2018年04月

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酸素供給を絶たれ、もがき苦しむプールを演じるスタントマンのビル・ウェストン。これら危険な撮影でウェストンは実際に酸素欠乏で死にかけた。



Stanley Kubrick 'risked stuntman's life' making 2001: A Space Oydssey

Director refused to stop filming as stuntman Bill Weston lost consciousness, new book claims

〈前略〉

 ビル・ウェストンはプール死亡シーンのスタントを担当しましたが、それはあやうく命を失いかける大変過酷なものでした。

 天井に貼られた黒いカーテンから垂直に垂らされたワイヤーに吊るされ、それを真下からカメラが狙っていました。高さは10mあり、セーフティーネットもなく、しかも宇宙服を着たままです。その宇宙服には酸素供給装置がありましたが10分しかもたず、撮影準備と撮影をするには短すぎました。しかも吐いた二酸化炭素の出口がありません。それでも構わずキューブリックは撮影を続け、ウェストンは次第に酸素欠乏に陥り、意識を失ってしまいました。

 幸いウェストンは意識を回復しましたが、怒り狂ってキューブリックと対決することを決心します。キューブリックは数日逃げ回った後、ギャラの大幅アップ、ビールでいっぱいの冷蔵庫がある控え室を条件に事態は沈静化しました。そのウェストン曰く「スタンリーは信じられないほど偉大な芸術家で完全主義者だが、少し道徳的な部分が欠けているのが弱点だ」

〈以下略〉

(全文はリンク先へ:The Guardian/2018年4月5日




 なんだか似たエピソードが『時計…』にもありましたね。マルコム・マクダウェルは水桶で窒息死しかかっていますし、『バリー…』の将校のホモシーンは、凍えるような冷たい川に浸かって撮影されました。『シャイニング』では老体に鞭打つスキャットマン・クローザースに対して、テイクを執拗に繰り返すキューブリックにジャック・ニコルソンが止めに入るという一幕も。キューブリックは撮影に夢中になると、つい俳優の安全をおろそかにしがちだったようですが、一度も死亡事故がなかったのは幸運としか言いようがありません。そのくせ自身の身の安全には神経質(飛行機に乗らない、車にスピードを出させない、ヘルメットを必要のない場所でもかぶるなど)だったというのですから、ちゃっかりしてます(笑。

 このエピソードはこの記事でご紹介した『Space Odyssey: Stanley Kubrick, Arthur C. Clarke, and the Making of a Masterpiece』に収録されているそうです。ぜひ邦訳を読んでみたいですね。
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 2018年5月12日にカンヌ映画祭で記念上映され、続いて5月18日から全米公開される『2001年宇宙の旅』の70mm アン・レストアバージョンの予告編です。

 Hollywood.Comが配信したものですが、オフィシャルなものかどうかは不明です。『ツァラトゥストラ…』がオリジナルバージョンでないことも気になりますね。映像自体はアン・レストアに見えますが、HALとの会話のノイズを除去したりと、何がしたいのかちょっとよくわかりません。ワーナーの著作権表記があるので、オフィシャルの可能性がありますが、だとしたら『ツァラトゥストラ…』はオリジナルを使って欲しかったですね。
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メインの展示となる「白い部屋」のインスタレーション。展示のタイトルは「Barmecide Feast」。昨年ロサンゼルスで展示されたものと同じだそうです。



 ワシントンDCのスミソニアン国立航空宇宙博物館で、公開50周年記念『2001年宇宙の旅』特別展を4月8日から5月28日の日程で開催するそうです。それには昨年、ロサンゼルスにあるアートスペース「第14工場」で展示された「白い部屋」のレプリカのインスタレーション(没入型展示)が再度展示されます。インスタレーションへの入場は無料ですが、6人づつ2分間に限定、ネットでの予約が必要になります。

 この「Barmecide Feast」を考案したのは、香港に拠点を置く英国人アーティストSimon Birch。KplusK Associates建築会社のPaul Kemberによって建てられました。Kemberの2人は『2001年…』で製図家として働いた経験があり、オリジナルセットを詳細に再現したそうです。

