突撃

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 第一次世界大戦の独仏戦の最前線を描いた『突撃(原題:Paths of Glory)』は、邦題からドンパチがメインの戦争映画を想像するかもしれない。確かに、前半の塹壕戦での無謀な突撃は熾烈を極めるが、後半は一転して、形ばかりの軍法会議を通して戦争の矛盾と理不尽さを浮き彫りにする。当時、若手監督として頭角を現し始めていたスタンリー・キューブリックの企画を、大スター、カーク・ダグラスの強力な後押しにより実現した気骨のある秀作だ。(今祥枝)

〈以下略〉

(全文はリンク先へ:シネマトゥデイ/2016年8月5日




 キューブリックは『突撃』について「戦争映画を撮ったつもりであって反戦映画ではない」といった内容のコメントを残していますが、それはちゃんと本作を観ればわかります。ダックス中佐は理不尽な作戦内容に対して反対したのであって、戦争そのものに反対しているわけではありません。なのになぜが本作は「反戦映画」としてひとくくりにされてしまう傾向があるようです。それは原作小説が反戦小説の傑作として認知されてる影響もあるようです。

 ここでのキューブリックのスタンスは、「戦争という巨大なシステムを人間という不確実な存在が扱う危うさに対する警鐘」もしくは「その危うさそのものが戦争の本質である」という指摘です。「上官の理不尽な命令で失わなくてもいい命が無駄に失われる」というプロットの根幹は『突撃』も『博士…』も全く同じで、真面目なドラマにしたかブラックコメディにしたのかの違いでしかありません。キューブリックが『博士…』を一旦は真面目なドラマにしようとしたものの、結局ブラックコメディに改変したのは、この『突撃』が「反戦映画」というレッテルでしか語られていないことが影響したのかもしれません。

 キューブリックは生涯で戦争というテーマを『恐怖…』『突撃』『博士…』『フルメタル…』と四度採り上げていますが、それは全て「戦争とは何か」を追求し、答えを探る試みでした。それを薄っぺらい「反戦映画」のレッテルでしか語れないとなると、キューブリックの真摯な問いかけに対して何も応えられいない、ということになってしまいます。上記の長文記事はなるほど、映画の紹介記事としては良く書けてはいますが、テーマについてはちょっと踏み込みが足らないな、という印象を持ちました。

 『突撃』について、もう一つ私の試みたことは、かつて一度も目にしたことのない偉大なる戦争映画への挑戦だった。実際、反戦映画と言われるものはすべて、戦争というものは醜く、汚辱に満ち、恐ろしいだけのものとして描いている、といったことに終始し、戦争の全側面についての真実は描いていない。完全に真実でないものは、映画において、それほど良くないということである。

 偉大な戦争映画などは、おそらく永遠に存在し得ないだろう。もし存在するとしたら、戦争以外のなにものでもないはずだ。

『ザ・スタンリー・キューブリック』より)


 
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 パリの美術工芸学校「エコール・エティエンヌ」で制作された、レゴブロックで再現した『突撃』のパロディの動画です。

 「レゴブロック」と言っても登場人物がレゴ化されたフルCGアニメーションのようです。キューブリック作品の中では人気がある割に、パロディやオマージュの少ない『突撃』ですのでちょっと珍しいかも。それにフランス軍の醜聞を扱った作品のパロディをパリの学生が作った、というのも面白いですね。
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アンダーソン
Richard Anderson(IMDb)
リチャード・アンダーソン(MOVIE-FAN)

 『突撃』で、軍法会議の検事を担当したサンオーバン少佐を演じた。『禁断の惑星』(1956)や『トラ・トラ・トラ!』(1970)などメジャー作にも出演しているが、当たり役は何と言っても『バイオニック・ジェミー』のオスカー・ゴールドマン局長役。『バイオニック・ウォーズ/帰ってきたバイオニック・ジェミー&600万ドルの男』(1989)では出演とプロデュースも担当している。また、日本合作映画『野性の証明』(1978)にロバーツ大佐役で出演している。

