2001年宇宙の旅

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umeda
本棚の奥にあった単行本を引っ張り出してきました。本の扱いが悪いので、カバーが破けてしまっています。

 よくネットで地下街や駅構造の複雑さから「新宿ダンジョン」「渋谷ダンジョン」などと話題になりますが、関西では「梅田ダンジョン」が有名ですね。その話題が挙がるたびに思い出していたのが堀晃氏の短編SF小説『梅田地下オデッセイ』です。

 ストーリーは梅田地下街が白昼突然閉鎖され、残された人々は生き残るために食料を奪い合う暴徒と化して地下街は無法地帯に。さらに地下街を管理するコンピュータが謎のシャッター操作をすることによって、ウメチカがまさしく「梅田ダンジョン」化。そんな中、主人公は地下街からの脱出を試みて阪急プラザ(現在の阪急三番街北館)から南へ向かう・・・というもの。

 発表は1978年ですので、当時の梅田地下街(略称ウメチカ)がベースになっていますが、現在の地下街(Whityうめだと改称)と構造的には大きな変化はありませんので、梅田地下街になじみのある方なら楽しめる小説です。その反面、なじみがないと主人公の位置関係が把握しにくく、ちょっと読みづらいという難点もあります。

 1978年といえば『スター・ウォーズ』の大ヒットに続けてSF映画がブームになっていた頃。切望された『2001年宇宙の旅』のリバイバル公開も全国規模で行われていました。そんなSFブームの真っ最中に発表されたこの作品、作者の堀晃氏は『2001年…』の影響を語っていませんが、「オデッセイ」というタイトルや言葉を話すコンピュータ(ただし女性)、物語の鍵となる新生児など、そこここにその影響が感じられます。

 この『梅田地下オデッセイ』ですが、堀晃氏のホームページで全文無料で公開されています。興味のある方はぜひ一読してみてください。

 余談ですが、この物語のラストシーンの舞台になった堂島地下センターに入口があった「大毎地下劇場」(現在は廃館)という名画座に管理人は入り浸っておりました。友の会会員になれば700円(記憶によれば)で入館でき、2本立て、3本立てを続けざまに観たものです。『シャイニング』『時計じかけのオレンジ』『博士の異常な愛情』を観たのもこの名画座です。この地下街の名物店といえば「インデアンカレー」。甘いけど後でピリッとくるルーに生卵を落とすという独自のスタイルは、ある種の郷愁を誘います。東京でも東京駅丸の内側のビル、TOKIA地下一階に出店していますので、東京であの味を味わってみたいという方は、足を運んでみてはいかがでしょうか。
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二時間だけのバカンス/宇多田ヒカル featuring 椎名林檎

 日本を代表する歌姫、宇多田ヒカルの楽曲に椎名林檎がコラボした2016年に発表した曲。宇宙船が『2001年…』の宇宙ステーションVと『さよならジュピター』のTOKYO-IIIを足して2で割ったようなデザインです。到着した木星の衛星には大阪万博のオーストラリア館のような建物があるし、車が砂漠を疾走するシーンは『スター・ウォーズ』に、ホバータイプのキックボードは『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のスケートボードに似ています。実はこのMVの監督は椎名林檎の夫である児玉裕一氏です。

 映像は古今東西、様々な映画などからの引用が見られますが、歌詞は不倫とも夫婦愛とも女子友とも受け取れる内容・・・というか、それを狙った感じ。MVとの共通点は「日常からの脱出」という点だけですので、歌詞を特定の解釈をされないよう、わざと極端な非日常感を出したいがために宇宙旅行というシチュエーションを選んだのではないでしょうか。

(情報提供:OPOE様)




天誅/閃靈 CHTHONIC

 台湾のデスメタルバンド、閃靈 CHTHONIC(ソニック)の『天誅』のMVにはいきなり『2001年…』の白い部屋が登場しびっくりしますが、CGなのかセットなのか微妙なところですね。「デスメタル」としましたが正確には「ブラックメタル」だそうですが、その違いはよくわかりません。

