キューブリック関連記事

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左からバリー・トレンゴブ(ハイネマン[英]・1962年初版)、デイビット・ペルハム(ペンギンブックス[英]・1972年)、フィリップ・キャスル(バランタインブックス[米]・1971年)のアートワークがデザインされた小説版『時計じかけのオレンジ』のカバー。

 バリー・トレンゴブは映画の公開よりも前に『時計じかけのオレンジ』のペンギン版(注:ハイネマンの間違い?)の素晴らしいカバーをデザインしました。ペンギンの営業部は小説のカバーと映画のグラフィックとタイアップをしたかったのですが、キューブリックはそれを望みませんでした。結果的に、私は映画のポスターのような印象を与えられるアートワークの仕事を依頼されたという訳です。残念なことに、その後他の有名なエアブラシ・アーティストによって失望させられることになりました(ここではその名前を伏せておくことにします)。その人物は最終的にもっと制作時間を要求し、遅れたあげくひどい出来のものを提出したからです。締め切りが真近に迫っていたので、したくはありませんでしたが、受け取るわけにもいきませんでした。

 そういうわけで、日も暮れてから恐ろしいプレッシャーのもとで『時計じかけ…』のカバーデザインを作ることになりました。すでにほとんど時間がなく、一夜でトレーシングペーパーにアイデアを描き、朝4時に写植技術者に表紙カバー用のテキストを頼みました。5時にはバイク・メッセンジャーにタイプした編集者への指示書を手渡したのを覚えています。その後オフィスにて、このマットプラスチックのアセテート紙に黒の線画を描き、セパレーターに指定のカラーのオーバーレイをのせ、同時にカバーの複製を私の忠実な脳外科医のような技術を持つ(注:当時の広告制作はカッターナイフを使った切り貼り作業が中心だったので、その技術の高さを比喩したものだと思われる)アシスタントによって貼り付けました。まったく優秀なアシスタントたちでした。

 それから、より多くのひしゃげたヘルメットをかぶったバイク・メッセンジャーがロンドンの街を行くのを見ました。そして私は自分の作品が有名になったのを知ったのです。当時としては何と早かったことか! 私が徹夜で急いで作ったものがコロンビアで宣伝用ポスターとして、トルコではTシャツ、ロスとニューヨークでは色々な用途にアイコンとして扱われるようになったのを見て驚嘆したものです。自分が作ったものだから余計に目に付きました。それはさながら騒々しいパーティー会場に入って、普通は聞こえないはずなのに、自分の名前を誰かが口にした瞬間にそれが聞こえるのと似たようなものでした。

(全文はリンク先へ:{ feuilleton }Design as virus 15: David Pelham’s Clockwork Orange/2012年10月8日




 ペンギンブックスのアートディレクターだったデイビット・ペルハムが、小説『時計じかけのオレンジ』のブックカバーのデザインをした経緯を語った記事がありましたのでご紹介。

 キューブリックはアメリカ版を読み、それをベースに映画化しましたが、小説『時計じかけのオレンジ』は1962年にイギリスのハイネマン社から初版が出版されました。映画の好評を受け、権利を獲得したペンギンブックスが再度出版する際に、キューブリックは何故かフィリップ・キャッスルが描いた映画版のアートワークを使用することを拒否します。理由は定かではありませんが(アメリカでは「Based on the Novel by Anthony Burgess」と表紙に書かれた、映画版アートワークを使用した小説版がバランタインブックスから出版されている)ベンギンブックス版が映画のノベライズだと勘違いされるのを恐れた(ラストが映画版と異なる)のかもしれません。

 困ったデイビット・ペルハムは、一度は外部のイラストレーターに発注したものの、その出来に満足できず、苦し紛れにあの「歯車の目」のアレックスのグラフィックを作り出したわけですが、そのビジュアルが50年近く経った現在でも使用され続けているのは驚異的です。最近も書店でこのアートワークを使ったトートバッグを見かけました。ただ、このアートワークがキューブリック版の映画とは直接関係なく、キューブリックの管轄外であることはファンなら知っておくべき事実です。このアートワークはあくまで「ペンギンブックスのアートディレクターであるデイビット・ペルハムが、締め切りに追われ苦し紛れにキューブリックの映画版の印象を踏まえつつ作ったデザイン」であるということです。

