キューブリックが遺した『ナポレオン』の脚本。日付は1969年9月29日。今回の映像化で使用される脚本なのかは不明。
〈前略〉
フクナガ監督は、キューブリックのビジョンを表現することに真剣に取り組んでおり、キューブリックの遺された家族と多くの時間を過ごし、イギリスのハートフォードシャーにある彼の屋敷を見学しました。キューブリックの奥さんであるクリスティアーヌや、義理の弟であるヤン・ハーランと一緒に、キューブリックの図書室やセント・オールバンズの家で多くの時間を過ごしました。「キューブリックのライブラリーの前にいるだけでも、かなりすごいことだと思います」。 これは、フクナガ監督が以前にガーディアン紙に行ったインタビューと同じ内容で、ハーランがキューブリックの墓を見せてくれたことを明かしています(「あれは記念すべき出来事だった」)。また、フクナガ監督はそのインタビューの中で、「(キューブリックが)達成しようとしていた精神を体現する方法で、伝統を受け継ぎたい」と語っています。フクナガ監督はこのようにして、自分の監督としてのビジョンを育み、伝えていくことができることを望んでいます。
〈以下略〉
(全文はリンク先へ:COLLIDER/2021年10月7日)
キャリー・フクナガ監督による『ナポレオン』のプロジェクトは進行中だそうですが、キューブリックが書いた脚本はすでに存在するとは言え、キューブリックは脚本をそのまま映像化することはありませんでした(詳細はこちらで)。すなわちキューブリックにとって「脚本」とは、撮影準備のための叩き台であり、ストーリーの骨子を著したものでしかないのです。ですので、「スタンリー・キューブリック脚本」とクレジットされても、それは宣伝的に利用される程度のものでしかなく、キャリー・フクナガが監督するのであれば、それはもう「フクナガ監督作品」であって「スタンリー・キューブリック監督作品」ではありません。まあ『A.I.』がスピルバーグ監督作品であるようなものなので、『ナポレオン』も同様に考えるべきだと思います。
とはいえ、ファンの性(さが)として気になるのは気になるので、無事完成し、視聴する機会があればぜひ観てみたいですね。