アイズ ワイド シャット

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 『アイズ ワイド シャット』の原作である、アルトゥル・シュニッツラーの小説『夢小説(Traumnovelle)』は1971年頃には映像化権をキューブリックが取得していたことがわかっています。このTVドラマ『夢小説』はIMDbによると、1969年8月31日にオーストリアで、1970年8月5日に西ドイツでOAされたとあります。つまり、キューブリックはこの小説がすでにTVドラマ化されていたことを知っていて、なおかつこれを観ていた可能性さえあります。そんなお宝映像の全編をYouTubeで観ることができるというのは今の時代ならではですが、削除される可能性も高いので視聴するなら早めの方が良いでしょう。

 ざっくりと飛ばし見をした限りでは原作小説を忠実に映像化しているようです。ラストシーンも原作と同じです。キューブリックはこのシーンの後におもちゃ屋のシークエンスを付け加え、アリスの「一言」で物語を終わらせていますが、その意味はあまり議論されていないように思えます。キューブリックがシュニッツラーの『夢小説』から「何を加え、何を削ったか」は、このTVドラマ版と比較することにより、より明確になるでしょう。そういう意味でも非常に貴重な映像資料だと思います。
【ご注意】当ブログの記事は「KUBRICK.Blog.jp」の明記と該当記事へのリンク(URL表記「http://kubrick.blog.jp/」でも可)貼ることを条件に、報告不要でご自由にご活用頂けます。ただし、アポロ計画やフリーメイソンなどの陰謀論、スキャンダラスな嘘記事、ソース不明の偽情報を掲載して衆目を集め、アクセスを呼び込むことを第一の目的とするデマサイトやデマ動画チャンネルの関係者は当ブログの閲覧、ならびに利用は全面禁止とさせていただきます。






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 聖なる夜に感動とサプライズは付きもの。心動かす贈り物から、驚きを隠せないクレイジーなものまで。私たちの涙と笑いを誘うクリスマスギフト名シーンをD姐がお届けします。

〈中略〉

綻びかけた夫婦に不可欠だったのは……。『アイズ・ワイド・シャット』

 巨匠スタンリー・キューブリックの遺作にして、トム・クルーズ&ニコール・キッドマン夫妻の最後の共演でもある問題作。冒頭からニコールの全裸&トイレシーン(トムが真横にいるのに!)という衝撃のシーンで始まり、濃厚で過激な官能的な作品でありながら、実は全編が聖なるクリスマスシーズン。夫婦という枠組みに囚われた、現代社会での葛藤と欲望、煩悩を現実として目の当たりにしてしまった後、最後に二人が子供を連れてクリスマス・プレゼントを買いに行く。ショッピング中のぎこちない夫婦の会話で、ニコール演じる妻が欲したものとは? 綻びかけた夫婦に不可欠なクリスマス・プレゼントをズバリ答えてくれています(多分)。そう考えると、この作品後ほどなくして二人が離婚してしまったのはちょっと意味深……。

〈以下略〉

(全文はリンク先へ:VOGUE JAPAN/2018年12月20日




 WEB版とは言え、VOGUEのようなメジャーな雑誌がキューブリック作品を採り上げるのは珍しいと思ったのでご紹介。

 ラストのセリフの「ファック」の意味ですが、管理人はさんざん(それこそ公開当時から)ダブルミーニングだと言っているのですが、あまり一般的な解釈ではないようで、鑑賞者のほとんどがその意味を肯定的(つまり愛の行為)な意味のみ解釈しているようです。個人的にはダブルミーニング大好き、捻くれ者で皮肉大好きなキューブリックがそんな甘い結末を用意するはずがないと思っているのですが。

 それに、物語構造が『時計じかけのオレンジ』と同じ(夜の冒険→いい気になってよからぬことに首をつっこむ→転換点のイベント→夜の冒険を全く違う立場でトレース→自分より大きな存在によって弄ばれていたことを知る→意味深な一言で終わる)であることを考えると、『時計…』の「完ぺきに治ったね」と同様、原作にはないこの「ファック」という言葉の意味を、もっと多くの鑑賞者が考えるべきだと思っています。

 「キューブリックは女性を描けない」とはよく耳にする批評ですが、この『アイズ…』に関してはキッドマンはクルーズより上の立ち位置で、常に冷静に物語を(眼鏡越しに)見つめています。キューブリックは愛妻家(というより、生涯クリスティアーヌにベタ惚れだった)であり、子供も三人とも娘という常に女性に囲まれた家庭環境であったことを考えると、「女性の正体」については熟知していたはず。『ロリータ』では様々な制約があって描けなかった「女性の正体」を、この『アイズ…』ではキッドマンに纏わせているし、『アーリアン・ペーパーズ』では主人公ターニャが、ナチス占領下のポーランドをずる賢くも逞しく生き抜く姿を、甥っ子のマチェックの目を通して語っていたはず。そう考えると、キューブリックの女性観を知るには『アーリアン・ペーパーズ』が最適だったと思わずにはいられず、中止になってしまったのは返す返すも残念です。
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作品中のあちこちに登場するクリスマスツリー

