「HALには2001年にはともかく、2101年には会えると思いますよ」アーサー・C・クラーク

 動画のタイトルは『アーサー・C・クラーク 宇宙を語る』ですが、本当の番組のタイトルは少し違います(お察しください。汗)。動画の長さは2時間半ありますが、実際は1時間半です。1995年のお正月に公共放送の衛星チャンネルでオンエアされたドキュメンタリー番組です。

 本棚には自著の日本語版があったり、例の「パートナー」と知り合った経緯も告白していますが、とにかくクラークの語りは饒舌で楽しい。『2001年…』の映像もふんだんにあり、キューブリックファンも満足できる内容になっています。

 現在、キューブリックは地球外知的生命体を映像化することに最後まで固執していたことがわかっていますが、キューブリックの逝去前は「キューブリックが宗教的に映画版を、クラークが科学的に小説版を制作した」というのはファンの共通認識でした。しかし、よく考えてみるとキューブリックもクラークも無神論者です。キューブリックの言う「科学的に定義された神」という説明も、結局は地球外知的生命体を映像化できなかったための、いわば「後付け論」でしかなく、キューブリックは「それまで誰も見たことがない異星人を、説得力ある姿で映像化する」という野心に取り憑かれていました。それとは逆にクラークは「私たちの想像力の範囲を超えているで、仄めかす程度でいい」と考えていました(キューブリックの執着ぶりを揶揄するような発言もしている)。最終的にキューブリックは「想像できないものは想像しようがない」と白旗を上げ、クラークの考えに従いましたが、これは「地球外知的生命体をどう描くか?」の話であって、人類と宇宙のありようについては二人の認識(神ではなく異星人)にほとんど違いはなかった、というのが事実のようです。

 このドキュメンタリーから4年後にキューブリックが、10年後にはクラークがこの世を去りました。キューブリックは知っての通りのマスコミ嫌いでしたが、クラークは日本のマスコミにもよく登場していました。このドキュメンタリーもそのうちの一つですので、時間のあるときにでもぜひご覧ください。

 ところで、34分あたりでクラークが予言した「一部のおかしな国」とはどの国のことなんでしょうかね?