バリー・リンドン

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Barry Lyndon Special Edition, Criterion Collection Blu-ray(amazon US)

キューブリックの遺志通り、ヨーロッパビスタ(1.66)で収録されたクライテリオン版BD。見本映像にはしっかりとピラーボックスが見える。


バリーリンドン [Blu-ray](amazon)

キューブリックの遺志に反し、ピラーボックスなしのワイドサイズで収録されたワーナー版BD

 一体これこれの混乱は何だったの? と言いたくなりますが、やっと正しいアスペクト比1.66のヨーロッパビスタでリリースされました。

 キューブリックは『現金…』から『バリー…』まで、ヨーロッパビスタの1.66で視聴されることを念頭に映画製作をしてきました(例外は『スパルタカス』とシネラマの『2001年…』)。しかし状況はキューブリックの希望とは異なり、アメリカンビスタ(1.85)がヨーロッパビスタを押しやって業界標準の地位を築いてしまいました。仕方なくキューブリックは『シャイニング』から、TV放映やビデオ化を睨んで撮影はスタンダード、上映はその上下をトリミングしてヨーロッパビスタとアメリカンビスタ両方に対応できるフォーマットで映画製作を行いました。なぜならビスタサイズでフィルム制作してしまうと、テレビのスタンダードサイズ(1.33)に収まりきらず、勝手に左右をバッサリカットしてオンエアされてしまう可能性があったからです(あの時代の映画のTV放映ではそれが当たり前で、切れると読めなくなるタイトルやスタッフロールなどは無理やり長体変形をかけてオンエアしていました)。

 キューブリック逝去後、テレビはワイド(1.78)が標準になったため、「ビスタサイズのフィルムの左右をバッサリカットしてオンエア」という問題はなくなり、上映サイズ(ヨーロッパビスタ・アメリカンビスタ)≒ワイドテレビサイズでの視聴が当たり前になりました。それに対応して『シャイニング』以降のワイドTV対応のDVD/BDはピラーボックス(左右の黒い帯)はありません。しかしヨーロッパビスタでの上映のみを想定していた『現金…』(BDは日本未発売)『突撃』(BDは日本未発売)『ロリータ』『博士…』『時計…』『バリー…』のDVD/BDには1.78と1.66のサイズ差を埋めるピラーボックスがなければなりません。それが守られていなかったのは『バリー…』のBDだけでしたが、今回のクライテリオン版の登場で、やっとそれが果たされたというわけです。

 一時期行方不明と言われていたマスターが見つかったなど、事の詳細はプレスリリースがないので不明ですが、マスターから4Kスキャンされたという画質も見本映像を観る限り期待できそうです。キューブリックの遺志が尊重されたこのバージョンのワーナー版のリリースを是非ともお願いしたいですね。

 クライテリオン版BD『バリー・リンドン』の詳細情報はこちら、本家クライテリオンの紹介ページはこちらへどうぞ。
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Barry Lyndon Special Edition, Criterion Collection Blu-ray(amazon US)


 クライテリオンから届いた10月のBLU-RAYリリース・ラインナップ。10/17登場予定となっているのが、今年の目玉作品のひとつとなる巨匠スタンリー・キューブリック監督作『バリー・リンドン』(75)です。

 18世紀のヨーロッパを舞台に、貴族に成り上がろうとする男の数奇な運命が描かれる。出演は『ある愛の詩』『ペーパー・ムーン』のライアン・オニール、『ベニスに死す』『ホワイトハンター ブラックハート』のマリサ・ベレンソン。アカデミー撮影・音楽(編曲/歌曲)・美術監督/装置・衣装デザイン賞受賞。同作品・監督・脚色賞ノミネート。

 35mmオリジナルネガからの4Kスキャン/ワークフロー版。狂おしいまでに拘り抜いたカメラ美術画、厳密に再現された衣装や風俗等々、どのように再現されるか、乞うご期待です!お楽しみに。

(詳細はリンク先へ:Stereo Sound Online/2017年7月18日

※記事にある動画は昨年イギリスで再上映された際の予告編で、今回の4K版のものではありません。





 記事中に「35mmオリジナルネガからの4Kスキャン」とありますが、これが事実ならちょっとしたトピックです。実は『バリー…』のオリジナルネガは紛失したとされているからです。それがついに発見され、キューブリックの指示通りのアスペクト比、1:1.66での4K化ということになります。

 特典については

・Blu-rayは新4Kデジタル復元、非圧縮モノラルサウンドトラック付き

・Blu-rayのDTS-HDマスターオーディオはアルティメイト5.1サラウンドサウンドトラック

・1976年のキューブリックのオーディオインタビューからの抜粋だけでなく、キャストとクルーのインタビューを収録した新ドキュメンタリー

・1980年の撮影監督ジョン・オルコットのインタビューからの抜粋だけでなく、撮影助手のダグラス・ミルサムと撮影主任のルー・ボーグによる映画の画期的なビジュアルに関する新番組

