2023年02月

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キューブリックによる『ナポレオン』の衣装の試作。左の少女は長女のカタリーナ、右はおそらく次女のアンヤ?

 スタンリー・キューブリックの失われたプロジェクトのひとつ、ナポレオン・ボナパルトの大規模な伝記映画は、ここ7年間、HBOのために製作されてきたものだ。

 少なくとも10年前から関わってきたスティーブン・スピルバーグは、現在「大作を製作する」と語っており、このプロジェクトはプレミアムケーブルネットワークのための7部作になる予定だそう。

 Deadlineによると、このプロジェクトはまだ開発段階だが、シリーズ化のオーダーは間近だという。

 ベルリン映画祭でスピルバーグ監督は、「クリスティアン・キューブリックとヤン・ハーランの協力のもと、スタンリーのオリジナル脚本『ナポレオン』をもとに、HBOのために大作を制作しているところです」「ナポレオンは7部作のリミテッドシリーズとして取り組んでいます」と語っている。

(全文はリンク先へ:Deadline.com/2023年2月21日



 何年も噂になっては消えていたキューブリックの『ナポレオン』の映像化ですが、スピルバーグの名前が挙がってからもずいぶんと時間が経ってしまいました。その本人がここまでの発言をするのですから、期待してもいいのではないでしょうか。

 記事には監督の名前が挙がっていませんが、過去にはキャリー・フクナガ(詳細はこちら)、バズ・ラーマン(詳細はこちら)の名前が取りざたされていました。スピルバークが『ナポレオン』の映像化を企画しているというニュースは管理人が知る限り、一番古いものですでに2013年に報じられています(詳細はこちら)。

 それから約10年、ここにきてこのニュースです。実現の可能性は高いと・・・見ていいんでしょうね?
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2021年に開催された『チャイルドウィックベリー・アートフェアー』の様子。動画制作はカタリーナの三男、ジャック・ホッブス。

キューブリック所有のチャイルドウィックベリー邸、毎年恒例のアート&クリスマスイベントを中止

 米国の映画監督スタンリー・キューブリックの遺族は、彼がかつて住んでいた英国でのアートフェスティバルとクリスマスマーケットを今後開催しないことを明らかにした。ハートフォード・シャーにあるチャイルドウィックベリー・エステートでのイベントは、20年にわたり彼の芸術家の妻が主催していたものです。クリスティアーヌ・キューブリックは現在90歳で、そろそろ引退の時期だと感じています。娘のカタリーナ・キューブリックは、主催するのは「大変な仕事」であり、母はもうそれをしない「権利を得た」と考えている、と語っています。

〈以下略〉

(全文はリンク先へ:BBC.com/2023年1月12日




 キューブリックの長女、カタリーナは「私の母は5月に91歳になり、もうやりたくないと思っています。大変な仕事ですが、彼女は自分の役割を果たしたと思います」と語っているそうなので、残念ですが昨年のクリスマス・マーケットが最後ということになるそうです。

 キューブリックとクリスティアーヌは『突撃』のラストシーンに登場するドイツ人少女としてキャスティングされたのをきっかけに恋人同士になり、結婚し、その後の生涯を「良き伴侶」として過ごしたのですが、1999年にキューブリックが亡くなった後も自身は画家・アーティストとして活動を続けてきました。キューブリックはクリスティアーヌに女優の仕事を続けて欲しかったのですが、クリスティアーヌは女優業にはあまり乗り気ではなく、画家になりたかったと語っています。そんなクリスティアーヌをキューブリックは頼りにし、作品中のあちこちに飾られた絵画はクリスティアーヌの作品であったり、『2001年宇宙の旅』では異星人の造形を手伝ったりもしています。

 また、それ以上に重要なのは、映画製作で悩んだり苦しんだり落ち込んだりした時に、励まし続けたのはクリスティアーヌだったという事実です。他人には自信たっぷりに振る舞うキューブリックでしたが、うまく事が運ばないと自虐的になることもあり、そんなキューブリックを精神面で支えたのがクリスティアーヌだったのです。

 そのクリスティアーヌも今年5月で91歳になります。今後はゆっくりと自分の時間を生きていただけたらと思います。長い間お疲れさまでした。
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2001

"What happens at the end of the film must tap the subconscious for its power. To do this one must bypass words and move into the world of dreams and mythology. This is why the literal clarity one has become so used to is not there. But what is there has visceral clarity. It is for this reason that people are responding so emotionally. The film is getting to them in a way they are not used to. Obviously, in making the film we had to have some specifics in order to design, build and shoot. This has no value to the viewer even if he thinks otherwise."Here is what we used for planning:"In the Jupiter orbit, Keir Dullea is swept into a star- gate. Hurtled through fragmented regions of time and space, he enters into another dimension where the laws of nature as we know them no longer apply. In the unseen presence of godlike entities, beings of pure energy who have evolved beyond matter, he finds himself in what might be described as a human zoo, created from his own dreams and memories."He sees himself age in a time-mirror, much as you might see yourself in a space mirror. His entire life passes in what appears to him as a matter of moments. He dies and is reborn-transfigured; an enhanced being, a star child. The ascent from ape to angel is complete.”

