2001年宇宙の旅

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2001_UHD_REBD2018年12月19日に発売になった4K UHDとリマスターBD。

 “もしもその題材が文章化、あるいは思考化できるのなら、映画化も可能だ”

 こう語った巨匠スタンリー・キューブリックが、SF作家アーサー・C・クラークとともに創案を練り上げたストーリーを映画化、自らの言葉を実証してみせたのが『2001年宇宙の旅』だ。その映画史に燦然と輝く偉大なる名作が、いよいよUHDブルーレイでリリース、圧倒的なビジュアルとともに家庭劇場を染め尽くすことになった。

 本作はスーパーパナビジョン70方式(後述)で撮影。65mmオリジナルネガを8K解像度でスキャニング。4K解像度によるレストアとカラーグレーディング。HDR10とドルビービジョンによるHDRグレーディング。1968年公開/オリジナル6トラック音源の追加。もちろん同時リリースのブルーレイも同じマスターを使用したリマスター版となっており、最新ディスク・スペックがシネフィルの興味を強くそそるに違いない。そしてこれまで数々リリースされてきたパッケージ・ソフトとも異なる(HD放送も同様)、はるかに進化した購入必至の仕上がりとなっている。

〈以下略〉

(全文はリンク先へ:Stereo Sound Online/前篇:2018年12月14日後篇:2018年12月19日



 この記事には「2007年のブルーレイは(国内版は2009年発売)、1999年にレストアされた65mmネガから生成した35mmインターポジ(色補正などを経て作られた第1世代プリント)を2Kスキャンして制作された。」とあります。つまり、

(1)1998年初版DVD(ノートリミング版LDマスターの流用?)
(2)2001年リマスターDVD向けに35mmインターポジからSD(?)スキャン
(3)2007年BD向け(DCP向けも?)に35mmインターポジから2Kスキャン
(4)2018年リマスターBD、4KUHD、iTunes4K、8KOA向けに70mmネガから8Kスキャン

参考:LD DVD & ブルーレイギャラリー/2001年宇宙の旅

と少なくとも3〜4回はデジタルスキャンされ、ここで記事にしたその内の(2)、(3)はボーマン宇宙遊泳シーンのワイヤーを消したということになります。もし、(3)の2KスキャンマスターがDCPやIMAXに転用されたのなら、IMAXでワイヤーの影がなかったことの説明になります。また、ある方からのリークでIMAXは2Kであるとの情報を得ていることもここでお知らせしておきます。

 記事を読み限り、今回はかなり厳密に作業しているようですし、例によってレオン・ヴィタリも参加しているそうです。ということは「見落とした」とは考えづらく、おそらく「オリジナルを忠実に再現し、傷などの修正以外はいっさい手を加えない」という方針が徹底された結果なのでしょう。

 以前ここで記事にした宇宙ステーションの椅子(ジンチェア)の色の話題もありますが、カタリーナの証言によると、色は「フクシア色(マゼンタより幾分パープル色素が強い色)」だったそうです。しかし、残された写真は(ピンク寄りの)赤にしか見えません。撮影された環境によってこうも色が変わるものかと驚くばかりです。

djinn_4どう見ても(ピンク寄りの)赤にしか見えませんが、写っている本人(写真左のカタリーナ)がそう言うのだから信じるしかないでしょう。

 宇宙遊泳シーンのワイヤーの影の件に話を戻すと、管理人がこの事実に気がついたのは70mm上映の時でした。帰宅してすぐ手持ちの初版DVD、リマスターDVD、BDを確認したところ、あり、なし、なしの結果でした。その後のIMAX上映では影はなく、NHKの8Kオンエアでは影があったことを確認しています。4K UHDやリマスターBDでも確認したかったのですが、発売延期のトラブルで入手が遅れてしまい、「ひょっとしたらこの件はHiViの特集で何らかの言及があるかも」と思っていましたが、特に指摘はありませんでした。ですので記事にして公開し情報を募った、という経緯になります(この記事はこちら)。