 英i-Dが、クリスマスに親や年配の親戚と一緒に見るのは避けるべき映画5作品を発表した。

〈中略〉

「アイズ ワイド シャット」

 巨匠スタンリー・キューブリックの遺作。ある夫婦の愛と性をめぐる心の葛藤を冷徹に映し出したドラマで、妻の性的妄想を叶えるために夫妻で仮装乱交パーティに参加する。当時私生活でも夫婦だったトム・クルーズとニコール・キッドマンが主人公の倦怠期カップル役で共演した。

〈以下略〉

(全文はリンク先へ:映画.com/2018年12月18日





 ちょっと待った!「妻の性的妄想を叶えるために夫妻で仮装乱交パーティに参加する」って間違っていますよ。「妻の性的妄想への嫉妬心から独断で仮装乱交パーティに潜入する」が正しいです。まあ、それはともかく舞台はクリスマス時期のニューヨーク、主演はトム・クルーズとニコール・キッドマンですので、それだけ聞けばいわゆる「クリスマス映画」と言えますが、内容はこの通り全くファミリー向けではありません。

 原作小説『夢奇譚』の舞台はウィーンで、時期はクリスマスではありませんが、キューブリックが映画化の際に時期をクリスマスに設定しました。理由は「クリスマス飾りの照明が物語の怪しい雰囲気に合致するから」や、「夜のシーンが多くなるので、自然光照明の光源を自然な形で用意したかったから」「パーティーというシチュエーションを自然に思わせるにはクリスマスが最適だから」などが考えられます。キューブリックは映像の完成度を最優先させて物語を改変することが多々あるので、おそらくこういった理由ではなかったかと考えています。

 ちなみにキューブリックはユダヤ人ですが、自宅でクリスマスパーティーを開いたり、クリスマスプレゼントを贈ったりするなど、ユダヤ教には無関心でした。ただ、ユダヤ人であることであらぬ差別や誹謗中傷を受けていたのも事実で、それは『アイズ…』の脚本を担当したフレデリック・ラファエル(この人もユダヤ人)の著書『アイズ・ワイド・オープン』に記述があります。また『スパルタカス』の頃は「あのブロンクスのユダヤ野郎!」などと露骨に嫌悪されていたそうです。

 原作小説『夢奇譚』の作者であるアルトゥル・シュニッツラーも、その小説の主人公も、脚本家も、映画監督もユダヤ人の『アイズ…』ですが、キューブリックは映画化に際してその「ユダヤ人臭」の徹底排除をラファエルに指示しています。クリスマスという時期を選んだのも、それを消し去る最適の舞台装置であると判断したのかも知れませんね。
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公開直前に回収になり、公開後しばらく経ってから発売になった『アイズ…』の劇場用パンフレット。

 キューブリックの遺作となってしまった1999年7月公開の『アイズ ワイド シャット』ですが、公開当日にパンフレットがない、という事態になってしまいました。理由は完成したパンフレットに不備があり、間際になって回収されたということだったのですが、再度印刷、発売されたパンフレットを入手してみると『シャイニング』のページにスーティブン・キング版の写真が使われていました。

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黄色いタイトルに上に「スティーブン・キング版『シャイニング』のバーテンダーのロイドと支配人ダーウェントの写真が使われてる。

 当時運営していたホームページの掲示板でも「せっかく回収してまで刷り直したのに、こんな間違いをしていたら回収の意味がないのでは?」と訝しがる意見が多数。結局回収の原因はわからず、今の今までうやむやになったままでした。ところが最近、ある方からのリークがありまして、どうやら真相は以下のようなことだったらしいです。

 回収になった問題はP49ページにプリントされた「FUCK」の文字で、日本支社の代表取締役社長が「故人に失礼だから」との判断で、文字を消した改訂版に差し替えられました。(情報提供:T.S.さん)

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不自然にくり抜かれた背景色にスミベタと、とってつけたような奥付表記が怪しい。

 リーク通り、確かに該当ページには不自然に黒で塗りつぶされた箇所があり、そこには奥付がはいっています。「SOUNDTRACK」と「CREDITS」と同一フォント、同一色でここに「FUCK」と入っていても自然な感じがしますね。当時は完全デジタル製版普及前ですので、製版フィルムをここだけくり抜いて、スミベタの文字白抜きで奥付を入れたように見えます。

