キューブリック作品で使われた撮影・技術

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※ADRの解説動画。

 米俳優のヒュー・ジャックマンが6月1日全国公開予定の映画「LOGAN/ローガン」(関連記事)の熱すぎるアフレコ風景をSNS上で公開し大きな話題となっています。

〈以下略〉

(全文はリンク先へ:ねとらば/2017年3月9日




 ヒュー・ジャックマンはまあどうでもいいとして、このあとのこの記述

 アメリカの映画やドラマでADR(automated dialogue replacement)によって後から音をとるのは一般的な手法。アフレコ嫌いで知られていたスタンリー・キューブリックなど、監督の方針で極力使わないという場合を除き、特にアクション映画には欠かせないものだそう。

 ええっ!キューブリックがアフレコ嫌いなのは結構なファンかマニアしか知らないでしょう。なんでこんなこと書いてるの、と思ったら「 ADR(automated dialogue replacement)」でググるとこの記事が引っかかってくるんですよね・・・はっ!さては!!

 ちなみにねとらばさんから私に連絡はありません。うーん、なんだかモヤモヤしますね。
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Kubrick_lens_Zeiss
※現在世界を巡回中の『スタンリー・キューブリック展』でも展示されている。

 NASAの人工衛星搭載用にツァイス社が開発したレンズ10本の内3本をキューブリックが入手、『バリー・リンドン』の蝋燭のシーンで使用した。ただ、そのままBNCミッチェルカメラに装着するのは不可能だったので、レンズマウントを自作、シャッターの羽根を一つ外したり、アパーチャプレートも外すなどの改造を施した。またキューブリックはインタビューで

 あれ(F0.7レンズ)はNASAの開発したレンズだが、私のミッチェルにしか付けられない。あのレンズを付けるためにはカメラを改造し、幾つか部品を取り外さなければならなかった。なにしろレンズとフィルムの膜面との距離は2、3ミリしかなく、シャッターの羽根がやっと入ったのだから。いろいろと制約の多いレンズだった。ピントを送るのも大変だった。私のカメラマンは、閉回路テレビを使ってピント合わせをした。撮影カメラが狙っている俳優の真横にテレビカメラがあって、その映像がカメラマンの手元にあるモニターに映し出される。彼はモニターのブラウン管に縦の平行線を何本かグリースペイントでかきこんだ。俳優が何インチ動いたか、その線から読み取ろうというわけだ。こうして緻密なピント送りであの映像が写された。

イメージフォーラム1988年6月号/スタンリー・キューブリック・ロングインタビューより)


と、ビデオカメラとセットで運用した事を明かしている。

▼この記事の執筆に当たり、以下の記事を参考にいたしました。
Amaging Graph/世界最高のレンズはどれだ!?8本の途方もないレンズたち!
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順撮り
※『バリー…』を撮影中のキューブリック。後ろ左に次女のアンヤ、真後ろに三女のヴィヴィアンがいるのが見える。

 映画やテレビドラマなどの撮影で、シナリオの冒頭から順を追って撮影を進める方法。ふつうは、経費節約や出演者の都合などから、同じロケーションでの撮影をまとめて行うことが多いが、俳優が役作りをするのに有効だとしてこの手法をとることがある。

(引用先:コトバンク「順撮り」


 キューブリックは基本的に順撮りで撮影を行っていました。というのも、当初の脚本から撮影現場でアドリブを加えて撮影内容を変化させていくので、ロケーションごとにまとめ撮りしてしまうと辻褄が合わなくなってしまうからです。例外は『2001年…』で、特撮シーンが多く、セット完成の順番もまちまちだったため、かなりのシーンを同時進行で撮影していたようです。『フルメタル…』は出演者が散髪して丸坊主になるために「戦場シーン→訓練シーン」と映画とは逆の順番で撮影されました。

 『アイズ…』は撮影が長期に渡った影響もあって、クルーズがどんどん疲弊していく様がリアルに捕らえられています。『シャイニング』も同じくシェリー・デュバルが疲弊して行き、加えてあまりにも多いテイクの繰り返しに極限状態まで追い込まれています。こういった効果は撮影にテイク数や時間の制限をかけず「順撮り」したからこそ。もちろんこれはキューブリックが自身の努力によって勝ち得た「特権」なのですが、通常は予算や納期の縛りから「まとめ撮り・数テイクでOKを出す」が原則なので、そういった制限に縛られてしまう一連の監督とキューブリックとの差は歴然としていますね。
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 この鋭い視線、すなわち「キューブリックの凝視」ですが、以前からwikiに以下の記述があります

 この手法はロジャー・エバートら評論家からは「キューブリックの凝視(Kubrick stare)」と呼ばれ、『時計じかけのオレンジ』『フルメタル・ジャケット』『シャイニング』などで使用されている。

スタンリー・キューブリック-wikipediaより)


 ただ、この部分の出典があきらかにされておらず、ファンやマニアの間で一般的に用いられる用語でもないので、今のところ「キューブリックの凝視云々」と力を入れて語るべきではないと思います。ただ、そういった印象的な「視線」のシーンが多いのは事実ですので、上記のようなそれを集めた動画が作られるのでしょう。

 まあ管理人は「視線」そのものよりも、そのシーンに多用されているズーミングの方に興味がありますね。カメラ目線の映像というのは別にキューブリック作品に限った話ではありませんが、そこにズームやトラッキングショットを好んで使うのはキューブリックの撮り方の特徴ですので。
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 引きの画から被写体に向かって拡大するのを「ズームイン」、その逆を「ズームアウト」とう。

 キューブリックは好んでこの手法を用いていて、特に『博士…』以降の作品には必ずと言っていいほど登場する。動画は『シャイニング』での使用シーンだが、一種異様な緊張感を表現したい場合にはゆっくりとしたズームインやズームアウト、一瞬のインパクトを表現したい場合は素早いズームイン(『2001年…』のスペースポッドのHALの眼や『アイズ…』でビルの窮地を救う女性のシーンなど)を使用しているようだ。

 この「ズーム」という機能、人間の眼には備わっていない機能なので「いかにもカメラで撮影しました」感が滲み出てしまい、現在主流の「観客がその場にいるかのような臨場感」を求めるハリウッド映画ではあまり見られなくなってしまった。逆にズームを多用するキューブリック作品は、映画を「当事者」としてではなく「観察者」として鑑賞させる効果をもたらす一因にもなっている。
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