博士の異常な愛情

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 ロシアのプーチン大統領とアメリカの映画監督オリバー・ストーン氏が、故スタンリー・キューブリック監督の映画「博士の異常な愛情」を一緒に鑑賞していたことが明らかになった。

 6月12日にアメリカの衛星テレビ「ショウタイム」で放送された、ストーン氏制作のドキュメンタリー番組で紹介された。

(全文はリンク先へ:HuffPost Japan/2017年6月13日




 できればストーンではなく、トランプと肩を並べて爆笑しながら観て欲しかったですが、「プーチンが『博士…』を観た」という事実は、キューブリックファンにとってはちょっと意識してしまいますね。今後、核関連のニュースがロシアから流れてくるたびに「『博士…』を観たプーチンがこう言っている」というバイアスが良くも悪くもかかってしまいますので。

 インタファクス通信によると、映画を見終わった後、プーチン氏は「当時と今とでは状況はあまり変わっていない。兵器のシステムがより複雑になったということぐらいで、『報復のための兵器システム』という根本思想は変わっていない」と感想を述べた。

とのことですが、核抑止力が現在の平和の均衡を保っているという一面は疑いもない現実です。しかしその反面、核の暴走の行く末が破滅なら、それを回避するために我々は一体何をすべきか?という問いに、世界の指導者は常に「正解」を出さなければいけません。しかもその「正解」は長い年月が経ち、「歴史」になってみないとわからないというやっかいなものです。もしかしたら映画は、そのやっかいな正解を可能な限り正確に予測する最良の媒体かも知れません。キューブリックが意図したのか、していなかったのかはわかりませんが、いくつかのキューブリック作品がそういった未来予測の役割の一旦を担っているのだとしたら、やはり「キューブリックは天才」(本人は嫌がっていたようですが)という評価は揺るぎないと思わざるを得ませんね。

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 アメリカ合衆国の現状を見るに、この上ないタイミングでの登場です。詳細は以下から。

 スタンリー・キューブリック監督の傑作「博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか」。冷戦下で核兵器を巡るドタバタと人類の末路を描くこの上なくシニカルなブラックコメディ作品ですが、そこに登場する人物たちの有様は今現在の世界にも十分通用するもの。

 この作品をヒューマン・リーグ、ヘヴン17のメンバーであり、ティナ・ターナーやイレイジャーなどのプロデューサーとしても活躍するマーティン・ウェアが作中の映像と台詞を電子音楽でリミックスしています。

(全文はリンク先へ:Buzzap!/2017年2月18日




 うーん、記事で煽っているほどでは。それよりも動画の作者であるマーティン・ウェアが「ヘブン17」のメンバーだったことに触れて欲しかったですね。そう、『時計…』でのレコードショップでナンパされた女の子のセリフ「誰が好き?ゴグリー・ゴゴル?ジョニー・ジバゴ?ヘヴン17?」が元ネタになったバンドです。そのヘブン17についてはこちらで以前記事にしています。マーティン・スコセッシの『ウルフ・オブ・ウォールストリート』のリミックスがこの再生数ですので、これで味をしめたみたいですが・・・残念ながらここまではバズらないでしょう。

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Thomas_Schelling
Thomas Schelling(IMDb)
トーマス・シェリング(wikipedia)

 アメリカの経済・政治学者。専門はゲームの理論。『博士の異常な愛情』のコンサルティングを担当した。

 キューブリックはシェリングの書いたピーター・ジョージの小説『赤い警報(破滅への二時間)』の紹介記事を読んで興味を持ち、映画化権を獲得したが、小説には大きな問題があった。原作小説が書かれた1958年頃は爆撃機が核攻撃の主な手段だったが、1960年代までには大陸間弾道ミサイルがそれに取って代わっていたからだ。 そのため、爆撃機を使ったもっともらしいシナリオを考え出すためにシェリング、キューブリック、ピーター・ジョージ、核の理論家ウィリアム・カウフマンらと協議することになった。「私達は核戦争の始め方をどうするか苦労した」「私達は(戦略)空軍で狂った誰かがいない限り、最終的には核戦争が起こるはずがないと考えた」。そうやってキューブリックとピーター・ジョージは小説を「ナイトメア・コメディ」に改変することを決めたそうだ。

 また、映画に登場した「皆殺し装置」はシェリングのアイデアで、それは自身が最も興味を持っていたテーマ(戦略的コミットメント、誤ったコミュニケーション、意図せぬ結果)でもあった。

 1921年4月14日カリフォルニア州オークランド出身、2016年12月13日死去、享年93歳。
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 映画館での宣伝素材として日本ではチラシが一般的ですが、海外では映画のワンシーンや宣材写真を印刷した「ロビーカード」呼ばれるカードで映画館のロビーを飾るというのが一般的だったそうです。そしてこのロビースポットとは、その映画館のロビーで流された宣伝用音声の事だそうです。

 映画が文化として根ざしているアメリカらしい宣伝方法ですが、録音媒体がテープではなくレコードというのがいかにも当時らしいですね。時代は1960年代前半。カセットテープが普及するのが60年代後半ですので、広いアメリカ大陸の隅々まで宣伝を行き渡らせるにはレコードが一番適していたんでしょう。

 以前ここでご紹介したレア曲『Dr. Strangelove and the Fallouts: Love That Bomb』もそういった一連のプロモーションツールとして使用されたのでしょう。こういった音源とキューブリックから支給された本編映像を使ってパブロ・フェロが予告編を制作した経緯が想像できます。なんでもかんでも管理したがるキューブリックの事ですから、こういったプロモーションツールの数々は全て自身の監督下で制作されたと考えるのが自然です。編集やサウンドトラックなどのプリ・プロダクションも同時進行でしょうから、自らが撒いた種とはいえ、ものすごい作業量ですね。
 
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 トーマス・シェリングさん(米メリーランド大名誉教授、ノーベル経済学賞受賞者)が、同大学によると13日死去、95歳。

〈以下略〉

(全文はリンク先へ:朝日新聞デジタル/2016年12月14日




 トーマス・シェリングは『博士の異常な愛情』の原作小説、『赤い警報(破滅への二時間)』の記事を新聞に書き、それを読んだキューブリックが興味を持ち、小説の映画化権を獲得したという経緯があります。そのシェリングと小説を書いたピーター・ジョージに会いに、キューブリックはケンブリッジに出向いたそうです。

 ところが、1958年に小説が書かれた当時、ICBM(大陸間弾道弾)は偶発的核戦争の要因だとは考えられていませんでしたが、映画制作の1962年頃には大問題になっていました。ICBMで核戦争が始まってしまえば、それを止めるために政治家や軍人が右往左往する時間がないからです。3人はそのプロットの穴を埋めるべく議論をしたそうですが、結局はICBMの存在を無視するしかなかったようです。シリアス劇から喜劇に変更したのも無視した大きな理由かも知れません。喜劇なら「プロットの穴よりもその寓話性を重視した」と言えますので。

 「戦争を始めるのに苦労した」とは当のシェリングの言葉ですが、当時のキューブリックの「こだわり」が垣間見えるようで、ちょっと可笑しいですね。上記の動画の記事はここで読むことができます。

 故人のご冥福をお祈りいたします。
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