キューブリック作品で印象的な台詞・言葉

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 小説の英語版『時計じかけのオレンジ』の巻末に掲載されていた「ナッドサット言葉辞典」を和訳したものに、映画版で使用された言葉を「※」で追加しました。オレンジ色の言葉が映画版で使用されたものです。表記は「原語(日本語表記)|英語での意味(その和訳)」です。言語のルーツは省略しましたが知りたい方は出典を参照ください。間違いなどありましたら掲示板でご指摘ください。その際は「誠に恐縮アピ・ポリ・ロジー」。





Appypolly loggy(アピ・ポリ・ロジー)|Apology(お詫び)



Baboochka(バブーチカ)|Old woman(老女)
Baddiwad(バッディワッド)|Bad(悪い)
Banda(バンダ)|Band(ギャング)
Bezoomy(ビズムニー)|Mad(狂った)
Biblio(ビブロ)|Library(図書館)
Bitva(ビトバ)|Battle(戦い)
Bog(ボッグ)|God(神様)
Bolnoy(ボルノイ)|Sick(病気)
Bolshy(ボルシャイ)|Big(でかい)
Bratchny(ブラッチニー)|Bastard(クソ野郎)
Bratty(ブラッティ)|Brother(兄弟・友達)
Britva(ブリトバ)|Razor(カミソリ)
Brooko(ブロッコ)|Belly(腹)
Brosay(ブロショイ)|Throw(投げる)
Bugatty(ブガティ)|Rich(豊かな)



Cal(カル)|Shit(クソ)
Cancer(ガン)|Cigarette(タバコ)
Cantora(キャントラ)|Office(事務所)
Carman(カーマン)|Pocket(ポケット)
Chai(チャイ)|Tea(紅茶)
Charlie(チャーリー)|Chaplain(牧師)
Chasha(チャシャ)|Cup(カップ)
Chasso(チャソー)|Guard(守る)
Cheena(チーナ)|Woman(女)
Cheest(チェースト)|Wash(洗う)
Chelloveck(チェロベック)|Fellow(男・人)
Chepooka(チープカ)|Nonsense(ナンセンス)
Choodessny(チューデセニー)|Wonderful(素晴らしい)
Chumble(チャンブル)|Mumble(モグモグ言う)
Clop(クロップ)|Knock(ノック)
Cluve(クルーブ)|Beak(くちばし)
Collocol(コロコル)|Bell(ベル)
Crark(クラーク)|Yowl(啼き声)
Crast(クラスト)|Steal(盗み)
Creech(クリーチ)|Scream(悲鳴)
Cutter(カッター)|Money(小銭)



Dad(ダッド)|パパ※
Dama(ダーマ)|Lady(女性)
Ded(デッド)|Old Man(老人)
Deng(デング)|Money(お金)
Devotchka(デボチカ)|Girl(女の子)
Dobby(ドッディ)|Good(良い)
Domy(ドーミー)|House(家)
Doobidoob(ドゥービードゥー)| 分かった※
Dook(ドーク)|Ghost(幽霊)
Dook(ドゥーク)|常識※
Dorogoy(ドロブイ)|Valuable(価値のある)
Drat(ドラト)|Fight(喧嘩)
Drencrom(ドレンクロム)|A drug(麻薬の一種)
Droog(ドルーグ)|Friend(仲間)
Droogy(ドルーギー)|(仲間たち)※
Dva(ドヴァ)|Two(2)



Eegra(イーグラ)|Game(ゲーム)
Eemya(イーマ)|Name(名前)
Eggiweg(エッギィウェッグ)|Egg(卵)
Em(エム)|Mum(ママ)



Fagged(ファゲッド)|Tired(つまらない)
Filly(フィリー)|Play(弄ぶ)
Firegold(ファイヤゴールド)|A particular drink(麻薬の一種)
Forella(フォレラ)|Trout(クソババア)



