2001年宇宙の旅

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モデルグラフィックス 2024年10月号(amazon)


 モデルグラフィックス誌2024年10月号『2001年宇宙の旅:模型で巡るオデッセイ』で巻頭記事を書かせていただきましたので、ご紹介いたします。

 モデルグラフィックスはガンプラ(ガンダムのプラモデル・・・って言うまでもないか。汗)を中心にしたプラモデル雑誌です。その巻頭特集に昨今メビウス社によるプラモデル化で盛り上がっている『2001年宇宙の旅』を採り上げたい、つきましては原稿をお願いしたいとのご依頼でした。記事内容は基本おまかせだったのですが、『2001年』の名前は知ってはいるけど観たことはない、だけどプロップや特撮には興味があるモデラー向きにして欲しいとのことでした。文字数は約3400字でしたので、当初は「そんなに書けるかな」と不安だったのですが、いざ書き始めてみると「あれも書きたい、これも書きたい」となってしまい、後で大幅に削ることになってしまいました。

 本記事を執筆するに当たり、以下の点に留意しました。

・制作経緯を時系列でまとめる
・コンセプトやテーマは軽く触れる程度(字数制限のため)
手塚治虫の一件に触れる
・プロップ制作や特撮裏話をできる限り載せる
・加わったスタッフもできる限り紹介する
・『2001年』の特撮=ダグラス・トランブルという誤解を解く

 最後は特にこだわった点で、本誌掲載記事にある通りキューブリックは4人のメインスタッフの貢献度をわざわざ表明しています。これはトランブルがあまりにも突出しすぎていると考えたためで、それがトラブルになっていたからです。有名なのはオスカーの視覚効果賞をキューブリックが独占したことに対するトランブルの批判です。ですが、キューブリックの立場からするとトランブルは優秀なスタッフの「一員」だったのは確かではあるが、それと同等やそれ以上に貢献したスタッフはいるし、彼らはそれを声高に主張していない(控えめな性格だった)ことに対する配慮もあったかと思います。とにかくトランブルは「声が大きすぎる」んですよね。現在でも『2001年』の特撮=ダグラス・トランブルという誤解は世間一般に流布したままだし、『2001年』初心者も読むモデル雑誌でそれは良くないと思い、微力ながら私がそれを矯正(方向性の修正)をできればと思って書かせていただきました。

 キューブリックは自作の商品化に否定的で、存命中は頑なにそれを拒否していました。逝去後しばらくは宙ぶらりんな状態が続きましたが、現在は財団も設立され版権管理の問題もクリアになりつつあります(商品化できるのはワーナーが権利を持つ『2001年宇宙の旅』『時計じかけのオレンジ』『シャイニング』『フルメタル・ジャケット』の4作品)。特に『2001年』に登場する宇宙船のキット化は多くのファンが待ち望んでいたもので、発表のたびにSNS上では盛り上がりを見せていました。今回の特集はそれを踏まえての企画ですが、今後も多くの媒体でキューブリック作品が採り上げられる事を、いちファンとして期待しております。
【ご注意】当ブログの記事は報告不要でご自由にご活用頂けますが、引用元の明記、もしくは該当記事へのリンク(URL表記でも可)を貼ることを条件にさせていただいております。それが不可の場合はメールや掲示板にてご一報ください。なお、アクセス稼ぎだけが目的のキュレーションサイトやまとめサイトの作成、デマや陰謀論をSNSで拡散する等を意図する方の当ブログの閲覧、ならびに利用は禁止させていただきます。※当ブログはネタバレありです。





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(初回限定生産)2001年宇宙の旅 The Film Vault collection(4K ULTRA HD&ブルーレイセット)スチールブック仕様(3枚組/豪華封入特典付)[4K ULTRA HD + Blu-ray]

内容紹介
スタンリック(注:原文ママ)・キューブリック没後25周年―。
代表作『2001年宇宙の旅』が新デザイン・キーアートで、待望の4K ULTRA HDスチールブック化!

・イギリス発のアートスタジオ「VICE PRESS」のマット・ファーガソン&フローリーによる新デザイン・キーアートにより、『2001年宇宙の旅 』がよみがえる!