 このソニックというバンド、wikiによるとかなり政治的な色彩が強く、一言で言えば台湾独立派のようですが、中国に飲み込まれてしまえば自由な音楽活動など望むべくもないので、まあそうでしょうね。今年2月には東京と大阪でツアーが組まれているそうです。

 その他のオマージュMVは「【オマージュ】『2001年宇宙の旅』にインスパイアされた、もしくはオマージュしたMVのまとめ」という記事にまとめていますので、よろしければこちらもどうぞ。
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ODYSSEY VR
『ODYSSEY VR: A Spacetime Trip』のVeeR版はこちら

 昨年大ヒットした映画『レディ・プレイヤー1』で主要な舞台になったVR(ヴァーチャル・リアリティ)ですが、VR版YouTubeとでも呼べそうなプラットフォーム「VeeR VR(ヴィーア)」が昨年から日本でもサービスを開始したそうです。記事を引用すると、

 中国発のグローバルVRコンテンツサービス、「VeeR VR(ヴィーア)」が日本に上陸しました。「Veer VR」は世界中の個人や団体が、360度コンテンツを共有するコミュニティです。アップロードされたコンテンツを幅広いVRヘッドセットやモバイル端末で閲覧できるほか、VRコンテンツの編集機能も備わっています。

(全文はリンク先へ:Mogura VR/2018年7月9日


とのことですが、PCのブラウザではマウスでぐりぐりと360度見回すことができます。明らかに『2001年…』のスターゲート・シークエンスを思わせる映像が出てきますが、動画のタイトルがそもそも『ODYSSEY VR: A Spacetime Trip』ですので言わずもがな、ですし、作者のJosh Gonsalves氏も「キューブリックの『2001年宇宙の旅』にインスパイアされたこの壮大な冒険で、時空を超えてください。」とコメントしています。

 個人的にはヘッドセットなしで視聴できる環境(例えば3Dホログラムスクリーンとか)が整わない限りVRの普及は限定的だと感じていますが、3D映像は大昔からある定番の「未来ガジェットネタ」ですので、いつかは身近な映像メディアとして普及して欲しいですね。

 YouTube版はこちら

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 本当に久しぶりのキューブリック関連書籍の邦訳です。2004年に刊行されたクリスティアーヌの秘蔵写真集『スタンリー・キューブリック〜写真で見るその人生』、ポール・ダンカンの『スタンリー・キューブリック』、ヴィンセント・ロブロットの『映画監督スタンリー・キューブリック』以来ではないでしょうか。この原書が上梓された時に記事にしましたが、まさか本当に邦訳していただけるとは思ってもいませんでした。それほどキューブリック関連書籍の邦訳は望み薄だったのです。

 内容は今まで知られてきた『2001年…』制作秘話に新たな証言を加え、それを著者のマイケル・ベンソンが取りまとめ、解説するという構成になっています。登場する主な証言者は以下の通り。

