まず、『シャイニング』が上映されるに至った経緯ですが、前回の第10回で『時計じかけのオレンジ』を上映したところ、思いのほか(朝の10時から観る映画ではないにもかかわらず)客入りが良かったので、じゃあ『シャイニング』も行けるだろう、という判断だったそうです。これは嬉しい話ですね。

 ですがこの動画、ちょっと残念な点も。『スパルタカス』の前任監督、アンソニー・マンは「降りた」のではなく「クビになった」で、その判断をしたのはカーク・ダグラスです。キューブリックが呼ばれたのはその後です。それにキューブリックはイギリス人ではなく、正真正銘のアメリカ人。スターリング・ヘイドンやピーター・セラーズはキューブリックの複数作品に出演していますし、脇役ではジョー・ターケル、パトリック・マギー、フィリップ・ストーン、アンソニー・シャープなども複数回起用されています。「俳優から二度と組みたくないと思われている監督」という指摘は完全に間違いですね。ジャック・ニコルソンは『シャイニング』後もキューブリックと連絡を取り合っていて、再び組むことを話し合っていたそうです。

 それ以外ではなかなか耳寄りな情報もありました。例のソール・バスがデザインしたアートとロゴですが、そのロゴに合わせた日本語のロゴも制作されたそうです。経緯から察するに檜垣紀六氏が手がけたと考えるのが順当だと思いますが、結局全てボツになり、最終的に単なる既存の明朝体ファントが使用されたそうです。まあ、ソール・バスのアート自体もあまり積極的には使用されず、結局ジャック・ニコルソンのあの顔がメインで使用されることになったのですが、ネタバレ嫌いのキューブリックがよく了承したな、と思います。よっぽど『バリー・リンドン』の興行的失敗が尾を引いていたのかもしれません。

 今回、「午前十時の映画祭」で『シャイニング』を採り上げていただいたことには感謝の念しかありませんが、もし客の入りが良いようでしたら、次はぜひ『博士の異常な愛情』をお願いしたいですね。キューブリック作品でも屈指の人気作ですし、なかなか映画館にかからないのも『シャイニング』と同じです。個人的にはかなり集客を期待できる作品だと思っています。「午前十時の映画祭12」で期待しています!!