キューブリックブログ記事

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NHK2001

 OAが金曜日の早朝という時間帯もあって、見逃した方や録画し忘れていた方もいらっしゃるようです。ですのでこの記事は私感を挟まず、レポートに徹したいと思います。




(1)イントロダクション


ナレーション:「2018年、アメリカ・ハリウッドで、ある映画を蘇らせようというプロジェクトが進行していました」「今では上映する設備がほとんどなくなってしまった70mmフィルムで制作された歴史に残る名作、その映画とは『2001年宇宙の旅』」「斬新な映像美が今も人々の心を捉える、映画史に輝く金字塔です」「人類が月に降り立つ前、1968年に公開されました」「制作したのは巨匠、スタンリー・キューブリック監督」「綿密なリサーチ、驚くような視覚効果を駆使してこの映画を作り上げました」

「今回、その偉大な映画を貴重なオリジナル(ネガ)フィルムを使って8K化しようというのです」「ハイビジョンをはるかに上回る高画質で細部に至るまで再現します」

8K化プロジェクト担当 Susan Cheng氏:「最先端の8Kテクノロジーで蘇らせる作品として、『2001年宇宙の旅』ほどふさわしい映画はありません」

8K化プロジェクト担当、Miles DelHoyo氏:「最新の8Kで、50年前のフィルムの空気感も伝えることができます。映画本来の意図により近づけたと感じています」

ナレーション:「今日は、この映画の大ファンのお二人が一足早く8K版を体験し、大興奮」

佐野:「50年前に未来の映画を撮ったのではなく、今の映画の感じがする」

ナレーション:「珠玉の名作がBS8Kでまもなく放送。よみがえった『2001年宇宙の旅』の魅力に迫ります」


(2)スタジオに佐野史郎さん中川翔子さん登場


中川:「佐野さんお待たせいたしました。今日は8Kの映像で『2001年宇宙の旅』が観られるなんて最高ですね」
佐野:「どんな絵なんだろうね」

ナレーション:8KTVでの特別試写会にお招きしたのは、芸能界きっての『2001年…』好き、佐野史郎さんと中川翔子さん

中川:「佐野さんはこの映画といつ出会ったのですか?」
佐野:「僕は1968年のロードショーの時、13歳・中学2年で。国語の先生がとにかくすごいと力説、とにかく全員観てこい!と」「それであの黒い板は何か?の授業をしたんです」「それがやっぱり忘れられない授業ですね」

中川:「私の場合はオールタイムベストで入ってる映画ですし、宇宙も好きだしってことで観たんですけども」「ベストテンを選ぶというより、それを超越した殿堂入りのところに『2001年…』と『燃えよドラゴン』がいるなっていう」


(3)8Kの解説


佐野:「8Kは初体験」
中川:「我々が見てきたハイビジョンの16倍らしいですね」

ナレーション:「ハイビジョンは画素数がおよそ200万、それが8Kになるとその16倍、およそ3300万の画素数に」「より臨場感のある映像体験が楽しむことができるんです」

中川:「色彩とか質感とかも、これまで今まで私たちが体験したことのない『2001年…』になるみたいですね」

ナレーション:「それではよみがえった8K完全版、『2001年宇宙の旅』の一部をご覧ください」


(4)8K版『2001年宇宙の旅』ダイジェスト


ナレーション:「地平線の彼方まで見渡せる映像の美しさにご注目ください。映画の冒頭『人類の夜明け』のシーン」「8Kで見ると(猿人の)リアルな毛の質感まで感じることができます」「私たちの祖先の目の前に、モノリスが突如出現」「モノリスの出現をきっかけに、人類は進化の階段を一つ登ることになります」「それから数百万年後、人類は宇宙にまで進出していました」

ナレーション:「この映画の生みの親、スタンリー・キューブリック監督」「彼はこの作品を《潜在意識と感覚に訴える、言葉によらない体験》と語っています」「キューブリック監督はスクリーンに吸い込まれるような、体験する映画にするためにある方法を採りました」「通常の映画では幅35mmのフィルムが使用されてきましたが、『2001年…』では幅70mmの大型フィルムを使用されました」「70mmフィルムは上映できる映画館が限られてしまいますが、映像の解像度がより高くなるのが特徴です」