 ところが、このアートワークに映画版の公式ロゴを組み合わせたデザインも存在します。それについて記事では

 伝えるところによると1972年(一年後の可能性も)のものらしいが、タイトルに映画のポスターからのタイトルデザインを使用している。映画記念サイトによると、「この別のR指定映画ポスターはニューヨーク、ロサンゼルスのみでの野外宣伝広告のためにデザインされた」という。映画はアメリカでは初週にX指定を受けてしまい、多くの映画館での公開ができなくなってしまうため、新たに再編集し、R指定映画となって公開された。1972年のペンギンのペーパーバックの背表紙にはペルハムのデザインがかなり後になってから広まるように、この版のアメリカでの販売を制限する版権制限の警告が書かれていた。

との説明がありますが、記事にある「野外宣伝広告のため」は守られず、管理人が1999年に当時ニューヨークにいた友人から送られてきたポストカードにも同じビジュアルが使用されていました。

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ペンギン版のアートワークにキューブリック版のロゴを合わせたデザインのポストカード。右はフィリップ・キャッスルによるキューブリック版のアートワーク(ヌード自販機のないバージョン)。

 このように、今となっては「キューブリック版」と「ベンギンブックス版」のアートワークは混用されてしまっていますが、その出自は異なるのではっきりと区別して認識すべきです。そのベンギンブックス版をデザインしたアートディレクターのデイビット・ペルハムが手がけた他のカバーデザインはこちらを参照してください。

翻訳協力:Shinさま
【ご注意】当ブログの記事は「KUBRICK.Blog.jp」の明記と該当記事へのリンク(URL表記「http://kubrick.blog.jp/」でも可)貼ることを条件に、報告不要でご自由にご活用頂けます。ただし、アポロ計画やフリーメイソンなどの陰謀論、スキャンダラスな嘘記事、ソース不明の偽情報を掲載して衆目を集め、アクセスを呼び込むことを第一の目的とするデマサイトやデマ動画チャンネルの関係者は当ブログの閲覧、ならびに利用は全面禁止とさせていただきます。






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SKC_2現在配送はヨーロッパのみだそうです。

SKC_BOX商品を入れる化粧箱「Stanley Kubrick Collector's Box」

 近年、キューブリック作品の版権管理がワーナーに一元化(ワーナーが権利を所有する『ロリータ』『2001年宇宙の旅』『時計じかけのオレンジ』『バリー・リンドン』『シャイニング』『フルメタル・ジャケット』『アイズ ワイド シャット』)され、日本でも数多くのキューブリックグッズが巷に溢れる様になってきました。そして本日、ついに「スタンリー・キューブリック公式アカウント」がワーナーと組んで公式ECサイトをオープン。まずはTシャツ、トレーナー、パーカーからのスタートのようです。

 このECサイトで商品を購入すれば「Stanley Kubrick Collector's Box」という化粧箱に入れて送付してくれるらしいのですが、いかんせん商品が35ポンドから55ポンド(約5,000円〜7,500円)と結構お高め。しかも配送は現状ヨーロッパのみだそうです。日本でのGUやイオンの頑張りを知っていると高すぎな気もしますが、小物・雑貨関係もリリースしてくる可能性もありますので、たまにチェックはしておきたいと思います。

 公式インスタはこちら、フェイスブックはこちら、Twitterはこちら。ECサイトはこちらへどうぞ。

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『現金に体を張れ』の頃のキューブリックとハリス。

 スタンリー・キューブリック監督が書き残していた、3本の映画の構想と見られる脚本の草稿が新たに見つかったと The Guadian が伝えた。

 いずれも1954年から1956年までに書かれたもので、1本目の『マリード・マン(原題)/ Married Man』は35ページにわたるタイプ原稿で手書きのメモも付されている。2本目は『ザ・パーフェクト・マリッジ(原題)/ The Perfect Marriage』と題された、メモ書きといくつかのシーンについて書かれた7ページ分の原稿。3本目は『ジェラシー(原題)/ Jealousy』という、互いに憎悪を抱く夫婦についてタイプと手書きで記された13ページのストーリー原案だ。

〈以下略〉

(全文はリンク先へ:シネマトゥデイ/2019年7月19日




 記事の書き方ですと、まるでルースとの不和をヒントに脚本を書いていたかのように思えますが、時期から考えるとおそらくこれらは『現金に体を張れ』の次の企画として、ドア・シャリーが推薦した『燃える秘密』(のちに『ウィーンに燃えて』のタイトルでアンドリュー・バーキンが映画化)を脚本化する際に書かれたものではないでしょうか。結婚や嫉妬に関するタイトル案は、『燃える秘密』のストーリー(ヨーロッパのリゾート地で旅行中の幼い子を持つ妻が、男に誘惑される)とよく似ています。結局この企画はシャリーがMGMを追い出されることによって頓挫するのですが、1956年には『突撃』の企画が動き始めるので、今となっては特に価値があるものではないでしょう。
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〈前略〉