Gazetta(ギャゼッタ)|Newspaper(新聞)
Glazz(グラズ)|Eye(目)
Glazzy(グラジー)|Eyes(両目)※
Gloopy(グルーピー)|Stupid(バカ)
Godman(ゴッドマン)|Priest(聖職者)
Golly(ゴリー)|Unit of Money(お金の単位)
Goloss(ゴロス)|Voice(声)
Goober(グーバー)|Lip(唇)
Gooly(ゴーリー)|To Walk(歩く)
Gorlo(ゴルロー)|Throat(喉)
Govoreet(グブリ)|To speak(話す)
Grazhny(グラジニー)|Dirty(汚い)
Grazzy(グラジー)|Soiled(汚れる)
Gromky(グロムキー)|Loud(うるさい)
Groody(グルーディ)|Breast(胸)
Gruppa(グルッパ)|Group (グループ)
Guff(ガフ)|Laugh(笑う)
Gulliver(ガリバー)|Head(頭)
Guttiwuts(ガディワッツ)|Guts(内臓)



Hen-korm(ヘン・コーン)|Chickenfeed(はした金)
Hi,hi,hi,there(ハイハイハイゼア)|やあみんな※
Horn(ホーン)|To Cry Out(大声で叫ぶ)
Horrorshow(ホラーショー)|Good, well(素晴らしい)
Hound-and-Horny corny (ハウンド・アンド・ホーニーコーニー)|corny(陳腐)



In-out-in-out(インアウト・インアウト)|Sex(セックス)
Interessovat(インタレソバット)|To interest(興味を持つ)
Itty(イッティ)|To go(行く)



Jammiwam(ジャミワム)|Jam(ジャム)
Jeezny(ジーズニー)|Life(人生)



Kartoffel(カートフェル)|Potatoes(ジャガイモ)
Keeshkas(キーシュカ)|Guts(内臓)
Kleb(クレブ)|Bread(パン)
Klootch(クルーチ)|Key(鍵)
Knifey moloko(ナイフィー・モロコ)|麻薬入り牛乳※
Knopka(ノプカ)|Button(ボタン)
Kopat(コパト)|To Dig(掘る)
Koshka(コシュカ)|Cat(猫)
Kot(コット)|Tomcat(オス猫)
Krovvy(クルービー)|Blood(血)
Kupet(クーペット)|To Buy(買う)



Lapa(ラパ)|Paw(前足)
Lewdies (リューディ)|People(人々)
Lighter(ライター)|Crone(複製)
Litso(リッツォ)|Face(顔)
Lomtick(ロムチック)| Slice(スライス)
Loveted(ラブテッド)|Caught(捕えられた)
Lubbilubbing(ラブラビング)|Making love(性行為)
Luscious Glory(ラシャス グローリー)|Hair(髪)



Malchick(マルチョック)|Boy(少年)
Malenky(マレンキー)|Little(ちょっと)
Maskies(マスキー)| マスク※
Maslo(マスロ)|Butter (バター)
Merzky(メルズキー)|Filthy(不潔な)
Messel(メッセル)|Thought(考え)
Mesto(メスト)|Place(場所)
Millicent(ミリセント)|Policeman(警察官)
Minoota(ミノータ)|Minute(分)
Milk plus(ミルク・プラス)| 麻薬入り牛乳※
Molodoy(モロドイ)|Young(若い)
Moloko(モロコ)|Milk(牛乳)
Moloko plus(モロコ・プラス)|麻薬入り牛乳※
Moodge(ムージ)|Man(人)
Morder(モルダー)|Snout(鼻)
Mounch(マンチー)|Snack(軽食)
Mounch-wunching(マンチー・ウンチング)|軽食を食べている※
Mozg(モズグ)|Brain(脳)
Mum(マム)|ママ※



Nachinat(ナッチナット)|To Begin(始める)
Nadmenny(ナッドメニー)|Arrogant(尊大な)
Nadsat(ナッドサット)|Teenage(10代)
Nagoy(ナゴイ)|Naked(裸)
Naughty,Naughty,Naughty!(ノーチーノーチーノーチー!)|いけないンだ!※
Nazz(ナズ)|Fool(馬鹿)
Neezhnies(ニーズニー)|Underpants(下着)
Nochy(ノチー)|Night(夜)
Noga(ノガ)|Foot(足)
Nozh(ノズ)|Knife(ナイフ)
Nuking (scent) Smelling (of perfume)(ナキング・スメリング)|to smell, take a whiff(匂いを嗅ぐ)



