アイズ ワイド シャット

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「ビルとニック」で『アイズ ワイド シャット』に出演したトムとトッド。(画像引用:IMDb - Eyes Wide Shut

 最新作『TAR/ター』(5月日本公開)で16年ぶりにメガホンをとり、賞レースを賑わせているトッド・フィールド監督。そんなフィールド監督がこの度、2001年の長編デビュー作『イン・ザ・ベッドルーム』について、俳優のトム・クルーズがワインスタインの魔の手から救ってくれたと明かした。

〈中略〉

 本作はサンダンスで高評価を受けた後、ミラマックスが権利を獲得するが、当時ミラマックスを仕切っていたのは、近年数々の性暴力が明るみに出て有罪判決が下ったハーヴェイ・ワインスタインだった。彼は制作者から作品を取り上げ、好きに編集することで悪名高かったそうだ。

 フィールド監督は「バスルームで泣いた」と当時を振り返り、トム・クルーズに電話して、酷いことが起きたんだと訴えたそうだ。するとトムは、「君がすべきことはこうだ。6ヵ月かかるけど、彼に勝てるぞ。僕がこれから言うことを1つずつ、確実に実行するんだ」とアドバイスをくれたそうだ。

 すでにプロデューサーとしても活躍していたトムのアドバイスは、まず、ワインスタインに映画を好きに編集させ、試写で悪い評価を受けさせる。その上で、サンダンスでの高評価を提示し、オリジナルの編集で公開させるというものだったそう。フィールド監督はトムのアドバイスに従い、見事オスカー候補入りを果たしたというわけだ。

〈以下略〉

(全文はリンク先へ:クランク・イン!/2023年1月17日



 『アイズ ワイド シャット』のビルとニックの心温まる話が報じられていたのでご紹介。

 『アイズ…』は撮影期間が一年以上と長期間に渡ったので、出演者同士で仲良くなる時間もたっぷりあったんでしょうね。トム・クルーズとトッド・フィールドは友人同士になったみたいです。そのトッドが映画監督に転身したのは知らなかったのですが、よりによってセクハラ・パワハラの権化、ハーヴェイ・ワインスタインと絡むことになってしまうとは。今更この御仁の擁護をする人などいないでしょうが、トムがトッドにしたたかな「生き残り戦略」を指南し、見事思惑通りに事が進んだようです。

 業界をしたたかに生き抜いたキューブリックも他の映画監督や俳優などによく相談され、今回のトムと同じように業界で生き抜く戦略を指南していたそうなのですが、キューブリックの場合、悪評(しかもかなり悪意の入った誤解が多い)ばかりが語られ、なぜかそういった「いい話」が広く知られていないのは残念です。キューブリックがいかに面倒見の良い人物だったかは、評伝を読めば書いてあるんですけどね。
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左:ポスター初期案、右:決定案(画像引用:IMDb - Eyes Wide Shut

 カタリーナ・キューブリックがこの映画の初期のポスターデザインについて、そして彼女の父親がこの映画を彼の最高傑作と考えた理由について語ります。

 キューブリック一家がアイルランドに移住(注:撮影のためアイルランドに一時期一軒家を借りていた)し、美術学校を退学することになったのは彼女が19歳の時でした。そのカタリーナ・キューブリックが初めて裏方として携わった作品が『バリー・リンドン』(1975年)です。「彼はすでに私に写真の撮り方を教えてくれていました」と彼女は振り返ります。それで彼は「そうか、君は何もしていないのだから、忙しい方がいいんじゃないか」と言ったのです。「ロケ地を探しに行ってくれないか」と言われました。

 彼女はその後、彼の数々の作品に携わることになります(1980年の『シャイニング』ではオーバールック・ホテルのカーペットを調達するなど)。『アイズ ワイド シャット』では、ビルが(彼女の息子が演じる)少年を診察するシーンで彼女が一瞬映りますが、ハーフォード家のアパートを埋め尽くす彼女自身の絵の方が多く登場します。

 その中には、映画の冒頭で夫婦がパーティに出かけるときに見える廊下の猫の絵もあります。これはキューブリックの愛猫ポリーの絵で、カタリーナが彼の60歳の誕生日のために描いたものです。彼女はこの絵が映画の中で目立つ位置にあることを喜び、「彼からの感謝の気持ちのようなもの」だと考えています。キューブリックが亡くなった後、カタリーナと彼女の母クリスティアーヌ(ハーフォード・シャーの家の壁に絵が飾られている)は、映画公開のためのポスターをデザインしています。

—これらのポスターは、どのような経緯でデザインされたのですか?

