キューブリックブログ記事

    このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote
47669d14

Cannes Film Review: ‘Filmworker’

Leon Vitali, who left acting to be Stanley Kubrick's right-hand man, is the subject of an arresting cinemaniac documentary.

〈以下略〉

(全文はリンク先へ:Variety/2017年5月19日




 今年のカンヌ映画祭でキューブリックの新作ドキュメンタリー『フィルムワーカー(Filmworker)』が上映されたようです。詳細はまだわかりませんが、記事によるとレオン・ヴィタリの証言を中心にしたドキュメンタリーで、出演者にはライアン・オニール、マシュー・モディーン、ダニー・ロイド、リー・R・アーミーなどの名前が挙がっています。現在のインタビュー出演としてはオニールとアーミーは確実で、その他はライブラリー出演か否か不明です。IMDbにも情報が上がっています・

 レオン・ヴィタリは『バリー…』以降のキューブリックを一番よく知る人物なのでその証言には興味があります。特典映像としてボックスセット等に収録されるのを期待したいですね。
[ブログランキング参加中]  にほんブログ村 映画ブログ 映画監督・映画俳優へ      


〈PR〉
〈PR〉

〈PR〉
〈PR〉




    このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote


 奥行き方向の線が全て消失点という一点に収束するように放射状になっている構図「一点透視図法」など、スタンリー・キューブリック作品の中にはさまざまな撮影手法が取り入れられています。その中で、あまり語られることない「プラクティカル・ライティング」についてキューブリックが残した功績を、YouTubeチャンネルのEntertain The Elkが解説しています。

〈以下略〉

(全文はリンク先へ:Gigazine/2017年4月29日




 この記事にある「プラクティカル・ライティング」ですが、プラクティカルとは「実用的・実践的」という意味です。ただ「実用的照明」と直訳してしまうとピンと来ないと思ったので、私判断ですが噛み砕いた表現としてこれを「現実的照明」と訳し、以前こちらで記事にしました。Gigazineの記事ではこの「プラクティカル・ライティング」の定義を「光源が映像の中に視覚的に現れている状態」と説明していますが、端的に言えば「ロケであれ、セットであれ、そこに現実にある照明(自然光を含む)をそのまま利用する撮影方法」という意味です。

 キューブリックは旧来ハリウッド映画で行われてきた三点照明を否定していました。キューブリックは報道(ドキュメンタリー)カメラマン出身という特異な経歴を持つ映画監督です。報道カメラマンはスタジオ撮影が主なファッションカメラマンとは違い、報道現場が撮影現場です。当然照明は「今現在そこにあるもの」しか存在しません。フラッシュを使う方法もありますが、キューブリックはフラッシュ撮影に伴う「不自然な写真」を好まず、フラッシュを使うにしてもそれを感じさせない自然な使い方(現在はバウンスライトとして一般化している)を得意としていました。そのキューブリックが映画監督になり、不自然な照明がテカテカと当たりまくる三点照明を好まなかったのは当然と言えます。また、それを強要された『スパルタカス』(不自然な三点照明が頻出する)がいかにキューブリックの意図に反するものかもよく理解できるかと思います。

 ただ、注意して欲しいのはいくら「光源が映像の中に視覚的に現れている状態」とは言っても、それだけでは実際の撮影時には限界がきてしまいます。自然光だけを使っていれば撮影中に天候や陽の傾きによって色調が変わってしまいますし、ロウソクの光だけではフィルムが感光するだけの十分な光量を得られません。そこでキューブリックは現実そこにある光源を補う形で照明を使用しました。『バリー…』のロウソクのシーンでは気づかれない程度に人工照明を使っていますし、セットでもセットの光源以外に様々な照明をフレームの外から使っています。その一例が下記の動画『Making The Shining』のワンシーンです。14:05のシーンではカメラマンの胸に裸電球を置き、その上に光を和らげるレフ板をかざしています。これは真下から撮ると逆光になってしまい、ニコルソンの顔が暗く潰れて見えなくなってしまうのを防ぐためで、不自然さを感じさせない、ほんの僅かな光をニコルソンの顔に当て、ニコルソンの「顔芸」を撮影しています。このようにキューブリックは、現実そこにある照明をそのまま「利用」(それだけを「使用」したわけではない)した撮影方法を貫き、それは現在のハリウッドでは一般化しました。それを促進させたのがキューブリックの大きな功績の一つと言えるでしょう。




 以上のことが理解できればGigazineの言う「光源が映像の中に視覚的に現れている状態」という説明に違和感があるのが理解できるかと思います。Gigazineの説明を補足すれば「光源が映像の中に視覚的に現れている状態に見えるよう、見えない位置で補助照明を巧みに使う」というのが正しい説明です。因みに日本の現場では「光源主義」という言葉が使われているそうです(ソースはこちら)。「プラクティカル・ライティング」も「現実的照明」も「光源主義」も同じ意味です。ただ「光源が映像の中に視覚的に現れている状態」という説明が舌足らずであるのは理解していただけるかと思います。

 キューブリックは照明を巧みに操って「作品の独特の世界観」をプラクティカル・ライティングで「リアルに映し撮り」ました。そういった観点からキューブリック作品を楽しむのも一興かと思います。ぜひお試しあれ。
[ブログランキング参加中]  にほんブログ村 映画ブログ 映画監督・映画俳優へ      

    このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote
2001_TeeHoodie_Twitter_1024x1024

 以前全米で行われた『時計…』の特別上映で、前売り特典のTシャツを制作していた映画グッズの制作・販売会社「モンド」から、今度は『2001年…』のファッションアイテムが発売になりました。

 ワーナーから正式にライセンスを獲得しただけあって、クオリティも申し分ないですね。個人的には一見『2001年…』とはわからない「COMPUTER MALFUNCTION」のTシャツが好みですが、赤は似合わないからなあ。日本への発送が可能かどうかわかりませんが、25〜49ドル(約2,800円〜5,500円)ですので、もし買われた方がいらっしゃいましたら是非掲示板に感想を書き込んでください!