・1999年3月7日、70歳でこの世を去ったキューブリックの没後25周年を追悼し、代表作『2001年宇宙の旅』が4K ULTRA HDスチールブックとして初リリース。

・日本語吹替版を収録した4K ULTRA HD&HDデジタル・リマスター ブルーレイに、特典ディスクを加えた豪華3枚組。

※ディスクは「2001年宇宙の旅 日本語吹替音声追加収録版〈4K ULTRA HD&HDデジタル・リマスター ブルーレイセット〉(3枚組)と同じです。

・新デザイン・キーアートによるスチールブックに加え、特典として、アートカード(7枚組/両面仕様)、ポスター(2枚/片面&両面)をオリジナル封筒に収め封入。

【ストーリー】
人間 vs. コンピュータの戦いを、陶酔の映像と音楽で描き出し、アカデミー賞(R)を受賞した『2001年宇宙の旅』。キューブリック(アーサー・C・クラークと脚本を共同執筆)は、有史前の類人猿から植民地化が進む宇宙へ、数千年もの時間を超越(映画史上最高のジャンプ・カット・シーンのひとつ)する離れ業をやってのけた。人類がまだ見ぬ宇宙の領域に足を踏み入れた宇宙飛行士ボーマン(キア・デュリア)は、不滅の存在へと昇華していくのだろうか。「HAL、進入口を開けろ! 」という悲痛な願いと共に、無限の可能性に満ちた未知への旅を始めよう。

【キャスト】
デイビッド・ボウマン:キア・デュリア、フランク・プール:ゲイリー・ロックウッド

【スタッフ】
監督:スタンリー・キューブリック、製作:スタンリー・キューブリック

【特典】
“2001年”という神話
キューブリックが残した遺物
キューブリックの見た未来
2001年という“未来”
“2001年宇宙の旅”の哲学コンセプチュアルアート
キューブリックの初期作品
キューブリックのインタビュー

■製作:1968 アメリカ

(C) 2008 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.

※映像特典、商品仕様、ジャケット写真などは予告無く変更となる場合がございます。

【Ultra HD ブルーレイ】
●ご視聴にはUltra HD ブルーレイ再生対応機器が必要となります。
●[4K ULTRA HDを高品質でお楽しみいただくために]
4K ULTRA HDは4K解像度・HDR(ハイダイナミックレンジ)・広色域での再生に対応しています。
ご視聴には、Ultra HD ブルーレイ再生対応機器に加え、4K/HDR対応テレビでのご視聴をおすすめいたします。

(引用:Amazon「(初回限定生産)2001年宇宙の旅 The Film Vault collection(4K ULTRA HD&ブルーレイセット)スチールブック仕様(3枚組/豪華封入特典付)[4K ULTRA HD + Blu-ray]




 ディスクは以前のセット(詳細はこちら)と同じでポスターやアートカード、おそらく当時のロビーカード(映画館のロビーにペタペタ貼られた装飾用カード)の復刻版が封入されています。クリスマス向け商材だと思いますが、同シリーズで『ブレードランナー』『ショーシャンクの空に』も同時に発売されるそうです(詳細はこちら)。紙モノ追加だけでこの価格は・・・という話もありますが、スチールブック仕様は一定の需要がありますので、欲しい人もいるのではないでしょうか。限定生産品なので、お早めにどうぞ。
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〈前略〉

『2001年宇宙の旅』を見て、脳天に一発食らった、痺れて立てないくらい。

 『2001年宇宙の旅』(1968年)は、SF作家になりたくてしょうがなかった頃に観た映画。SF映画を作りたいっていうんじゃなくて、「SFで一生いきたい」と思ったわけ。高校生だったからね。当時は“シネラマ”って言ってたんだよね、70ミリ映画。スクリーンが横に倍あるんですよ、異様に横長の世界。はっきり言って当時の70ミリ映画っていうのは、ドラマがどうこうじゃなくて単純に“見世物”だったんですよ、当時の認識は。

 確か東京ではテアトル東京でしか上映してなかったと思うんだけど、そこに観に行った。当時はもちろんSFの知識があったから、アーサー・C・クラークももちろん読んでた。(スタンリー・)キューブリックは知らなかった(笑)。で、封切になってすぐ行ったんですよ。映画館の前にモノリスが立ってましたからね。

 かなり前のほうの席で観たので、首がね……スクリーンが大湾曲してて。宇宙船がね、しなってるんですよ(笑)。だからまともな映画観賞っていう感じじゃないんですけど、感動したの。めちゃくちゃ感動した。脳天に一発食らったっていう、痺れて立てないくらいだった。

 いま思うと何をそんなに感動したのか良くわかんないですけど、ただ間違いないのは“音楽”にやられた。観た翌日にレコードを買いに行ったの。それははっきり覚えてる。電車に乗って、隣街かなんかだと思うんだけどレコード屋さんに行って、探して買った。で、その時に店にいたお姉さんがとっても素敵な人で、高校生だった私に懇切丁寧に応対してくれて、なおかつ「素敵なジャケットね」っていうさ。「ツァラトゥストラ聴くのね、キミ」っていう。すっかり舞い上がっちゃって、しばらく通った(笑)。

