実現しなかった企画作品

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マーロン・ブランドと肩を組むキューブリック(1958年頃)

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キューブリックと共同脚本を書いたジム・トンプソン

失われたスタンリー・キューブリックの映画『ルナティック・アット・ラージ』が製作される

 プロデューサーのブルース・ヘンドリックスとギャレン・ウォーカーが、2021年後半からの映画製作を視野に入れて、スリラー映画のオプション権を取得した。ベテランプロデューサーのブルース・ヘンドリックスとゲイレン・ウォーカーが、故スタンリー・キューブリック監督の未制作映画『ルナティック・アット・ラージ(Lunatic At Large)』の権利を譲渡され、フィルム・ノワールのストーリーを大画面で公開する計画を立てている。

 製作は2021年秋に開始される予定で「久しぶりにスタンリー・キューブリックの作品をスクリーンに登場させる機会を得たことは夢のようなことです。彼のユニークなスタイルとビジョンに沿った映画を作ることを楽しみにしています」とウォーカー監督は声明で語った。

 このプロジェクトは、キューブリックの死後、キューブリックのアーカイブから発見された3つの脚本のうちの1つだ。70ページに及ぶこの作品を作家・脚本家のジム・トンプソンと共同で制作したキューブリックは、いつかはこの映画を監督するつもりでいたという。

 プロットの詳細は明らかにされていないが、ヘンドリックスとパートナーのアラン・エットは、自分たちの会社であるエメラルド・ベイ・エンターテイメントを通して、ウォーカーとパートナーのイヴェット・ハヴァシが、自分たちの会社であるファインライン・メディアを通してプロデュースをする予定だ。

〈以下略〉

(全文はリンク先へ:Hollywood Reporter/2021年2月9日




 10年以上前にこの記事で『ルナティック・アット・ラージ』の脚本が発見と騒がれ、昨年にはテリー・ギリアムが監督すると言われていたんですが、やっと映画化に向けて動き出したようです。ですが「映画化できるかどうか検討する権利を購入した」という段階ですので、実現するかどうかはまだまだわかりません。

 内容はフィルム・ノワールもので、「1956年のニューヨークを舞台に、精神病院から抜け出した殺人犯をめぐるストーリー。脚本の中には線路上でのカークラッシュや気味の悪い山小屋でのラブシーン、夜のカーニバルシーンなどが登場する」というものです。キューブリックが脚本を書いたと言っても『突撃』から『スパルタカス』の頃で、マーロン・ブランドと一緒に『片目のジャック』のプロジェクトを進めていた時期です。この頃のキューブリックはまだまだ無名監督の域を出ず、立ち上げたプロジェクトがことごとく潰れてしまい、映画を撮れず悶々としていました。前述の『片目…』も結局マーロン・ブランドが監督をすることになり、キューブリックは降板させられてしまいます。それを救ったのがカーク・ダグラスで、『スパルタカス』の監督にと急遽キューブリックを招聘します。それは1959年2月のことでした。あとはよく知られている通りです。

 まあ、「その時期のその程度の脚本」であることは承知の上でこのニュースに接しなければなりませんが、楽しみなのは楽しみですね。
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『ルナティック・アット・ラージ』を監督する予定のテリー・ギリアム

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キューブリックとともに脚本を執筆したジム・トンプソン

〈前略〉

 「私は今年の9月に撮影することになっていたんだ 」とギリアムはLa Repubblicaに明らかにしました。「もともとスタンリー・キューブリックのアイデアだった映画をやっていたんだ。脚本もあったし、キャストも決まっていたんだけど、ロックダウンのせいですべてが台無しになってしまったんだ」

 Cinergieによると、キューブリックが放棄したプロジェクトは『ルナティック・アット・ラージ(Lunatic at Large)』の映画化で、キューブリックの当時の製作パートナーであったジェームズ・B・ハリスが1950年代に著名な犯罪作家のジム・トンプソンに依頼し、キューブリックのアイデアを基にした70ページに及ぶ作品だという。

〈以下略〉

(全文はリンク先へ:/Film/2020年7月28日




 テリー・ギリアムが監督することになったんですね。10年前のこの記事で、キューブリックの義息(長女カタリーナの夫)であるフィリップ・ホッブスが、1956年に企画された本作の脚本を1999年に見つけたと話題になっていました。その時は監督やキャストを探している段階でしたが、10年の時を経てその企画が動き出していたとはちょっと驚きです。