 おそらく多くの『2001年…』ファンはリマスターDVDかBD、もしくそのBDや2Kスキャンマスターを使用した衛星放送のOAやネット配信を観ていたはずです。しかし、これらのソースではワイヤーの影は消されていました。それ以前のLDやVHSの時代だとブラウン菅ですので、解像度が悪くて影に気がつきにくかったでしょうから、ほとんど誰も気がつかなかったのも無理ありません。映像の高解像度化は喜ぶべきことですが、このように撮影の粗も見えてしまうというデメリットもあります。キューブリック本人も、こんな未来が待ち受けているとは予想だにしていなかったでしょう。管理人としても粗探しは本意ではありませんし、もっと内容に目を向けるべきだとは思いますが、さんざん消費し尽くされた『2001年…』で、こういった「新たな発見(たとえ粗でも)」あるというのは、なんだか楽しい気分になるのも事実です(笑。もしかするとこういった粗探しに不快感を覚えるファンの方もいらっしゃるかもしれませんが、今更言うまでもなく『2001年…』の評価はこの程度の粗で揺らぐものではありません。ですので、「作品の楽しみ方」はそれぞれの鑑賞者の方におまかせしてもいいのではないか、と思っています。

2018年12月25日:加筆・修正
【お願い】当ブログの記事は「KUBRICK.Blog.jp」の明記と該当記事へのリンク(URL表記「http://kubrick.blog.jp/」でも可)貼ることを条件に、報告不要でご自由にご活用頂けます。ただし、WEBマガジンやキュレーションサイトなど、アクセス集めを目的とするサイトのライター様はこの条件を守って頂けていないようですので、の当ブログの閲覧を全面禁止させていただきます。当ブログ記事の一切の参考・引用はしないでいただきますよう、宜しくお願いいたします。







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2001_pod1初版DVDのボーマン宇宙遊泳シーン。足元に2本のワイヤーの影が見える。

2001_pod2リマスターDVDの同じくボーマン宇宙遊泳シーン。ワイヤーの影は消されている。

2001_EVA宇宙遊泳シーンの撮影風景。

 『2001年宇宙の旅』で、ボーマンがスペースポッドからAE35ユニットを手に宇宙空間へと乗り出すシーンは、ボーマン(演じたのはキア・デュリアではなくおそらくスタントマン)とスペースポッドをスタジオの天井付近に吊るし、その真下にカメラ置いてレンズを垂直に真上に向けて撮影したものです。この撮影は、スタントマンがたった2本のワイヤーでセーフティーネットもなしに空中に吊るされるという非常に危険なものでした。

 その2本のワイヤーは左上から当たる強烈なライトによってスペースポッドに影として映ってしまっているのですが、『2001年…』の視聴メディアによって、その「影」があったりなかったりしているようです。

 以下はDVD化以降の「影のあり・なし」を調べたものです。

初版DVD……………………影あり
リマスターDVD……………影なし
BD……………………………影なし
DCP…………………………不明
HDリマスターBD…………影あり※
4KUHD……………………影あり※
iTunes 4K・HDR…影あり※
70ミリフィルム上映………影あり
IMAX上映…………………影なし
NHK8K放送………………影あり

 以上の結果から、オリジナルネガには影があるものの、そのままにするか修正するかは、その時修正する当事者の判断にまかされているように思います。もしくは気づいたら消去し、気づかなければそのままという可能性も。70mmは「アンレストア(修復しない)版」という明快な趣旨があったので理解できますが、傷などを修復をしているその他の媒体なら消すのが自然だと思います。もしキューブリックが存命なら消させた可能性が高いですが、どうもワーナー側できっちりコントロールしている訳ではなさそうです。どうしてこんな曖昧な判断になっているのかよくわかりませんが、影を消すなら消す、消さないなら消さないで統一して欲しいものです。

