実現しなかった企画作品

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『ルナティック・アット・ラージ』を監督する予定のテリー・ギリアム

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キューブリックとともに脚本を執筆したジム・トンプソン

〈前略〉

 「私は今年の9月に撮影することになっていたんだ 」とギリアムはLa Repubblicaに明らかにしました。「もともとスタンリー・キューブリックのアイデアだった映画をやっていたんだ。脚本もあったし、キャストも決まっていたんだけど、ロックダウンのせいですべてが台無しになってしまったんだ」

 Cinergieによると、キューブリックが放棄したプロジェクトは『ルナティック・アット・ラージ(Lunatic at Large)』の映画化で、キューブリックの当時の製作パートナーであったジェームズ・B・ハリスが1950年代に著名な犯罪作家のジム・トンプソンに依頼し、キューブリックのアイデアを基にした70ページに及ぶ作品だという。

〈以下略〉

(全文はリンク先へ:/Film/2020年7月28日




 テリー・ギリアムが監督することになったんですね。10年前のこの記事で、キューブリックの義息(長女カタリーナの夫)であるフィリップ・ホッブスが、1956年に企画された本作の脚本を1999年に見つけたと話題になっていました。その時は監督やキャストを探している段階でしたが、10年の時を経てその企画が動き出していたとはちょっと驚きです。

 そのホッブスとカタリーナは2001年に離婚してしまったのですが、この脚本はホッブスがまだ権利を有しているんでしょうか? もしそうならクレジットで名前が確認できると思いますが、それよりも何よりも完成させないことにはどうしようもないですね。でも、ギリアムが監督すると決まっているなら、時間はかかっても実現の可能性は大きそうです。


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『現金に体を張れ』の頃のキューブリックとハリス。

 スタンリー・キューブリック監督が書き残していた、3本の映画の構想と見られる脚本の草稿が新たに見つかったと The Guadian が伝えた。

 いずれも1954年から1956年までに書かれたもので、1本目の『マリード・マン(原題)/ Married Man』は35ページにわたるタイプ原稿で手書きのメモも付されている。2本目は『ザ・パーフェクト・マリッジ(原題)/ The Perfect Marriage』と題された、メモ書きといくつかのシーンについて書かれた7ページ分の原稿。3本目は『ジェラシー(原題)/ Jealousy』という、互いに憎悪を抱く夫婦についてタイプと手書きで記された13ページのストーリー原案だ。

〈以下略〉

(全文はリンク先へ:シネマトゥデイ/2019年7月19日




 記事の書き方ですと、まるでルースとの不和をヒントに脚本を書いていたかのように思えますが、時期から考えるとおそらくこれらは『現金に体を張れ』の次の企画として、ドア・シャリーが推薦した『燃える秘密』(のちに『ウィーンに燃えて』のタイトルでアンドリュー・バーキンが映画化)を脚本化する際に書かれたものではないでしょうか。結婚や嫉妬に関するタイトル案は、『燃える秘密』のストーリー(ヨーロッパのリゾート地で旅行中の幼い子を持つ妻が、男に誘惑される)とよく似ています。結局この企画はシャリーがMGMを追い出されることによって頓挫するのですが、1956年には『突撃』の企画が動き始めるので、今となっては特に価値があるものではないでしょう。

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『突撃』を撮影中のカーク・ダグラスとキューブリック。『God Fearing Man』の脚本は『突撃』の後、1958年頃に書かれた。本人が語る「誰も欲しがらなかった2本の脚本」の内のひとつだと思われる。

TV Drama Based on Stanley Kubrick Script Set for Production

A high-end television drama based on an original screenplay by acclaimed filmmaker Stanley Kubrick has been set as a first scripted project for new European production company Media Musketeers. “God Fearing Man” was one of two initial projects announced Tuesday by the company, which was officially launched in April by former Warner Bros executive Chris Law and former Apple executives Sebastien Janin and Andy Docherty.

“God Fearing Man” is based on a book by Herbert Emerson Wilson and Kubrick’s original screenplay which tell the true story of a Canadian church minister-turned-safecracker who became one of the most successful bank robbers in U.S. history.