スタンリー・キューブリック…プロデューサー、映画監督
アーサー・C・クラーク…小説家、脚本や小説版執筆、科学アドバイザー
クリスティアーヌ・キューブリック…キューブリックの妻、エイリアンの造形担当
カール・セイガン…「異星人は見せるな」と指南した天文学者
マイク・ウィルソン…クラークのパートナー
ロジャー・キャラス(カラス)…広報担当
スコット・メレデス…クラークの版権代理人
ヘクター・エカナヤケ…クラークのアシスタント
レイ・ラブジョイ…キューブリックの編集担当
ウィリアム・シルヴェスター…俳優(フロイド博士)
コン・ペダーソン…特撮担当
ダグラス・トランブル…特撮担当
ロバート・ガフニー…セカンドユニットの撮影監督
ルイス・ブラウ…キューブリックの弁護士
ウォーリー・ジェントルマン…初期の特撮担当
ダグラス・レイン…俳優(HAL9000の声)
フレッド・オードウェイ…元NASAの技術顧問
ハリー・ラング…元NASAの美術監督
ロバート・オブライエン…MGM代表
キア・デュリア…俳優(デビッド・ボーマン)
ゲイリー・ロックウッド…俳優(フランク・プール)
ヴィクター・リンドン…制作補佐
トニー・マスターズ…美術監督
ボブ・カートライト…初期のセット装飾家
トニー(アンソニー)・フリューイン…キューブリックのアシスタント
アーニ・アーチャー…トニー・マスターズのアシスタント
ウォーリー・ヴィーヴァーズ…特撮担当
ブライアン・ジョンスン…特撮アシスタント
ロバート・ビーティー…俳優(クラビウス基地司令官)
ジェフリー・アンスワース…撮影監督
デレク・クラックネル…第一助監督
ケルヴィン・パイク…カメラオペレーター
デイヴィッド・デ・ワイルド…編集アシスタントでアメリカ試写に同行
ジョン・オルコット…アンスワースの撮影助手、後に撮影監督
ブライアン・ロフタス…特撮担当
アンドリュー・バーキン…アシスタント、後に映画監督
スチュワート・フリーボーン…メイクアップ・アーティスト
ダン・リクター…俳優(月を見るもの)
ビル・ウェストン…スタントマン
トム・ハワード…特撮担当
ピエール・ブーラ…「人類の夜明け」の背景写真撮影担当
コリン・キャントウェル…特撮担当
ヤン・ハーラン…キューブリックの義弟(クリスティアーヌの弟)で後のプロデューサー

上記以外では

リズ・ムーア…スターチャイルドの造形担当
アイヴァー・パウエル…制作アシスタント、カミンスキー博士役
ブルース・ローガン…トランブルのアシスタント、オープニングショットの制作者

注:本書の解説より噛み砕いた説明をしています。

 特に注目すべきは、制作当初は単なるアシスタント程度にしか過ぎなかったダグラス・トランブル、アンドリュー・バーキンの成り上がりっぷり、俳優のキア・デュリア、ゲイリー・ロックウッド、ダン・リクターの作品への少なくない貢献度、そしてキューブリックの妻であるクリスティアーヌが、キューブリックを励まし続けた姿です。クリスティアーヌの「内助の功」っぷりは感動的ですらあり、キューブリックが生涯にわたってクリスティアーヌにベタ惚れだったのもよく理解できます。

 ただ、残念な点もあって、クラークに関しての多くが『失われた宇宙の旅2001』の焼き直しであること、著者のマイケル・ベンソンの解説に疑問な点があることです。後者に関してですが、ベンソンは「HALの見た目映像はフェアチャイルド社のレンズ」と解説していますが、フェアチャイルドのレンズであの魚眼映像は撮れません。使用したのはHALのセットに組み込まれていたものと同じニコンの魚眼レンズです(詳細はこちら)。また、モノリスの1:4:9比率を決めたのはトニー・マスターズであるかのような記述がありますが、映画のモノリスは1:4:9ではありません。クラークは「(比率は)あとで思いついたもの」と証言していますので、映画版の比率は美的観点からマスターズが決め、クラークはその比率に意味を持たせるために小説版で1:4:9であると後付けで設定したのではないかと推察しています。

 この他にも気になる点がいくつかあるのですが、それこそ『2001年…』はネット・書籍などを含めれば全世界に研究者がおり、その情報量も膨大ですので、クロスチェックは必要になるかと思います(特にベンソンの推察や考察の部分)。とはいえ多くの関係者の証言、つまり一次情報を集め、それを一冊の書籍にまとめた功績は素晴らしく、それを知るには貴重な資料であることは間違いないでしょう。

