恐怖と欲望 Blu-ray(amazon)


 「GYAO! 映画学校特集」の第6週(4月29日〜5月19日)『鬼才はデビュー作から鬼才なり。』で、キューブリックの商業映画デビュー作『恐怖と欲望』が無料配信されるそうです。

 長年公開を待ち望んでいたファンにとっては貴重なフィルムですが、DVDやBDで簡単に観ることができるようになった現在でも、無料配信となると興味を持つ方も多いはず。ぜひ多くの方にご覧いただきたいとは思うのですが、くれぐれも過度な期待は厳禁でお願いいたします。映画としてはキューブリック自身が自費を投じてフィルムを買い漁るほど封印したがった「駄作(本人弁)」ですので。

 まあ解説者とか評論家とかはそれでも「盛った」文章を書かなければならないのが「仕事」なんでしょうけど、いくらなんでもジョゼフ・コンラッドの名作小説『闇の奥』の映画化、『地獄の黙示録』と対比させるのは如何なものかと。精神という「川を遡る」『地獄…』と、単にシャバに戻るために「川を下る」『恐怖…』を同列に語って何が言いたいんでしょうね?

 キューブリックはこの作品で「映像で語る」という手法を劇映画で実現させようと意気込んでいますが、それはものの見事に空回り。キューブリックは一旦この野心を引っ込めて、次作『非情…』から『ロリータ』『博士…』まで所謂「演劇映画」の枠組みで(時折映像志向をチラつかせつつも)作品作りを行いました。そのキューブリックの野心がやっと結実したのが『2001年…』です。そういう意味では貴重な作品ですが、それは「資料的な意味合いで貴重」なのであって、一般の視聴者がこれをどう評価するかはまた別の問題です。

 因みにキューブリックがこの作品を封印した理由はこれ以外にもあるのではないか、と管理人が検証した記事はこちらにありますので、興味のある方はぜひどうぞ。