ナレーション:「70mmフィルムが持つ情報は膨大で、ハイビジョン放送用に変換すると、本来の情報全てを再現できません」「ところが8Kは70mmフィルムと同等の情報量を記録できるため、オリジナルの画質を損なうことなく放送することができるのです」「つまり8K放送では、この映画の魅力を余すところなく味わうことができるというわけです」

ナレーション:「これまでの放送では気がつかなかった細かいディテールをご覧ください」「宇宙船が月面に降り立っていくシーン」「地下の基地に入っていくところでよく見ると、コントロールルームで人々が宇宙船の着陸を見守っています」「キューブリック監督は、ここまで作り込んでいたのです」「宇宙船ディスカバリーも8Kで見ると大迫力。宇宙船の外壁の細部までよくわかります」「無重力トイレの詳しい使い方は8Kでじっくりご確認ください」「宇宙飛行士が(食事のシーンで)使っているのは、あのデバイスそっくりです」「8K版で観ると、観客に21世紀の宇宙旅行を体験させたいという、キューブリック監督の強い思いをより感じることができるんです」

ナレーション:「宇宙へと進出した人類。月面基地で彼らを待っていたのはあのモノリスだったのです」「人類はさらなる進化を遂げることになるのでしょうか」「この映画は宇宙を舞台に、人類の歴史、そして進化を描いた、壮大なスケールの作品なのです」


(5)スタジオの佐野史郎さん中川翔子さん


中川:「8K、すごいですね」
佐野:「8K、想像を超えてたなあ」
中川:「考えたり、感じたりするのがすごく楽しいなって、この映画観るたびに思っていたんですけど、人類の進化が目の前で起きちゃってるのを体感しちゃってる感じ」
佐野:「映画観てるというよりも体感だよね」
佐野:「月面で触れるときも鏡みたいに写ってるけど、類人猿が最初に触れるときにもモノリスに写ってたね」「ああいうの全然初めて見た。わからなかったね今まで」

佐野:「国語の先生からあのモノリスは何か?っていう授業を受けたとき、人生の経験として、俳優としても大きな授業だった」「猿のマネをするですよ、最初に」
中川:「猿人のマネしたんですか」
佐野:「演じるってことは・・・やりましたね」
中川:「類人猿やってなかったら冬彦さんもいなかったかも知れないですね」

中川:「ごはん食べてるシーンでタブレットのようなもの(があって)、2018年の私たちのランチライムみたいみたいな、先に映画が未来予知していたとしか思えないくらいに」
佐野:「あのモニタ、IBMだったね」
佐野:「パンナムの宇宙船の中で漂っているペン先には、ボールペンだよあれ、スプリングがついていたもん」「あー、ボールペンだったんだこれ」「いや、そんなのも初めて見たしね」(注:正しくは「アトミックペン」詳細はこちら

中川:「ついにトイレの説明書きが読めちゃった」とフリップ登場。邦訳は『メイキング・オブ・2001年宇宙の旅』の転載。「トイレの使い方は欲しくないですか?」
佐野:「欲しいですよもちろん。なんて書いてあるんですか?」
中川:「標準無重量ゼロGタイプで、必要に応じてシステムAとシステムBのどちら一方、あるいは両方を使うことができます」「超音波シャワーを使う時は・・・」「モイストタオルとはなんだろう?」
佐野:「これ(フリップ)ちょっと欲しいですね」


(6)ワーナー・ブラザーズの作業の舞台裏


ナレーション:「佐野さんと中川さんの心を掴んだ、8K版『2001年宇宙の旅』はアメリカの大手映画会社(ワーナー・ブラザーズ)が手がけました」「その舞台裏をちょっとだけお見せしましょう」「今回特別に取材が許されたフィルム保管庫」「そしてこれが、世界の人々を魅了した『2001年宇宙の旅』のオリジナルネガフィルム」

ワーナー8K化プロジェクト担当、ネッド・プライス氏:「映画の撮影の時に実際にカメラに入っていたネガです」「だいたい10年に一度、全てのフィルムを開け、目を通し、それぞれのフィルムが痛んでいないかチェックをします」「今回、この映画と改めて向き合い、最高の状態で見てもらえるよう挑戦しました」「今は多くの人が、画質の悪いコピーを通して映画を観ているのが現実です」「最新の技術でより高い解像度で修復すれば、作品に命が吹き込まれ。もっと身近なものに感じられるでしょう」

