『時計…』では、『雨に唄えば』と同様、ストーリーの重要なキー・ポイントとしてベートヴェンの『第九交響曲』が使われています。原作によるとアレックスはベートーヴェンばかり聴いていた訳ではないのですが、映画化する際にキューブリックはより単純化・様式化し、アレックスの部屋にはベートーヴェンのポスターが、刑務所の部屋には胸像が、猫おばさんの武器もベートーヴェンの胸像(前者と同じ物?)だし、ミルクバーで歌手が突然歌った歌も『第九』、作家の家の呼び鈴は『運命』だったりと、作品中ベートーヴェンだらけにしてしまいました。

 第九のコンサートでは最終楽章が終わったと同時に「ブラボー!」と立ち上がって拍手を送るのが定番になっていますが、最後のアレックスの性夢はまさにそのイメージですね。理解していない人も多い様ですが。映画で使用されたのは、アレックスが自室で聞いていたシーンでマイクロカセットになっていた、フリッチャイ指揮・ベルリンフィルによる『第九』。アマゾンのレビューによるとかなり評価が高いようです。