2008年09月

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2001年〜デストロイド・ヴァージョン〜オリジナル・スコア(amazon)


1. Main Title (1:37)
 メイン・タイトル

2. The Foraging (3:44)
 人類創生

3. Eat Meat And The Kill (3:27)
 進化

4. The Bluff (3:01)
 黒い壁

5. Night Terrors (2:02)
 ナイト・テラーズ

6. The Dawn Of Man (3:14)
 人類の夜明け

7. Space Station Docking (2:22)
 スペース・ステーション・ドッキング

8. Trip To The Moon (3:21)
 トリップ・トゥ・ザ・ムーン

9. Moon Rocket Bus (5:01)
 ムーン・ロケット・バス

10. Space Talk (3:30)
 スペース・トーク

11. Interior Orion (1:26)
 オリオン号の内部

12. Main Theme (2:31)
 メイン・テーマ

作曲:アレックス・ノース
演奏:ジェリー・ゴールドスミス



 1からしてどことなく『ツァラトゥストラ…』を連想してしまい微妙な印象。『採餌』と題された2は猿人が草を食むシーンだろうか、ただストリングスは正直合っていない気がする。3、4は猿人の争いをイメージして打楽器系でまとめているが、どことなく『猿の惑星』のように聴こえるのは指揮がジェリー・ゴールドスミスだからだろうか。5の『夜の恐怖』はモノリス出現前の夜の静寂という印象。しかしあの強烈なリゲティを聴いてしまうとやはり物足りない。6は『人類の夜明け』のテーマだが通俗的な映画音楽の範疇でしかない、という印象は拭えない。

 ここから舞台は宇宙へ。7は著しくクオリティが低い。シンセサイザーのない時代に宇宙のイメージを曲にする苦労が手に取るように分かる。8も同様。このシークエンスにあえて全く宇宙と結びつかない『ドナウ』をかぶせたキューブリックのセンスはやはりすごい。9の女性のスキャットなど、採用曲の『ルクス・エテルナ』の影響が見て取れるが、無重力感や浮遊感は感じられない。10も一生懸命「曲」にしようとして失敗している。もっと効果音的な発想であるべきだろう。11はオリオン号でのシークエンス用だろうが、宇宙のイメージは全く湧かない。12は『メインタイトル』だそうだが、これではハリウッドの歴史大作映画だ。

 『2001年…』は実際に使用された楽曲のインパクトが強すぎるので、その分割り引いて評価しなければならないが、ノースはノースなりにキューブリックの期待に応えようと必死で(実際疲労で倒れてしまった)作曲したという点は痛い程伝わってくる。ただ、キューブリックの望む世界観とはかなり違っているのも確か。これはノースの作曲能力が低いというより、方向性の違いだろう。

 実際にこの楽曲が採用されたとして映画を想像してみよう。多分そんなに悪くないと感じるのではないだろうか。しかし現在のように『2001年…』の音楽が伝説的に語られる事はなかったように思う。ノースは職業映画音楽家として器用すぎた。しかしキューブリックが求めていたのはその「器用さ」ではなかった事は現在の『2001年…』の姿がまさしくそれを証明している。
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スタンリー・キューブリックに捧ぐ~また会いましょう(amazon)


1. 交響詩:ツァラトゥストラはかく語りき Op30.冒頭(1:46)
 R.シュトラウス/ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
 (2001年宇宙の旅)

2.トライ・ア・リトル・テンダネス (2:58)
 ジョセフ・ロック
 (博士の異常な愛情)

3.ジョニーが凱旋するとき (4:35)
 エリック・ロジャース指揮、エリック・ロジャース・オーケストラ
 (博士の異常な愛情)

4.メアリ女王のための葬送音楽:行進曲 (2:23)
 パーセル/デイビット・ヒル指揮、ロンドン・バロック・ブラス
 (時計じかけのオレンジ)

5.歌劇 どろぼうかささぎ :序曲(9:53)
 ロッシーニ/ロリン・マゼール指揮、クリーヴランド管弦楽団
 (時計じかけのオレンジ)