ナレーション:「オリジナルフィルムを8K化するのに使われたのは、大型フィルム専用のデジタルスキャナーです」「一コマ一コマ丁寧にカメラに読み取られていきます」「映画全てのコマを読み込むだけで2ヶ月かかりました」「次はデジタル化された映像を、8Kレベルで細かく修復していきます」「今回のプロジェクトのために、これまで以上に念入りに作業が行われました」「オリジナルネガにある大きな傷を熟練したスタッフが修復」「8Kだと気になるごく小さな傷も一コマづつ丁寧に取り除きます」「このような作業を積み重ね、映画が50年前の姿を取り戻していったのです」


(7)スタジオの佐野史郎さん中川翔子さん


ナレーション:「今回テスト用にコピーした70mmネガフィルムをお借りしてきました」
佐野:「普段は白手袋して触るけど、いいということなので」
中川:「でかっ!」
佐野:「これが70mm・・・」
中川:「モノリスが出現した、類人猿たちが囲むシーンかな」「これを一コマづつカメラで撮って、2ヶ月の時間をかけて」「8Kにするって大変でしたね」
佐野:「スキャニングだけでもたいへんだけど、ここから修復するってのがね」
中川:「高画質になってなお、どうやって撮影しているのかわからない」
佐野:「今の映画って感じがする」「50年前に未来の映画を撮ったのではなく、今の映画の感じがする」「50年後の公開を見据えて作ってたんじゃない・・・」


(8)ワーナー・ブラザーズの作業の舞台裏


ナレーション:「50年後の今観ても、新しさを感じる映画を作り上げたキューブリック監督」「当時誰も観たことがない未来の世界を表現するために、綿密なリサーチを行い、映画のリアリティを追求しました」「監督が書き込んだ撮影方法に関するメモ」「キューブリック監督はデザインや色彩など、あらゆるものに徹底的に指示を出していました」「今回の8K化で困難を極めたのは、今は亡きキューブリック監督の意図に反しないように、作業を進めることでした」

ネッド・プライス氏:「監督の意図が込められているオリジナルネガは何物にも代えられないものです」「今回の8K化では最新の注意を払いました」

ナレーション:「もっとも苦労したのが、監督がイメージしていた色彩の再現でした」「そのためスタッフは、元々のフィルムに立ち返って検証するという手法を採りました」「オリジナルネガフィルムから当時の指示通りに現像、肉眼で確認します」「そして、その発色や明るさ、コントラストなどを8Kのデジタル化に反映させていきました」

ナレーション:「今回の作業にはほぼ一年かけたといいます」「もっとも作業が難しかったひとつがこのカット」「星の間にモノリスが浮かんでいるのですが、宇宙の色と同化してしまいはっきりと見えません」

映画会社カラリスト ジャネット・ウィルソン氏:「宇宙の黒の中で、モノリスをどうミステリアスに見せるか、色のバランスが難しいのです」

ナレーション:「これが完成したシーン。モノリスが黒い宇宙に浮かび、星の表面の模様や色彩なども美しく映えるシーンになっています」「キューブリック監督が目指した色彩や質感を、8K完全版『2001年宇宙の旅』でお楽しみください」


(9)スタジオの佐野史郎さん中川翔子さん


中川:「8Kで見えてきた、キューブリックが本当に伝えたかった色彩、限りなく近いものがやっと見えてるということなんですね」
佐野:「最後の白い部屋のベッドのグリーン」
中川:「白い部屋のシーンが8Kの、そしてスタッフさんが再現してくれた力を感じましたね」
佐野:「8Kになったことで、いままで感じたことのない感情がかきたてられる」とネタ帳を披露しつつ「ハル9000はイリノイ州アバーナ、HAL工場で1992年1月12日生まれ。先生はラングリー。歌うこともできます。デイジー」
中川:「怖かったですね、あのシーン」「佐野さんの方がウィキペディアより詳しい」

ナレーション:「ハル9000というのは、この映画の重要なキャラクターのひとつ。宇宙船をコントロールする人工知能、AIのこと」「映画の後半、ハルは反乱を起こし、船長のボーマン以外の全ての宇宙飛行士の命を奪います」「ボーマンはハル9000の電源を落とそうとするのですが・・・」

