キューブリック関連記事

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Jack Nicholson’s axe from Stanley Kubrick film ‘The Shining’ sold for £170,000 at auction

“This axe was purchased by a crew member at a sale of the movie’s assets at the end of filming, along with other props, costumes and set decoration. It was specifically selected as the crew member involved needed an axe to chop wood at home. Fortunately, the axe was never used for this purpose, and has been kept safely for decades. It remains in excellent condition, with a few Knicks and scratches from use on Kubrick’s notoriously long shooting days.”

スタンリー・キューブリックの映画『シャイニング』のジャック・ニコルソンの斧は、オークションで170,000ポンドで落札されました。

〈中略〉

 「この斧は撮影終了時に他の小道具、衣装、セットの装飾と一緒に映画の財産として売却され、スタッフによって購入されました。 そのスタッフは自宅で木を切るために斧が必要になり選んだのです。 幸いなことに斧はその目的に使用されることはなく、何十年も安全に保管されていました。悪名高いキューブリックによる長期間の撮影での使用による傷がいくつかあり、優れた状態を保っています」

〈以下略〉

(全文はリンク先へ:FAR OUT MAGAZINE/2019年10月2日




 以前こちらで記事にしました、2019年9月30日から10月1日にロンドンBFI IMAXで開催された「プロップストア・ライブオークション」ですが、『シャイニング』の撮影で実際にジャック・ニコルソンが使用した斧が、事前の予想落札価格40,000〜60,000ポンド(536万円〜805万円)を大幅に超え、172,200ポンド(約2,263万円)で落札されたそうです。

 この斧は予備がたくさん用意され、そのいくつかはキューブリックが所有していましたが、それは現在世界を巡回中の『スタンリー・キューブリック展』でも展示中です。しかし、この斧は実際にジャック・ニコルソンが使用したもの。ですので、この高額落札になりました。

 落札者の情報はありませんが、本来なら『スタンリー・キューブリック展』か、もしくは今年ロサンゼルスに開館が予定されているアカデミー映画博物館に展示されるべきものです。落札者にはその価値を十分に鑑みていただいて、何らかの形で一般に公開してほしいものです。


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〈前略〉

 イギリスでは72年の公開後、模倣犯が横行したため、99年まで上映禁止となった「時計じかけのオレンジ」。今回披露されるのは、没後20周年を記念して開催された「スタンリー・キューブリック展」と合わせ、4月にイギリスでリバイバル公開されたデジタルリマスター版となる。

〈以下略〉

(全文はリンク先へ:映画.com/2019年10月1日




 上記の動画がその「4月にイギリスでリバイバル公開されたデジタルリマスター版」の予告編になります。2015年に『ムービーマスターズ』で上映された際は、あまり画質・音質とも良くなかったので、ちょっと安心しました。ただ、そのうち4K化されるでしょうから、そちらで観たかったというのもありますが。まあ、TV地上波では絶対OAできない問題作を、映画館で観る機会はそうそうないので、DVDやBD、BSやCSで何度も観てるよ、という方もぜひこの機会に劇場に足をお運びください。

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〈前略〉

 トランブルが“フィルムメーカーになろう”と思ったのは、「2001年宇宙の旅」撮影中のこと。「まずは、背景のアニメーション・イラストレーターとして作品に関わることになった。それまで映画作品での経験のない僕が、突如キューブリックとの仕事に携わる――ある意味、映画学校に通うようなものだった」と述懐。トランブルは、劇中に登場する全てのスター(星)を担当することになった。

 「キューブリックは、カメラを異なった(1秒24コマ以上の)スピードで上下左右に動かしながら、スターのテスト撮影をしていた。そして、全てのショットを2重投影(ダブル・プロジェクティング)させ、宇宙船の動きに対して、スターの動きがどのように影響を与えるのかを調べていた。それが、あの“スターゲート・シークエンス”の始まりだ。その時から、僕はHFR(ハイ・フレーム・レート)にとりつかれてしまったんだ」

