2021年05月

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2001
画像引用:IMDb - 2001: A Space Odyssey


 「ローマの休日」から「ローズマリーの赤ちゃん」まで。ヒッチコックにトリフォーに小津安二郎の誰もが聞いたことのあるタイトル、実はまだちゃんと観たことないってことありませんか? そこで、Netflixで観られるそんな作品をピックアップ。おうち時間中にそんな“今更未見”作をすかさずチェック!

〈中略〉

2001年宇宙の旅(1968)

 SF映画の原点と言われる、名匠スタンリー・キューブリック監督の不朽の名作。内容は難解ながら、時代をまるで感じさせない映像美は必見の価値あり。猿が骨を武器として使う最初のシーンから、かなりのインパクトで、「ツァラトゥストラはかく語りき」「美しく青きドナウ」といったクラシック音楽の使い方も強烈。400万年前、人猿が石の板(モノリス)と遭遇、知能を授かる。月のクレーターの地中から謎の石碑が発掘された18か月後、最新型人工知能「HAL9000型コンピュータ」を搭載した宇宙船ディスカバリー号が木星探査に向かう。やがて意志を持ったHALが反乱を起こす。

〈以下略〉

(全文はリンク先へ:ELLE/2021年5月25日




 女性ファッション誌の「ELLE」のWEB版が、50-60年代の名作映画で『2001年宇宙の旅』を採り上げていたのでご紹介。ピックアップされた作品を見てみると、「名作」と呼ぶにはなかなかアクの強い作品も混ざっていて、ELLEの読者層にそぐわないと思わないでもないですが、「50-60年代」「Netflixで配信中」という縛りがあったせいなのかもしれませんね。

 ともあれ、こういったメジャーな雑誌がキューブリック作品を採り上げていただけるのは喜ばしいことです。キューブリックアパレルの普及もあって、女性ファンも増えてきている実感もあります。それは2013年から始めたこのアンケートにも表れていて、開始当初は女性はほんの1割程度でしたが、現在は1/4ぐらいに割合が増えています。確かにキューブリック作品には、女性が視聴するには不都合な表現がありますが、そんな表層では語れない、性別や年齢を超えた魅力があるのも事実です。先入観や巷の噂などに惑わされず、「キューブリック作品を初見できる」という「特権」と、それに伴う「感動」を、(老若男女問わず)存分に楽しんでほしいと思っています。
【ご注意】当ブログの記事は報告不要でご自由にご活用頂けますが、引用元の明記、もしくは該当記事へのリンク(URL表記でも可)を貼ることを条件にさせていただいております。それが不可の場合はメールや掲示板にてご一報ください。なお、デマサイトやデマ動画チャンネルの制作者、アクセス稼ぎだけが目的のキュレーションサイトのライター様などは当ブログの閲覧、ならびに利用は禁止させていただきます。※当ブログはネタバレありです。


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●宇宙ステーションVのロビーのイメージボードと撮影されたシーン

 イメージボードでは到着カウンターやバーが見えます。また、大きく開けられた窓からは月が見えます。セットではそれはヒルトンホテルのフロントに代わり、バーは自動販売機へと変更になりました。ずいぶんとシンプルで人の少ないデザインになりましたが、宇宙ステーションという限られた狭い空間に、厨房設備や大きな窓は現実的でないと判断されたのかもしれません。


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●クラビウス基地内の公園のイメージボードと撮影されたシーン(カットシーン)

 キューブリックが公開直前にカットしたことで有名なシーンです。比較すると天井一面の照明や壁のブルー、青々とした芝生(人工芝?)などが共通していますが、映画館やカフェ、学校などは省略され、通路の表示だけがあるがらんとした空間になってしまいました。本来はイメージボードにあるような、樹木も配置する予定だったのでしょうか。であれば、天井の照明はその名残でしょう。樹木を維持するには相当量の光源が必要になるはずです。このシーンにはキューブリックの長女と次女が出演していることでも知られていますが、一番左の少女が長女のカタリーナ、その隣が次女のアンヤではないかと予想しています。


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●クラビウス基地内の会議室のイメージボードと撮影されたシーン