 この問題、海外でも話題になっているかと思い、検索してみましたがヒットしませんでした。こんな細かなことを気にしているのは少数派だとは思いますが、消した・消していないがはっきり分かるという意味では貴重なシーンです。それにしても影が目立ってしまう8Kオンエアで消していなかったのには驚きました。

 なお、「未確認」となっているのは現段階で未入手だったり、未視聴なため確認できなかったためです。私の手元にHDリマスター&4KUHDが届くのは来年になりそうです(入手できても4KUHDの視聴環境はないのですが。泣)ですので、もしここをご覧になっている方で確認できるようでしたら、Twiitter掲示板メールでお知らせくださると幸いです。

2018年12月23日追記:HDリマスターBD、4KUHD、iTunes 4K・HDRには影があるとの報告がありました(※)ご協力くださいました皆さま、ありがとうございました。ということは、これらは全てNHKの8Kスキャンデータのダウンコンバートということでしょうか? となるとIMAXで影がなかった理由がわからないのですが、IMAX版は独自に修正を施したのでしょうか? それともBD、もしくはDCPのデータの流用? 疑問が残ります。

2018年12月24日追記:このワイヤーの影の件は引き続き考察しています。詳細はこちら
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 書店売りの雑誌がここまでキューブリック作品を採り上げるのはずいぶんと久しぶりだと思います。キューブリック逝去後、2010年頃まではサブカル系雑誌を中心に幾度か採り上げられていましたが、ここ10年くらいはすっかり忘れられた存在になっていました。それだけ今年の『2001年…』関連の盛り上がりがすごかったという証左なのでしょう。

 肝心の特集の内容ですが、全42ページの大特集ですが、オーディオ・ビジュアルの専門誌らしく、その多くが技術的な点にフォーカスしているのは仕方ないところ。特に目新しい一次情報もないので、そういった目的には応えてくれませんが、『2001年…』の4K化を契機に今後4Kや8KのAV機器導入を考えてる方には参考になるのではないでしょうか。

 全チャプターの解説は労作だと思いましたが、モノリスは金属製でなく黒鉛と塗料を混ぜ、それを塗り重ねたものをピカピカに磨き上げて制作したもの。パーカーの万年筆の先はスプリングではなくおそらく小型の原子力(放射性同位体)パケットだと思われますので、ここで補足しておきます。

 特集の各章立てと概要は以下の通り。ご購入の参考にどうぞ。

●特集『2001年宇宙の旅』

・すべては『2001年宇宙の旅』から始まった
 黒田邦雄氏による作品解説

・今、なぜ『2001年〜』なのか
 2018年の『2001年宇宙の旅』
 藤原陽祐氏による70mm上映、IMAX上映、8Kオンエアレポ

 70mmフィルムには「感性情報」が詰まっている
 山下泰司氏によるフィルムアーカイブ冨田美香氏のインタビュー記事

・『2001年宇宙の旅』メディア進化論
 藤原陽祐氏によるLD〜DVD〜BD〜UHDBD、iTunes 4KHRDまでの各メディア解説

・『2001年〜』への異常な愛情
 福井晴敏、添野知生、久保田明、酒井俊之、高津修、西山嘉樹、堀切日出晴 各氏によるコラム

・キューブリック音楽のスコア
 伊藤隆剛氏によるCD4枚組『スタンリー・キューブリックの音楽〜「デイジー」「また会いましょう」から「雨に唄えば」まで』の解説

・画質・音質を極めるならUHDブルーレイ
 藤原陽祐氏によるUHDBD対応機器の解説

・Ultra HD Blu-ray徹底分析〜全チャプター見どころ・聴きどころ解説
 藤原陽祐氏による『2001年…』UHDBD全チャプター解説


HiVi(ハイヴィ)2019年1月号(amazon)


