美しい伯母のターニャにキャスティングされていたヨハンナ・テア・ステーゲ。
99年に死去したスタンリー・キューブリック監督による未完の企画、「アーリアン・ペーパーズ(The Aryan Papers)」が映画化される可能性が出てきた。英エンパイア誌ほかが報じた。
「アーリアン・ペーパーズ」は、映画「アバウト・シュミット」の原作者でもあるルイス・ベグリーの小説「50年間の嘘(Wartime Lies)」の映画化で、第2次世界大戦中のナチス・ドイツ占領下のポーランドを舞台に、アーリア人だと身分を偽って生き延びようとするユダヤ人の少年と叔母の物語。
87年の「フルメタル・ジャケット」の公開後、キューブリックがあたためていた企画のひとつで、94年のクリスマス公開を目指して93年の夏には撮影を開始する予定だったが、同年11月に公開が決定したスティーブン・スピルバーグ監督「シンドラーのリスト」に題材が似すぎているという理由から製作を見合わせた。おそらくキューブリックの脳裏には、「フルメタル・ジャケット」が、その約半年前に公開された同じくベトナム戦争をテーマにしたオリバー・ストーン監督の「プラトーン」の影に隠れてしまったことがあったのではないかとも言われている。
今回、「アーリアン・ペーパーズ」の話が浮上してきた背景には、8月14日から開催される英エジンバラ・フェスティバルにて展示される、英国人アーティスト姉妹、ジェーン&ルイーズ・ウィルソンによる「Unfolding the Aryan Papers(アーリアン・ペーパーズを解き明かす)」という映像インスタレーションの存在があるようだ。これは、キューブリックが「アーリアン・ペーパーズ」のために行った綿密なリサーチをもとに制作された作品だ。
それにあわせて、キューブリックの義弟でプロデューサーのヤン・ハーランが英タイムズ紙のインタビューに応じ、「あの当時、製作を見送ったのは、キューブリックとワーナー・ブラザースによる賢明な判断だった。しかし、今こそ彼の脚本を再び取り上げる時期だと思う」とコメント。映画化するにあたって監督にふさわしい人物として、「ブロークバック・マウンテン」のアン・リー監督の名を挙げた。
ちなみに、ハーランは、同じくキューブリックの未完の企画をスピルバーグ監督が映画化した「A.I.」(01)でも製作総指揮にあたっている。
(映画.com ニュース/2009年8月13日)
『A.I』ですらアレでしたからね。あまり期待できないですが、続報を待ちたいと思います。