キューブリックブログ記事

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火事

 キューブリックが安全に極端に神経質だった事は飛行機嫌いな点や、車に必要以上のスピードを出させなかった事、不要な場所でもセットではヘルメットを被っていた事からも伺えますが、この写真は決定的ですね。

 1979年1月末の午後6時頃、セットに隣接する部屋で火災が発生、丁度セットで撮影をしていたキューブリックを始め、全員に避難命令が出されました。そして炎は朝までにコロラドラウンジ、ロビー、廊下など主要なセット全てを焼き尽くしてしまいました。でも幸いな事に、人的被害はなかったそうです。翌朝、その現場を訪れたキューブリックの写真が上記です。まるで自分が居るセットで火災にならなくて良かった、と安堵し、笑っているように見えます。というか、多分そうでしょう。このセット火災によりセットの建て直しをする羽目になり、スケジュールは大幅に遅延。予定されていた『スター・ウォーズ 帝国逆襲』の撮影は別のスタジオで行われる羽目になってしまいました。

 いくら全く同じに作ったとはいえ、完成した映画には旧セットと新セット両方の映像が使われているでしょう。そうなれば編集されたフィルムには「あったものがなくなったり」「形が突然変わったり」などの矛盾も生じてしまうでしょう。それに何の意味があるのか?もちろん意味などありません。単に「セットが火災で焼失したので建て直した」それだけの話です。それを知っている陰謀論者はこの事実に触れようとしません。陰謀論とは「都合のいい事実だけをつなげて都合の悪い事実を無視する」ことによって「創作」されたものです。真に受ける方がどうかしていますね。


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 キューブリックは作品タイトルには、原作をそのまま流用したもの(『突撃(栄光の小径)』『スパルタカス』『ロリータ』『時計じかけのオレンジ』『バリー・リンドン』『シャイニング』)と、オリジナルのタイトルを付けた作品と2種類あります。今回は後者のオリジナルタイトルを考察したいと思います。



恐怖と欲望 [Blu-ray](amazon)


『恐怖と欲望(Fear and Desire)』

 相反する感情や概念をそのままタイトルに使った1例目。「恐怖」は恐怖で狂ってしまったシドニーを、「欲望」は戦果を挙げて出世を考えたマックを表している、というのは短絡的過ぎでしょうか。広義に考えれば戦争という行為そのものが「恐怖と欲望」の産物であるし、狭義に考えれば戦果か脱出かで揺れる小隊の姿そのままだとも言えるでしょう。



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『非情の罠(Killer's Kiss)』

 相反する感情や概念をタイトルにした2例目。当初は『キスして、殺して(Kiss Me, Kill Me)』というタイトルでした。当然グロリアの事を指すのだと思われますが、いかんせん主演女優の力不足で「キスして、殺して」という程の存在感はありません。仕方ないので言葉のトーンを弱めた『殺人者のキス』というタイトルにしたのではないでしょうか。また、『キスして、殺して』では扇情的すぎるため、前作『恐怖と欲望』の時にポルノとして宣伝されてしまったのを警戒しての措置だったのかも知れません。因に「Kiss」と「Kill」は音の響きが似ているため、映画や本、曲のタイトルによく使用されています。



現金(ゲンナマ)に体を張れ [DVD](amazon)


『現金に体を張れ(The Killing)』

 キューブリックが好んだダブル・ミーニングのタイトルの1例目。「Killing」には「殺害」と「大もうけ」と両方の意味があります。まさに『現金…』のストーリーそのままです。



博士の異常な愛情 [Blu-ray](amazon)


『博士の異常な愛情:または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか(Dr. Strangelove or: How I Learned to Stop Worrying and Love the Bomb)』

 相反する感情や概念をタイトルにした3例目。「異常愛博士」とは作中のストレンジブ博士を指すのは明白ですが、次の「または〜」についてはここで記事にしています。これ以外にも当時のハウツー本にありがちだったタイトルをもじった、という指摘もあるようです。確かに「私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか」というのはハウツー本のキャッチコピーはありがちですね。「この本を本気で核戦争を心配していた自身や同好の士へ向けてお薦めします!」という皮肉を込めた、という事なんでしょう。



2001年宇宙の旅 [Blu-ray](amazon)


『2001年宇宙の旅(2001 : a space odyssey)』

 『2001年』とは木星計画(ジュピター・ミッション)の時の西暦ですが、『宇宙の旅』の『旅』を「Journey」や「Trip」、「Voyage」にしなかった理由はクラークが「さんざん(他の映画で)目にして来ているから」と答えています。(※『2001年…』というタイトルのアイデアはキューブリックが出した)では何故「Odyssey」なのかというと、「旅」という意味に加えて「オデュッセウスの旅」つまり古代ギリシャの神話を引用する事によって、映画に神話性がある事を暗に伝えたかったのでしょう。それを単純に『旅(旅行)』と訳した邦題に問題がある事はここでも指摘しています。つまりこれはダブルミーミングのタイトルの2例目という事になります。