 そのホッブスとカタリーナは2001年に離婚してしまったのですが、この脚本はホッブスがまだ権利を有しているんでしょうか? もしそうならクレジットで名前が確認できると思いますが、それよりも何よりも完成させないことにはどうしようもないですね。でも、ギリアムが監督すると決まっているなら、時間はかかっても実現の可能性は大きそうです。
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『現金に体を張れ』の頃のキューブリックとハリス。

 スタンリー・キューブリック監督が書き残していた、3本の映画の構想と見られる脚本の草稿が新たに見つかったと The Guadian が伝えた。

 いずれも1954年から1956年までに書かれたもので、1本目の『マリード・マン(原題)/ Married Man』は35ページにわたるタイプ原稿で手書きのメモも付されている。2本目は『ザ・パーフェクト・マリッジ(原題)/ The Perfect Marriage』と題された、メモ書きといくつかのシーンについて書かれた7ページ分の原稿。3本目は『ジェラシー(原題)/ Jealousy』という、互いに憎悪を抱く夫婦についてタイプと手書きで記された13ページのストーリー原案だ。

〈以下略〉

(全文はリンク先へ:シネマトゥデイ/2019年7月19日




 記事の書き方ですと、まるでルースとの不和をヒントに脚本を書いていたかのように思えますが、時期から考えるとおそらくこれらは『現金に体を張れ』の次の企画として、ドア・シャリーが推薦した『燃える秘密』(のちに『ウィーンに燃えて』のタイトルでアンドリュー・バーキンが映画化)を脚本化する際に書かれたものではないでしょうか。結婚や嫉妬に関するタイトル案は、『燃える秘密』のストーリー(ヨーロッパのリゾート地で旅行中の幼い子を持つ妻が、男に誘惑される)とよく似ています。結局この企画はシャリーがMGMを追い出されることによって頓挫するのですが、1956年には『突撃』の企画が動き始めるので、今となっては特に価値があるものではないでしょう。
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『突撃』を撮影中のカーク・ダグラスとキューブリック。『God Fearing Man』の脚本は『突撃』の後、1958年頃に書かれた。本人が語る「誰も欲しがらなかった2本の脚本」の内のひとつだと思われる。

TV Drama Based on Stanley Kubrick Script Set for Production

A high-end television drama based on an original screenplay by acclaimed filmmaker Stanley Kubrick has been set as a first scripted project for new European production company Media Musketeers. “God Fearing Man” was one of two initial projects announced Tuesday by the company, which was officially launched in April by former Warner Bros executive Chris Law and former Apple executives Sebastien Janin and Andy Docherty.

“God Fearing Man” is based on a book by Herbert Emerson Wilson and Kubrick’s original screenplay which tell the true story of a Canadian church minister-turned-safecracker who became one of the most successful bank robbers in U.S. history.

Media Musketeers will collaborate with U.K. independent producer ForLan Films on the project. ForLan has developed the project as a four-hour TV drama, working with Philip Hobbs, who served as co-producer on Kubrick’s 1987 Vietnam War classic “Full Metal Jacket.” Hobbs will produce alongside ForLan’s Steve Lanning. Janin and Docherty will serve as executive producers.

 評価の高い映画監督スタンリー・キューブリックによって書かれたオリジナル脚本に基づくハイエンドのテレビドラマは、新しいヨーロッパの制作会社、メディア・マスケーターズの最初のプロジェクトとして立ち上がりました。『God Fearing Man』は、火曜日に同社が発表した2つの最初のプロジェクトのうちの1つであり、4月にワーナー・ブラザーズの元幹部Chris Lawとアップルの元幹部Sebastien JaninとAndy Dochertyによって正式に発表されました。

 『God Fearing Man』は、ハーバート・エマーソン・ウィルソンの小説とキューブリックのオリジナル脚本に基づいています。これは、アメリカの歴史で最も成功した銀行強盗の一人となった、牧師から転身した金庫破りのカナダでの実話を基にしています。