佐野:「一番の発見は、ハルの感情が8Kになったことでザワザワ来るんだわ」「ハルのボーマンに対する・・・男女の恋愛ではないかも知れないけど・・・愛してしまったと思って・・・」「映像がキレイになったら情報が分かるだけじゃないな」「まさにそのことを監督はオリジナルネガではやろうとしてたんだな」「それが50年の時を経ないとわからないように、監督はわかってんたんじゃないかと」

中川:「今、8Kで多感な頃に観られる人たちがうらやましい」「いろんな映画がそうだと思うけど、特にこの映画は観る前と、観た後で人生の色というか見える世界の色が違う感じがしますね」「50年経った、50年前とか関係なく観られるように、この8Kおかげでよりなると思うんで」「本当にここから生まれる人たちにも、早く出会って欲しいですね、若い人たちに、どうか」

中川:「キューブリックに見て欲しかったですね」
佐野:「そうだよね、誰よりも、見てるでしょう」
中川:「見てますかね」
佐野:「その辺にいるんじゃないの?」「何度観てもいいと思う」

ナレーション:「《文字にできること、あるいは考えられることは、映像にできる》その言葉の通り、未来を映像化したキューブリック監督」

ナレーション:「2018年、ドイツフランクフルトで公開50周年を記念して特別展が開かれました」「今に残る小道具や資料など、貴重なコレクションが世界中から集められました」「キューブリック監督の遺産は、今もなお、世代を超えて人々の心を捉えています」「70mmフィルムの映画は上映すら難しくなりましたが、8K化することで監督の目指したビジョンを家庭でも楽しめる時代になったのです」

中川:「8Kの映像で見えて来る色彩、質感、空気感までもが思いっきり味わうことができるこの8K、ぜひ若い世代のみなさんも『2001年宇宙の旅』という、映画史、人類史に残るすばらしい名作を8Kで堪能して、ぜひ観終わったみなさんと語り合いたいです」

佐野:「これまで気がつかなかった、様々な情報はもちろんですが、8Kになったことで新たな感情がいっぱい湧き起こりましたし、情報だけではない、感情を揺り動かすための8Kだったんじゃないかな、と思います。みなさんもぜひご覧ください」

ナレーション:「監督の思い、そして50年後にそれを蘇らせたスタッフの思いが結実した8K完全版『2001年宇宙の旅』、2018年12月1日(土)午後1時10分よりBS8Kで放送です」



 以上ですが、30分と短い番組ですし、あくまでBS8Kの番宣番組ですので再放送される可能性は限りなく低いと思います。見逃した方は残念ですが、視覚的な情報以外はこの記事で概略をテキスト化しましたので、参考にしてみてください。
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dr_strangelove_tパブロ・フェロを一躍有名にした、いい加減な手書き感がインパクトを残す『博士の異常な愛情』のタイトルバック。

 キューブリック作品では『博士の異常な愛情』『時計じかけのオレンジ』の予告編の編集やタイトルバック制作を担当したグラフィック・デザイナーのパブロ・フェロ。そのパブロ・フェロがどのようにキューブリック作品に関与したか、それを語ったインタビューがありますので、そのインタビューのキューブリック作品の部分だけ抜粋してみました。



●博士の異常な愛情について

パブロ:そうです。私は(ニューヨークで)コマーシャルを作っていました。新しい編集のスタイルを作ったのが私が人気を得た理由です。それがスタンリーの目にとまりました。彼は私のCMを見て、気に入ったようです。(注:キューブリックはパブロ・フェロの前にアーサー・リプセットに予告編制作の依頼をして断られている)彼は「私はあなたのコマーシャルを気に入ってる。『博士』の予告編を作って欲しい」と言いました。彼は映画を製品のように販売できるからと言いました。私は素晴らしいと言いました。

ーだから予告編が最初だったんですね。どのように依頼が来たのですか?