フルメタル・ジャケット [Blu-ray](amazon)


『フルメタル・ジャケット(Full Metal Jacket)』

 ここでも考察している通り、「完全被甲弾(弾体の鉛を銅などで覆った弾)」はハーグ陸戦条約で承認された「人道的な銃弾」で、軍用銃弾そのものです。そしてそれは、一切の「個」をはぎ取られた兵士そのものを表しています。つまりダブルミーミングのタイトルで、その3例目になります。



アイズ ワイド シャット [Blu-ray](amazon)


『アイズ ワイド シャット(Eyes Wide Shut)』

 ここで説明した通りです。つまり相反する感情や概念(目を開く/閉じる)をタイトルにした4例目である上に、ダブルミーニング(現実を見ているようで見ていない=現実逃避への批判)のタイトルとしても4例目という凝ったタイトルです。その表記についてもこだわりがあったらしく、それについてはここで記事にしました。キューブリックにとってもこれまでの作品の集大成の作品のタイトルとしてふさわしいと思っていたのではないでしょうか。

 以上のように、キューブリックは自分でタイトルを付ける際、全てに重層的に意味を含ませています。キューブリック作品を読み解く際、以上の例を参考に、ご自身でも考察してみてください。

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 ここここでこの『ROOM 237(ルーム 237)』を散々「金儲け主義者のデタラメ陰謀論映画」とこき下ろしていますが、何故観てもいないのにそう断言できるのか、それを説明したいと思います。

 管理人が当ブログの前身であるキューブリックのファンサイト『CataComB』を立ち上げた1998年、『ROOM 237』という『シャイニング』の海外のファンサイトがあるのに気が付きました。内容はマニアとおぼしき連中が、よってたかって『シャイニング』の映像を解析、さまざなま矛盾点や意匠からメッセージをこじつけ、それをネットで披露しあって遊ぶ、という趣旨のサイトだったと記憶しています。(この件については製作者自らインタビューで答えている。詳しくはこちら。)

 『CataComB』で海外の良質なサイトを紹介するリンクページを設けていた関係上、こういった海外のサイトの内容には注意を払っていました。有益な情報が集まるサイトならともかく、こういった「隠謀論ごっこ」で遊ぶサイトは無益だと判断し、リンクページには載せませんでした。(ある時期は載せていたかも知れません。なにせ昔の話なので記憶が定かじゃないですが、手元に残っている最終ログには掲載がありませんでした。)つまり公開される『ROOM 237』とは、元々はマニアがネット上で『シャイニング』をネタに隠謀論を披露し合うサイトだったのです。もちろんそれに根拠や証拠など必要ありません。本人たちもそれを承知の上での、単なるお遊びですから。

 では何故そんなデタラメなサイトが映画化されたのでしょう。これは推察ですが、原因は例の『オペレーション・ルーン』にあると思います。フランスのTV局が製作し、2003年のエープリールフールに放送したこのジョーク番組は大きな話題になり、世界中でオンエアされました。日本でも『ビートたけしの世界はこうしてダマされた!?』で短縮版ですが取り上げられています。この成功を目の当たりにした出資者が二匹目のどじょうを狙ってネタ探しをしたであろう事は想像に難くありません。その出資者が目をつけたのがネットで隠謀論ごっこをしていた『ROOM 237』だった、という訳です。

 しかも『オペレーション…』には大きな「免罪符」が備わっています。それはキューブリックの遺族、妻のクリスティアーヌと義弟のヤン・ハーランが出演し、この隠謀論に加担してしまっているのです。(もちろん最後にネタばらししていますが)つまり、キューブリック作品をネタにした陰謀論で何者かが金を稼いでも、この番組に出演してしまっている以上、本来キューブリックの遺志を尊重し、そういった雑音から作品を守るべき立場である筈のクリスティアーヌもヤン・ハーランも何も言えない、という事になります。さすがにクリスティアーヌもヤンもこのままではまずいと思ったのか、『シャイニング』製作の当事者のインタビューを集めた動画を制作、無料で公開しています。しかし、こんな事をしなければならないのなら最初から『オペレーション…』出演のオファーを断り、『ROOM 237』に対し断固たる措置を講ずべきだった、というのは言うまでもありません。

 そういった事情を知り尽くした上で、この映画『ROOM 237』は製作されたと考えています。それに彼らが使う映像のソースが、何故BDやDVDではなくビデオなのか、これでお分かりいただけたかと思います。そうです、1998年にはBDはおろかDVDさえも黎明期で全く普及していませんでした。『シャイニング』の映像を分析するにはビデオを使うしかなかったのです。そういう理由です。

 個人的には、ネット上で隠謀論で遊んでいる分には、まあしょうがないかなと思っています。しかし、それを映画にして金を稼ぐというのは、キューブリックの名声を利用した詐欺に近い行為であり、キューブリックを愚弄していると言ってもいいでしょう。今後、こういった陰謀論映画が製作されないよう、この『ROOM 237』は興行的に失敗しなければなりません。現にネット上では『アイズ…』をネタに隠謀論をばらまくサイトが暗躍しています。こういったハイエナみたいな連中からキューブリック作品を守るのもファンである我々の勤めだ、そう考えています。だから金を払ってまで映画を観にいって、連中に「これは儲かる」と思わせては駄目なのです。だから「金儲け主義者のゴミ映画」と糾弾しているのです。