 「シャイニング」の撮影時には5歳だったロイド氏は、俳優に厳しいことで知られるキューブリック監督の、子役の自分に対して見せた並々ならぬ優しさが今もなお心に残っているという。「怖がっているふりをするだけで、実際に怖い思いをしないで済むよう、とことん気を使ってくれた。シーンの内容によっては、撮影現場に入っちゃダメ、なんてこともあったくらいだ」と振り返る。

〈以下略〉

(全文はリンク先へ:映画.com/2019年6月21日




 『シャイニング』の撮影中、ダン(ダニー)・ロイド本人はホラー映画の撮影とは知らず、ホームドラマだと思い込んでいた話は以前から伝わっていますね。キューブリックは子供や動物には優しかったという話はよく耳にしますが、それプラス子供を撮影するに当たっての現実的な判断もあったかと思います。撮影中に子供に怖い思いをさせてしまうと「イヤイヤ」を始めてしまい、撮影が滞ってしまいます。キューブリックはそのリスクを考え、代役を3人も用意していました。映画制作に関する全てのことに、抜け目なく気を配っていたキューブリックらしいエピソードです。

 『シャイニング』でダニー・トランスを演じたダン(ダニー)・ロイドは1972年10月13日生まれです。IMDbでは1973年1月1日となっていますがそれは間違いで、本人にTwitterで確認済です。『シャイニング』の撮影は1978年5月から1979年4月にかけてですので、撮影開始時で5歳、終了時で6歳ですね。レオン・ヴィタリはこの質疑応答で「4歳」としていますが、それはオーディション時がそうだったので混同しているのでしょう。

 ダン・ロイドが危惧したように、キューブリックの『シャイニング』と、スティーブン・キングの『ドクター・スリープ』は随分と肌合いの違うお話です。おそらくダン・トランス(ユアン・マクレガー)の過去のシーンはキューブリック版を引用しつつ、全体的にはキングのテイスト溢れる作品になっているでしょう。つまりキューブリック版との接点は過去シーンのみだと思います。ですが、何かオマージュ的なものを仕込んでくる可能性もあるので、期待値を上げすぎない程度に(笑、楽しみに今冬の公開を待ちたいと思います。
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『ドクター・スリープ』 日本版予告編

〈前略〉

 ところで予告編には、「REDRUM」の文字や三輪車をこぐダニー、血があふれるエレベーター、不気味な双子など、スタンリー・キューブリック監督の傑作『シャイニング』(1980)で描写されたイメージが登場し、非常に大きな影響を受けているのは明らかだ。本作は、キングの小説の映画化なのか、それともキューブリックの映画の続編なのか? 監督は「製作が発表されてから、一番よく聞かれたのがその質問だよ。これは小説『シャイニング』の続編を忠実に映画化したもの。だけど、同時にキューブリックが『シャイニング』の映画化で確立したシネマティック・ユニバースに存在している。この調整が実は最も大変で、ワクワクする部分だったんだ」と説明する。

〈以下略〉

(全文はリンク先へ:シネマトゥデイ/2019年6月14日




 スティーブン・キングが執筆した小説『ドクター・スリープ』は、小説『シャイニング』の続編であり、キューブリックの『シャイニング』の続編ではありません。ですが、その小説『ドクター・スリープ』を映画化する際、旧作『シャイニング』の映像の流用は、映画会社的には興行収入的観点からして、全く知られていないTVドラマ版『シャイニング』の映像を使う、という選択肢はなかったはずです。やはり予告編で使用されている映像は全てキューブリックが改変したものばかりでした。原作者のスティーブン・キングはキューブリック版『シャイニング』を酷評し、憎んでさえいるのは周知の事実ですが、当のキングはこの事実をどう思うのでしょうか? キング自身がキューブリック版を嫌うのは構わないとしても、その影響力と完成度は認め、今後公式にキューブリック版を批判することは、いいかげん控えてほしいものです。

 ところでこの『ドクター・スリープ』という物語、小説は未読ですがあらすじを読んだだけでも、キングお得意のチープなB級感満載(予告編では壊れた扉のシーンのSEがヒント)のストーリーとなっています。もちろんキングファンは「そこが好き」なのですが、キューブリック版『シャイニング』の印象をひきづって鑑賞するとガッカリするのは必至(『2010年』のように別モノとして楽しめれば御の字)ですので、期待値はあまり上げない方がよろしいのではないかとは思います。
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