Oddy-knocky(オッディ・ノッキー)|Lonesome(一人ぼっち)
Odin(オディン)|One(1)
Okno(オクノ)|Window(窓)
Oobivat(ウービバット)|To Kill(殺す)
Ookadeet(ウーカビート)|To leave(去る)
Ooko(ウーコ)|Ear(耳)
Oomny(オムニ)|Clever(賢い)
Oozhassny(ウザースニー)|Terrible(ひどい)
Oozy(ウージー)|Chain(鎖)
Orange(オレンジ)|Man(男)
Osoosh(ウースシュ)|To Dry(乾かす)
Otchkies(オチキー)|Eyeglasses(眼鏡)



Pan-handle(パンハンドル)|Erection(勃起)
Pee(ピー)|Father(パパ)
Pee and Em(ピーアンドエム)|両親※
Peet(ピート)|To Drink(飲む)
Pishcha(ピスチャ)|Food(食べ物)
Platch(プラッチ)|To Cry(泣く)
Platties(プラティ)|Clothes(服)
Plenny(プレニー)|Prisoner(囚人)
Plesk(プレスク)|Splash(跳ねる)
Pletcho(プレチョー)|Shoulder(肩)
Plott(プロット)|Flesh(肉体)
Podooshka(ポドーシュカ)|Pillow(枕)
Pol(ポル)|Sex(セックス)
Polezny(ポレズニー)|Useful(役に立つ)
Polyclef(ポリークレフ)|Skeleton key(合鍵)
Pony(ポニー)|To understand(理解する)
Poogly(プーガリ)|Scared (怯えた)
Pooshka(プーシカ)|Gun (銃)
Pop-disk(ポップディスク)|Pop-music disc(ポップレコード)
Prestoopnik(プレストゥプニク)|Criminal(犯罪者)
Pretty Polly(プレティ・ポリー)|Money(大金)
Privodeet(プリヴォディート)|To lead somewhere(どこかに導く)
Prod(プロッド)|To produce(生じる)
Ptitsa(プティッツァ)|Girl(女)
Pyahnitsa(ピャニトサ)|Drunk(酔う)



Rabbit(ラビット)|Work(仕事)
Radosty(ラドシー)|Joy(喜び)
Raskazz(ラスカズ)|Story(物語)
Rasoodock(ラズードックス)|Mind(思案中)
Raz(ラズ)|Time(時間)
Razdrez (ラズドラズ)|Upset(動揺)
Razrez(ラズレズ)|To Rip(破る)
Rooker(ルッカー)|Hand(手)
Right,right(ライト・ライト)|OK※
Rookerfull(ルッカフル)| 雀の涙※
Rot(ロット)|Mouth(口)
Rozz(ロズ)|Policeman(刑事)



Sabog(サボグ)|Shoe(靴)
Sakar(サカール)|Sugar(砂糖)
Sammy(サミー)|Generous(寛容な)
Sarky(サーキー)|Sarcastic(皮肉な)
Scoteena(スコチーナ)|Cow(獣のようなメス牛)
Shaika(シャイカ)|Gang(ギャング)
Sharp(シャープ)|Female(女性)
Sharries(シャーリーズ)|Balls(ボール)
Shest(シェスト)|Pole(ポール)
Shilarny(シラルニー)|Concern(心配)
Shive(シーブ)|Slice, cut(薄く切る)
Shiyah(シーヤー)|Neck(首)
Shlaga(シュラガ)|Club(クラブ)
Shlapa(シュラパ)|Hat(帽子)
Shlem(シュレム)|Helmet(ヘルメット)
Shoom(シューム)|Noise(騒音)
Shoot(シュート)|Fool (馬鹿)
Sinny(シニー)|Movies, film(映画)
Skazat(スカザット)|To say(言う)
Skolliwoll(スコリウォル)|School(学校)
Skorry(スコリー)|Quick, quickly(早く)
Skriking(スクリキング)|Scratching(引っ掻く)
Skvat(スクバット)|To Grab(つかむ)
Sladky(スラブキー)|Sweet(甘い)
Sloochat(スルーチャット)|To happen(起こる)
Slooshy,Slooshied(スルージー、スルーシュ)|To listen, hear(調べ・聴く)
Slovo(スロボ)|Word(言葉)
Smeck(スメック)|Laugh(笑い)
Smot(スモット)|To look(見る)
Sneety(スニーティ)|Dream(夢)
Snoutie(スヌーティ)|Tobacco, snuff(嗅ぎタバコ)
Snuff It(スナッフ イット)|To Die(ぶっ裂く・死にたい)
Sobirat(ソビラット)|To Pick Up(拾う)
Sod(ソド)|Bastard、Sodomite(アナル野郎)
Sodding(ソッディング)|Fucking、Sodomy(クソッタレ)
Soomka(スームカ)|Bag(醜い)
Soviet(ソビエト)|Advice, order(アドバイス、命令)
Spat, Spatchka(スパット、スパチカ)|Sleep(睡眠)
Spoogy(スプーギー)|Terrified(おびえる)
Staja(スタージャ)|State Jail(刑務所)
Starry(スタリー)|Old, ancient(古い)
Steakywakes(ステーキウェイクス)|ステーキ※
Strack(ストラック)|Horror(恐怖)
Synthmesc(シンスメスク)|A particular drug(麻薬の一種)