 スタンリーが亡くなった後、母と私はスタジオから『アイズ ワイド シャット』のポスターのアートワークを受け取りましたが、彼への最後の贈り物として、ぜひ自分たちでデザインしたいと思いました。特に母は、私たちなら彼が喜ぶようなポスターがデザインできると思っていたようです。

 ご存知のように、スタンリーはポスターキャンペーンにいつも深く関わっていました。エレガントでスタイリッシュ、そして地下鉄の駅構内や新聞を開いたときにすぐに目に入るようなポスターが、彼にとって重要なことだったのです。象徴的でなければならないのです。時計じかけのオレンジ』(1971年)のフィリップ・キャッスルがデザインした「A」、『フルメタル・ジャケット』(1987年)のヘルメット、『バリー・リンドン』のバラに乗った足など、非常に強いイメージで、映画について何か・・・でもすべてではない、と伝えてくれるようなものでしたね。

 とても忙しい時期でした。彼が亡くなったのは3月で、映画が公開されたのは7月でしたから、ほとんど時間がなかったんです。私たちは悲嘆に暮れていましたが、スタンリーが気に入るようなデザインを考えることが重要でした。

 私も母もアーティストなので、映画の中で仮面が大きく登場することから、トムとニコールの顔を仮面にすることを前提にスタートしました。カメラマンに頼んで、フルフェイスで撮影してもらいました。そして、Photoshopを使って、ニコールとトムをできるだけ仮面っぽく仕上げていきました。

—背景を赤にしたのはなぜですか?

 赤はお父さんの好きな色のひとつでしたし、とてもエモーショナルな色でもあります。人によって反応はさまざまです。怖い色だと思う人もいます。赤は娼婦の色でしょう?いかがわしい下着をつけている人を見ると、必ずと言っていいほど赤が使われているんです。

—なぜ使われなかったのですか?

 スタジオからのフィードバックは 「映画界で最も美しい映画スターが2人もいるのに、なぜマスクを使っているのか?」でした。そこで私たちは、よし、もう一度やり直そう、と思ったのです。

 ハーフォード夫妻のアパートにあった鏡は、私たちのものでした。それを写真に撮って、鏡の前で二人を撮った写真とで、これまたエレガントなポスターにしたんです。オリジナルが使われなかったのは残念ですが、20年経った今見ても、本当によく残っていて、間違いなくトムとニコールだと思います。

—あなたのお父さんは、自分の映画にもっと芸術的なポスターを使うために争う必要があったのでしょうか、それともかなり自由な創作を与えられていたのでしょうか?

 スタンリーは、自分の作品を世に送り出すのなら、その面倒を見たいと考えていることは誰もが知っていることです。そして、彼はポスターキャンペーンに深く関わり、デザイナーと話し、たくさんのスケッチを何度もやり取りしました。というのも、スタンリーはいつも「何が欲しいかは見てみないとわからない。でも、いらないものはわかってるんだ」と言っていたからです。長いプロセスでしたが、ワーナー・ブラザーズは全権を委ねました。彼らは完全に彼を信頼して、自分の映画を思い通りに売ることができたのです。

—彼の作品が、他の作品のように観客の心をつかめなかったのはなぜだと思いますか?

 特にアメリカやイギリスでは、多くの人がもっと卑猥なものを期待していたようで、結果的にシリアスな映画にはならなかったと思います。社会を鏡のように映し出すと、しばしば社会は反発し、「そんなことはあり得ない」と言うものです。この映画は日本では好評で、ワーナー・ブラザーズは映画館の外に人を立たせていて、カップルが手をつないで映画館を出てくるのを見たそうです。そして、そのカップルがこの映画を見た後にする会話を想像してみてください・・・。

 若い人向けの映画ではないと思います。少しは生き、嫉妬や動揺、幻想を抱くということがどういうことなのか、わかっていないといけないと思うんです。だから、彼はこの映画を作るのに時間がかかった。1970年にワーナー・ブラザーズと交わした最初の契約のひとつで、その後、彼はそれを放置していたんです。彼と母は、「この巨大なテーマを扱うには、もう少し長く生きて人生経験を積まなければならない 」と言っていました。最終的に彼は、この作品をとても誇りに思っていました。自分の最高の映画だと言っていました。

—彼はこの映画が評価されたことに動揺したでしょうか?