 「監督の手法を今作で変えることができるかもしれない」とトランブルに告げていたキューブリック監督。「(観客を映画に没頭させるために)肩なめショットでとらえたり、馬鹿げたメロドラマの設定にしたり、セリフで全てを説明しなくても、映像だけで観客が夢中になれる映画が作れる」と語っていたそうだ。さらに“観客が宇宙にいる感覚”を目指し、さまざまなショットをとり除く作業を進めていった。「『監督の手法を変えること』という言葉は、今でも耳に残っている。『2001年宇宙の旅』は、約50年前の作品だ。しかし、その手法に触れた僕には、今作が“未来の映画”になるとわかっていた」

〈以下略〉

(全文はリンク先へ:映画.com/2019年9月12日




 キューブリックが『2001年宇宙の旅』で目指したものは記事の通りですが、ダグラス・トランブルがそれに多大な貢献をしたのは厳然たる事実で、当時それに見合う「賞」を得ていなかったのもまた事実です。「賞」はなくても『2001年…』での仕事ぶりがハリウッドで高く評価されたトランブルは、映画界でのキャリアを切り開いていったのですが、特撮マンとしての彼の評価は高くても、映画制作者としての評価はさほど高くはありません。そういう意味ではトランブルは「チャンスを活かしきる才能」が足らなかったのかな、と思いますし、また、この記事で語られている「ナタリー・ウッド事件」が与えた影響は、表向きで言われている以上に大きかったのではないか、というのを感じさせるインタビューになっています。

 トランブルはその後ハリウッドを離れ、博覧会やテーマパーク向けの映像制作を手がけるようになるのですが、再度「映画制作者」としてのチャンスは結局訪れませんでした。事件の影響や特撮のCG化による時代の変化はあったにせよ、ハリウッドはもう少しトランブルにチャンスを与えても良かったのでは? と思わずにいられません。

 キューブリックはそんなハリウッドの「映画制作以外の雑事」に関わることを避けるために、イギリスに住み続けましたが、そんな身勝手(ハリウッド側から言えば)な行動が許させるほど、キューブリックの才能や力量、影響力はハリウッド中から認められていました。しかし、それを手に入れるために大変な苦労と努力を払ったことはファンなら周知の事実です。一方のトランブルのキャリアは、キューブリックが忌避したまさしく「ハリウッドの闇」によって葬り去られてしまいました。1970〜80年代にかけてのトランブルの名声の高さを覚えているSFファンにとっては、もうちょっと彼の作る映像を映画館で観てみたかった、というのが本音ですね。


ダグラス・トランブルが監督した『ブレインストーム』の予告編。

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キューブリック版『シャイニング』のダニー少年を演じたダニー(ダン)・ロイドの現在の姿と、ダニー少年が大人になった姿を演じたユアン・マクレガー。こうして比較すると悪くないキャスティングですね。

『シャイニング』ダニー少年、続編『ドクター・スリープ』に期待

 スティーブン・キング原作によるホラー映画の傑作「シャイニング」から約40年の歳月を経て、ついに実現したファン待望の続編「ドクター・スリープ」。先ごろUS版予告がお披露目されたのを受け、オリジナル版で今回の主人公ダニー・トランスの幼少期を演じた元子役のダニー・ロイド氏が、米ハリウッド・レポーターのインタビューで続編への期待を語った。

〈中略〉

 ユアン・マクレガー演じる大人になったダニーが再び奇怪な現象に直面するさまに絡めながら、廊下で三輪車をこぐ幼き日のダニーやバスタブの老婆、血のエレベーターや不気味な双子の姉妹といった、映画「シャイニング」のアイコニックなシーンの数々が、呼び覚まされた忌まわしい記憶として映し出されるUS版予告について、「すごくよく出来た予告で、映画がますます楽しみになったよ」と興奮気味に感想を述べたロイド氏。そして、「キングの原作小説とキューブリックの映画版をどう盛り込むのか、ちょっと心配かつ興味津々だったんだけど、その両方にきちんと敬意を表した作品になっているようだしね」と安堵感をにじませた。

