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『2001年宇宙の旅』で使用されたMGMの簡略化版ロゴ。

Amazon.com、映画会社MGMを85億ドルで買収 プライムビデオ強化へ

 米Amazon.comは5月26日(現地時間)、「007」シリーズなどで知られる米映画制作会社MGMを買収することで合意したと発表した。買収総額は84億5000万ドル(約9200億円)。米Netflixや米Disneyなどと競合するストリーミング市場での競争力を維持する狙い。

〈以下略〉

(全文はリンク先へ:ITmedia NEWS/2021年5月27日




 『2001年宇宙の旅』でファンにはおなじみのMGM(メトロ・ゴールドウィン・メイヤー)は、1924年に3社の映画スタジオが合併して設立された映画会社で、社名の由来は「メトロ・ピクチャーズ・コーポレーション」、サミュエル・ゴールドウィンの「ゴールドウィン・ピクチャーズ」 、ルイス・B・メイヤーの「ルイス・B・メイヤー・ピクチャーズ」3社の頭文字を取ったもの。戦前から戦後にかけて全盛期を迎えましたが、1950年代に入ると大作主義の弊害やテレビの台頭などで、その勢いを次第に失っていきました。

 『2001年宇宙の旅』の制作が開始された1960年代中頃はすでに末期で、1970年に『2001年…』が撮影されたMGM英国スタジオが閉鎖、1973年に配給部門がユナイテッド・アーティスツ(UA)に買収された時点で、いったんMGMの歴史は終わったと言っていいと思います。この混乱で『2001年』のプロップの大部分は破棄されてしまったのですが、流出したいくつかは現存するのはこちらで記事にした通りです。その後UAはマイケル・チミノ監督の『天国の門』の大失敗で経営破綻、1981年にMGMが逆にUAを吸収して「MGM/UA」となったのですが、当時「あのMGMが復活した!」とちょっとしたニュースになりました。そのMGM/UAも1986年に「ターナー・ブロードキャスティング・システム」に買収され、1996年にターナーはワーナーの傘下に入りました。その結果、『2001年…』はワーナーが配給権を有することになったのです。

 その後のMGMはソニーなどの支援を受けつつ『007』シリーズなどを制作していましたが(『007』はもともとUAで製作・配給されていた)、2021年5月26日、アマゾンがMGMを84億5000万ドル(日本円で約9200億円)で買収すると発表しました。MGM(とUA)が保有する4000本以上の映画と1万7000時間以上のテレビ番組を、Amazonの定額制動画配信サービス「Amazonプライムビデオ」で全世界に提供する予定だそうです。

 これも時代の趨勢と言えばそうかもしれませんが、アマゾンにしてみれば、自社コンテンツが一気に増えるのでメリットは大きいでしょう。アマゾンプライムはネット配信のサブスクリプションではなく、EC(ネット通販)のサブスクなので、動画配信単体で利益を上げなければならない他社に比べて有利です。つまり加入者にはサブスクを継続さえしてくれればいいのです。とは言え、NetFlixなど他社との競争は激しさを増すばかり。アマゾンプライムビデオ(アマプラ)は、日本では動画配信サービスの半数以上のシェアを獲得しているそうですが、海外ではNetFlixなどの後塵を拝しています。

 現在、キューブリック作品でMGMが権利を有しているのは、元UAで配給された『非情の罠』『現金に体を張れ』『突撃』ですが、この3作品も(何か別の事情がなければ)アマゾンプライムで提供されるでしょう。現在、アマゾンプライム会員は追加料金なしで『アイズ ワイド シャット』『フルメタル・ジャケット』『シャイニング』『時計じかけのオレンジ』の4作品が視聴できます(詳細はこちら)。追加料金が必要なのは『バリー・リンドン』『2001年宇宙の旅』『ロリータ 』(以上がワーナー)、『博士の異常な愛情』(ソニー)、『スパルタカス』(ユニバーサル)です。元UAの3作品が追加料金なしの扱いになるかはまだわかりません。ですが、キューブリック作品は人気ですし、期待はできると思いますね。

▼この記事の執筆に当たり、以下の記事を参考にいたしました。
wikipedia/メトロ・ゴールドウィン・メイヤー