キューブリック作品で使用された名曲たち

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 某戦車アニメですっかり有名になったこの曲ですが、wikiによると作詞・作曲者不詳で、精鋭部隊とされる擲弾兵(手榴弾を投げる兵士)の勇敢さを歌っているそう。1815年に近衛歩兵第一連隊がグレナディアガーズ(擲弾兵近衛連隊)に改名したのに伴い、この曲を連隊の速歩行進曲として制定したとのことなので、歩兵連隊が横一列で行進・突撃するシーンに使うには正確さを欠いていることになります。まあ、そんな細かいことを言い出したら映画に規制曲なんて使えなくなってしまうので、「17世紀の英国軍で使用された軍隊行進曲」という縛りの中から、最もシーンに適しているとキューブリックが判断して採用したのでしょう。

 上記の動画は歌詞入りのものですが、歌いやすくするためか行進曲バージョンとは少しメロディーラインもリズムも違っています。歌詞は以下の通りですが、動画ではこの1、3、5番を抜粋して歌っているようです。

Some talk of Alexander,
and some of Hercules
Of Hector and Lysander,
And such great names as these.
But of all the world's great heroes,
There's none that can compare.
With a tow, row, row, row, row, row,
To the British Grenadiers.

Those heroes of antiquity
Ne'er saw a cannon ball,
Or knew the force of powder
To slay their foes withal.
But our brave boys do know it,
And banish all their fears,
Sing tow, row, row, row, row, row,
For the British Grenadiers.

Whene'er we are commanded
To storm the palisades,
Our leaders march with fusees,
And we with hand grenades.
We throw them from the glacis,
About the enemies' ears.
Sing tow, row, row, row, row, row,
The British Grenadiers.

And when the siege is over,
We to the town repair.
The townsmen cry, "Hurrah, boys,
Here comes a Grenadier!
Here come the Grenadiers, my boys,
Who know no doubts or fears!
Then sing tow, row, row, row, row, row,
The British Grenadiers.

Then let us fill a bumper,
And drink a health to those
Who carry caps and pouches,
And wear the louped clothes.
May they and their commanders
Live happy all their years.
With a tow, row, row, row, row, row,
For the British Grenadiers.

アレクサンドロス大王か、
はたまたヘラクレスか、
ヘクトルまたはリュサンドロスと人は言う。
しかし全世界の偉大な英雄であれど、
比するものはない。
英国の擲弾兵に
比するものはない。

いにしえの英雄は
砲弾を見たことはない。
仇ら殄戮する
火薬の力を知らない。
だが、我らが勇士はそれを知る、
恐れを全て打ち棄てて。
いざ唱えよう、
英国擲弾兵を。

防柵を強襲せよと
命令が下れば
隊長は信管を、
我らは手榴弾を手に持ちて進む。
我らはこれを投擲し、
敵の耳を驚かす。
いざ唱えよう、
英国擲弾兵を。

かくて包囲戦は終わり、
我らは街を取り戻す。
市民ら泣き、「万歳、兵士よ、
擲弾兵がきたぞ!
我らが丈夫、疑念も恐怖も
抱かぬ擲弾兵が来たぞ!」
いざ歌声をあげよう、
英国の擲弾兵。

その時、縁まで杯を満たし、
健康を祝して乾杯する。
軍帽と背嚢を身に着け、
交紐の軍服を着る者達を。
兵達よ、指揮官らよ、
末永く幸あれ
いざ称えよう、
英国の擲弾兵を。

(出典:ピクシブ百科事典

『バリー…』での使用シーンはこちら。



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 クリス・ケナーとアラン・トゥーサンの共作による1961年のヒット曲。ロックファンには1970年代にイギリスで活躍し、ニック・ロウが在籍したパブロックバンド、ブリンズレー・シュワルツ(最近はシュウォーツ表記)が名盤『ナーバス・オン・ザ・ロード』でカバーしたバージョンが有名ですね。