Media Musketeers will collaborate with U.K. independent producer ForLan Films on the project. ForLan has developed the project as a four-hour TV drama, working with Philip Hobbs, who served as co-producer on Kubrick’s 1987 Vietnam War classic “Full Metal Jacket.” Hobbs will produce alongside ForLan’s Steve Lanning. Janin and Docherty will serve as executive producers.

 評価の高い映画監督スタンリー・キューブリックによって書かれたオリジナル脚本に基づくハイエンドのテレビドラマは、新しいヨーロッパの制作会社、メディア・マスケーターズの最初のプロジェクトとして立ち上がりました。『God Fearing Man』は、火曜日に同社が発表した2つの最初のプロジェクトのうちの1つであり、4月にワーナー・ブラザーズの元幹部Chris Lawとアップルの元幹部Sebastien JaninとAndy Dochertyによって正式に発表されました。

 『God Fearing Man』は、ハーバート・エマーソン・ウィルソンの小説とキューブリックのオリジナル脚本に基づいています。これは、アメリカの歴史で最も成功した銀行強盗の一人となった、牧師から転身した金庫破りのカナダでの実話を基にしています。

 メディア・マスケーターズは英国の独立制作会社、フォーラン・フィルムズと共同でプロジェクトを行います。フォーランは、このプロジェクトを4時間のテレビドラマとして制作します。フィリップ・ホッブスは、1987年制作のベトナム戦争映画の名作『フルメタル・ジャケット』の共同プロデューサーを務めていました。 JaninとDochertyがエグゼクティブプロデューサーを担当します。

〈以下略〉

(全文はリンク先へ:VARIETY/2019年5月14日




 以前こちらで記事にした、ハーバート・エマーソン・ウィルソンの小説『私は1600万ドルを盗んだ』をキューブリックが脚本化し、それを基にしたTVドラマ『God Fearing Man』の制作が進行中のようです。

 この『私は1600万ドルを盗んだ』は、キューブリックが『突撃』公開後の1958年頃に進めていた企画で、ジム・トンプソンと共同で脚本を書き、カーク・ダグラスを主役に向かえて映画化するつもりでしたが、肝心のダグラスがこれを気に入らずボツになった経緯があります。本人も「復活させて映画化すつもりはない」と明言していますので、無名時代のキューブリックが書いた脚本にいかほどの価値があるのか疑問が残ります。

 気になったのは記事中にフィリップ・ホッブスの名前があること。ホッブスが『ルナティック・アット・ラージ』の脚本を見つけたとニュースになっていましたが、この脚本もホッブスが見つけたのでしょうか? この方、キューブリックの長女カタリーナの元夫で、結婚時『フルメタル・ジャケット』の共同プロデューサーを務めたのですが、『アイズ…』には病気で不参加、キューブリック逝去の際には様々な手配に奔走したそうです。その後カタリーナと離婚(原因は不明)してしまいましたが、結婚する前はケータリング業(おそらく映画関係)をしていたそうなので、プロデューサーとしての力量は全く不明です。

 記事には元ワーナーや元アップル幹部の名前もありますが、アップルが動画コンテンツのサブスク事業に乗り出しているのは周知の通りです。これからの5G時代、インフラはあれどコンテンツがないという事態は容易に想像できるので(この企画はTVシリーズですが)、こういった「ちょっとでも衆目を集められそうな企画」は今後も増えるでしょうし、その「衆目集め」のためにキューブリックなどのビック・ネームが利用されるということは起こりうるし、すでにこうして起こっています。

 こちらがメディア・マスケーターズ社のサイト、こちらがそのフォーラン・フィルムズ社のサイト、こちらがその該当ページですが、これを見る限り実績は怪しい感じがします。どちらにしてもPVくらいは観せてもらわないとなんとも判断がつかないし、以前記事になってからすでに5年近くも経っていますので、このまま話が立ち消えにならないことを祈るばかりです。

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『ザ・バニシング〜消失』の公開当時の予告編

 サイコサスペンスの金字塔『ザ・バニシング〜消失』が約30年の時を経て、4月12日から日本で劇場初公開となることがわかった。巨匠スタンリー・キューブリックが3回鑑賞し、「これまで見たすべての映画の中で最も恐ろしい映画だ」と絶賛したという伝説の作品だ。