 他の出演作は『真珠』(1947)、『黄昏の惑い』(1951)、『ミズーリ横断』(1951)、『目撃者』(1951)、『二世部隊』(1951)、『血闘(スカラムーシュ)』(1952)、『三つの恋の物語』(1953)、『ブラボー砦の脱出』(1953)、『叛逆者』(1954)、『皇太子の初恋』(1954)、『艦隊は踊る』(1955)、『バスター・キートン物語』(1957)、『僕はツイてる』(1958)、『長く熱い夜』(1958)、『顔のない男の呪い』(1958)、『強迫/ロープ殺人事件』(1959)、『ダッジ・シティ』(1959)、『南太平洋ボロ船作戦』(1960)、『ミサイル空爆戦隊』(1963)、『ひとりぼっちのギャング』(1963)、『セクシー・ダイナマイト』(1964)、『五月の七日間』(1964)、『セコンド/アーサー・ハミルトンからトニー・ウィルソンへの転進』(1966)、『縛り首の三人』(1967)、『疑惑のメロディ』(1970)、『西部番外地 』(1970)、『死人に口なし』(1971)、『ロデオに生命を賭けた男』(1972)、『さよならコール先生』(1972)、『暗く長い夜』(1972)、『SF火星の謎/アストロノーツ』(1972)、『600万ドルの男/対決!サイボーグ国際誘拐シンジケート』(1973)、『サイボーグ危機一発/ミサイル大爆発!核兵器売ります』(1973)、『事件記者コルチャック/ナイト・ストラングラー』(1973)、『謎の完全殺人』(1979)、『大津波/コンドミニアムの恐怖』(1980)、『新・弁護士ペリー・メイスン/愛と欲望の行方』(1985)、『ケネディ家vsFBI長官フーパー/第2次南北戦争・スキャンダルと陰謀の日々』(1987)、『バイオニック・ジェミー スペシャル/蘇えった地上最強の美女』(1987)、『ザ・プレイヤー 』(1992)、『ゲティスバーグの戦い/南北戦争運命の三日間』(1993)、『グラス・シールド』(1994)など。

 1926年8月8日、アメリカ・ニュージャージー州のロングビーチ出身。
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 ある年代の方には大変懐かしいのですが、それ以外の方には全く知られていないこの『バイオニック・ジェミー』というアメリカABC製作のTVシリーズ。詳細はwikiでご覧頂くとして、なんとこのドラマの主人公ジェミーの上司、オスカー・ゴールドマン局長を演じていたのが『突撃』の裁判で、検事を担当したサンオーバン少佐を演じたリチャード・アンダーソンだったとは!

 キューブリック作品に出演した時点では無名だったのに、その後TV等で活躍した俳優の例として以前ヴィンス・エドワースをご紹介していますが、このアンダーソンもその例に漏れませんね。

 それにしても懐かしいですね。特殊能力を発揮する際の「トゥルトゥルトゥル・・・」という効果音。これを口で言いながら走ると、足が速くなったような気がした少年時代。「ばいお〜にっくのお♪」というエンディング曲も印象に残っていますが、歌っていたのはジェミーの声を担当した田島礼子さんだったんですね。「局長、〜ですわ。」という艶っぽい声に子供心にどぎまぎしたものです。
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 『芸術家の生活』作品316は、ヨハン・シュトラウス2世が1866年作曲したワルツ曲。

 シュトラウスのワルツといえば『2001年…』で使用された『ドナウ』が有名ですが、キューブリックはこの曲も作品内で使用しています。どの作品かといえば『突撃』の城内での夜会のシーン。このシーンではダックス大佐とブルーラード将軍の間で兵士の死刑を巡って丁々発止のやりとりが行われますが、そのBGでずっと優雅に鳴り続けていて、扉を開け閉めするタイミングで音が大小するあたりにキューブリックらしい皮肉を感じます。このシーンの成功が後のキューブリック演出の定番となる「曲のリズムとテンポで映像を編集する」や「ある特定のシーンやシークエンスの意味を曲で強調する」というキューブリック独特のBG起用法につながった可能性もあります。

 wikiによるとシュトラウスは数日でこの曲を書き上げたそうですが、いかいもシュトラウス節なメロディが全開でとてもわかりやすい(笑。キューブリック=『2001年』=『ドナウ』と思っている人に、ちょっとしたトリビアとして披露するにはいい小ネタかも知れませんね。
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