 彼は本当に全力を尽くしたので、信じられないほど動揺していたと思います。トムとニコールにとって、この映画が彼らのキャリアの中で初めて、自分たちの芸術性を追求することを許し、キャラクターを成長させる時間を与えてくれた監督であったことは、喜びの一つでした。スタンリーはこう考えていました。「高価な俳優もいるし、高価なセットもある。そして、最も貴重なものは時間である。この中で一番安いのは、撮影用のフィルムだ」。

 彼は言いました。「なぜリハーサルを撮影しないのか?」。なぜなら、俳優がリハーサルをしているつもりが、実はいろいろ試していることがあるからです。彼らはオフの時に長いミーティングをして話をします。「これを試すべきかな?あれをやってみようか?」。

 彼はとても意欲的でした。俳優たち全員に、「何がある?どんなアイディアがあるんだ?何をやるか見せてくれ、そこから始めよう」と言いました。彼はとても包容力がありました。

 なぜなら、彼は何も知らないからです。例えば、ジャック・ニコルソンやピーター・セラーズのような素晴らしい才能を持った俳優がいれば、彼が思いつかないようなものを現場に持ってきてくれるでしょう。彼は独裁的ではなく、撮影中に想像力をかきたてられたことを、夜になってから台詞を書き直すこともよくあったようです。

(引用元:BFI/“When you hold a mirror to society it rebels”: Katharina Kubrick on Eyes Wide Shut




 このインタビューによると、公式ポスターをデザインしたのはクリスティアーヌとカタリーナということで良いのでしょうか? 『アイズ…』のポスターは、キューブリックが監修したものではなかったと。キューブリックはポストプロダクション時に広告や宣伝も同時作業で行うので、てっきりキューブリックが関与していると思ったのですが。

 正直、このポスターはあまりデキが良くないな、とは感じていましたが、鏡を使うアイデアまで二人のものだったとは驚きです。というのも、「鏡」が本作では重要な意味を持っていると思っていたからです(詳しくはこちら)。もちろん二人とも制作に深く関与していたわけですから、キューブリックから本作の意味や意図を聞いていた可能性もありますが、そこはネタバレになるので、おそらく詳しくは語ってくれないでしょう。

 Photoshopの話が出てきましたが、調べたらバージョン5くらいの時期ですね。基本的な機能は備わっていましたが、この頃はまだアナログからデジタルへの過渡期だったので、ボツ案のデジタル加工バリバリのデザインはかなり違和感があります。ワーナーからの指摘もあり、最終的には現行の単純な鏡と俳優のハメコミ合成でビジュアルが作られたのでしょう。

 その他の内容は他のインタビューでもよく語られている内容です。キューブリックは「自分より良いアイデアを他人が持っている可能性があるのに、それを訊いたり試したりしないのはもったいない」と考える監督でした。当ブログで何度も説明している通り、キューブリック作品の制作現場は「独裁的」ではなく「民主的」であり、カタリーナが言うように包容力があったのです。「彼は何も知らない」・・・そう、キューブリックは「知らないことを恥」とは思わず、「新しいことを学ぶ機会」と捉えていました。ネット界隈では「いかにもっともらしく知ったかぶるか、そしてそれをどうマネタイズにつなげるか」という考えが主流ですが、そんな輩にはキューブリックの爪の垢でも煎じて云々!!と言いたいですね。
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画像引用:wikipedia - 森川智之

〈前略〉

とんでもない現場でのかけがえのない経験

 鬼才キューブリックの横で一緒に作品を作ってきた人ですから、面接の迫力もすごいものでした。開口一番、「ミスター森川はキューブリックをどう思う?」「この映画をどう思う?」という話になるんです。僕なりにがんばって答えましたが、今思えば特別なことが言えたわけではありません。

 その後、演じるにあたってのディスカッションをしました。そのとき彼から求められたのは、「トムとまったく同じことをしてくれ」というものでした。トムがどのように役を理解して、どのように演じて、何を思ってしゃべっているのか。それをゼロから理解して、そのうえで演じてほしい、と。

 僕は、「とんでもない現場に来てしまったなぁ」と思いました。それまでにも吹替えの仕事はたくさんしていましたが、この現場はすべてがちがいました。

 2時間から2時間半の映画の吹替えを収録するとき、僕らは10時に集まり、お昼休憩をはさんで20時から21時くらいには終わることが多い。遅くなる場合があっても、せいぜい1日がかりです。