 結局ワーナーのお偉い方の「鶴の一声」だった、ということらしいですが、この情報をリークしてくださった方も「伝聞である」とされていますので、確実な情報とは断定できません。

 このブログをご覧になっている方で、もし同様の情報をお持ちでしたらメール、または掲示板にてお知らせください。もう20年近くも前の話なので時効だとは思いますし、特に秘匿すべき情報であるとも思えませんが、ファンの長年のモヤモヤ(笑 を晴らす意味でも、皆様の情報提供をお待ちいたしております。

 なお、『アイズ…』のパンフレットは古本屋やオークションなどで安価に入手できます。その際、万が一「FUCK」と書かれたパンフを見つけますと「超レアアイテム」となり、この情報は確定ということになります。もし「『アイズ…』のFUCKパンフ」を入手された方がいらっしゃいましたら、当ブログまでぜひご一報ください。
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動画の4:11から『アイズ ワイド シャット』吹き替え時の苦労話をされています。



〈前略〉

 森川智之さんは、トム・クルーズの吹替えでも有名なのですが、そのきっかけになったのが、スタンリー・キューブリック監督の『アイズ ワイド シャット』という映画でした。キューブリック監督は、生前、日本語吹替え版の製作を認めていなかったそうです。

 亡くなられたあと、世界中でキューブリック作品をソフト化して売る際に、遺族の許可が出たことによって、はじめて日本語吹替え版が作られることになり、主演のトム・クルーズに声をあてるオーディションに合格したのが森川さんでした。

 この現場が、ものすごく厳しいものだったことを森川さんは振り返っています。

 2時間から2時間半の映画の吹替えを収録するとき、僕らは10時に集まり、お昼休憩をはさんで20時から21時くらいには終わることが多い。遅くなる場合があっても、せいぜい一日がかりです。

 しかし、『アイズ ワイド シャット』は僕だけで1週間かかりました。もちろん1週間といっても、丸々一日収録した日もあれば、他の仕事の都合で5時間しか収録できない日もありました。ただ、5時間かけて台本1頁しか進まなかったり、前回の収録が気に入らないからといって同じ時間をかけて撮り直したりということもありました。

 レオンはアクターズスタジオで学んだ役者でもあります。だからか、僕に対しても同じ役者として接していました。そして、要求もとても高度なものでした。

 一般的にはスタジオの中にマイクが三本ほど立てられていて、三、四人で同時に収録するんですが、『アイズ ワイド シャット』では一人ずつ、しかも動きを交えての収録でした。吹替えの声優は声だけを演じればいいのがふつうですが、ここではそうじゃないんです。ベッドシーンだとスタジオにベッドが置いてあり、トムと同じような格好をしてセリフを話すんです。ベッドに横たわり、映像を見て、マイクに向って話す。いくつものことを同時にやらなくてはいけなくて。僕はしまいにセリフをすべて覚えてしまいました。覚えないとできなかったからです。

 セリフをしゃべると、レオンが言うんです。

「おまえ、今何を考えてしゃべったんだ」


〈以下略〉

(全文はリンク先へ:BLOGOS/2018年5月12日




 ここに登場する「レオン」とは、キューブリックのアシスタントを長年務めたレオン・ヴィタリのことですが、何もここまで・・・(笑。という感じですね。森川氏はこの経験がよっぽど堪えたのか、ことあるたびにこの経験をインタビューなどで応えていますが、「ちょっとレオン張り切りすぎじゃないの?」という気がしないでもないですね。

 レオンがこのアフレコに参加したことによる最大の功績は、ラストシーンのキッドマンのセリフの変更で、上映時は「セックスよ」だった訳が現在のDVD/BDでは「ファック」に変更になっています。管理人個人の解釈ですが、これはダブルミーニングだと思っているので、この変更はそれを裏付けるものだと重要視しているのですが、一般的にはあまりそう思われていないようです。ちなみに上映時の字幕を担当したのは戸田ナントカとかいうよく知らないおばさんです(笑。

 記事は「声優には国語力が必要」とまとめられていますが、「教科者」って何でしょうね?おそらく「教科書」の間違いなんでしょうけど、子供たちの国語力云々以前に、現在の大人たちが書くネット記事の「校正不足」「リサーチ不足」「考察・検証能力不足」の方がよっぽど問題です。少なくとも記事を書いてお金をもらっているライターや編集者さんには、素人ブロガーに突っ込まれないレベルの、正鵠を射た、責任ある記事を書いてほしいものです。


声優 声の職人 (岩波新書)(amazon)
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