 『2001年…』に限らず、キューブリックは独断と独善で作品を作るようなことはなく、多くの優秀なスタッフ(たとえ使い走りでも)の意見に耳を傾け、その才能を評価し、そのアイデアが作品をよくするためなら臨機応変に(クラークはそれを「行き当たりばったり」と評している)採用する柔軟性を持ち合わせていました。つまり役者の台詞だけでなく、制作過程も「アドリブだらけ」だったのです。その顕著な例が「完成した脚本で撮影をするという手法を採らない」ということです。撮影前に一応脚本は形にはなるのですが、それは撮影が進むたびに書き直され、(時には大きく)変更されたりするので、台本係が常にそばに待機しそれを記録、翌日には新しい台本が役者に渡される、といった具合です。キューブリック自身もインタビューで「シナリオの最終決定稿が完成するのは、撮影現場で最後のショットが終わった時だ」と語っています。

 それらアドリブをまとめ上げ、最終的に判断するのはキューブリックですが、その判断にいかに客観性を持たせられるかに苦悩する姿は本書では特に印象に残りました。一般的に「天才(ただし本人はこう呼ばれることを好んでいなかった)」「完全主義者」と呼ばれるキューブリックですが、それ以上に重要なのは多くの優秀なスタッフの才能をまとめ上げる(「才能を搾り取る」と揶揄されることも)天才的な「指揮者(マエストロ)」であったことです。この書によってその理解が一般に広がることを期待したいですね。

 『2001年…』ファン、キューブリックファンには必携の書だとは思いますが、価格が少々高額なのが残念なところ。ですが、この本が売れることによって他のキューブリック関連書籍の邦訳の可能性が高まるので(特に『The Stanley Kubrick Archives』の邦訳を望みたい)、できれば図書館などで借りてすませるのではなく、ファンの皆様にはぜひ購入していただけたらと思います。

 なお。原書のタイトルは『Space Odyssey: Stanley Kubrick, Arthur C. Clarke, and the Making of a Masterpiece(スペースオデッセイ:スタンリー・キューブリックとアーサー・C・クラークはいかにして傑作を作ったか)』です。どうして『2001:キューブリック、クラーク』というタイトルにしたのかは、書店の店頭などで耳目を集めたいがためだとは思いますが、単に3つの単語を並べただけの中途半端な印象しかなく、あまりセンスが良いとは思いませんでした。早川書房さんには邦訳書を出版していただいた感謝の念しかありませんが、この点は残念であったことを付記しておきます。


2001:キューブリック、クラーク(amazon)
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2001

2019年1月3日(木)午後0:30〜午後3:00(150分)

 映画史にさん然と輝く、巨匠スタンリー・キューブリック監督の傑作SF映画。70ミリで製作された超大作のオリジナル・ネガをもとに8K化し、修復を行った8K完全版。

 1968年、当時最高のクオリティーを誇る70ミリフィルムで製作・公開されたSF超大作を、オリジナル・ネガをもとに8K化し、色彩や傷などの修復を行った8K完全版。謎の物体モノリスと人類との出会い、宇宙船ディスカバリー号の木星への旅など、知的好奇心に満ちた物語と、巨匠スタンリー・キューブリック監督の圧倒的な映像美が、8Kによって細部まで鮮明によみがえる。今なお最高のSF映画とされる映画史上の傑作。

【監督】スタンリー・キューブリック
【出演】ケア・ダレー、ゲイリー・ロックウッド、ウィリアム・シルベスター
【脚本】スタンリー・キューブリック、アーサー・C・クラーク

・字幕スーパー
・レターボックスサイズ
・1:57.38-2:00.23 インターミッション

(引用先:NHK番組ホームページ『2001年宇宙の旅』




 8Kのコンテンツは少ないので、半年くらい経ったら再放送するかな?と思っていましたが、ひと月で再放送になりました。

 最寄りのNHKで8Kの放送を視聴公開していると思いますし、家電量販店でもオンエアを流す可能性があります。前回の初放送の際の各放送局の情報で、イベント関係以外のものは参考になると思います(ただしお正月休みに注意)ので、NHKの放送局や放送関連施設で視聴されたい方はこちらをご覧の上、各局にお問い合わせください。
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