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HALのモニタに表示されたワイヤーフレーム「偽」CGアニメーション

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撮影中(テストの可能性も)のアンテナ。

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アンテナのネガフィルム。8×10に見えます。たとえ「賑やかし」映像でも手は抜きません。

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アンテナの針金模型を制作するトランブル。

 この事実を初めて知った時は衝撃的でした。キューブリックの逝去前から「『2001年宇宙の旅』は一見最先端の撮影技術を駆使しているかのように見えるが、実はかなりの部分が手作業(力技)で、それを恐ろしく時間をかけ、かつ高品質でそれを行っている」と言われていたのですが、近年明かされるその「手作業」の部分にはいつも驚かされます。

 このアンテナユニットのワイヤーフレームCGアニメーションもその一つで、実は文字通りアンテナユニットをワイヤー(針金)で作って白く塗り、それを自由台座の上に据え付けてコマ撮り撮影し、ネガファイルムを作成したそうです。言われてみれば動きが微妙に手作りアニメーションっぽいですね。

 このアニメーションを製作したのはあのダグラス・トランブル。トランブルの『2001年…』における八面六臂の活躍ぶりは凄まじく、キューブリックが『2001年…』で重要な役割を果たした特撮マン4人の内の一人に挙げるのも納得です。ただ、ご本人はアカデミー賞視覚効果賞の受賞をキューブリックに持って行かれたことにかなり不満だったそうですが。

 でもそのトランブルに、ツァラトゥストラ演奏付きのオープニングの映像を観せて「これでいいかな、それともやりすぎかな?」と客観的な評価を仰ぐキューブリックがいい。トランブルは「素晴らしいと思います。僕は好きですよ、これでいってくださいよ」と応えたそうですが、このエピソードひとつとってみても、キューブリックがトランブルの才能を高く評価していたのが伺えますね。