 もうすでに『オペレーション…』、『ROOM 237』と隠謀論ごっこで荒稼ぎした連中が現れました。次の被害に遭うのは『アイズ…』でしょうか? それとも別の作品?そんな連中に加担してキューブリック作品を貶めたいのなら、どうぞご自由に金を払って観に行ってください。ブログで宣伝してください。ツイートしてください。でもそんな事する輩にファンだとか、マニアとか自称して欲しくはありませんし、その資格などあろう筈がありません。

 キューブリックは作品中に描かれた事象について、何かにつけて意味を無理矢理見いだそうとする連中を、例の鋭い目つきで睨みつけて次のように批判しています。

「それはむしろ詮索好きの見当違いだ」

(『映画監督 スタンリー・キューブリック』より)


 オフィシャルに公開された処女作『恐怖と欲望』でさえ、気に入らないから観せたくないと封印したキューブリックが存命なら、上記のようなデタラメばかりの『ROOM 237』の公開を許したでしょうか? 当然答えは「No」です。『ROOM 237』が公開される2014年1月25日以降、キューブリックファンの、マニアの、良識ある行動を期待します。

2013年12月26日追記:『ROOM 237』の、そのトンデモな内容が判明しました。詳細はこちら

2014年1月23日追記:『ROOM 237』をどうしても観たい方はこちらで全編見る事ができます。どうしても観たいかたはわざわざお金を払うまでもありません。これで十分です。

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FEAR & DESIRE (1953)[Blu-ray](amazon)


 北米版『恐怖と欲望』DVD/BDに描かれているライフルとその先に付けた銃剣のイラストですが、これを見てこのTV番組のオープニングを思い出した方は多いのでは?管理人は『コンバット!』をリアルタイムで観ていた世代ではありませんが、それでもCMにも採用された(※閲覧注意)有名なテーマ曲とこのイラストは知っていました。いくら『恐怖…』の内容が偶然『コンバット!』と似ているからといって、それに似せたパッケージデザインを採用する神経が分かりません。ひょっとして『コンバット!』と間違ってこのBDを購入させようとするミス・リード戦略なのでしょうか?

 もちろんキューブリックとは何の関係もない話です。『コンバット!』は1962年から1967年までアメリカABCで製作・放映され大人気となり、日本でも放映されました。当たり前ですが、その頃『恐怖…』はキューブリックによって固く封印されていたので、ABCの関係者が『恐怖…』に影響を受けた可能性は皆無です。

 何故こんなパクリと言われても仕方の無い、インチキ臭い事をしたのでしょう?北米版販売元のキノ・ローバー社の姿勢は非常に疑問です。日本の販売元のアイ・ヴィー・シーさんはこのデザインを採用しませんでしたので一安心・・・と思っていたのですが、いくつかのグッズで銃剣のイラストを使っているようです(溜息。誰か止める人はいなかったんでしょうか?これじゃキューブリックの『恐怖…』は『コンバット!』のパクリ(あるいは逆に『コンバット!』は『恐怖…』のパクリ)などと誤解されかねません。内容が似ているだけに両者ともにいい迷惑です。

 ここで明言しておきます。キューブリックの劇場用映画処女作『恐怖と欲望』と、アメリカABC製作のTVドラマ『コンバット!』。この両者には何の関係も、関連性もありませんし、影響云々もありません。全てはキノ・ローバー社が恣意的に(と考えざるを得ない)ライフル銃と銃剣のイラストをパッケージに採用したのが元凶です。その「元凶」は、日本版の販売元にも誤解を与えて(この事実を知らなかったとすれば)しまいました。こういった販売戦略は中小の配給会社や販売代理店ではよくある事とはいえ、コンプライアンスが叫ばれて久しいというのに、甚だ残念という他ありません。

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※リサ&ルイーズ来場告知ページ


 『シャイニング』の双子の少女役で有名なリサ&ルイーズ姉妹がニュージャージーで3月に開催される『モンスター・マニア・コンベンション』にゲストとして来場するそうです。こういった公の場所に登場するのは1999年のTV番組以来ではないでしょうか。

 なにかと情報の少ないリサ&ルイーズですが、ダニー・ロイドのように来場の様子がYouTubeにアップされるでしょうから、今から非常に楽しみです。それに合わせたのか、ご本人たちがツイッターを開設したようです。まだフォロワーが少ないようですので、フォローしてみてはいかがでしょうか。私もフォローしましたが、なんとリフォローして頂きました!すごい!!

 『モンスター・マニア・コンベンション』は2014年3月7〜9日、場所はニュージャージー・チェリーヒルのクラウンプラザホテルです。

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