 イメージボードでは球形の機器が見えますが、これはプロジェクターだと思います。だとすると、四方の壁はスクリーンですね。セットでは照明の役目しか果たしていませんでしたが、フロイド博士の挨拶の後、背後のスクリーンには会議の内容の情報が表示される設定だったのかもしれません。セットをよく見るとスクリーン上部に穴が見えます。もしこれがプロジェクターの映像投影口(2つあるのは立体映像的なものを想定していた?)という設定なら、キューブリック(か誰かが)「プロジェクターが部屋の真ん中にあったら邪魔では?」という指摘で壁に埋め込んだ(設定)だと考えられます。細かいことまでこだわるキューブリックなら、そんなことを言い出してもおかしくないですね。

 3点とも凝ったデザインからシンプルなものに変更になっています。これにはいくつか理由が考えられますが、一番大きな理由は予算の問題ではないかと想像します。キューブリックのこだわりのせいでスケジュールは遅れ、予算はどんどん膨らんでいたので、シーンは必要最低限に削られ、セットもシンプルなものに変化していったのだと思います。色については、トニー・マスターズによると「元々いろいろな色をつけたのだが、スタンリーがどんな色も受け入れなかったので、無色(白)にすれば失敗しようがない」とキューブリックに提案したそうです。

 モノリスの形状や色の決定、特撮シーンの撮影アイデア(特に遠心機のシリンダーを通って降りるシーンのアイデアは秀逸)など、『2001年…』におけるトニー・マスターズの貢献は、ファンの想像をはるかに超えるものだったことは『2001:キューブリック クラーク』を読めばよく理解できます。もちろんキューブリックがこだわりにこだわって、安易なレベルで妥協しなかったのも大きな要因ですが、そもそも仕事を依頼したスタッフに、それに応えるだけの優れた才能がなければ成立しません。キューブリックの厳しすぎるとも思える高レベルの要求は、それを見越してのことだったのです。キューブリックの厳しい態度の表面だけを単純に批判し、スタッフや俳優を過剰に擁護や同情(いじめだとか、かわいそうだとか、こんな上司は嫌だとか)する前に、その事実を見逃すべきではないと私は考えます。

 余談ですが、この美術監督にキューブリックは手塚治虫も候補者としてリストアップし、実際にオファーの手紙まで出しています。キューブリックが『鉄腕アトム』を観て、手塚治虫のどこに才を見出したのかは不明ですが、この方面の高い要求を手塚治虫が満たせたとはとても思えません(個人的には手塚治虫の最も偉大な才能はストーリーメイクだと思っています)。手塚自身も「やらないほうがよかった」と語っていることですし、『2001年…』における手塚治虫の存在を「過大に」語るのは控えるべきだと(誤解の元になる)思います。

出典:The official Facebook page of Stanley Kubrick/2021年5月25日
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DSC01479 - Trinity Road - Swandon Way
アレックスたちが浮浪者を襲った通路「TRINITY ROAD SWANDON WAY」

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「TRINITY ROAD SWANDON WAY」の内側。(以上2点 photo by www.ispeaksoquietly.net

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映画での登場シーン。

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撮影時のスチール。奥左側の入口らしき構造物と上り坂の道、右側に向かう道が一致。

 『時計じかけのオレンジ』でアレックスたちドルーグが浮浪者を襲った通路は、ロンドン西部のテムズ川にかかるウォンズワース橋の南側、ラウンドアバウト下にある4つの通路のうち、一番南側の通路が撮影場所になります。その4つの通路にはそれぞれ

西に伸びる通路:「WANDSWORTH BRIDGE ROAD SWANDON WAY」
北に伸びる通路:「WANDSWORTH BRIDGE ROAD YORK ROAD」
東に伸びる通路:「TRINITY ROAD YORK ROAD」
南に伸びる通路:「TRINITY ROAD SWANDON WAY」

と名前がありますので南側、つまり「TRINITY ROAD SWANDON WAY」が撮影場所になります。

 この場所を「聖地巡礼」でご訪問されたK様によると

実際に現地に行ってみると、同じような形状の通路があり、どれがどれなのか正確に把握できないまま撮影しました。

とのことで、かなり戸惑われたそうです。

 私もその事実をGoogle Mapで把握はしていたのですが、私自身は現地へ赴いたことはなく、しかも海外のファンも間違った通路で記念撮影しているなど、特定には慎重にも慎重を期しました。その結果、映画の登場シーンとK様の写真、Google Map、ネット情報などを総合して南側通路、すなわち「TRINITY ROAD SWANDON WAY」と特定させていただきました。