「映画の最後に起こることは、潜在意識の力を利用する必要がある。そのためには、言葉をバイパスして、夢や神話の世界に入り込まなければならない。これが、これまで慣れ親しんできた文字通りの明瞭さがない理由だ。しかし、そこにあるものは、直感的な明瞭さを持っている。だからこそ、人々は感情的に反応するのだ。この映画は、彼らが慣れ親しんでいない方法で、彼らの心を掴んでいる。もちろん、この映画を作るには、デザイン、建築、撮影のために、ある程度のスペックが必要だった。木星の軌道で、キア・デュリアはスター・ゲートに押し込まれる。時間と空間の断片を通り抜け、彼はもはや我々の知る自然の法則が適用されない異次元に突入する。物質を超えて進化した純粋なエネルギーの存在である神のような存在の見えないところで、彼は自分自身の夢と記憶から作られた人間動物園とも言うべき場所にいることに気づく。彼の全人生は、彼にとっては一瞬の出来事のように見える。彼は死に、生まれ変わり、強化された存在、スターチャイルドになる。猿から天使への昇華が完了したのだ」

(引用:@BlackHoleMovies



 キューブリックは『2001年宇宙の旅』について、終始「説明はしない」という態度を示していましたが、クラークの小説版が出版されたあたりから、ネタバレとも言えるコメントやインタビューをするようになりました。1970年のジョセフ・エルミスによるインタビュー(『イメージフォーラム増刊号 キューブリック』に掲載)では、しっかりとラストシーンについてネタバレしています(詳細はこちら)。

 ところが、このコメントには1968年4月とのタイムスタンプがあります。引用元によると、ニューヨークでの初公開時に配布されたものではないか、とのこと。もしこれが正しいとすると、この記事は公開直後に出されたものになります。この頃はまだまだ激しい批判の嵐に晒されていて、キューブリックが憔悴しきっていた時期になります。それもあって思わずネタバレコメントを出してしまったのかもしれません。書籍『2001:キューブリック、クラーク』にも記述がありますが、それだけその頃のキューブリックが抱えていた、作品の無理解に対する焦りと失望は、とても大きかったのだと言えるではないでしょうか。
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 タイトルも歌詞もMVも衣装も何もかもが『2001年宇宙の旅』な、クマリデパートの『2060年チェリーブロッサムの旅 』という曲がありましたのでご紹介。

 あまり一般には知られていない(?)アイドルですが、「なに?管理人ってアイドル詳しいじゃん!」と思われるかもしれません。実はYouTubeのオススメに出てきたドクター・フィールグッド(昨年ウィルコが亡くなってしまいました。泣)のライブ映像をクリックしたところ、突然広告としてこのMVが流れ始めたのです! ドクター・フィールグッドのつもりがアイドルだったという落差と、どう見たって元ネタは『2001年…』以外ありえないMVをただ呆然と見てしまい、いつもならさっさと「広告をスキップ」をクリックするのですが、それを忘れて全編見入ってしまいました。

 演じているご本人たちは元ネタをご存知かどうかわかりませんが、最後にアレが登場してますます唖然!良くも悪くも徹底していて、ここまでくると「まあ・・・ご自由にどうぞ・・・」と思うほかないですね。

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ジェローム・アジェルの『メイキンク・オブ・2001年宇宙の旅』の原書(左)と訳本(右)。

 映画評論家の河原畑寧(かわらばた・やすし)氏が4日、肺がんのため死去した。88歳だった。葬儀は近親者で済ませた。喪主は妻、設子さん。

 東京大学卒業後、1957年に読売新聞社入社。69年から映画評を担当し、カンヌを始めとする数多くの国際映画祭も取材した。94年の定年退職後は映画評論家として活動。2017年に日本映画ペンクラブ賞と「映画の日」特別功労章を受けた。著書に「映画への旅」がある。

(引用元:読売新聞/2023年2月07日




 キューブリックファンには馴染み深い、映画評論家の河原畑寧さんが逝去されました。故人のご冥福をお祈りいたします。

 河原畑さんといえば、ジェローム・アジェルの『メイキンク・オブ・2001年宇宙の旅』(上記画像)で唯一紹介されている日本人の評の執筆者として有名です。初公開時に作品の本質を見事に言い当てているのはさすがですね。この件に関して、同じくキューブリックファンには忘れらない映画評論家の石上三登志氏は「当人は(掲載の事実を)知らなくて僕が教えた」「悔しかったよ、もう。笑」と羨ましがっていました。

 その河原畑さんは、キューブリック本人に直接会ってインタビューを敢行した数少ない(唯一である可能性も)日本人です。そのインタビューはイメージフォーラム1988年6月号に掲載されています(詳細はこちら)。キューブリックが河原畑さんのインタビューを受ける気になったのは、『メイキング…』での好意的な評が影響したのではないかと想像しています。キューブリックは意外と評価や評判を気にする人なので。

 河原畑さんのような「『2001年…』リアルタイム世代」が次々に鬼籍に入るのは年代的にしかたがないこととはいえ、とても寂しい限りです。現在の若い映画ファンはキューブリックをリアルタイムで知らないせいか、神格化するか鬼畜扱いするかの二極化が進んでいるような気がします。私たちのような「キューブリックリアルタイム世代」がなるべく正しいキューブリック像を伝え、残していくことはますます重要になってくるでしょう。河原畑さんのお力には及ぶべくもないですが、私もソースに基づいた正しい情報発信を肝に銘じつつ、河原畑さんへの感謝と哀悼の意を表したいと思います。
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