 その他のアパレルグッズはこちら。『時計…』もカッコイイですね。
[ブログランキング参加中]  にほんブログ村 映画ブログ 映画監督・映画俳優へ      

    このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote
2WALhoI_1
※クリックで拡大


 非常に興味深い資料です。1965年7月9日作成のもののようですが、この時点では撮影は特撮部分も含めて1966年9月中旬で終わらせる予定だったんですね。引き続き年内はポストブロダクションに当てて、公開は1967年初頭と考えていたようです。ところが大幅にスケジュールがずれ込んでしまい、1967年になっても撮影は続き、カチンコによると1968年3月6日、つまり公開直前まで行われていました。

IMG_0510-43
※シーン欄の「SJA」が何を示すのかは不明。キューブリックは誰が観ても納得する説得力のある宇宙人を登場させるため、ギリギリまで粘っていたそうなので、そのシーンかもしれない。

 あと「LOCATION」の文字も興味深いです。この時点ではロケも考えられていたんでしょう。撮影開始は1965年11月からとなっていますが、実際は1965年の年の瀬からでした。既に約二ヶ月の遅れですが、これはキューブリックの「徹底したこだわり主義のせい」と言えるでしょう(笑。有名な「クラークがアリエス1B宇宙船のコクピット内装を、中華レストランに見えると口走ったばっかりに、キューブリックがスタッフにセットの作り直しを命じた」事件は1965年11月10日ですので、その影響もあるでしょう。

 キューブリックはスタジオ側のスケジュールに縛られず、「完成したら公開する」という絶対的権限を持っていた監督です。他の監督がキューブリックに憧れるのは、こういった点が羨ましいと思われているのも一因でしょう。しかしその権限は長い間の苦労と強い意志、そして絶え間ぬ努力と闘争によって獲得したのだという事実は忘れないでほしいですね。
[ブログランキング参加中]  にほんブログ村 映画ブログ 映画監督・映画俳優へ      

    このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Share on Tumblr Clip to Evernote


 1960年代くらいまでのハリウッドは動画の説明にある通り、全体を明るく照らすキーライト、影に当てる補助光のフィルライト、輪郭を強調するために後ろから当てるバックライトの三点照明が一般的でした。しかし報道カメラマン出身のキューブリックは、いかにも「スアジオ内で撮影されました」感ありありのこのライティングを好まず、初期の頃から「自然光撮影」を好んで採用してきました。ただ、この「自然光撮影」という言葉は自然光、つまり人工照明を一切使わず、天然の自然光のみで撮影されたかのような印象を与えてしまうのであまり適切とは言えません。この動画のタイトルも「Practical Lighting(現実的照明)」となっていますので、当ブログでも今後は「現実的照明」もしくは「現実照明」という表現を採用したいと思います。

 キューブリックは屋外ロケでも屋内ロケでもスタジオ撮影でも、「現実にそこにある光源」をそのまま利用するソース・ライティングを基本に、それを補助したり、強調したりする目的で照明を使用しました。よく引き合いにだされる『バリー…』でのロウソクのシーンですが、ロウソクの光源だけで撮影したわけではなく、気付かれない程度に補助的に人工照明も使用しています。

 また、キューブリックはセットも照明の効果を最大限に引き出すことを考慮したデザインをさせ、『シャイニング』ではニコルソンの狂気の表情をより効果的にするためにバーカウンターにライトを仕込んだり、トイレのドアをノックするシーンでは、さりげなくテーブルランプを顔の下に置いたりしています。さらに『アイズ…』では照明が与える視覚的な印象を最優先に考えて、劇中の時期をクリスマスにしたのだと考えられます。クリスマスのイルミネーションや室内のクリスマスツリーの輝きが、妖しい物語全体を美しく彩っています。それはキューブリックが照明が映像に与える効果を計算の上、脚本に干渉して物語の時期を指定したのでしょう。

 こういった「視覚優先」の映画作りができるのも、キューブリックが映画制作の全権を掌握しているからに他なりません。分業制が確立し、それぞれの役割を果たす権利を、それぞれが強固に握っているハリウッドではセットデザイナーや脚本家の意見が優先され、いかに監督といえどもそれを簡単に覆すことはできません。キューブリックはインタビューでハリウッドに背を向けた理由を「スキャンダルや噂話など、映画制作に関係ないことで煩わされたくないから」と応えていますが、この「分業制と権利意識による弊害」を嫌ったのも大きな理由だと思います。

 『007私が愛したスパイ』で、敵基地のセットデザインをピカピカにしてしまったケン・アダムは、どう照明を当てていいのか途方に暮れた挙句にキューブリックに助けを求めたというエピソードからも、いかにキューブリックの「照明に対する知識と経験の豊富さ」が周囲に認められていたかを伺い知ることができますね。
[ブログランキング参加中]  にほんブログ村 映画ブログ 映画監督・映画俳優へ      

このページのトップヘ