 しかし、『アイズ ワイド シャット』は僕だけで1週間かかりました。もちろん1週間といっても、丸々1日収録した日もあれば、他の仕事の都合で5時間しか収録できない日もありました。ただ、5時間かけて台本1頁しか進まなかったり、前回の収録が気に入らないからといって同じ時間をかけて撮り直したりということもありました。

 レオンはアクターズスタジオで学んだ役者でもあります。だからか、僕に対しても同じ役者として接していました。そして、要求もとても高度なものでした。

 一般的にはスタジオの中にマイクが3本ほど立てられていて、3、4人で同時に収録するんですが、『アイズ ワイド シャット』では1人ずつ、しかも動きを交えての収録でした。吹替えの声優は声だけを演じればいいのがふつうですが、ここではそうじゃないんです。

 ベッドシーンだとスタジオにベッドが置いてあり、トムと同じような格好をしてセリフを話すんです。ベッドに横たわり、映像を見て、マイクに向かって話す。いくつものことを同時にやらなくてはいけなくて。僕はしまいにセリフをすべて覚えてしまいました。覚えないとできなかったからです。

 セリフをしゃべると、レオンが言うんです。

 「おまえ、今何を考えてしゃべったんだ」

「日本語版がもっとも素晴らしかった」

 声優は平面的な絵に向けて声をのせるので、立体的なお芝居をする傾向があります。だからデフォルメをより効かせた演技になる。それが聞く人に上手と思わせる話し方です。でもそれは、下手をするとどこか定型的というか、枠にはまったようなものに聞こえてしまう。

 僕はそこから出たいなという気持ちがありました。

 この『アイズ ワイド シャット』では、とにかく「リアル」な演技を求められました。その辺でみんながしゃべっている姿を切りとったようなリアルな演技。それは、キューブリックがトムに求めたものでした。トムも仕事には徹底的にこだわって人任せにしない俳優です。その2人のこだわりがぶつかりあってできた演技。そしてレオンは、それと同等なものを僕に求めてくるんです。

 今までのような演技ではまったく太刀打ちできないわけです。とはいえキャスティングはもう決まっているし、降りるという選択肢もあり得ない。

 だからこそ、僕も下手に刃向かおうとせず、今まで培ったキャリアという鎧もすべて脱ぎ捨てて、裸のままレオンに演技のすべてを委ねることにしました。

 レオンに徹底的に委ねたからこそ、それまでの声優人生にはなかったタイプの仕事ができたんだと思います。こんな仕事の仕方は、それまでもそれ以降も他にはありません。僕にとって役者としてのターニングポイントになった経験でした。

 それによって自分がもっと上に行くことができたと感じています。そしてこれ以降、人が嫌がるような役、大変な役を率先してやりたくなりました。アニメのオーディションも、なぜかよく受かるようになりました。そのせいか、この頃は知り合いに「ビデオレンタル店に行くと森川ばかりだ」と言われていましたね(笑)。

 「たぶんこう求められているんだろうな」というのが、もう一段深いところで理解できるようになったからかもしれません。言葉の壁がある中で意思疎通をはかる苦労をしていたせいか、相手の断片的な言葉や、完璧ではない言い回しに含まれている大事な何かを、そっとすくい上げるようなことができるようになったというか。

 自分の中ではこの『アイズ ワイド シャット』を境に、何かが変わった気がしています。

 レオンは各国語版の吹替えを作る作業を最終的にはロンドンで行っていました。トムも一緒に各国語版をチェックしたそうです。そのときにトムが「日本語版がもっとも素晴らしかった」と言ってくれたと聞いています。

 以前にNHKの番組で僕を特集してくれたことがありまして、レオンと連絡を取ってくれました。当時彼が僕宛てに送ってくれた手紙を紹介したり、トムも使ったというアフレコ用のマスクをプレゼントしてくれた話を披露しました。本当に宝のような思い出です。でもそのマスク……大切にしまい過ぎて、今どこにあるか分からないんです(笑)。

〈以下略〉

(全文はリンク先へ:文春オンライン/2022年7月17日




 声優の森川智之氏が『アイズ ワイド シャット』で、キューブリックのアシスタントだったレオン・ヴィタリにみっちり仕込まれた話は当ブログでも何度か採り上げていますが、これもその内のひとつですね。我々キューブリックファンにしてみれば、キューブリックが憑依したかのようなレオンのこだわりっぷりは「あーあ・・・」と思ってしまいますが、森川氏にしてみれば大変だったけど貴重で刺激的な体験だったようです。この「大変だったけど貴重で刺激的な体験」というのはキューブリック作品に携わった関係者が口を揃えて漏らす感想であることは、もはや説明の必要はないでしょう。

