ワイド シャット』でリゲティの『ムシカ・リセルタカII』を演奏したのもドミニク。プロのピアニストとして活躍中。

ベン・ハーラン
甥。弟ヤン・ハーランの三男。動画のクレジットには表記なし。

ジャック・エリオット・ホッブス
孫。長女カタリーナの三男。追加撮影と録音を担当。プロのミュージシャンとして活躍中。
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キューブリックの左側にいるのがトーバ・メッツ。

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映画の男と同じポーズをとる芝居をするキューブリック。

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キューブリックとルースが「共演」したシーン。

 キューブリックの二番目の妻、ルース・ソボトカがキューブリックと結婚前、画家兼映画監督ハンス・リヒターの前衛映画『金で買える夢(Dreams That Money Can Buy)』に出演していたことは以前この記事で紹介しましたが、この映画にキューブリックと最初の妻であるトーバ・メッツ(当時はガールフレンド)が、エキストラとして参加していたそうです。

 この作品の初公開は1947年9月ですので、撮影がその年だとしてもキューブリックは当時18〜19歳(撮影が1947年7月以前なら18歳)。この頃すでにルック誌の有望な新人カメラマンとして、ニューヨークのユダヤ人コミュニティでは知られた存在でした。であれば、キューブリックが映画製作に興味がることを知っている誰かが、この作品のエキストラとしてキューブリックとトーバを撮影現場に誘ったのでは?と考えるのが妥当な気がします。どちらにしても公開された作品は観たでしょうから、キューブリックとトーバは結婚する前から、将来キューブリックの二番目の妻となるルースの存在を認識していたことになります。そのキューブリックがルースと付き合うようになるのはこの5年後の1952年。この頃キューブリックは『恐怖と欲望』を制作中で、ルースはバレリーナをしていました。きっかけはルースのルームメイトの振付師、デイビッド・ヴォーガン(のちに『非情の罠』でデイヴィのマフラーを盗む役として出演)を通じてだと言われています。

M5
ルースが初めて映画に登場するシーン。

 いずれにしてもこの作品で、キューブリック本人とその最初の妻であるトーバ、二番目の妻であるルースが「共演」しているという事実は、実に驚くべきものがあります。つまりこの三人は、ニューヨークのユダヤ人コミュニティという狭い範囲で知り合い、結婚まで至ったということです。キューブリックはその後、ニューヨークはおろかアメリカからもはるか離れたドイツで、以降の生涯を共にするクリスティアーヌ(しかもユダヤ人を弾圧したナチに近い家系の出身者)と三度目の結婚をすることになるのですが、キューブリックがニューヨークのユダヤ人コミュニティから離れ、イギリスに居を構えたのは、そのユダヤ人コミュニティが肌に合わなかったのも理由の一つなのかも知れません。

 ところで、キューブリックはこの頃勃興したニューヨークの前衛映画に関して

「アンダーグラウンド映画からはどんな可能性も感じなかった。クレイジーなアイデアや想像力はあっても、撮影技術はよくなく、興味をそそられなかった。」

と後のインタビューで語っています(イメージフォーラム1988年6月号「キューブリックのロングインタビュー」)。キューブリックの目標はあくまでメジャー・シーンであるハリウッドでの、自己の映像表現を追求することにありました。それは劇映画処女作『恐怖と欲望』が、ニューヨークのアンダーグランドシーンに於いて、多少評価が良かったくらいで満足していなかったという事実からも推察できます。キューブリックが、この『金で買える夢』のエキストラ出演で得たものは「自分はこちら方面に興味もなければ進むべきでもない」という結論だったのではないでしょうか。


『金で買える夢(Dreams That Money Can Buy)』フルバージョン。キューブリック、トーバ、そしてルースの出演シーンは32:56より。


The Stanley Kubrick Appreciation Societyによる紹介動画
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 キューブリックの長女、カタリーナには前夫(フィリップ・ホッブス)との間に三人の息子がいるのですが、その三男、ジャック・ホッブスはキューブリック邸内にスタジオを設け、ミュージシャン兼プロデューサーとして活動しています。そのジャックがキューブリック邸の敷地内をドローンで撮影した動画がYouTubeにありましたのでご紹介。

 広大な敷地と美しい景色に魅了されますが、途中登場するニット帽にメガネをかけた男性が次男のジョー・ホッブスに見えるのですが、確証はありません。邸宅だけでなく、周辺の広大な敷地(トム・クルーズとニコール・キッドマンが『アイズ…』の打ち合わせのためにヘリコプターで着陸したのもこの敷地)もキューブリックの私有地なので、当然ですが立ち入ることはできません。ですので聖地巡礼しても敷地入口の門までがせいぜいなのでおすすめしませんが、毎年『チルドウィックベリー・アートフェアー』というイベントが開催されていますので、その期間中なら敷地内に立ち入ることができます。ですので、その時期を狙って訪問するのはありかも知れませんね。
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イギリス・セントオールバーンズにあるキューブリック邸の一室に設けられたジャケット・レコードのスタジオと、ジャック・ホッブスのインタビュー。




 キューブリックの義長女(クリスティアーヌの連れ子)、カタリーナ・キューブリックはフィリップ・ホッブスと結婚(現在は離婚)し、三人の子供をもうけました。長男アレックスは『アイズ ワイド シャット』でトム・クルーズの患者の少年役して出演していますが、次男ジョーはゲームデザイナー、そして三男のジャックはミュージシャンを目指しましたが挫折し、現在はインディーズレーベル「ジャケット・レコード(Jacket Records)」を立ち上げキューブリック邸内にスタジオを開設、プロデューサー兼ミュージシャンとして活動しているそうです。

 詳細はウェブサイトがありますので、そこで見ることができますが、MVの制作も行っているようで、以下のMVのロケ地はキューブリック邸内です。


Hope - Sanctuary (Strings version) | Live


Seb Wesson feat. Hope - Deep Water (Live in the Library)

 肝心のジャック本人の動画ですが、再生数がこれでは寂しい限り。でも顔が母親(カタリーナ)にそっくりですね。



 キューブリックの孫といえば、次女アンヤの息子、サム・キューブリック=フィニーはデスメタルバンド「シールズ」のボーカル兼ギタリストとして活動中。同じキューブリックの孫として、負けずに頑張って欲しいものです。


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『Family Love: A Glimpse of the Real Stanley Kubrick(家族愛:スタンリー・キューブリックの真実を垣間見る)』という動画がVimeoにありましたのでご紹介。

 管理人が知る限り、ほとんどの写真は見たことがありません。特に孫と戯れる邸宅内の写真はどこから手に入れたのでしょう? 孫のおもちゃ(車やマジックハンド)を興味深そうに触るキューブリックの姿を見ることができるなんて思いもしませんでした。これを見る限り孫にとってキューブリックは「いつも同じ格好をしているおじいちゃん」であったことがよくわかります(笑。

 撮影時期は、最初の写真が『時計…』の頃で、『バリー…』『シャイニング』と時系列に並んでいて、最後の集合写真は『アイズ…』の頃でしょう。この「時系列」の判断ができるのは相当のマニアか、関係者以外にはありえない気がします。投稿したアンドリューなる人物の詳細はわかりませんが、長女のカタリーナの写真が多いことから、カタリーナの三人の息子の中の一人、もしくはその関係者の可能性があります。

 それはともかくも、こんな好好爺としたキューブリックを見るとなんだかホッとしますね。
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