〈以下略〉

(全文はリンク先へ:映画.com/2019年6月21日




 以前にもこの記事を採り上げましたが、再度採り上げたいと思います。

 キューブリック版『シャイニング』のダニー少年を演じたダニー(ダン)・ロイド氏は 1972年10月13日生まれですので現在46歳。一方のユアン・マクレガーは1971年3月31日生まれなので現在48歳。年齢もほぼ同じなので違和感はないですね。『ドクター・スリープ』劇中に少年のダニーが登場しますが、これはダン・ロイド氏ではなく別の子役です。同様に双子の少女もキューブリック版で演じたリサ&ルイーズ・バーンズではありません。オーバールック・ホテルの内装は残された図面などを元に、キューブリック版を完コピしたセットを建てたそうです。キューブリック版の映像の流用は今のところ「血のエレベーター」だけということですが、ネタバレを防ぐために明かしていないだけで、全編公開になればまだあるかもしれません。

 ダン・ロイド(もういい大人なのでダニーではなくダンですね)氏は記事の通り現在は俳優業を引退し、大学で教鞭をとる生物学の教授で4児の父でもあるのですが、Twitterアカウント(アイコンは「アポロセーター」)を所有していて、ファンとも気さくに交流されています。以前「狼男映画『ハウリング』のラストシーン近くにダニーが出演している」という情報を聞きつけ、ご本人に確認を取ったことがあります。その時も丁寧に「僕じゃないよ、髪型は似てるけどね」とコメントしてもらいました。ファンならフォローしておいて損はないアカウントだと思います。

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似ているような似ていないような・・・で、ご本人に確認しました。


『ハウリング』のラストシーン。ネタバレしていますので、映画を未見の方はご注意。

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左からバリー・トレンゴブ(ハイネマン[英]・1962年初版)、デイビット・ペルハム(ペンギンブックス[英]・1972年)、フィリップ・キャスル(バランタインブックス[米]・1971年)のアートワークがデザインされた小説版『時計じかけのオレンジ』のカバー。

 バリー・トレンゴブは映画の公開よりも前に『時計じかけのオレンジ』のペンギン版(注:ハイネマンの間違い?)の素晴らしいカバーをデザインしました。ペンギンの営業部は小説のカバーと映画のグラフィックとタイアップをしたかったのですが、キューブリックはそれを望みませんでした。結果的に、私は映画のポスターのような印象を与えられるアートワークの仕事を依頼されたという訳です。残念なことに、その後他の有名なエアブラシ・アーティストによって失望させられることになりました(ここではその名前を伏せておくことにします)。その人物は最終的にもっと制作時間を要求し、遅れたあげくひどい出来のものを提出したからです。締め切りが真近に迫っていたので、したくはありませんでしたが、受け取るわけにもいきませんでした。

 そういうわけで、日も暮れてから恐ろしいプレッシャーのもとで『時計じかけ…』のカバーデザインを作ることになりました。すでにほとんど時間がなく、一夜でトレーシングペーパーにアイデアを描き、朝4時に写植技術者に表紙カバー用のテキストを頼みました。5時にはバイク・メッセンジャーにタイプした編集者への指示書を手渡したのを覚えています。その後オフィスにて、このマットプラスチックのアセテート紙に黒の線画を描き、セパレーターに指定のカラーのオーバーレイをのせ、同時にカバーの複製を私の忠実な脳外科医のような技術を持つ(注:当時の広告制作はカッターナイフを使った切り貼り作業が中心だったので、その技術の高さを比喩したものだと思われる)アシスタントによって貼り付けました。まったく優秀なアシスタントたちでした。