Tally(トーリー)|Waist(腰)
Tashtook(タッシュトゥック)|Handkerchief(ハンカチ)
Tass(タス)|Cup (カップ)
Tolchock(トルチョック)|To hit(殴る)
Toofles(トーフル)|Slippers(スリッパ)
Tree(ツリー)|Three(3)


Ultra-violence(アルトラバイオレンス)|超暴力※



Vareet(ヴァリート)|To cook up(料理する)
Vaysay(ヴァイセイ)|Washroom, toilet(トイレ)
Veck(ベック)|Guy(男)
Vellocet(ベロセット)|A particular drug(麻薬の一種)
Veshch(ベスチ)|Thing(もの)
Viddy(ビディー)|To see(見る)
Voloss(ボロス)|Hair(髪)
Von (ボン)|Smell (におい)
Vonny(ボニー)|くさい※
Vred(ヴレッド)|To Harm(危害を加える)



Warble(ウォーブル)|Song(歌)
Well,well,well(ウェルウェルウェル)|あれあれあれ※
Welly,welly,welly,welly,welly,welly,well!(ウェリーウェリーウェリーウェリーウェリーウェリーウェル!)|これはこれは!※
Wunching(ウンチング)|食べる※



Yahma(ヤーマ)|Hole(穴)
Yahoody(ヤホーディ)|Jew(ユダヤ人)
Yahzick(ヤジック)|Tongue(舌)
Yarbles(ヤーブル)|Balls, testicles(睾丸)
Yarblockos(ヤーブロッコ)|睾丸野郎※
Yeckate(イェッケト)|To Drive(運転)
Yes?(イエース)|あン?※



Zammechat(ザメチャット)|Remarkable(驚くべき)
Zasnoot(ザスノート)|To Sleep(眠る)
Zheena(ジーナ)|Wife(妻)
Zoobies(ズービー)|Teeth(歯)
Zvonock(ズボノック)|Doorbell(ドアベル)
Zvook(ズブーク)|Sound(響き)

(出典:Nadsat Dictionary Reprinted from the novel "A Clockwork Orange"

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unkleum
※アメリカ陸軍による兵員募集ポスター。この人物が「アンクル・サム」。

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※アンクル・サムをハートマン軍曹に変えたパロディ・ポスター。

 アンクル・サム(Uncle Sam)は、アメリカ合衆国を擬人化した架空の人物。アメリカ合衆国の象徴とされる。また、アメリカ人一般をさすこともある。United States(アメリカ合衆国)と頭文字が同じU・Sなためこう名付けられたとされる。日本語としてはサムおじさんとも呼ばれる。

(引用先:wikipedia:アンクル・サム


 ハートマン軍曹のミニタリー・ケイデンス(訓練歌)で「アンクル・サムが大好きな、俺が誰だか教えてよ(I love working for Uncle Sam Let me know just who I am)」と歌われていましたが、ニュアンスを考えて意訳するとアンクル・サム=U・S=アメリカなので「アメリカを愛してる俺様を、一体誰だか知ってるかい?」となり、続けて「1、2、3、4、アメリカの海兵隊! 1、2、3、4、俺の愛する海兵隊!(1,2,3,4, United States Marine Corps! 1,2,3,4, I love the Marine Corps!)」となるので、愛国心や海兵隊に対する忠誠心を示す歌だということがわかります。