 昔はさ、レコード屋のお姉さんっていうのが一ジャンルだったんですよ。高校生だから、クラスの女の子とかじゃなくて、ちょっと年上の素敵なお姉さんに一発で痺れたんですね。しかも優しくしてもらったもんだから舞い上がって(笑)。

CGでは“空気”は映らない、模型作って撮った意味がある

 この映画の正体が分かったのは、初めて観てから30年くらい経ってから。人間の進化の歴史とかに興味を持って、自分でそういう本を書いたりして。要するに狩猟仮説ってやつだけどさ、「人間はなぜ人間になったか」っていう。そういう思想的背景っていうか、そのまんま映画にしたような、そういう映画ですよ。ストーリーがすごいとか、ドラマがすごいとか、役者さんがすごいとか、そういう映画じゃないんですよ、思想そのものっていう。それは解るまでにずいぶん時間がかかった。

 それなりに本を読んだり、勉強したりしないと、この映画のバックグラウンドって分からないですよ。単純にビジュアルがすごいっていうさ。こういう映画って、いまCGでもできないですから。でっかい模型作って撮った意味があるんです、確かに。CGでこれやったらもっとすごいものができるだろと思ったら大間違いでさ。CGって空気は映らないから。だから僕はね、これはCGがない時代にこれを作ったっていうことのすごさっていうものが、いまだにあると思う。CGっていうのはあっという間に古くなるんだけど、どんな表現でも。アニメーションと一緒で、人間の手が作ったものってね、最後まで妙な迫力があるんですよ。作画でやったアニメーションって30年経ってもね、ある種の迫力がある。説得力がある。

 だからこの映画は、僕の中のSFってものを舞台にした、いちばん多感だった時代の青春みたいな、ものすごく恥ずかしい……記録(笑)。いま観たら全然違う映画ですよ? 当時は何を観てたんだっていう。だから映画って、再会しないとダメなんですよ。何十回観たってね、それから30年経って観たらびっくりするくらい違う。本当にいい映画の場合はね。

宇宙空間を感覚的に表現した、初めての映画

 この映画を観て「良い」っていう人間の半分以上は、たぶん音楽で覚えてるんだと思う。それぐらい強烈だった。宇宙空間っていうものを表現するのにね、ツァラトゥストラ(※「ツァラトゥストラはかく語りき」)と、あとはワルツの「美しく青きドナウ」っていうさ。宇宙空間を感覚的に表現した、初めての映画ですよ。広がりとか、虚無感とか、静寂とか。

 宇宙って、いちばん表現しにくいもののひとつなんですよ。宇宙の表現って、映画が後々になればなるほど上手くなるかっていうと、そうなってない。いまだにこれを超えるような宇宙空間の迫力っていうか存在感っていうかね、そんな映画ってたぶんないと思う。

 SFでもあるんですよ、宇宙を言葉でどう表現するか? っていうさ。初めて宇宙を日本語にした、光瀬龍っていう作家が大好きなんですけど、彼の最大の功績だと言われてますよね。映画で言えば、この映画です。宇宙の存在感みたいなものをこれ以上に表現できたものは、たぶんいまだにないと思う。本当にエポックメイキングな映画っていうのは、そういうことを指すんですよね。全く違う次元の体験を作り出しているという、これはとても大事なことなので。映画の本質みたいなものだから。生涯に一本でも作れたら……大体無理なんだけど、僕は40年近く映画作っているわけだけど、そこまでは全然いってないですよね。そういうものをいつか作りたいっていう野望はあったとしても。

〈以下略〉

(全文はリンク先へ:BANGer!!!/押井守が語る映画体験「映画は一期一会じゃない、再会するもの」インタビュー/2019年2月1日




 押井守氏が『2001年宇宙の旅』に言及していたのは過去に何度か目にしていたのですが、ここまで当時の思い出と、『2001年…』に対する想いを素直に、赤裸々に語ったインタビューは初めて目にしました。また、昨今のCG中心の映画づくりに関しても非常に的確な指摘をされていて、非常に興味深かったです。

 管理人の個人的な「押井体験」は『うる星やつら』のTVシリーズですね。その後の『パトレイバー』『攻殻機動隊』はアニメに興味を失くしていた時期なのでリアルタイムでは観ていません。その頃の印象的な押井氏の発言に「ジャパニメーションって海外で本当に言われているの?誰か確かめてみたひとはいるの?」(出典不明・記憶曖昧)というものがあります。確かに当時の「ジャパニメーション」というワードは宣伝効果を狙った「一人歩き」の疑念(「全米が泣いた!」的な)がつきまとっていて、管理人も言われていたような海外のムーブメントには懐疑的でした。しかしそれも「アニメ」というよりなじみのあるワードが全世界規模で定着するに至って、杞憂に終わったようです。