 ところでこれには後日談があり、アリス役のニコール・キッドマンの吹き替えを担当した佐々木優子さんによると、アフレコ予算オーバーで担当者が左遷されたそう(詳細はこちら)。まあこの「左遷」が文字通りの意味なのか(単なる異動の可能性も)、その原因が『アイズ…』のアフレコなのか、そもそも話を盛っているのでは? という可能性もあるので、話半分に聞いておくべきでしょうね。
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画像引用:IMDb - Eyes Wide Shut

 「トップガン マーヴェリック」の日本での興行収入が、公開から3日間で11億円を突破し、2022年公開作としては、「ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密」「シン・ウルトラマン」を超える特大ヒットスタートとなりました。

 そんな大ヒットを記念して、本作で主演を務め、前作となる36年前に公開された「トップガン」でスターダムへとのし上がっていったトム・クルーズの出演作の中から、【編集部がおすすめする10作品】をご紹介。20代の初々しい作品から、50代になっても体当たりで挑むアクション作品まで、若々しさゆえに“若さ”“不老不死”の象徴とすら言われているトムの変わらない魅力も再確認できると思います。さらに、特大ヒット作を何度も生み出している【トム・クルーズ出演映画の歴代興行収入ランキングTOP10】も発表。あなたのお気に入りのトムはどの役?

〈中略〉

▽「アイズ ワイド シャット」(1999年/159分/R15+/スタンリー・キューブリック監督)
■役柄:妻の告白をきっかけに、悪夢へと足を踏み入れていく医者

 「2001年宇宙の旅」「時計じかけのオレンジ」など数々の名作を残した鬼才スタンリー・キューブリックの遺作。撮影当時、結婚していたクルーズとニコール・キッドマンが、夫婦役で共演したことも話題となった。

【あらすじ】
 米ニューヨークで暮らす内科医ビル(クルーズ)は、結婚9年目となる美しい妻アリス(キッドマン)や、6歳の娘とともに何不自由ない生活を送っていた。ある夜、ビルは妻から、家族旅行中にほかの男性に性的欲求を抱いたことを告白され、激しい衝撃を受ける。性の妄想にとり憑かれながら深夜の街をさまよい歩く彼は、ニューヨーク郊外の館で行われている秘密のパーティに足を踏み入れるが……。

【おすすめポイント】
 巨匠キューブリックがその偉大な映画人生の最後に送り出したのは、夫婦の深淵をテーマにしたサスペンス。1996年11月から、トムとニコールは完璧主義のキューブリック監督の下、完全秘密主義で、400日にも及ぶ撮影(後に「撮影期間最長の映画」としてギネス記録に登録)に取り組みました。

 トムにとっては、妻ニコールとの共演という異質な要素も加わった極限の撮影。アリスの告白にショックを受けさまようビルが、想像を超える事態に次第に追いつめられ、顔面蒼白になり、恐怖に慄くさまが真に迫っていて……過酷な撮影と向き合ったトム自身が、どこか重なって見えるよう。一方、ビルがアリスと出かけたパーティで女の子たちにちやほやされたり、道で出会った売春婦に迫ったりと、すさまじい色気を感じられるシーンもあります。

 違和感が積み重ねられていく、悪夢的な夜から浮かび上がるのは、一度気付いてしまえば目をそらせなくなるある真実。実際に夫婦だったふたりが演じたことで、フィクションを超える“何か”が映っているような気がしてならないのです。

〈以下略〉

(全文はリンク先へ:映画.com/2022年6月2日




 『トップガン マーヴェリック』が好調&高評価で、トム・クルーズ関連の記事の出稿が多くなってますね。これもそんな記事のひとつですが、クルーズが『アイズ ワイド シャット』撮影の裏側を語ったインタビューは以前こちらで記事にしております。また、管理人は『アイズ…』の特別試写会に参加しております。そのレポート記事はこちらにありますので、よろしければぜひお読みください。