 それから、より多くのひしゃげたヘルメットをかぶったバイク・メッセンジャーがロンドンの街を行くのを見ました。そして私は自分の作品が有名になったのを知ったのです。当時としては何と早かったことか! 私が徹夜で急いで作ったものがコロンビアで宣伝用ポスターとして、トルコではTシャツ、ロスとニューヨークでは色々な用途にアイコンとして扱われるようになったのを見て驚嘆したものです。自分が作ったものだから余計に目に付きました。それはさながら騒々しいパーティー会場に入って、普通は聞こえないはずなのに、自分の名前を誰かが口にした瞬間にそれが聞こえるのと似たようなものでした。

(全文はリンク先へ:{ feuilleton }Design as virus 15: David Pelham’s Clockwork Orange/2012年10月8日




 ペンギンブックスのアートディレクターだったデイビット・ペルハムが、小説『時計じかけのオレンジ』のブックカバーのデザインをした経緯を語った記事がありましたのでご紹介。

 キューブリックはアメリカ版を読み、それをベースに映画化しましたが、小説『時計じかけのオレンジ』は1962年にイギリスのハイネマン社から初版が出版されました。映画の好評を受け、権利を獲得したペンギンブックスが再度出版する際に、キューブリックは何故かフィリップ・キャッスルが描いた映画版のアートワークを使用することを拒否します。理由は定かではありませんが(アメリカでは「Based on the Novel by Anthony Burgess」と表紙に書かれた、映画版アートワークを使用した小説版がバランタインブックスから出版されている)ベンギンブックス版が映画のノベライズだと勘違いされるのを恐れた(ラストが映画版と異なる)のかもしれません。

 困ったデイビット・ペルハムは、一度は外部のイラストレーターに発注したものの、その出来に満足できず、苦し紛れにあの「歯車の目」のアレックスのグラフィックを作り出したわけですが、そのビジュアルが50年近く経った現在でも使用され続けているのは驚異的です。最近も書店でこのアートワークを使ったトートバッグを見かけました。ただ、このアートワークがキューブリック版の映画とは直接関係なく、キューブリックの管轄外であることはファンなら知っておくべき事実です。このアートワークはあくまで「ペンギンブックスのアートディレクターであるデイビット・ペルハムが、締め切りに追われ苦し紛れにキューブリックの映画版の印象を踏まえつつ作ったデザイン」であるということです。

 ところが、このアートワークに映画版の公式ロゴを組み合わせたデザインも存在します。それについて記事では

 伝えるところによると1972年(一年後の可能性も)のものらしいが、タイトルに映画のポスターからのタイトルデザインを使用している。映画記念サイトによると、「この別のR指定映画ポスターはニューヨーク、ロサンゼルスのみでの野外宣伝広告のためにデザインされた」という。映画はアメリカでは初週にX指定を受けてしまい、多くの映画館での公開ができなくなってしまうため、新たに再編集し、R指定映画となって公開された。1972年のペンギンのペーパーバックの背表紙にはペルハムのデザインがかなり後になってから広まるように、この版のアメリカでの販売を制限する版権制限の警告が書かれていた。

との説明がありますが、記事にある「野外宣伝広告のため」は守られず、管理人が1999年に当時ニューヨークにいた友人から送られてきたポストカードにも同じビジュアルが使用されていました。

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ペンギン版のアートワークにキューブリック版のロゴを合わせたデザインのポストカード。右はフィリップ・キャッスルによるキューブリック版のアートワーク(ヌード自販機のないバージョン)。

 このように、今となっては「キューブリック版」と「ベンギンブックス版」のアートワークは混用されてしまっていますが、その出自は異なるのではっきりと区別して認識すべきです。そのベンギンブックス版をデザインしたアートディレクターのデイビット・ペルハムが手がけた他のカバーデザインはこちらを参照してください。

翻訳協力:Shinさま

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