キューブリック関連作品

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 キューブリックがルック社時代に、撮影現場を取材した『裸の町』の全編がYouTubeにアップされていたのでご紹介。

 キューブリックはこの時若干19歳。まだ入社二年目の新人カメラマンにもこういった現場の取材がまかされていたのですから、キューブリックのカメラマンとしての手腕が社内で高く評価されていたことが伺えます。そのキューブリックが撮影現場の休憩時間にスイカを食べている写真が残されていて、その写真がこちら。

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 クライマックスのウィリアムズバーグ橋でのアクションシーンの撮影風景をキューブリックが撮影した取材写真がこちらです。

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 おそらく1枚目の写真で胸に下げているローライで撮影したんでしょう。尚、この『裸の町』は犯罪写真の第一人者として評価されていたウィージーがビジュアルコンサルタントとして雇われていて、ウィージーはその後『博士の異常な愛情』のスチールカメラマンとしてキューブリックが招聘、ウィージーのドイツ語訛りの口癖をピーター・セラーズが真似てストレンジラブ博士のキャラクターができあがりました。ウィージーとキューブリックとはこの取材で顔を合わせていた可能性がありますが、資料がないので確かなことは言えません。しかし、キューブリックがウィージーを高く評価していたのは、妻であるクリスティアーヌが証言しています。

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『博士の異常な愛情』のセットでのキューブリックとウィージー。

 映画撮影の現場を目の当たりにした若干19歳のキューブリック。この時キューブリックは「いつか取材する側からされる側になりたい」そう決意したのかもしれませんね。


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英題は『Warning from Space』もしくは『Mysterious Satellite』、監督は島耕二。



 最近、Twitterで『ゴジラ』の本多猪四郎監督宛にキューブリックが贈ったサイン入り『フルメタル・ジャケット』のシナリオ・フィルムブックが古書店で発見され、話題になっていました。


 実はキューブリックは『2001年…』の制作に際し、参考になりそうな古今東西のSF映画を片っ端から観ていて、それは以前この記事この記事でご紹介した通りです。その「片っ端から観たSF映画」の中には日本の作品も含まれてました。そのひとつがこの『宇宙人東京に現る』です。

 ソースは以下になります。

 1957年、アレグサンダー・ウォーカーは、キューブリックのニューヨークのマンションで『突撃』についてのインタビューを行った。インタビューが終わり、ウォーカーが去ろうとすると、映画のフィルムがキューブリック宛に配達されてきた。ウォーカーがその題名を見ると、日本のSF映画だった。ウォーカーはキューブリックに向き直り、「宇宙映画をつくるのか」と尋ねた。キューブリックは「お願いだ。書くことには気をつけてくれ」と言って、ウォーカーを睨みつけた。

(引用先:『映画監督 スタンリー・キューブリック』

In his biography of Stanley Kubrick, author John Baxter traces Kubrick's interest in science fiction films, which led to his 2001: A Space Odyssey, to the Japanese kaiju eiga films of the 1950s, including Warning from Space, with its "nameless two-metre-tall black starfish with a single central eye, who walk en pointe like ballet dancers."
Baxter notes that despite their "clumsy model sequences, the films were often well-photographed in colour ... and their dismal dialogue was delivered in well-designed and well-lit sets."

(引用先:wikipedia/Warning from Space


 1957年といえば『突撃』の撮影とポストプロダクションの年です。その後映画は完成し、ニューヨークでの上映が1957年12月25日から。それに合わせてキューブリックがニューヨークに滞在し、そこにウォーカーがインタビューを申し込んだのなら、時期は1957年の年末だと特定できます。上記wikiには『宇宙人東京に現る』は1957年に英国のBBFCによって『Warning from Space』として英語化された(It was passed for release, anglicized as Warning from Space, by the BBFC in the United Kingdom in 1957)とあります。キューブリックは長年SF映画、それもUFOや宇宙人に関する映画を撮りたがっていたのはよく知られていますので、そのキューブリックの興味を惹き、なおかつこの時期に英語で観ることができた作品なら、上記の「日本のSF映画」とは『宇宙人東京に現る』だと言えるでしょう。また、ジョン・バクスターの『Stanley Kubrick: A Biography』(未邦訳)には「1950年代のいくつかの怪獣映画といっしょに観た」との記述があるそうなので、それに『ゴジラ』が含まれていた可能性があります。

