Nicholson's co-star in The Shining, Shelley Duvall, was actually discovered by Robert Altman, who cast her in pictures like Nashville and 3 Women. Since she finished The Shining, she's play Olive Oyl in Altman's Film of Popeye and made a guest appearance in London in The Time Bandits, directed by Terry Jones of Monty Python team. Well I talked to her while she was in this country, and I asked her about a rumour, then strongly going the rounds that the meticulous Stanley Kubrick had made her do 127 takes of one of her scenes.

Oop! (Laughs)
I don't know, I think I'm supposed to say 18. but, I don't know, I'll leave that to your imagination.

Well, let us assume that 18 is a slight underestimate and 127 is possibly closer to the truth. What is it like doing a take that many times? I mean, is it possible ti just to keep going and produce a kind of freshness at the end?

Yes, it is. It's funny, it's something that I discovered during the making of The Shining was that I had never done more than, say, 15 takes before in my life. So it was a great change for me to do so many. But then after you do a certain number, it sort of goes dead and then five more takes or so, and it revives itself and by then, you know the scene like the back of your hand, and you can make no mistakes with it and you forget all reality other than what you're doing. And it's, it's like a miracle. It comes out better than it did before and it's fresh too.

What was the most difficult piece of acting you had to do in The Shining?

Oh, I think it was just stamina. My stamina has increased so much since The Shining. I mean, you really have to be strong for an entire day because the role required me to cry all day long, every day. And it was so difficult being hysterical for that length of time.

So how do you look back on that film? I mean, are you pleased to have done it?

I'm very pleased to have done it because I've learnt more on that picture and strengthened myself and broadened the scale that my emotions can reach, I think, more than any other picture I've ever done. And Stanley took the time to teach me.

—『シャイニング』でニコルソンと共演したシェリー・デュヴァルはロバート・アルトマンによって見出され、『ナッシュビル』や『3人の女』などに出演しました。彼女は『シャイニング』を終えて以降、アルトマン監督の『ポパイ』でオリーブ役を演じ、ロンドンではモンティ・パイソン・チームのテリー・ジョーンズ監督(注:テリー・ギリアム監督の間違い)『バンデッドQ』にゲスト出演しています。さて、彼女がこの国にいる間、私は彼女と話をし、神経質なスタンリー・キューブリック監督が彼女のシーンの1つを127テイクも撮らせたという当時強く流布していた噂について尋ねてみました。

おっと! (笑)分かりませんが、18回と言うべきだと思います。でも、わかりません、それはご想像にお任せします。

—さて、18はわずかに過小評価されており、127がおそらく真実に近いと仮定しましょう。テイクを何回もやるのはどんな感じですか?つまり、このまま続けて、最後にある種の新鮮さを生み出すことは可能でしょうか?

はい、可能です。面白いことに『シャイニング』の制作中に私が発見したのは、これまでの人生で、たとえば 15 テイク以上をやったことがなかったということです。だから、たくさんのことをすることができたのは私にとって大きな変化でした。でも、ある程度の回数をこなすと、それはちょっと消えて、さらに5テイクくらいすると自然に復活して、その頃にはもう手のひらを返すようにシーンがわかっていて、そこでミスをすることはなくなるし、自分がやっていること以外の現実をすべて忘れてしまいます。そしてそれは、まるで奇跡のようです。以前よりも良く出きていて、新鮮でもあります。

—『シャイニング』で演じる上で最も難しかったことは何ですか?

えっと、ただの体力だったと思います。『シャイニング』以来、私のスタミナは非常に増加しました。つまり、この役で私は毎日一日中泣く必要があったので、本当に一日中強くなければなりませんでした。そして、その期間にわたってヒステリックになるのはとても困難でした。

—それで、あの映画をどう振り返っていますか?つまり、やってよかったと思いますか?

この映画を撮ることができてとてもうれしく思っています。なぜなら、この映画からもっと多くのことを学び、自分自身を強化し、自分の感情が届く範囲を広げられたからです。私がこれまでに参加したどの映画よりも、自分の感情が届く範囲が広がったと思います。そしてスタンリーは時間を割いて私にそれを教えてくれました。

[BBC Oneで1980年9月29日に放送されたFilm 80から抜粋]

(詳細はリンク先へ:1980: SHELLEY DUVALL on working with KUBRICK and ALTMAN | Film 80 | BBC Archive/2024年5月24日




 時期的には『シャイニング』公開後、4ヶ月ほど経ってからのインタビューになります。日本での『シャイニング』の公開は1980年12月でした。

 さて、世の中には「○○警察」と言って頼まれもしてなければ、そんな権限もないのに身勝手な正義を振りかざし、他人を糾弾しないと気が済まない人たちが一定数存在します。まあ、そういう人たちは如何に自分が単に不満をため込んだだけのフトレスフルな惨めな存在であるかを、自分からわざわざアピールしてくれているわけですが、そんなことさえ気づかない哀れな人種はスルーするに限ります。SNSを見ると、それは日本人に限ったことではなく、外国人でもよく見かけます。そしてその俎上に上がりやすいのが「キューブリックが『シャイニング』においてシェリー・デュバルを苛め抜き、精神疾患へと追い込んだ」というものです。

 シェリーは『シャイニング』での経験を前向きに話すことはあっても(「女優として成長できたけど一度でたくさんだわ」と皮肉ったことはある)、それが現在の精神疾患の原因であるとか、キューブリックからパワハラを受けたとか、それについて訴訟を起こすとか一言も言ったことがありません。なのに世界中の「パワハラ警察」が誰も何も頼みもしないのに自主的に活動を開始、自身のストレスを身勝手な正義へと変換して日頃のウサを晴らす、という滑稽な状況が未だに続いています。

 このインタビューにある通り、シェリーにとって『シャイニング』での体験は大変なものではあったけれども、決して否定的に語るようなものではなかったというのが真実です。それはシェリーが求められている役柄にコミットするのに苦労したからであり(シェリーは幽霊など全く怖がらない、陽気で明るい性格だった)、それを演じさせようとするキューブリックにしても、ある程度シェリーに対して高圧的な態度にならざるを得なかった、という事情によるものです。『シャイニング』を注意深く観ていればわかりますが、シェリーが本気で怖がっているように見えないシーンがいくつかあります(キューブリックはそれを何度も指摘している)。個人的には「あのキューブリックがこの演技でよくOKを出したな」と思うほどなのですが、キューブリックは多少演技が演技臭くても、シェリーの持つ神経質そうでひ弱な(キューブリック曰く「苛められやすそうな人」)見た目の印象を重視したのでしょう。それは『シャイニング』の怖さのある一定部分が「苛められているシェリーの表情や悲鳴」であることを考えれば、成功したと言えるでしょう。

 さて、気になるシェリーの精神疾患の原因ですが、彼女は最近のインタビューでも多くは語っていません。上記のインタビュー後、ロンドンからハリウッドに戻ってからも順調にキャリアを積み重ねていたにもかかわらず、2002年以降ピタッと表舞台から姿を消してしまいました。その時期に何があったのかを知る術はありませんが、「身近な人に裏切られた」旨の発言もあります。とにかくはっきりしていることは、現在のシェリーの精神疾患と、『シャイニング』におけるキューブリックの態度(指導)を関連づける証拠は何もないという事実です。これは何度でも強調させていただきたいと思います。