〈以下略〉

(全文はリンク先へ:映画.com/2019年1月19日




 キューブリックは本作について

 キューブリックはこれを3回観て「私がこれまでに見た中で最もぞっとする映画だ」と(監督である)シュルイツァーに話しました。シュルイツァーは『シャイニング』よりももっと?と尋ねました。キューブリックは「そう思う」と答えました。

(引用先:【関連記事】スタンリー・キューブリックが好んだ映画のマスター・リスト(2016年7月25日改訂版))

ただし、キューブリックの義弟でプロデューサーのヤン・ハーランは「『ザ・バニシング』はリアルで『シャイニング』は幽霊映画 。大きな違いがある」と同列に語ることに疑問を呈しています。

 キューブリックは本作のヒロイン、ヨハンナ・テア・ステーゲ『アーリアン・ペーパーズ』のターニャ役にキャスティングし、プリプロダクションを進めていましたが、諸般の事情によりこの企画は中止になりました。ヨハンナはそれを聞かされた際の心境を「突然風船が破裂したように感じました」と、衝撃の大きさを語っています。

 4月12日から東京・シネマート新宿ほか全国で公開されるそうです。ぜひ観てみたいですね。


ザ・バニシング-消失- [DVD]

DVD化はされていますが、プレミアがついているようです。

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キューブリックは映画化を断念したが、それから32年後の1988年にアンドリュー・バーキンによって映画化された『ウィーンに燃えて(Burning Secret)』の予告編



Unmade Stanley Kubrick Script ‘Burning Secret’ is Going Up For Auction

Acclaimed director Stanley Kubrick died in 1999, but if a bold enough filmmaker comes along, a new movie may be added to Kubrick’s cinematic legacy.

Kubrick co-wrote the script for a movie adaptation of a novella called Burning Secret back in 1956, but the film never got made – not only that, the screenplay was thought to be lost forever. But someone found it earlier this summer, and the Stanley Kubrick Burning Secret script is officially going up for auction later this month. Could his version of the story actually make it to the big screen after all?

Deadline says the long-lost script is going up for auction at Bonhams New York on November 20, 2018, and it’s expected to sell for around $20,000.

キューブリックが制作しなかった『燃える秘密』の脚本がオークションに登場

 著名な映画監督スタンリー・キューブリックは1999年に死亡したが、映画化に挑戦する監督が現れると、キューブリックの映画遺産に新しい作品が追加される可能性がある。

 キューブリックは1956年に『燃える秘密』と呼ばれる小説の映画化のための脚本を共同で執筆したが、その映画は作られなかっただけでなく、永遠に失われたと考えられていた。しかし今夏、誰かがそれを見つけ、今月末にオークションに正式に登場する。結局のところ、キューブリックの脚本バージョンは映画になるのだろうか?

 最終的には2018年11月20日にニューヨークのボンハムズでロング・ロスト・スクリプトのオークションが開催されることになり、約2万ドルの売り上げが予想されている。

〈以下略〉

(全文はリンク先へ:Slash Film/2018年11月8日




 キューブリックの幻の脚本が見つかった!と大げさな見出しが踊ったのは今年の7月でしたが、結局たいした価値がないと判明したためか、オークションにかけられることになったそうです。売り上げは2万ドル(約230万円)を予想しているそうですが、そこまで高値が付くかどうか。

 以前、この記事で指摘した通り、この『燃える秘密』はキューブリックが駆け出し(『現金に体を晴れ』〜『突撃』)の頃、MGMが映画化権を持っていた小説の中から選んだだけのもので、本人も「もう一度復活させて映画にする気はない」と明言しています。それにすでに1988年にキューブリックの元アシスタント、アンドリュー・バーキンによって映画化されていますので、新鮮味はないですね。

 おそらくこの脚本をベースに再映画化されることはないでしょうから、資料的価値の観点から語られるのみでしょう。ただ、いくらで落札されたか興味はありますので、結果がわかりましたらまた記事にしたいと思います。

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