 もし今後、当地に聖地巡礼に赴くファンがいらっしゃいましらたら、せっかくの訪問なのに間違った通路で記念撮影しないよう、くれぐれもご注意を。

▼この記事の執筆に当たり、以下の記事を参考にいたしました。
Google Street View
MOVIE-LOCATION.com : A Clockwork Orange

初出:2014年5月2日
加筆・修正:2021年5月24日
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 つい先日、5月15日22時より、バーチャルYouTuberの戌神ころねさんによる『時計じかけのオレンジ』同時視聴というイベントがあったのですが、どうやって同時視聴するのかと思ったら、アマゾンプライムで現在プライム会員無料配信中の『時計じかけのオレンジ』を、22時に視聴者が一斉に再生をスタートさせ、それと同時にYouTubeで戌神ころねさんがライブ配信をする、ということだったそうです。メンバーではない私は参加できませんでしたが、Twitterを見た限りではなかなかの盛り上がりで、初見の人も視聴済みの人も楽しめたイベントだったようです。

 そのアマゾンプライムでのプライム会員無料作品に『アイズ ワイド シャット』と『フルメタル・ジャケット』が追加になりました。これでプライム会員はキューブリック4作品を無料で楽しめることになります。各作品のamazonへのリンクは以下の通り。

『アイズ ワイド シャット』

『フルメタル・ジャケット』

『シャイニング』

『時計じかけのオレンジ』

 もし再度同時視聴イベントの機会がありましたら、ころねさんには『フルメタル・ジャケット』か『シャイニング』を採り上げていただければ、大変嬉しく思います!
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sonatacafe
「ビルとニックが座るテーブルの奥にキューブリック夫妻がカメオ出演している」とファンの間で長く定説になっていましたが、それは間違いだそうです。

 ファンの間ではすでに定説とされていた、キューブリックが『アイズ ワイド シャット』のソナタカフェのシーンで夫婦で客として出演しているという話ですが、これはデマだとキューブリックの長女、カタリーナが明確に否定しました。イギリスのSun誌のWeb版に採り上げられるほど有名なトリビアで、いまさら否定されてもそれを周知するのは大変なのですが、なるべく多くのファンの方にこの事実を知っていただきたくて記事にしました。

 以下はそのカタリーナのTwitterの投稿です。

 コメントを少し見てみました。まだスタンリー・キューブリックがヒッチコックのような、カメオ出演をしたと思っている人がいるようです。彼はそうではありませんでした。

 彼は自分の姿をスクリーンに映し出すことはしませんでした。『フルメタル・ジャケット』では、マーフィーの声(トランシーバー)を担当していました。

(引用元:Katharina Kubrick @KCKubrick/2021年5月18日


 私も過去に、この『アイズ…』でのキューブリックのカメオ出演を記事にしていましたので、ここで訂正したいと思います。キューブリックの自作での出演は以下の通りです。どれも偶発的か、映画の制作上自分が演じても問題ない部分のみです。

『拳闘試合の日』における、試合シーンの映り込み

『非情の罠』の警察無線の声

『ロリータ』のオープニングシーンのディゾルブ部分の映り込み

・『2001年宇宙の旅』の月面シーンでのヘルメットバイザーへの映り込み(確定情報ではない)

『2001年宇宙の旅』の呼吸音

『フルタメル・ジャケット』で援護を依頼される無線手、マーフィーの声

 ところで、キューブリック作品には娘たちも出演しているのは、よく知られた話なのですが(詳細はこちら)、以前カタリーナさんに「アンヤは『バリー・リンドン』に出演していないのでしょうか?」と訊いたことがあります。なぜなら、撮影現場を写した写真にアンヤが写っていたからです。

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キューブリックの左側にアンヤ、後ろにヴィヴィアン。『パリー・リンドン』の撮影時。

 ですが、カタリーナの返事は「ない」とのことでした。どうやら彼女は、自分自身の姿が映像に残るのがあまり好きではなかったみたいですね(子供の頃は除く)。『バリー…』撮影時、アンヤは10代の多感な頃だったので、余計にそうだったのでしょう。長女は父親に似ると言いますが、アンヤはキューブリックにとって長女(カタリーナはクリスティアーヌの連れ子)ですので、キューブリックも同じように自分の姿を映像に残したくなかったのかもしれません。それに現在の容姿がバレるとプライバシーが脅かされる懸念もありますしね(キューブリックは自分の素顔があまり知られていないのをいいことに、プライベートを楽しんでいた)。
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