・アカデミー賞を受賞したプロダクションデザイナー、ケン・アダムと、歴史家クリストファー・フレイリングの新番組

・編集のアンソニー・ローソンの新しいインタビュー

・1976年にオスカー賞を受賞した衣装デザイナー、ウルラ=ブリット・ショダールンドのフランステレビによるインタビュー

・批評家ミシェル・シマンの新しいインタビュー

・レオン・ヴィタリが監修した5.1サラウンドサウンドトラックについての新しいインタビュー

・芸術学芸員のアダム・エーカーが、映画からインスパイアされた美学を分析する新しい作品

追加:『アメリカン・シネマトグラファー』1976年3月号から、批評家ジェフリー・オブライエンによるエッセイ

となっています。特にレオンのインタビューが興味を惹かれます。期待して10月を待ちましょう。また、ワーナー版での発売も期待したいですね。
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 某戦車アニメですっかり有名になったこの曲ですが、wikiによると作詞・作曲者不詳で、精鋭部隊とされる擲弾兵(手榴弾を投げる兵士)の勇敢さを歌っているそう。1815年に近衛歩兵第一連隊がグレナディアガーズ(擲弾兵近衛連隊)に改名したのに伴い、この曲を連隊の速歩行進曲として制定したとのことなので、歩兵連隊が横一列で行進・突撃するシーンに使うには正確さを欠いていることになります。まあ、そんな細かいことを言い出したら映画に規制曲なんて使えなくなってしまうので、「17世紀の英国軍で使用された軍隊行進曲」という縛りの中から、最もシーンに適しているとキューブリックが判断して採用したのでしょう。

 上記の動画は歌詞入りのものですが、歌いやすくするためか行進曲バージョンとは少しメロディーラインもリズムも違っています。歌詞は以下の通りですが、動画ではこの1、3、5番を抜粋して歌っているようです。

Some talk of Alexander,
and some of Hercules
Of Hector and Lysander,
And such great names as these.
But of all the world's great heroes,
There's none that can compare.
With a tow, row, row, row, row, row,
To the British Grenadiers.

Those heroes of antiquity
Ne'er saw a cannon ball,
Or knew the force of powder
To slay their foes withal.
But our brave boys do know it,
And banish all their fears,
Sing tow, row, row, row, row, row,
For the British Grenadiers.

Whene'er we are commanded
To storm the palisades,
Our leaders march with fusees,
And we with hand grenades.
We throw them from the glacis,
About the enemies' ears.
Sing tow, row, row, row, row, row,
The British Grenadiers.

And when the siege is over,
We to the town repair.
The townsmen cry, "Hurrah, boys,
Here comes a Grenadier!
Here come the Grenadiers, my boys,
Who know no doubts or fears!
Then sing tow, row, row, row, row, row,
The British Grenadiers.

Then let us fill a bumper,
And drink a health to those
Who carry caps and pouches,
And wear the louped clothes.
May they and their commanders
Live happy all their years.
With a tow, row, row, row, row, row,
For the British Grenadiers.

アレクサンドロス大王か、
はたまたヘラクレスか、
ヘクトルまたはリュサンドロスと人は言う。
しかし全世界の偉大な英雄であれど、
比するものはない。
英国の擲弾兵に
比するものはない。

いにしえの英雄は
砲弾を見たことはない。
仇ら殄戮する
火薬の力を知らない。
だが、我らが勇士はそれを知る、
恐れを全て打ち棄てて。
いざ唱えよう、
英国擲弾兵を。

防柵を強襲せよと
命令が下れば
隊長は信管を、
我らは手榴弾を手に持ちて進む。
我らはこれを投擲し、
敵の耳を驚かす。
いざ唱えよう、
英国擲弾兵を。

かくて包囲戦は終わり、
我らは街を取り戻す。
市民ら泣き、「万歳、兵士よ、
擲弾兵がきたぞ!
我らが丈夫、疑念も恐怖も
抱かぬ擲弾兵が来たぞ!」
いざ歌声をあげよう、
英国の擲弾兵。

その時、縁まで杯を満たし、
健康を祝して乾杯する。
軍帽と背嚢を身に着け、
交紐の軍服を着る者達を。
兵達よ、指揮官らよ、
末永く幸あれ
いざ称えよう、
英国の擲弾兵を。

(出典:ピクシブ百科事典

『バリー…』での使用シーンはこちら。



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リシェン
マリサ・ベレンソンと違う「可愛い美しい」タイプのリシェンを演じたダイアナ・コナー。

