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画像引用:IMDb - Eyes Wide Shut

 人類の“真の支配者”で、各国の政治や経済、マスコミを裏で操り、あのフリーメイソンにも絶大な影響力を持っているなど、様々な噂が囁かれ、人々の好奇心をそそる秘密結社「イルミナティ」。今回は、イルミナティのような秘密結社が登場する映画をピックアップし、どのように描かれてきたかを振り返ってみたい。

権力者たちの秘密パーティに潜入する『アイズ ワイド シャット』

 スタンリー・キューブリック監督の遺作で、当時は夫婦だったトム・クルーズとニコール・キッドマンが共演した『アイズ ワイド シャット』(99)。クルーズとキッドマン演じる倦怠期を迎えた夫婦が、あるパーティに招かれたことを機に、夫婦間の信頼が試されていく。

 本作には様々な官能的なシーンが登場するが、特に大きな話題となったのが、中盤で主人公の医者ビル(クルーズ)が潜入する怪しげな乱交パーティ。郊外にある大豪邸で開かれるこのパーティは、部外者の入場が許されない会員制で、全員が黒装束に仮面を被った不気味な出で立ちで参加している。屋敷内では物々しい儀式が行われ、参加者とは別に集められたと思われる女性が次々と裸になり、屋敷のいたるところで参加者と性行為をしたり、ダンスをしたりするなど、かなり異常な空間となっている。

 大富豪が政治家や貴族、著名人を招いては、映画のような性的なパーティを開き、暗躍しているという都市伝説がある。本作の舞台はニューヨークだが、撮影はイギリスで実施され、この屋敷はロスチャイルド家が所有する歴史的建造物のメントモアタワーズが使用された。そのため、キューブリックが権力者たちによる秘密クラブの実態を暴露したのでは?という憶測も浮上し、彼が本作の最終編集版を提出した数日後に亡くなったことからも、そのミステリアスさが増幅されている。

〈以下略〉

(全文はリンク先へ:Movie Walker Press/2021年6月23日



 例の「乱交パーティー」シーンの撮影時の裏話は、以前こちらで記事にしました。これを読めばわかる通り、「映画」という「フィクション」が、どれだけ大勢のスタッフや俳優の「共同作業」で成り立っているか、また、それを流通ルートに載せるにはどれだけ厳しい制約があるか、という現実を理解していれば、真面目に陰謀論を信じる要素など1mmもないのは、言うまでもないことです。

 キューブリックは「映画的リアリティ」を求めて徹底的なリサーチとアイデア出しを繰り返し、その中からベストな選択肢を選ぶ、という方法論で映画を制作していました。ですのでとにかく時間がかかるのですが、その他大勢の他の監督とは違い、キューブリックは映画会社から予算も制作期間も一任されていました(せっつかれることはあったみたいですが。笑)。つまり前述した「共同作業」の全てを自身のコントロール下に置いていたのです。この点がキューブリックと他の映画監督との大きな「差」として、作品の完成度に大きく影響していると考えます。まあ『アイズ…』は、その「完成度の高さ」がさまざまな憶測や陰謀論を呼んでいると言えなくもないので、「ありがたくない勲章」だと思えなくもないのですが、それをいいことに陰謀論者の「メシのタネ」にされている現状は、ファンとしてはあまり嬉しいことではないですね。