『シャイニング』の空撮が流用された『ブレードランナー』初公開(国際)版のラストシーン。シネスコサイズに合わせたので、空撮のカットが横に伸びている。

正しいアスペクト比の『シャイニング』のオープニングシーン。

リドリー・スコットの発言は24:45頃から。

 『ブレードランナー』初公開(国際)版のラストシーンの空撮は『シャイニング』のオープニングの流用であるというのはファンの間では有名な話ですが、その詳細を語るリドリー・スコットの動画がありましたのでご紹介。内容の概略は

 17時間に及ぶ山脈の空撮映像が編集室に届き、キューブリックが『ブレードランナー』のラストシーンで使用される車の種類を電話で質問してきた。私がブロンコだと答えると、「俺の方はフォルクス・ワーゲンだぞ。困ったな」と言い、『ブレードランナー』のスクリーンサイズを尋ねられ、ワイドスクリーン(シネスコサイズ)だと答えたら、「それならワーゲンが伸びてブロンコに見えるな。それで大丈夫だ」と言った。

 後日、再びキューブリックから電話があり、「もうひとつ言っておくことがあるんだ。今、君はそのフッテージを観ているところだと思うが、俺が使った部分を君が使った場合、その時点で使用禁止になるからな。いいね」と言って電話を切った。これぞキューブリックさ。

(翻訳:カウボーイさま)


とのこと。

 『シャイニング』は全編35mmのフルサイズで撮影されていて、それを上下カットしてワイドスクリーン化して上映されました。キューブリックがスコットにスクリーンサイズを尋ねたのはそれがあってのことですが、「ワーゲンが伸びてブロンコに見える」とは、35mmフルサイズを左右に伸ばしてシネスコサイズにしたら、ワーゲンの車体が左右に伸びてブロンコ(SUV車)に見えるね、という意味だと思います。もちろんキューブリックのジョークですが、実際は車が映ったカットは使用されませんでしたので問題はありませんでした。それよりも上記の映像を比較すれば「左右伸ばし」なのがモロわかりなのが興味深いです。

 キューブリックは『シャイニング』から35mmフルサイズで撮影し、上映時は上下カットのワイドサイズ(ビスタサイズ)で、TV放映時はフルサイズ(当時のTVは4:3だった)でというフォーマットで落ち着きます。ワイドサイズのTVが当たり前になった現在では、旧版のDVDでしかフルサイズを視聴することはできません。キューブリックのアシスタントだったレオン・ヴィタリの証言によると、キューブリックは『シャイニング』の頃まではビデオソフトには特に注意を払っていなかったそうです(ビデオが一般化するのは80年代前半以降)。もちろん一般化してからは例によって例のごとく「こだわりの虫」が騒ぎ出し、自作のビデオ化にも口うるさく介入、そのとばっちりはレオンが一手に引き受けることになるのですが、その一部はドキュメンタリー『キューブリックに魅せられた男』で伺い知ることができます。本作は最近DVD化されましたので、ぜひご覧ください。

情報提供:カウボーイさま