 その「アニメ」を世界規模に広げた功績に押井氏の果たした役割は非常に大きいと言えます。まあ、それは門外漢の私が語ることでもないでしょう。ただ、個人的な望みとしてギャグとパロディ満載のドタバタアニメをもう一回くらいは作って欲しいな、と思っています。
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メビウスモデル「2001年宇宙の旅 宇宙ステーション5」
プラモデル MOE2001-6(オリオン号付属)


1/2600スケール
全長約350mm
発売予定日:2024年5月31日
価格:26,323円(税込)

商品の説明
これまでにディスカバリー号、オリオン号、アリエス号など「2001年メカ」をリリースして好評を博したメビウスモデルが、世界のSFファン待望の宇宙ステーション5をついにキット化。
スケールは1/2600でモデルの直径は約35cm。
劇中同様、完成状態のリング構造部と建造途中のリング構造部を再現しています。
複雑にみえるトラス構造の建造途中部分も巧みなパーツ分割により組み立てもスムーズ。
さらに専用のディスプレイスタンドと、同スケールのオリオン号(全長約3cm)も付属しています。
SF映画史に残る名場面をぜひ再現してください。

SF映画の傑作『2001年宇宙の旅』に登場する宇宙ステーション5を1/2600で再現
完全新金型のプラスチックモデル組み立てキット
表面のディテール、建造途中の構造などもリアルに再現
モデルの仕上がり直径は約35cm
ディスプレイスタンド付き
同スケールのオリオン号(全長約3cm)も付属

※この商品は、組み立て、塗装が必要なプラモデルです。
※組み立て、塗装には別途、接着剤や工具、塗料等が必要です。
※「プラモデル」は日本プラモデル工業協同組合所有の登録商標です。
※この商品には、接着剤や塗料、工具や電池等は含まれません。

ご予約はこちら




 宇宙ステーションV(5)は、ディテールがわかるテスト撮影画像や、ドッキングベイ部分は現存(詳細はこちら)していますのでプラモデル化しやすかったでしょう。まあもちろん全パーツが現存していれば決定的だったのですが、MGM倒産の折に産廃として不法投棄されてしまいました(詳細はこちら)。『2001年宇宙の旅』に登場した宇宙船や宇宙機のプロップで、完全体で現存しているのはアリエス1B宇宙船だけです(詳細はこちら)。これは修復され、現在はハリウッドのアカデミー博物館に展示されています。ディスカバリー号やスペースポッドが現存していればひと財産だったのは間違いなく、なんともまあもったいないことをしたものです。
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 第96回アカデミー賞授賞式が11日(現地時間10日)に米ロサンゼルスのドルビー・シアターで行われ、山崎貴監督の『ゴジラ-1.0』が日本映画として初めて視覚効果賞を受賞した。

 視覚効果賞は、その年に公開された映画の中で最も優れた視覚効果(VFX)を用いた作品に与えられる栄誉となり、過去には『ロード・オブ・ザ・リング』『タイタニック』などが受賞。日本映画が同部門で受賞した実績はなく、まさに歴史的な快挙。また、アカデミー賞の歴史において、監督として視覚効果賞を受賞したのは『2001年宇宙の旅』のスタンリー・キューブリックのみだといい、山崎監督は55年ぶり史上2人目の受賞監督となった。

〈以下略〉

(全文はリンク先へ:シネマトゥデイ/2024年3月11日




 山崎貴監督以下「白組」のスタッフの皆様、おめでとうございます!!『ゴジラ-1.0』の視覚効果賞受賞が日本映画の歴史的快挙である事は間違いないです。ただ55年前のキューブリックの『2001年宇宙の旅』は視覚効果賞〈しか〉獲れなかったと言うべきで、快挙どころか屈辱のアカデミー賞でした。他に監督賞、脚本賞、美術賞にノミネート、作品賞はノミネートすらなし。同列に語るべきでない事に注意が必要です。脚本賞受賞予定者として会場に出席していたアーサー・C・クラークが非常に悔しがっていたエピソードはファンならよく知る話ですね。

 ちなみにですが管理人の個人的な『ゴジラ-1.0』の感想を言えば「楽しめた!けど脚本のツメの甘い部分(整合性)は気になった。『シン・ゴジラ』よりは好きかな」というものです。まだ劇場公開していますので、未見の方はこの機会にぜひ。
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