パブロ:私たちは全てのキャンペーンを担当していましたが、スタンリーは私を説得して6〜7ヵ月間イギリスにとどまらせました。私は彼に「私には会社があるし、コマーシャルの仕事をしなければなりません」と言いました。彼は「あなたはここでもコマーシャルの仕事をすることができます」言いました。 彼はとても楽しいです。私はロンドンに家を持っていて、車が必要なら電話してくれと電話番号を教えてくれました。いつ電話してもすぐ来ます! スタンリーは常に私を必要とはしなかったので、私はロンドンにいる間、いくつかのコマーシャルを作りました。



 『博士…』のタイトル・シークエンスは土壇場でした。それを作る時間はあまりなかった。私がすべての作業を終えた2週間後、彼と私は話し合いました。それはスタンリーと私との会話だった。スタンリーは「人類についてどう思うか?」と私に尋ねました。私は「人類について一つ言えることは、人類が発明した機械のすべてが非常に性的であるということだ」と応えました。私たちは顔を突き合わせて、この「空中給油するB-52のタイトル・シークエンス」が実現しました。もちろんもっと性的に見えるようにできないだろうか?とも。スタンリーはこのアイデアが気に入っていました。スタンリーは自分たちが制作したモデルを使って撮影したいと考えていましたが、ストック映像を当たってみることにしました。飛行機メーカーは自分たちの仕事ぶりを非常に誇らしく思っているだろうと、私は確信しています。彼らは実にあらゆる角度から飛行機を撮影していたからです。

 飛行機同士がくっついて、上下に揺れていた特定のアングルがありました。私はそのようなものを撮影することができるかどうかスタンリーに尋ね、スタンリーはできないと応えました。ストック映像を使用してくださいと。私はストック映像を手に入れ、それをまとめ始めました。そしてその作業を終え、より細かく編集をしようとしていたとき、スタンリーはひとつの曲を持って来ました。『トライ・リトル・ア・テンダネス(ちょっとだけ優しくして)』。私は同意ましたが、驚いたのは音楽は私たちと同じことをやっていたのです! それ(メロディ)は上下に揺れていました。『ちょっとだけ優しくして』 ・・・私は編集で何も調整する必要はありませんでした。

ーどのようにレタリングを制作しましたか?

 私は通常の映画のようにレタリングをしようとしましたが、スタンリーは「パブロ、レタリングを見るのか映像を見るのか分からなくなる。両方同時に見えなければ」と言いました。私は思った。ああ、どうすればいい? 私は落書きのようなレタリングを横長や縦長で書いていたのを思い出し、それを試そうと思いました。私たちはテストをし、それは完璧でした! スタンリーは私のレタリングで画面を埋めました。これで飛行機の映像を見ることができるし、同時に文字を見ることができます。



 やらなければならないのは、すべてのレイアウトを作るということでした。最後のレイアウトを作ったとき、スタンリーは私に「あなたの名前はどこですか?」と尋ねました。唯一空いたスペースは2つの文字の隙間にあったので、私はそこに名前を入れました。それを探してみてください。その時以来、スタンリーと働くことはとても素晴らしかった。私は、自分のレタリングが特別なものであるとは決して思いません。 それを気に入っていたたったひとりの人は、スタンリーその人です。


DRSL2
右下のJohn Crewdsonの下にPablo Ferroの名前がある。

●『時計じかけのオレンジ』について

ー『時計じかけのオレンジ』について少しお話しましょう。 当時はスタンリーと仕事をするために英国に戻りました。

パブロ:ええ、ちょうどいいタイミングでの電話でした。 もちろん。

ーこの予告編を含めた別のマーケティングキャンペーンですか?

パブロ:そうです。 私はスタンリーに「予告編に使ってほしいショットがあるかい?」と尋ねました。彼は私を見て「なぜ私に尋ねるんだい?パブロ、 あなたならできるよ」と。私はわかったと言いました。 スタンリーは私がその仕事を終えるまで連れて行きました。そして、私はそれをスタンリーに観せると、彼は「あなたはすごい人だ」と言いました。「予告編は映画より優れている」と。 いえ、これはちょっと言い過ぎですね。 映画は素晴らしいです。

アレン(パブロの息子):私が最近知って驚いたことの一つは、パブロはデイリー(編集用下見フィルム)だけを使いました。なぜなら、スタンリーはネガを触ることを許さなかったのです。

パブロ:ええ、スタンリーはたくさんのテイクを撮るので、たくさんの選択肢がありました。 私はスタンリーが採用したテイクに非常によく似ている最高のアウトテイクを使いました。 『時計…』の予告編は、すべてアウトテイクです。

ーどうやってコンセプトを思いついたのですか?タイポグラフィーと音楽から?