 このように「知る人ぞ知る」映画までチェックしていたキューブリックが、大ヒット作であり、その後の数々のモンスター映画に影響を与えた『ゴジラ』を観ていない可能性は低く、その監督である本多猪四郎の名前を知っていてもおかしくはありません。『フルメタル…』のシナリオ本をサイン付きで贈ったのも本多猪四郎をリスペクトしてのことでしょう。キューブリックが黒澤明の大ファンであったことはよく知られた事実です。また、当時海外で有名とまでは言えなかった手塚治虫に『2001年…』の美術監督をオファーするほど、細かいところまでリサーチしていた(これはもう「偏執狂的リサーチマニア」といっていいほど)キューブリックが、本多猪四郎を知らないはずがありません。キューブリックは人種や国籍に関係なく、「優れたものは優れている」と評価する監督でした(「だから私はそれよりもいいものを作らなければならない」とも語っていた)。本多猪四郎とキューブリックの間に、手紙のやりとりなど直接的な交流があったかどうかはわかりませんが、このように状況証拠を積み上げるだけでもキューブリックのリサーチエリアの広さを伺い知ることがます。もっとも本人は極度の出不精だったので、連絡はいつも電話や電報、手紙(のちにFAX)が主だったようです。

 1964年になるとキューブリックは『2001年…』の制作を本格化させますが、その頃になってもリサーチを欠かしませんでした。そうなると本多猪四郎監督の他のSF映画『地球防衛軍(The Mysterians)』『大怪獣バラン(Varan the Unbelievable)』『宇宙大戦争(Battle in Outer Space)』『妖星ゴラス(Gorath)』なども観た可能性は十分あります。それに、たとえ上映中でなかったとしても配給会社からフィルムを取り寄せて自宅で観ることができたのですから、それこそ(アメリカやイギリスの配給会社が買い取った)世界中のSF映画を観ていたと考えてよさそうです。そう考えれば本多猪四郎をキューブリックが知っていたのはもちろんのこと、「よろしければどうぞ」的に本を贈るくらいのリスペクトを示す関係に疑問を挟む余地などない、と言えるでしょう。

2017年10月16日追記:キューブリックはこの時期に観た多くのSF映画を「絶対的なリアリズムに欠けている」と非難していて「キューブリックが観た=キューブリックが評価した」という意味ではないことに注意してください。キューブリックが片っ端から映画を観る目的の多くはリサーチであったことは知っておくべき事実です。尚、キューブリックが「評価した(気に入っていた)」作品のリストはこちらにご紹介済みです。
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 キューブリックが『2001年宇宙の旅』の制作前に参考に観たという1963年公開のチェコ映画『Ikarie XB-1』のオープニングシーンがYouTubeにありましたのでご紹介。

 この『Ikarie XB-1』、キューブリックのパーソナルアシスタントだったアンソニー・フリューインによると

 「スタンリーはロンドンに移る前(※1965年頃)、ニューヨークで『2001年…』の調査や脚本を書いていた時に『Ikarie XB-1』を見ていました(彼は膨大な関心事があり、それをいくらでも手に入れることができた)。 確かにそれはスタンリーの発想ではありませんでしたが、それはテーマやプレゼンテーションの点で、平均的なSF映画から半歩くらいの進歩がありました。その後、彼が認めたように、当時でもそれはそれほど難しいことではありませんでした 」

 「私は、スタンリーに影響を与えた未来映画・SF映画はないと思う。そして、映画においてこれらの分野が十分提供されいていなかったという事実が、彼が『2001年…』を作った要因でした」

 「スタンリーは無類の映画好き(「良い映画からと同じように、悪い映画からも何かを学ぶことができる」)だったし、それらの映画のどれが彼の「好み」の映画のリストに載っているかどうかはわかりません。彼はユーモアと忍耐強さを持っていたので、時々冗談を言っている可能性があります。彼がかなり良いと思った傑出した映画の中には、彼のお気に入りの一つのショット、または一つのシークエンスがあったかもしれませんが、それまでお気に入りリストに含めてしまうと、あまりにも遠大な計画になってしまいます」