6.交響曲第9番ニ短調 Op.125:合唱付き 第2楽章(9:53)
 ベートーヴェン/サー・ゲオルク・ショルティ指揮、シカゴ交響楽団
 (時計じかけのオレンジ)

7.ドイツ舞曲 D.90 第1番ハ短調 (2:15)
 シューベルト/カール・ミュンヒンガー指揮、シュトゥットガルト室内管弦楽団
 (バリー・リンドン)

8.ピアノ・トリオ第2番変ホ長調 Op.100 第2楽章(10:31)
 シューベルト/ウラジミール・アシュケナージ(ピアノ)、ピンカス・ズッカーマン(バイオリン)、リン・ハレル(チェロ)
 (バリー・リンドン)

9.幻想交響曲 Op.14 第5楽章より(6:12)
 ベルリオーズ/ズービンメータ指揮、ニューヨーク・フィルハーモニック
 (シャイニング)

10.弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽 第3楽章(6:29)
 バルトーク/サー・ゲオルク・ショルティ指揮、ロンドン交響楽団
 (シャイニング)

11.ホーム (3:11)
 アーサー・トレーシー
 (シャイニング)

12.美しく青きドナウ (9:12)
 J.シュトラウス/ウィリー・ボスコフスキー、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
 (2001年宇宙の旅)

13.また会いましょう (3:25)
 ベラ・リン
 (博士の異常な愛情)



 キューブリックの死去に際し企画された、キューブリック作品で取り上げられたクラシック曲等のコンピレーション・アルバム。1曲目以外は映画で使用された「サウンドトラック」ではない事に注意。手っ取り早くキューブリック作品の使用曲を知るにはいいが、今ならネットで検索をかければだいたい聴く事ができるので全く価値がなくなってしまっている。特に購入する必要はない。
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 『ロリータ』でロリータが入院した病院の看護婦。演じたロイス・マックスウェルはこの後『007』シリーズのMの秘書、マネーペニー役で有名になる。
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 『2001年…』のラストシーンでボーマンが変貌した胎児のこと。ボーマンが新人類となって生まれ変わった姿。猿人がモノリスの力によって「地球」という環境に適合した「人類」に進化したのと同様に、人類が同じくモノリスの力によって「宇宙」という環境に適合した「新人類」に進化した。小説版では猿人→人類の時も、人類→新人類の時も同じ言葉、「だが、そのうち思いつくだろう」で締めくくることによって、それを示唆している。

 当初のラストシーンはボーマンが異星の宇宙船のかたわらに立っている案だったが、1965年10月3日(撮影開始はこの年の年末)にクラークが「ボーマンが子供へ逆行し、結末では赤んぼうとなって軌道上に浮かぶという図」を思いつく。そうなった理由は「成長段階における彼の自己イメージ」「宇宙意識にもユーモア感覚があるのだろう」とクラークは説明している。小説版はクラークの説明で執筆されているが、キューブリックはこの説明に納得せず、結果次々と老いていくボーマンがやがて死の床につき、死に、そして転生するという描写になっている。スターチャイルドの誕生をクラークは「退行」、キューブリックは「転生」としたが、その真意はそれぞれの鑑賞者の判断に委ねられている。

 小説版ではスターチャイルドが地球衛星軌道上に浮かぶ核爆弾衛星を「意志の力」で爆発させるシーンがあるが、キューブリックの前作『博士の異常な愛情』の結末にに過ぎているという大方の意見で、撮影シナリオの段階までいったものの、撮影されなかった。

 胎児はボーマンを演じたキア・デュリアに似せて作られた。模型は合成樹脂で制作され、デザインはトニー・マスターズ、造形はリズ・ムーアが担当した。

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キューブリックが手にしているのは赤ちゃんの人形?

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トニー・マスターズによるスターチャイルドの最終デザイン案。

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リズ・ムーアが制作したスターチャイルドの模型を手にするトニー・マスターズ。

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スターチャイルドの撮影風景。

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スターチャイルドと地球、月、太陽との直列シーンの共演も検討されたが採用されなかった。

加筆修正:2018年11月1日
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