 ところで、記事にある「トム・クルーズ出演映画の歴代興行収入ランキングTOP10」ですが、意外な作品が一位なのにちょっとビックリ。そんなにこの作品ヒットしたんですね。あまりそんな印象ありませんでした。どおりでトムが親日家と言われるわけです(笑。『アイズ…』はキューブリック作品中最大の興収を挙げたヒット作ですが、上記のトップ10に入っていません。現在まで多くの映画人に影響を与え、多くの新しいファンを獲得し続けるキューブリックですが、大ヒット作には恵まれませんでした。本人もそれを目指して『スター・ウォーズ』や『E.T.』を研究していたそうです。意外に思われるかもしれませんがキューブリックはメジャー志向、ヒット作志向なんですね。作品から感じられるいわゆる「キューブリック節」を考えるととてもそうとは思えませんが、ご本人は「自分の作っている映画は大衆受けするはず」という信念があったみたいです。まあ、キューブリックは頭が良い人なんで自分基準でそう思っていたのかもしれませんが、「スタンリー、大衆はあなたが考えているほど頭良くないですよ」と、もし私がキューブリックの側にいたら教えてあげたかったくらいです(笑。

 『時計じかけのオレンジ』がアマプラで終了するという話題をTwitterで追いかけていた時にも思ったのですが、キューブリックは多くの世代に「聞いたことがある、気になっている映画監督」という存在になりつつあるようです。ひとくちに「映画」と言ってもその世界は非常に幅広く、とてつもなく深いものですが、ロック史におけるビートルズ(あるいはアニメ史におけるガンダム?)のように、キューブリックの存在が「映画を語る上での基礎教養」になることを、ファンとしては願ってやみません。
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Tom_Cruise
画像引用:wikipedia - Tom Cruise

トム・クルーズの映画人としての実直さ、並外れた情熱と映画愛 30年ぶりのカンヌで語る「トップガン マーヴェリック」とキャリア

〈前略〉

 さらに「アイズ・ワイド・シャット」でスタンリー・キューブリックと仕事をした経験にも触れ、「僕らは多くの時間を掛けて、異なるレンズ、異なるライティング、そして彼が映画に望むトーンなどについて話し合いました。彼は自分の映画のスタイルのなかに観客を混乱させるようなものを求めていたので、僕らはそれがどんなものなのかを見つけていかなければなりませんでした」と語った。

〈以下略〉

(全文はリンク先へ:映画.com/2022年5月25日



 トム・クルーズがカンヌ国際映画祭で栄誉パルムドールを受賞した際のティーチインで、キューブリックに触れていたのでご紹介。

 最初は映画スターをキャスティングすることを渋っていたキューブリックですが、よほどクルーズのことを気に入ったのか、映画製作に関する多くのことをクルーズに教えたそうです。そのことについてカンヌのティーチインで触れたようですが、詳しい内容は以前インタビューで応えていていました。それについては以前こちらで記事にしましたが、それがいかにクルーズにとって素晴らしい経験であったはリンク先記事にある通りです。

 このように、海外ではキューブリックの映画製作の舞台裏を明かしたインタビューが数多く出稿されており、その独特の方法論が広く知られるようになりました。つまるところキューブリックは、俳優やスタッフとのコラボレーションによって、一緒に作品を作り上げることを目指していたということです。それは俳優やスタッフにも自作への深い関わりを求めるものであり、その要求はキューブリックの高い判断基準に適合していなければならないため、自ずと非常に厳しいものになるのです。その「厳しさ」さえも「パワハラ」だというのなら、クリエイティブな仕事などしない方がいいでしょう。現に出演者もスタッフも誰一人としてキューブリックを「パワハラ」と呼ぶ人はいません。確かに要求は厳しく、辛く苦しい体験でしたが、誰よりも一番厳しい要求を突きつけていたのはキューブリックが自身に向けたものだったのですから。

 海外では広く報じられている「キューブリックは俳優やスタッフとのコラボレーションで映画製作をする」という事実が、日本ではいまだに知られていないという現実があります。知らなければ調べればいいだけですが、知らないことを恥と思い、知ったかぶってデタラメを撒き散らす人はTwitterやYouTubeでも後を絶ちません。特に昭和世代は情報のアップデートができないらしく、昭和の知識でキューブリックを語るという醜態を晒し続けています。引用記事でクルーズは「映画のことは全部学びたいと思った」と映画愛を語っていますが、映画が好きだいう情熱があれば、学んだり、調べたりするというのは(年齢は関係なく)当然の行為です。残念ですが、その程度のことさえ怠る方の論評など傾聴する価値があるとは思えません。そういった方々は、いつまでも好奇心を失わず学び続けることを怠らない、紛うことなく「昭和世代」であるトム・クルーズに少しでも学んで欲しいものです。
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