 メディア・マスケーターズは英国の独立制作会社、フォーラン・フィルムズと共同でプロジェクトを行います。フォーランは、このプロジェクトを4時間のテレビドラマとして制作します。フィリップ・ホッブスは、1987年制作のベトナム戦争映画の名作『フルメタル・ジャケット』の共同プロデューサーを務めていました。 JaninとDochertyがエグゼクティブプロデューサーを担当します。

〈以下略〉

(全文はリンク先へ:VARIETY/2019年5月14日




 以前こちらで記事にした、ハーバート・エマーソン・ウィルソンの小説『私は1600万ドルを盗んだ』をキューブリックが脚本化し、それを基にしたTVドラマ『God Fearing Man』の制作が進行中のようです。

 この『私は1600万ドルを盗んだ』は、キューブリックが『突撃』公開後の1958年頃に進めていた企画で、ジム・トンプソンと共同で脚本を書き、カーク・ダグラスを主役に向かえて映画化するつもりでしたが、肝心のダグラスがこれを気に入らずボツになった経緯があります。本人も「復活させて映画化すつもりはない」と明言していますので、無名時代のキューブリックが書いた脚本にいかほどの価値があるのか疑問が残ります。

 気になったのは記事中にフィリップ・ホッブスの名前があること。ホッブスが『ルナティック・アット・ラージ』の脚本を見つけたとニュースになっていましたが、この脚本もホッブスが見つけたのでしょうか? この方、キューブリックの長女カタリーナの元夫で、結婚時『フルメタル・ジャケット』の共同プロデューサーを務めたのですが、『アイズ…』には病気で不参加、キューブリック逝去の際には様々な手配に奔走したそうです。その後カタリーナと離婚(原因は不明)してしまいましたが、結婚する前はケータリング業(おそらく映画関係)をしていたそうなので、プロデューサーとしての力量は全く不明です。

 記事には元ワーナーや元アップル幹部の名前もありますが、アップルが動画コンテンツのサブスク事業に乗り出しているのは周知の通りです。これからの5G時代、インフラはあれどコンテンツがないという事態は容易に想像できるので(この企画はTVシリーズですが)、こういった「ちょっとでも衆目を集められそうな企画」は今後も増えるでしょうし、その「衆目集め」のためにキューブリックなどのビック・ネームが利用されるということは起こりうるし、すでにこうして起こっています。

 こちらがメディア・マスケーターズ社のサイト、こちらがそのフォーラン・フィルムズ社のサイト、こちらがその該当ページですが、これを見る限り実績は怪しい感じがします。どちらにしてもPVくらいは観せてもらわないとなんとも判断がつかないし、以前記事になってからすでに5年近くも経っていますので、このまま話が立ち消えにならないことを祈るばかりです。
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『ザ・バニシング〜消失』の公開当時の予告編

 サイコサスペンスの金字塔『ザ・バニシング〜消失』が約30年の時を経て、4月12日から日本で劇場初公開となることがわかった。巨匠スタンリー・キューブリックが3回鑑賞し、「これまで見たすべての映画の中で最も恐ろしい映画だ」と絶賛したという伝説の作品だ。

〈以下略〉

(全文はリンク先へ:映画.com/2019年1月19日




 キューブリックは本作について

 キューブリックはこれを3回観て「私がこれまでに見た中で最もぞっとする映画だ」と(監督である)シュルイツァーに話しました。シュルイツァーは『シャイニング』よりももっと?と尋ねました。キューブリックは「そう思う」と答えました。

(引用先:【関連記事】スタンリー・キューブリックが好んだ映画のマスター・リスト(2016年7月25日改訂版))

ただし、キューブリックの義弟でプロデューサーのヤン・ハーランは「『ザ・バニシング』はリアルで『シャイニング』は幽霊映画 。大きな違いがある」と同列に語ることに疑問を呈しています。

 キューブリックは本作のヒロイン、ヨハンナ・テア・ステーゲ『アーリアン・ペーパーズ』のターニャ役にキャスティングし、プリプロダクションを進めていましたが、諸般の事情によりこの企画は中止になりました。ヨハンナはそれを聞かされた際の心境を「突然風船が破裂したように感じました」と、衝撃の大きさを語っています。

 4月12日から東京・シネマート新宿ほか全国で公開されるそうです。ぜひ観てみたいですね。


ザ・バニシング-消失- [DVD]

DVD化はされていますが、プレミアがついているようです。
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