 ただ「アンクル・サム」自体が「アメリカおじさん」的な扱いなので、決して盲目的に愛国心を煽っているようには感じられません。それはベトナム戦争当時の徴兵制度で、一部の高所得者層の子弟は大金を払って弁護士を雇い、徴兵を免れていたという現実があるからです。パリス・アイランドに集められた新兵たちは、それができなかった中間所得者層以下の若者たちでした(教育レベルの低い層である事はスノーボールの「本の車庫」という台詞によって端的に示されている)。彼らは「本当は戦場なんて行きたかねえよ。だいたい金持ち連中は兵役逃れて反戦運動とか気楽なことやってんじゃん。なんで俺たちだけこんな目にあわなきゃいけないんだ?」という意識を持っていました。もちろん教官であるハートマン軍曹もその事は十分知っているので、この歌に限らず罵詈雑言のいちいちが皮肉に満ちているのはそのためです。大学生(当時は高所得者しか行けなかった)の多くを銃殺したチャールズ・ホイットマンを賞賛したり、戦争を他人事のようにクリスマスを祝う銃後の連中への当て付けに「ハッピー・バースデー・ディア・ジーザス」と歌う軍曹が愛されているのは、こういった新兵たちの心理をよく理解していたからなのです。
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 『2001年…』でフランク・プールが受け取った地球からのバースデー・ビデオメッセージの最後に父親が言った台詞。何故か映画監督のジョン・ランディスがこの台詞を気に入ってしまい、自作品の中で度々言及しています。その登場シーンを集めた動画がこちら。



 最初から順に『ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー』(監督はギレルモ・デル・トロ)『ケンタッキー・フライドムービー』『狼男アメリカン』『マイケルジャクソン/スリラー(PV)』『ブルース・ブラザース』『スパイ・ライク・アス』。英語版wikiによるとこれ以外にこんなにも言及が・・・。何故ここまでランディスを駆り立てるのか、それはランディス本人のみぞ知る、です。
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「ドナー隊が遭難した所ね」
「もっと西だ。シエラ山脈だ」
「ドナー隊って?」
「幌馬車隊だ。雪に閉じ込められてひと冬を過ごしたんだ」
「そして生きるために人肉を食べた」
「仲間の肉を食べたの?」
「そうさ、生きるためさ」
「やめて」
「いいんだ、知ってるよ。テレビで見たもの」
「話したって平気さ、どうせテレビで見てる」

 ドナー隊(-たい、Donner Party)、あるいはドナー=リード隊 (Donner-Reed Party) とは、1846年の春、アメリカの東部からカリフォルニアを目指して出発した開拓民のグループである。彼らは旅程の遅れのために、1846年晩秋から47年早春までシエラネバダ山脈山中での越冬を余儀なくされ、過酷な環境の中で多数の餓死者や凍死者を出した。生存者たちは、必然的にカニバリズム(人肉食)に走らざるを得なかった。

 アメリカ西部への幌馬車による旅は、大抵の場合は6ヶ月を必要とする。しかしドナー隊はヘイスティングズ・カットオフと呼ばれる近道を選択したところ悪路に阻まれ、さらにワサッチ山脈やグレートソルト湖周辺の砂漠地帯を越え、ハンボルト川の谷に従って進みネバダ州に至る間に多くの幌馬車と家畜を失い、グループ内にも分裂が生じた。

 1846年11月、一行はカリフォルニアに至る最後の障壁・シエラネバダ山脈に差し掛かる。しかし早い冬の訪れに伴う大雪に阻まれ、海抜2,000mに位置するトラッキー湖(現在では、ドナー湖と呼ばれている)湖畔での越冬を余儀なくされる。食料は早い段階で尽き、幾人かは雪の山脈を越えてカリフォルニアに助けを求めた。しかし救援隊は1847年2月になるまで到着せず、結局一行87人のうち、生きてカリフォルニアの地を踏んだのは48人だった。歴史家は、この事件を西部開拓史における壮大な悲劇と位置付けている。