 バリーが軍を脱走した際、ひと時の宿と安らぎ得るためにこのドイツ人夫人、リシェンと一時期を過ごすことになりますが、実は原作とかなり違います。原作ではバリーがイギリス軍将校と身分を偽るための、精神疾患患者を装う芝居に付き合うなどかなり快活な女性として描かれています。おそらくキューブリックはこの「精神疾患患者を装う芝居」がレイティングで問題になるだろうと判断して、映画では「ホモ将校が沐浴中にその軍服を奪う」というシチュエーションに変更したのではないか、と推察しています。この件に関してキューブリックは

 そこでの問題は、バリーをどうやってイギリス陸軍から解放させるかということだった。それを描いた本の部分は全く長ったらしくて複雑(※戦闘で重傷を負ったフェーケナムと、殴られ怪我をしたバリーがリシェンの家で療養し、傷の癒えたバリーが熱でうなされうわ言を言うフェーケナムを真似て入れ替わり、ドイツ軍に取り入ると言う算段)だった。2人の同性愛の将校の場面の機能は、バリーが脱出するより簡単な方法を提出することだった。これも小説とは違う道を通って、小説と同じ終点へ行き着いている。バリーは書類と、彼に自由への道をもたらすイギリス将校の制服を盗む。この場面は全く説明的だから、喜劇的な状況が作者(※自分のこと)の意図を隠す助けになる。

(引用先:ミシェル・シマン著『キューブリック』※は筆者補足)


とインタビューに応えていますが、「精神疾患患者を装う芝居」を避けたかったのもその一因ではないでしょうか。

 映画ではロウソクの明かりに照らされた非常に繊細で美しいシーンですが、初めはフェーケナムと名乗っているのに、別れ際には本名の「レドモンド(レイモンド)」とバレてしまっているというのは、例のキューブリックの「わかりにくいギャグ」ですね(笑。あまりの映像の美しさに笑うタイミングを失してしまうのですが、それもキューブリックらしいと言えば言えるでしょう。

 ところで、この『バリー…』ではレディ・リンドンを演じたマリサ・ベレンソンの気品ある美しさばかり語られるのですが、個人的にはこのリシェンを演じたダイアナ・コナーの方が好み。初めて『バリー…』を観たとき、あっさりお別れしてしまう展開に「なんてもったいない!」と思ったものです。

 そのダイアナ・コナーは70歳を超えた現在も女優として主にテレビで活躍中だそうです。
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 2017年に結成55周年を迎える、アイルランド伝統音楽・ケルト音楽の最高峰バンド、ザ・チーフタンズ(The Chieftains)の来日が決定。スタンリー・キューブリック監督の『バリー・リンドン』で音楽を担当し、1975年にグラミー賞を受賞。ローリング・ストーンズ、ポール・マッカートニー、ジョニ・ミッチェル、ライ・クーダー、エルヴィス・コステロ、ロジャー・ウォーターズ、ヴァン・モリソン、パヴァロッティ、ジャクソン・ブラウン、アート・ガーファンクル、スティング、ロジャー・ダルトリー、ジョン・ウィリアムズ、ロンドン・シンフォニー・オーケストラ、矢野顕子、忌野清志郎、林英哲(和太鼓)、古謝美佐子、遊佐三森、元ちとせ、とも共演。

〈以下略〉

(全文はリンク先へ:Qetic/2017年4月13日




 『バリー・リンドン』のサントラで『愛のテーマ(アイルランドの女)』『パイパーズ・マゴット・ジグ』『海の乙女』の三曲の演奏者としてクレジットされているザ・チーフタンズが来日するそうです。過去に共演しているアーティストの面々は記事の通り豪華ですが、wikiによると当初はその現代的な解釈が批判を浴びていたそう。記事には『バリー…』でグラミー賞、このwikiにはアカデミー賞を受賞とありますが、ソースを確認できませんでした。『バリー…』でアカデミー賞の編曲・歌曲賞の受賞をしたのはレナード・ローゼンマンですので、正確には英語版wikiにあるように「アカデミー賞を受賞した『バリー…』のサントラへの参加で高い評価を受けた」という認識が正しいです。『音楽CD検定公式ガイドブック(下巻)』にはこのような記述がみられますが、非常に誤解を招きやすい表現です。もらってもいないオスカーで評価されても本人たちはちっとも嬉しくないと思いますが。

 『バリー…』のサントラがらみでグラミー賞を受賞したというソースも見つけられませんでした。ただ、バンド自体は他の作品でグラミー賞を何度も受賞しているので評価に揺るぎはないですが、こういった受賞歴の表記はソースをちゃんと確認し、神経質になって欲しいものです。
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