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ギャラリー「想像の世界」※AMPASより引用

 2019年の終わりにオープンするこの新しいスペースは、初期の無声映画からスタンリー・キューブリック『2001年宇宙の旅』のスターゲートへと通じています。

〈中略〉

 2階の展示室は現実とファンタジーをテーマにした2つのギャラリーに分かれています。「現実の世界」は、映画制作者が冷戦と原子力時代、そしてイタリアのネオリアリズムとフランスのヌーベルバーグにどのように反応したかを、 「想像の世界」は、あらゆるタイプのファンタジー映画を追求しています。ふたつのギャラリーをつなぐのはスタンリー・キューブリックの『2001年宇宙の旅』の幻惑的で革新的なスターゲート・シーケンスに触発された通路になる予定です。

〈以下略〉

(全文はリンク先へ:Hollywood Reporter/2018年12月4日




 上記の「想像の世界」のイメージボードによると、以前この記事でご紹介した『2001年…』で実際に使用された唯一の現存モデル「アリエス1B宇宙船」、ジュール・ヴェルヌの『月世界旅行』、スピルバーグの『未知との遭遇』のマザーシップなどが展示されるようです。

 他にも東京のアート集団「teamLab」が「Transcending Boundaries」というインスタレーションを開催したり、4階のマリリン・アンド・ジェフリー・カッツェンバーグ・ギャラリーでは、宮崎駿監督作品の回顧展が予定されています。

 リンク先によると映画関連の機材も展示されるようですが、シネラマ用のカメラは初めて見ました。本当に3本のフィルムをセットできるんですね。

 なかなか充実した展示になりそうですが、スターゲートに似せた通路まで作るという、今更ながらのアカデミーの『2001年…』に対する厚遇ぶりに違和感も(笑。1968年のアカデミー賞では『2001年…』に、監督賞も作品賞も脚本賞(クラークは相当悔しがっていた)も贈らなかったくせに、この手のひら返しには違和感ありまくりです。とは言っても、やはり興味をそそる展示物ばかり。映画ファンには定番のロサンゼルスの観光スポットになりそうな予感ですが、だったら贖罪を込めてせめてアカデミー特別賞くらいは、クリスティアーヌが存命のうちに贈ってあげてほしいものです。

 アカデミー映画博物館の公式サイトはこちら
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2001

4万7千本の映画の中で『オズの魔法使い』は、『スター・ウォーズ』を退けて最も影響力のある映画として選出されました。

 トリノ大学の研究者は、興行収入や肯定的なレビューではなく、他の映画で何回引用されたか、何回のスピンオフがあったかよって、映画の影響力を測定するコンピュータプログラムを開発しました。

 彼らは47,000本以上の映画を評価した結果、1939年にリリースされたジュディ・ガーランド主演でクリスマス・ビューの定番作品である『オズの魔法使い』がその名を冠したことに気付きました。それから『スター・ウォーズ』とアルフレッド・ヒッチコックの『サイコ』が続きました。

 このアルゴリズムでは、インターネット・ムービー・データベース(IMDb)のWebサイトをソースとして使用しています。

〈中略〉

影響力のある20の映画

1『オズの魔法使い』(1939)
2『スター・ウォーズ』 (1977)
3『サイコ』(1960)
4『キングコング』(1930)
5『2001年宇宙の旅』(1968)

〈以下略〉

(全文はリンク先へ:The Telegraph/2018年11月30日




 主観によらない客観的な映画ランキングを作る挑戦としては面白い試みだと思います。まあ、「引用」や「スピンオフ」を「影響力」と言い切ってしまうには若干の問題もありますし、絶対的に正確であるとは言い切れず、掲載作品に偏りのあるIMDbをソースに使っているのは若干疑問が残ります。ですが、こういった情報を大量に集めたり、影響力の判断基準を増やすことによって精度が高まっていく期待はありますね。そうなった時、果たして『2001年…』は現時点の5位という位置を上げるのか、下げるのか。非常に興味があります。ちなみに18位には『博士の異常な愛情』もランキングされています。ぜひこのままプログラムの開発を続けていただいて、年一回くらいでランキングを発表して欲しいですね。
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