パブロ:私は音楽に影響を受けました。私はすべての音楽が大好きです。レイプシーンの音楽は美しかった、『ウィリアムテル序曲』。スタンリーはそれをスピードアップしたので、そのバージョンを使いました。

アレン:『ウィリアムテル序曲』。乱交シーンに使われました。マルコムは、この2人の女の子をショッピングモールのお店でナンパし、ドラッグをして・・・。

パブロ:私はそれは忘れてしまったが、もう少しスピードアップしました。音楽は私が何をすべきか教えてくれました。私はレタリング(ロゴ)とポスターの女性が好きだった。それらを撮り、ライブショットでグラフィックの動きを作った。通常、私は音楽では編集しません。後から音楽を入れますが、今回それははできません。だから、私がやったことはグリースの鉛筆を取り、ムヴィオラで音楽を再生し、すべてのビートにマークすることでした。

アレン:パブロはシンクロナイザーを使いました。ええ、それは素晴らしいです。私はパブロがしばしばそれを使うのを見ました。

パブロ:私はこのようにしましたーここには 4つのフレームがあるだけです、ここでは8つのフレームを使うことができました。 しかし、それを素早く編集するのは難しかった。カットは次のカットと一致する必要がありました。それはジャンプすることはできません。ゆっくりと移動しなければならないので、映像は左側と右側に移動させます。私は俳優がすべての台詞を学ぶように、映画全体を学んだに違いありません。

アレン:それ以来、私はそのような予告編を見たことがありません。

パブロ:私はそれを止める方法を知らなかった。全く止まらないからどかーん!私は観客とそれを見て、観客はすべてのカットに反応していました。

アレン:(笑)音楽と全部、そこでカット!大喜び!それは予想できなかった。

パブロ:私はムヴィオラでリップしたので見直しました!それはとても難しいことです。

アレン:とにかくフィルムでは難しい。

パブロ:誰もが私のやったことを真似しますが、私はまだこの模倣を見たことがありません。



ー映画のオープニングの、さまざまな色のメインタイトルもやったのですか?

パブロ:いいえ、それはしたのはスタンリーです。



(引用元:Art of the TITLE : Pablo Ferro: A Career Retrospective




 パブロ・フェロが『博士…』と『時計…』で素晴らしい仕事をしていたのは知っていましたが、正確にはどの部分を担当したのかはよくわかっていませんでした。このインタビューを読む限り、『博士…』『時計…』とも予告編は全てをパブロ・フェロが担当、タイトルバックはキューブリックとの共同作業だったということがわかります。あと、パブロ・フェロが担当したとわかっているのはコロバ・ミルクバーの壁面のフォントです。『時計…』のポスターなどに使用されているタイトルロゴはフィリップ・キャッスルがデザインしたものですので混同しないようにしたいですね。

 こうして判明してみると、キューブリックはパブロ・フェロの映像センス、特に編集のセンスを高く買っていたことがわかります。あとはオリジナルフォントのデザインですね。手書きでフニャフニャな『博士…』のフォントは、そのままレタリング(清書デザイン)してしまうと背景映像が見えなくなってしまうことを考慮したために出てきたアイデアだったとは。そのレタリングしたフォントとは、映画のエンドクレジットだと想像しています。これについてはTwitterでも同様の指摘がありました。

Strangelove-The-Endこのようにレタリングしてしまえば背景映像が見えなくなってしまうので、一筆書きのフニャフニャなフォントが採用された。

 『時計…』のタイトルバックのフォントもパブロ・フェロの仕事です。以前この記事でキューブリック作品に使われているフォントの特定を試みましたが、この『時計…』のフォントは特定できませんでした。それもそのはず、既製のフォントではなくパブロ・フェロのオリジナルだったのですね。このレタリングのバックに原色の色ベタを使ったのがキューブリックということらしいです。

pablo-ferro

 すでに報じられている通り、パブロ・フェロは2018年11月16日、肺炎の合併症により83歳で逝去いたしました。故人のご冥福をお祈りいたします。
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 「watch mojo」という映画ファンにはおなじみの映画チャンネルがYouTubeにあるのですが、その日本語版が開設されたらしく、2014年5月20日の記事「【関連動画】映画に於ける偉大なアドリブシーン25」でご紹介した動画「Top 10 Improvised Movie Moments」の日本語版がアップされていたのでご紹介。