(wikipedia「ドナー隊」より)


 トランス一家がホテルに向かう車中で話題にする「ドナー隊の悲劇」。原作でも言及のあるこの台詞はキューブリック版では重要な意味を持っています。上記のwikiの説明にもあるように、これは「西部開拓史における壮大な悲劇」でした。でもそれはアメリカ大陸を我が者顔で侵略した白人達にとっての「悲劇」であって、永らく住んでいた土地を追われ、迫害されていたネイティヴ・アメリカンにとっては「天罰」とも言えるものであったろう事は想像に難くありません。当時のアメリカでは「マニフェスト・デスティニー」という思想が一般的で、これは非文明社会を文明化するのは白人の役目だという実に傲慢なものです。そういった思想の元に西部を目指したドナー一家が見舞われたこの事件にキューブリックが言及したのは、この物語で白人達を狂わせ、お互いを殺害するよう仕向けている悪霊の正体が、その迫害されたネイティブ・アメリカンの怨念である事を示唆する為なのです。

 このネイティヴ・アメリカンへの言及は劇中内で頻出しています。ところが日本では物語の根幹に関わるこの観点から『シャイニング』を語る論評が殆ど見られません。『シャイニング』にアメリカ公開版と国際版がある理由、アメリカにおいて『シャイニング』が最も恐ろしい映画として評価されている理由はここにあると思うのですが、これにつきましてはいずれ検証・考察として記事にまとめたいと思います。

▼この記事の執筆に当たり、以下の記事を参考にいたしました。
THE MADISONS/ドナー隊の遭難

※上記のサイトではカニバリズムに至るまでの経緯を半ば面白可笑しく書いてますが、オーバールック・ホテルが建つコロラド州ロッキー山脈から、ドナー隊の遭難したシエラネバダ山脈までは距離があります。なのにあえてこの話題に触れているのは、こういった凄惨な地獄絵図が繰り広げられた地方である事を観客に意識させるためです。日本で言えばさしずめ「八甲田山山中に建つホテル」といったところでしょうか。そんなホテルの冬期管理人を、もしあなただったら引き受けますか?そしてもし引き受けたとして・・・春まで正気でいられますか?
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 『シャイニング』のバーシーンでジャックがロイドにバーボン・オン・ザ・ロックを作ってもらいながら呟く台詞ですが、訳では「酒は白人の呪いだ、インディアンは知らん」となっています。しかし、調べてみるとイギリスの作家で詩人のラドヤード・キップリングが1899年に詠んだ詩『White Man's Burden(白人の責務)』を指しているようです。以下はその詩と訳になります。

The White Man's Burden

Take up the White man's burden --
Send forth the best ye breed --
Go bind your sons to exile
To serve your captives' need;
To wait in heavy harness
On fluttered folk and wild --
Your new-caught, sullen peoples,
Half devil and half child.

Take up the White Man's burden --
In patience to abide,
To veil the threat of terror
And check the show of pride;
By open speech and simple,
An hundred times mad plain.
To seek another's profit,
And work another's gain.

Take up the White Man's burden --
The savage wars of peace --
Fill full the mouth of Famine
And bid the sickness cease;
And when your goal is nearest
The end for others sought,
Watch Sloth and heathen Folly
Bring all your hope to nought.

Take up the White Man's burden --
No tawdry rule of kings,
But toil of serf and sweeper --
The tale of common things.
The ports ye shall not enter,
The roads ye shall not tread,
Go make them with your living,
And mark them with your dead!

Take up the White man's burden --
And reap his old reward:
The blame of those ye better,
The hate of those ye guard --
The cry of hosts ye humour
(Ah, slowly!) toward the light: --
"Why brought ye us from bondage,
"Our loved Egyptian night?"

Take up the White Man's burden --
Ye dare not stoop to less --
Nor call too loud on freedom
To cloak your weariness;
By all ye cry or whisper,
By all ye leave or do,
The silent, sullen peoples
Shall weigh your Gods and you.

Take up the White Man's burden --
Have done with childish days --
The lightly proffered laurel,
The easy, ungrudged praise.
Comes now, to search your manhood
Through all the thankless years,
Cold-edged with dear-bought wisdom,
The judgment of your peers!