 ところでこの曲、サントラには収録されていますが本編では未使用・・・というより、使用したシークエンスをキューブリックがカットしたものと思われます。例によってそのカットがギリギリだったため、サントラの変更に間に合わなかったのではないかと推測しています。そのカットされたシークエンスがどこだったかはわかりませんが、映画のちょうど中間あたりに原作にも登場したジャニュアリー大尉がモノポリーをしているシーンがあったそうなので、それだったかもしれません。

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※『フルメタル…』のエンドクレジットにも表記はない。

 本編未使用曲が収録されているにもかかわらず、必要不可欠ではないか? と思われるストーンズの『黒く塗れ!』『ミッキーマウス・マーチ』が未収録のこのサントラ。何故こんな中途半端な仕様でしかリリースができなかったのかひたすら疑問ですが、『ミリタリー・ケイデンス』のリミックスなんて余計なことはやめてオリジナルをそのままに収録し、『黒く塗れ!』と『ミッキーマウス・マーチ』を追加して『ロリータ』や『2001年…』のようにリイシューしてほしいものですね。


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 「Today is X'mas!」と軍曹もおっしゃっている通り、ネット上では毎年この時期になると様々なクリスマスネタで騒がしくなりますが、嫌味ったらしくこの歌を歌い、「サー、イエッサー!」で締めくくるのも一興かと(笑。

 ハートマンがクリスマスにこの歌を歌うのは、海兵隊がイエス・キリスト同等の存在であることを誇示するためなのですが、戦争なんてどこ吹く風でクリスマスを祝う銃後に対しての当てこすりにも聞こえます。原作では歌のシーンはなく、ジョーカーが「軍曹はわれわれに対し、海兵隊は神の生まれる前から存在したのだ、と確言する」と語るだけですが、それをこんな「的確な歌」で表現するキューブリック(ひょっとしたらリー・アーメイのアイデアかも)の皮肉屋っぷり・・・大好きです(笑。
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 『2001年…』で白い部屋のシークエンスでかかっていたリゲティの『アヴァンチュール』ですが、そのオリジナル・バージョンです。映画ではキューブリックがエコーその他で「勝手に」加工しまくって、後でリゲティに怒られてます(笑。

 先日行われた「ライブ・シネマ・コンサート『2001年宇宙の旅』」では、残念ながら映画のサントラが使用され生での再現とはならなかったのですが、2年前に行われたニューヨークでの公演ではセットリストに載っていますので、生で演奏されたんでしょうね。

 どうして日本では無理だったのかは何らかの事情があったのでしょうけど、上記のオリジナルバージョンでいいのでやはり生で聴いてみたかった、というのが本音。でもやっぱり楽譜って存在するんですよね・・・一体どんな譜面なんでしょうか? 興味あります。
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 『芸術家の生活』作品316は、ヨハン・シュトラウス2世が1866年作曲したワルツ曲。

 シュトラウスのワルツといえば『2001年…』で使用された『ドナウ』が有名ですが、キューブリックはこの曲も作品内で使用しています。どの作品かといえば『突撃』の城内での夜会のシーン。このシーンではダックス大佐とブルーラード将軍の間で兵士の死刑を巡って丁々発止のやりとりが行われますが、そのBGでずっと優雅に鳴り続けていて、扉を開け閉めするタイミングで音が大小するあたりにキューブリックらしい皮肉を感じます。このシーンの成功が後のキューブリック演出の定番となる「曲のリズムとテンポで映像を編集する」や「ある特定のシーンやシークエンスの意味を曲で強調する」というキューブリック独特のBG起用法につながった可能性もあります。

 wikiによるとシュトラウスは数日でこの曲を書き上げたそうですが、いかいもシュトラウス節なメロディが全開でとてもわかりやすい(笑。キューブリック=『2001年』=『ドナウ』と思っている人に、ちょっとしたトリビアとして披露するにはいい小ネタかも知れませんね。
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