 なぜスミソニアンがこんな企画展を開催するのかというと、2015年にクラークの論文、テープ、個人用アイテムなどのコレクションが博物館に寄贈されたからだそう。ただし今回、これらクラークの品々の展示があるかどうかは不明です。展示はスミソニアン国立航空宇宙博物館の「スティーブン・F・ウドヴァーヘイジー・センター(通称:別館)」。一般的に知られている「スミソニアン博物館」ではないので注意が必要ですね。

特別展の概要のプレスリリースはこちら、インスタレーションについてはこちらでどうぞ。
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 今年(2018年)は『2001年宇宙の旅』公開50周年ですので、様々なイベントやリリースが続いていますが、『ビヨンド〜惑星探査機が見た太陽系』や『ファー・アウト〜銀河系から130億光年のかなたへ』などの著作がある作家・写真家のマイケル・ベンソンが、『2001年…』のメイキング秘話をまとめた『Space Odyssey: Stanley Kubrick, Arthur C. Clarke, and the Making of a Masterpiece(スペースオデッセイ:スタンリー・キューブリックとアーサー・C・クラークはいかにして傑作を作ったか)』を上梓したそうです。

 ワシントンポストの記事を読む限りでは、よく知られたエピソードが紹介されていますが、スターゲート・シークエンスの宇宙(生命)の誕生のパートについて「1965年にニューヨークのブラジャー工場で制作」と解説されています。今までは「マンハッタンにある廃工場で制作され『マンハッタン計画』と呼ばれていた」とまでは紹介されていたのですが、それはブラジャー工場だったんですね。妻のクリスティアーヌは、身なりを構わず、様々な溶剤を落として不可思議な映像制作に夢中になっているキューブリックに対して不満を漏らしていた(臭いとか汚いとか。笑)そうですが、1965年というと制作準備段階でまだ脚本も固まっていない頃。この年の7月にキューブリックは渡英しますが、その前にこの映像は撮影されていたことになります。

 あと、「ボーマンの呼吸音はキューブリック自身の呼吸音を使った」とありますが、これは以前からそういった情報があったものの、確定しても良いようです。アレックス・ノースの音楽を「あとは既成曲と呼吸音でいくからいらない」と拒否したのは編集時、1968年始めの頃のはずなので、俳優シーンの撮影は終了(1966年夏)した後です。1969年公開の『De Sade』に主演しているキア・デュリアを呼吸音のためだけに呼び戻すとは考えにくいので、「自分の思い通りに映画を作りたい」キューブリックが自身の呼吸音を使ったとしても不思議ではありません。ちなみにキューブリックは『フルメタル・ジャケット』でカウボーイの無線の相手、マーフィー(の声)も演じています。

 既知の情報もありますが、新たに取材をしていると思いますしファンなら気になる一冊です。邦訳すればそこそこの部数も望めると思いますので、出版不況と言われる昨今ですが、久しぶりにキューブリック関連本の出版を強く望みたいですね。


Space Odyssey: Stanley Kubrick, Arthur C. Clarke, and the Making of a Masterpiece (英語) ハードカバー(amazon)
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2009年に限定1,000部、29.5 x 37.3 cmの大型本に小冊子10冊が収納される仕様で全2,874ページ。3,000ドル(31万円)もした豪華版のPV



 キューブリックが映画化を切望した『ナポレオン』の資料の編纂本『Stanley Kubrick's Napoleon: The Greatest Movie Never Made』ですが、豪華版、ハードカバーの合本版ときて、今回さらなる廉価版が発売になったそうです。スペックを見る限りサイズがコンパクトになりページ数も若干減っていますね。ただ、豪華版や合本版に付属していたデジタルライブラリーのダウンロードキーが今回付属するかは不明です。


Stanley Kubrick's Napoleon: The Greatest Movie Never Made(amazon)


仕様:合本版
ハードカバー: 1112ページ
言語: 英語
ISBN-10: 3836523353
ISBN-13: 978-3836523356
発売日:2011年4月1日
商品パッケージの寸法: 22.2 x 7.6 x 35.1 cm
価格:1万円


Stanley Kubrick's "Napoleon": The Greatest Movie Never Made(amazon)


仕様:廉価版
ハードカバー: 832ページ
言語: 英語
ISBN-10: 3836568896
ISBN-13: 978-3836568890
発売日: 2018年3月20日
商品パッケージの寸法: 22.2 x 4.4 x 27.9 cm
価格:8,000円
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