『シャイニング』はアカデミーとは関係ない気がするんですが・・・公式サイトはこちら。
キューブリック作品のテクニカル部門(美術、特撮、撮影、衣装、音楽)には賞を贈りつつ、キューブリック本人にはとことん冷淡(キューブリックは作品賞も監督賞も受賞していない)だった米アカデミー協会ですが、西ロサンゼルスに建設中の「アカデミー映画博物館」公式サイトのトップページに「シャイニングカーペット」を使うという、よくわからないことをしでかしている(『シャイニング』はアカデミー賞にノミネートすらされていない)のでご紹介。
この「アカデミー映画博物館」ですが、2015年に発見され、オークションでアカデミー協会が約4,000万円で落札した『2001年宇宙の旅』アリエス1B宇宙船の撮影モデルの「現物」を展示する予定になっています(詳細はこちら)。その『2001年…』の共同原案者であるアーサー・C・クラークは、アカデミー賞で脚本賞を受賞したメル・ブルックスに対して「君は僕のオスカーを盗んだ」とか、『猿の惑星』の特殊メイクが名誉賞を受賞すると「アカデミーの審査員は猿人を役者だと気づかなかったからだ」など、露骨に嫌味を言っていたのは有名な話です。当時クラークはアカデミーの授賞式に出席していて、賞を受賞する気満々だったようで、「用意していた素晴らしいスピーチは破り捨てた」と、かなりのご立腹だったようです。ですので、そのガッカリぶりは察するに余りあるものがありますね。
当のキューブリックはこの授賞式には出席せず、結果「特殊視覚効果賞」受賞発表も以下の微妙さ加減。この「特殊視覚効果賞」は本来、特撮に貢献した4人(ウォーリー・ヴィーヴァース、トム・ハワード、ダグラス・トランブル、コン・ペダーソン)が受賞するはずだったものを、アカデミーに「一つの賞で受賞者は三人まで」と言われて仕方なく自分が代表で受賞したものでした。
アカデミーからしてみればハリウッドに資金を頼りつつも、ハリウッドで映画を撮ろうとせず、ハリウッドの「つきあい」にも背を向けたキューブリックに賞を贈る理由など微塵もないわけで、そのキューブリックの「つきあいの悪さ」に冷遇した、と考えられなくもないですが、そのアカデミーが建設する博物館における今更ながらのキューブリックへの秋波の送りっぷりに、ファンは当惑を隠せません。まあ、所詮アカデミー賞やアカデミー協会なんてそんなもんよ、という声が聞こえて来そうですが、どこかのタイミングで「名誉賞」とか贈る魂胆なんでしょうね。もしそうなったら、キューブリックもクラークも故人となった現在、一斉に「おせーよ!!」と突っ込んであげるのが私たちファンの正しい姿であるような気がしてなりません(笑。
「アカデミー映画博物館」の完成予想図。(公式サイトより)
その「アカデミー映画博物館」の完成予想図です。来年になればもっと情報が出てくるでしょう。どれだけ「キューブリックみ」があるのか、否か、気にしつつ待ちましょう。