 キューブリックに関する多くの誤解の中で、一位二位を争う誤解っぷりでファンを困惑させるものに「キューブリックはアドリブを許さない」というものがあります。実際は全くの真逆で、キューブリック作品はアドリブだらけです。それも映画史に名を残す名アドリブばかりなのですが、それはこの動画で『博士の異常な愛情』『時計じかけのオレンジ』『フルメタルジャケット』『シャイニング』と4作品もキューブリック作品が採り上げられていることでも明らかです(多分に動画制作者の好みが反映されているにしても)。

 キューブリック本人もインタビューで

 (脚本は)リハーサルでも状況に応じて変える。撮影現場で重点の置き方が変わることもあるから、シナリオ(脚本)の最終決定稿が完成するのは、撮影現場で最後のショットが終わった時だ。

 監督にとって、どう撮るかは、むしろ簡単な決定で、楽な仕事だ。重要なのはシュート(撮影)する前の段階で、それは撮影するに足る何事かを起こしえるかへの挑戦なのだ、撮る内容をいかに充実したものにするかだ。

(引用元:イメージフォーラム1988年6月号/スタンリー・キューブリック・ロングインタビュー


と、アドリブの重要性(完成した脚本で撮影するのではなく、脚本を足がかりに撮影現場で台本をアドリブで発展させる)を説明していますが、なぜか映画評論家やキューブリックファンを自称する有名人やコメンテーターはこの一次情報を無視し、キューブリック作品から受ける精緻で計算され尽くしている印象から、「アドリブを許さない」という誤解を信じきっています。「印象」を「事実」として「得意げに語る」人が後をたたないため、いち素人がこんなブログでそれを訂正しなければならないハメになっていますが、もうそろそろ「(初期以外の)キューブリック作品のほとんどはアドリブ」という事実を事実として一般に広く定着してほしいものですね。

追記:動画中の『ダークナイト』のアドリブはデマだそうです。まあ、注意深く見れば爆発のタイミングとカメラの動きが計算され尽くしているのがわかりますので、デマだとわかりそうなものです。
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 2018年10月19日から全国一部のIMAXで上映されました『2001年宇宙の旅』IMAX版の上映が終了いたしましたのでレポートしたいと思います。

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 私は諸事情からT・ジョイPRINCE品川で鑑賞いたしました。まず、アスペクト比ですが、例のHALの初出シーンでモニター8つの表示を確認しております。ただ、ギリギリ画面に納めた感じで、70mmに比べて左右に余裕がありませんでした。

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70mmフィルム上映ではもう少し余裕があった。(参考画像)

 オリジナルネガをフィルムに焼くか、デジタルでスキャンするかでは、根本的な制作方法が違うと思いますので、映像データの縁をシャープに出さなければならないデジタルデータの場合、当然オリジナルネガから影響ない範囲で少し内側にカットしなければなりません。おそらくその範疇の問題ではないかと判断しました。IMAXのDCPデータのアスペクト比が4K UHDと同じであれば、オリジナルネガの1:2.2を同比率で若干内側にトリミングしたのだと思います。以下は4K UHDのサンプルです。比率は1:2.2になっています。

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リンク先の元画像は、レターボックスを含んだ画面サイズが2160×3840ピクセル、映像サイズは1745×3840ピクセルの1:2.2。(引用元:blu-ray.com/2001: A Space Odyssey 4K Blu-ray

 また、字幕のフォントが大きすぎ、フォントのエッジにジャギーが出ていた点が気になりました。家庭用TVで見ているバランスで大きさを決めているのだと思いますが、IMAXだと大きすぎます。まあ、観ているうちに気にならなくはなりましたので、4K UHD版のデータを流用しているのなら仕方がないと割り切るしかないでしょう。

 次に色調ですが、ベースは70mにしつつも、70mmにあったシーンによって色調が異なるという問題点を微調整し、なるべくフラットにしたという印象を受けました。それを是とするか非とするかは個々の判断ですが、私個人としては観やすかったので是としたいと思います。それもこれもそれを決めるご本人が不在なのが悪いのですが、今更どうすることもできないので、こればかりは現実的な判断を優先するしかないでしょう。また、デジタルならではのシャープネスが70mmにあった奥行き感を弱めていた印象は残りました。しかし、左側から巨大なディスカバリー号がどどーんと現れた時には度肝を抜かれ、そのディテールの作り込みにも改めて関心してしまいました。キューブリックがモデルの仕上がりに徹底的にこだわった結果なのですが、50年も経っているのにリアリティを失わないそのクオリティにはただただ驚くばかりです。