【関連記事】スタンリー・キューブリックが好んだ映画のマスター・リスト(2016年7月25日改訂版)


 とのことで、キューブリックが参考にと視聴したSF映画の一本でしかなかった様です。

 しかし、観ていただくとわかる様に、時代を考えればまあまあいい感じのオープニングです。通路がなんとなく『2001年…』を彷彿とさせますが、雰囲気がとってもソ連っぽいのは当時のチェコが共産主義国家だった影響も大きいでしょう。宇宙船のデザインはかなり古臭いですが、内部のセットはなかなかではないでしょうか。以下はキューブリックが観たであろう米公開版で『Voyage to the End of the Universe』と改題されたもの。サイケなビジュアルとサントラがなんともいい味を出していますね。

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「反仏映画」として賛否両論を巻き起こした衝撃作が、50年を経て蘇る

 1967年、日本を代表する映画雑誌『キネマ旬報』が例年発表する外国映画年間ベスト・テンにおいて『気狂いピエロ』(ジャン=リュック・ゴダール監督)や『欲望』(ミケランジェロ・アントニオーニ監督)といった名立たる傑作をものともせず圧倒的な差で第1位の栄冠を勝ちとった作品があります。1954年から1962年にかけて行われた、フランスの支配に対するアルジェリアの独立戦争を描いた『アルジェの戦い』(1966製作)です。ユダヤ人の家庭に生まれ、第二次世界大戦中レジスタンス運動のリーダーとして活躍した監督のジッロ・ポンテコルヴォは、ネオ・レアリズモの傑作『戦火のかなた』(ロベルト・ロッセリーニ監督)に感銘を受け映画の世界へ足を踏みいれた人物。ジャーナリスト出身の彼は映画を作るにあたって記録映像を一切使わず、目撃者や当事者の証言、残された記録文書をもとにリアルな劇映画として戦争の実体をドキュメンタリー・タッチで詳細に再現しています。

(引用先:『アルジェの戦い』オフィシャルサイト




 キューブリックが激賞したアルジェリアの独立闘争を描いた映画『アルジェの戦い』がデジタルリマスター・現地原語版で現在全国で上映中(一部終了)です。上映スケジュールや上映館は上記オフィシャルサイトをご覧ください。

 キューブリックはこの『アルジェの戦い』について、

 「すべての映画は、ある意味虚構のドキュメンタリーだ。人はできる限り現実に近づこうとする。しかしそれは現実ではない。非常に上手く映画を作る人々がいる。それらは私を完全に魅了し、そして見事にだまされた。 例えば『アルジェの戦い』。それは非常に印象的だ。」

 さらに長年キューブリックのアシスタントを務めたアンソニー・フリューインは、

 「スタンリーは長い時間にわたって『アルジェの戦い』と、ワイダの『ダントン』について夢中になってしゃべり続けました(それは彼とわめき合うようなものだった)。 1965年9月にスタンリーと仕事を始めたとき、彼は『アルジェの戦い』を観なければ、映画でどんなことができるのか真に理解できない、と語りました。 彼は死の直前でもまだそれに夢中でした」

「【関連記事】スタンリー・キューブリックが好んだ映画のマスター・リスト(2016年7月25日改訂版」より)


と、かなり高評価していたことが伺えます。

 二度ほどDVD/BD化されていますが、現在プレミアがついて、なかなか手を出しにくい価格まで高騰しています。それを考えれば、キューブリックに「観なければ、映画でどんなことができるのか真に理解できない」とまで言わしめたこの名作を、映画館で視聴するめったにないチャンスといえるでしょう。是非とも映画館へ足をお運びください。


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 管理人の『A.I.』に対する評価はここをご覧いただくとして、こんなにもオマージュが込められていたんですね。最初の車のシーンは有名なので知っていましたが、こじつけ臭いのもチラホラあります。まあ、本当のところはスピルバーグしかわからないので、ここでその真偽を検証しても意味はないでしょうから、観る人の判断におまかせするしかないですね。

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