Rudyard Kipling


白人の責務

白人の責務を果たせ ―
諸氏の育てた俊勇を送れ ―
諸氏の息子を海外に送り
困窮せる虜囚のために働かせ
一致団結して役務につかせよ
動揺する蛮族のために ―
被征服民、うっとうしい連中
半ば悪魔、半ば子供のために。

白人の責務を果たせ ―
忍耐強く我慢して
恐怖の脅しを隠し
誇りを見せびらかすな。
百倍も分かりやすく
率直かつ明快に語れ。
連中の利を追求し
連中の益を齎すため。

白人の責務を果たせ ―
平和ため残忍な戦闘に参加し ―
飢饉の口を一杯に満たし
疫病を追放せよ。
諸君の連中への目的が
達成目前に注意すべきは
諸君の希望を無にする
怠惰や邪教の愚行だ。

白人の責務を果たせ ―
豪奢な王者の支配ではなく―
奴隷や掃除人の苦役を ―
普通の連中の話を。
諸君に禁じられた港を
諸君に禁じられた道を
諸君は生きてこれらを使い
諸君は死して標を残すのだ。

白人の責務を果たせ ―
そして白人の報酬を得よ。
連中の非難を和らげ
連中の憎悪を見守れ ―
大勢の嘆きに同調し
(徐々に!)光明に向ける ―
「わしらが好きなエジプトの夜
なんで解放するのかね?」

白人の責務を果たせ ―
諸君は卑下することはない ―
といって疲れを隠そうとして
声高に自由を叫ぶことはない。
諸君が叫ぼうとも囁こうとも
投げ出そうとも努力しようとも
不機嫌で無口な連中は
諸君の神と諸君を信じ始める。

白人の責務を果たせ ―
子供の時代に別れを告げ ―
さっそく差し出される月桂冠
躊躇なき賞賛の声。
さあさあ、男らしさを
尊い知恵で研ぎ澄ましても
報われざる歳月を終え
同胞の評価を求めよ!


 ジャックは元高校教師で国語を教えていたという設定なので、この詩について言及しているものと考えられます。二度繰り返して呟くのもそれを強調しての事でしょう。詩の内容は当時の白人至上主義そのもので、有色人種を隷属させるのは白色人種の責務であると説いています。アメリカの帝国主義を象徴する「ジャック・ダニエル」というバーボンを注いでもらいながらこの詩に言及するのは、ジャックは極端な帝国主義者で人種差別主義者ではないにしろ、その影響下にある大多数のアメリカの白人である事を示しています。ハロランを「ニガー」と呼ぶのもそういった考え方が影響しているのでしょう。

 このシーンの台詞をニュアンスを正確に訳すなら「『白人の責務』そうだろ?ロイド、『白人の責務』」になるかと思います。つまりジャックは苦しんでいた禁酒を解くのに『白人の責務』という白人至上主義の詩を引用して「アメリカ帝国主義で手に入れたバーボンを白人が飲むのは白人の責務だ。だから飲まなきゃならないんだ」と自分勝手な論理で飲酒を正当化しているのです。

 もちろんこれらのシーンや台詞の裏には、ホテルに巣食う悪霊の正体がその迫害された当事者である、ネイティブ・アメリカンの怨霊である事が示唆されています。ロイドやグレイディはその怨霊によって殺され、操られている白人の霊に過ぎないのです。そして最後には、ジャックもそれらの仲間入りをしてしまうのです。

▼この記事の執筆に当たり、以下のブログを参考にいたしました。
ヘ短調作品34:白人の責務 -- キップリング
尚、「白人による有色人種の文明化は、いくら困難や犠牲が伴っても成し遂げなければならない白人の責務」というこの詩の真意が「人種差別的植民地主義を正当化するアジテーション」なのか「文明を先んじる者として、いかなる犠牲を払っても成し遂げなければならない責任と決意表明」なのかは時代によって評価が分かれているそうです。個人的にはどちらにしても白人の優位性から来る思想なので大差ない(植民地側からすれば)と思っています。


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※キップリングは『ジャングルブック』の作者としても有名
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