 一部で報告があった「人工衛星がカクカク動く問題」ですが、気になった上映館もあったそうです。ということはこの「カクカク」はソースの問題ではなく、上映設備の問題だと判断できるので、4K UHD版では問題ないでしょう。

 今後改善していただきたいのが音源です。70mm版の時も気になりましたが、やはり音源の音圧が足りていない印象です。音圧がない音源の音量を上げればたちまちノイズ感が増してしまいます。IMAXの音響設備は優れているのですが、上映館によっては圧が足りていなかった、ノイズが気になったという報告もあるようです。それはどの上映館でも共通して高い品質の音響をアウトプットできるだけの音源ではないからです。それが困難なのは百も承知ですが、なんとか音源の回復・復元をお願いしたいと思います。

 最後に上映フォーマットですが、70mmフィルム上映のフォーマットに各上映館ができる範囲で対応した、という点を高く評価したいと思います。IMAXにはカーテンがありませんので、それは仕方ないにしても、なるべく当時の上映環境に近づけようとする各館の努力に、『2010年』との併映で、前奏も休憩もエンドロール後のドナウもカットした「ぶった切り」上映を観ている管理人としては(笑、惜しみない拍手を贈りたいと思います。尚、ドナウ後にはメタリックなワーナーロゴとIMAXロゴを確認済みです。

 以上ですが、今回のIMAX上映を存分に楽しませていただいた嬉しさの反面、今後『2001年…』を鑑賞するのにシネコンのDCPでは満足できない体になってしまった、とも言えます(笑。池袋や川崎、札幌や名古屋など、4KレーザーIMAXが開館予定になっていますし、今後8Kにスペックアップする可能性も高いです。また、特設会場設営によるシネラマ完全再現上映(デジタルでないと難しいとは思いますが・・・)という夢も抱かざるを得ません。これらは将来の夢として楽しみにとっておきたいと思いますが、できましたらまた50年後とは言わず、近い未来で実現していただけたら嬉しいですね。
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ufo

 キューブリックがスターゲート・シークエンスになんとか「説得力のある」宇宙人を登場させようと四苦八苦していたことは、本人の口からも語られていますが、アーサー・C・クラークの小説版に登場した異星人の「紡錘形宇宙船」も映像化が試みられていたようです。以下はその該当部分。

 だが残骸のことはことはすぐに忘れた。何かが地平線の向こうから現れたのだ。
 はじめ、それは平たいディスクに見えた。だがそう錯覚したのは、物体がほとんど正面からこちらに向かってきたからである。近づき、真下を通過したところで、それが全長二百メートルほどの紡錘形であることがわかった。胴体を取り巻く帯がところどころにうっすらと見えるが、見定めるのは難しい。見たところ物体はたいへんな高速で、振動というか回転しているようなのだ。
 前部と後部はともに先細りで、推進装置らしきものは見えない。唯一、人間の目に異質さを感じさせないのは、その色だった。もしそれが確固とした人工物であり、幻覚ではないのなら、その建造者にも人間と共通する感情がいくらかはあるに違いない。だが能力や技術の限界が、人間と重なり合っていないのはたしかだった。紡錘型宇宙船は、どうやら黄金製らしいのだ。
 ボーマンは後部観測装置のほうに首をめぐらし、遠のく船を眺めた。船は彼をまったく無視したうえ、いまは高度を下げ、地表にたくさんあいた巨大なトンネルのひとつに入るところだった。数秒のち、船は一瞬金色のきらめきを残し、惑星の内奥に消えた。不気味な空の下でふたたびひとりぼっちになると、孤独と絶望感がいっそう身にこたえてきた。

(引用元:決定版『2001年宇宙の旅』第41章 グランド・セントラルより)


 このように、紡錘型の形状から胴体を取り巻く帯、金色に至るまで上記画像と酷似しています。ただ、決定打になるような情報はありませんので、これはあくまで推測の域を出ませんが、ここまで特徴が共通しているのなら確定と判断しても良いかと思います。

 キューブリックは小説版の通りなら、この金色で縞模様の紡錘型宇宙船をスターゲートの地平線からこちらに向かって漂わせようとしたのだと思いますが、想像しただけでも「カッコ悪い」としか言いようがありません(笑。ですので、不採用の判断は全くもって正しかったと言えますね。
(考察協力:Shin様)
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