矢追氏のキューブリックへの電話インタビューの動画。訳は記事本文にあります。

〈前略〉

 1980年、キューブリック監督にアポなしで電話インタビューを試みていた矢追氏。「木曜スペシャル」の取材のため、ロンドンを訪れた矢追氏は「キューブリックが珍しくスタジオにいると聞いて『じゃあ、電話するか』と。電話でのインタビューの後、『今日は忙しくて会えない。(娘の)ビビアンにスタジオを案内させる』と言われて、色んなところを回ったんです。見学中には、キューブリックとすれ違ったんですよ。青い綿のシャツとブルゾンを着ていましたね。とても愛想がいい人という印象でした」と述懐。ビビアンとともに訪れたスタジオでは、「『2001年宇宙の旅』のスタジオは意外と小さい。衣装、小道具が全て手作りだったことに驚いた。まさに“家内工業”。この仕組みであんなファンタスティックな映像が撮れるとは」と語っていた。

〈以下略〉

(全文はリンク先へ:映画.com/2019年10月24日




 まあ、その電話インタビューで『2001年宇宙の旅』を『スペース・トラベル2001』などど言ってしまうくらいキューブリックやその作品に関心なかった矢追氏なので、このレベルなんでしょう。キューブリックはスタジオにいたにも関わらず別室に逃げ、矢追氏の相手を娘のヴィヴィアンに押し付け、電話でインタビューを受けることにしたのでは?とこの記事で書きましたが、どうやら想像通りだったみたいです。

 記事中、矢追氏は「『2001年宇宙の旅』のスタジオは意外と小さい」と発言していますが、これはどこのスタジオを指しての発言かわかりません。おそらく矢追氏の知識不足でしょう。エルスツリー・スタジオには巨大なステージがあり、そこで「人類の夜明け」のシーンが撮影されました。ちなみに月面のモノリス発見現場はシェパートンで、ディスカバリー号などの主な特撮シーンはボアハムウッドのMGMスタジオ(現在は取り壊されて存在しない)です。

 さて、この話題、以前GIZMODOでも採り上げられていましたが、もっと丁寧に上記動画をShinさまに訳していただきましたので掲載したいと思います。

──日本の人々はあなたの映画を愛してます、特にトラベル・・・すいません、『スペース・トラベル2001』をです。

 ああ。 

──そして困惑しているのは、ラストシーンの意味は何なのか、ということです。老人がベットで寝ていたでしょう? 答えを教えていただけますか?

 映画が公開されてから、答えることを避けて来たんだ。もしアイデアだけを言ってしまったら、馬鹿馬鹿しく聞こえ、誇張することになってしまう。だが、やってみよう。つまり、彼は神のような形のない、純粋なエネルギーを持つ生物たち、知性のある「存在」によって、迎えられたということだ。

 そして彼らはボーマンを調査をするために、言うなれば「人間動物園」で閉じ込めたんだ。そこで彼は自分の人生が終わるまでそこにいたんだ。彼が時間の経過を感じることはないがね。映画で描かれたように。彼らはこの不正確な、フランス建築のレプリカの「部屋」を故意に選んだんだ。なぜなら、我々人間が動物にこのような檻に入れておけば、動物たちも快適だろうと感じるように、彼らも「部屋」がボーマンにとって快適な環境と思ったからだ。

 さて、彼らの調査が終わった後、数多くの文化の神話で語られているように、ボーマンは「超存在」に変化させられ、地球に送られたんだ。言わば「スーパーマン」に変えられたということだ。彼が地球に戻ってからのことは推測してもらうほかないよ。多くの神話のパターンをなぞったものだ。この映画ではそういうことを示唆したかっんだ。


 この矢追氏について、氏の存在を知らない人にどう説明していいか難しいのですが、いわゆる「芸能レポーター」ノリでUFOをはじめとする超常現象を追うレポーター、という立ち位置です。UFOだの超常現象だのを煽るヤラセバリバリのインチキ番組で活躍し、それなりに知名度もあったのですが、無事に新世紀を迎えられた2000年代になると、そういった「終末論」は飽きられて下火になり、すっかり存在自体を忘れられていました。

 まあ、お元気そうでなによりですが、深夜にオンエアされていたアダルト番組「11PM」の取材ではなく、ヤラセ番組(・・・と当時は視聴者もわかって楽しんでいた)『木曜スペシャル』の取材で立ち寄っただけなんですね。矢追氏自身もこの記事によると「僕が命がけでUFOや宇宙人を追いかけていたと思っている人が多いけど、本当は全然関心がない! 宇宙人がいようがいまいが関係ないし、興味もない」だったそうです。そりゃそうです、お仕事ですものね。キューブリックに直接会ったことがある数少ない日本人の一人がその矢追氏というのは全く納得できませんが(笑、「『シャイニング』撮影直後のエルスツリー・スタジオ内の映像が残っていた!」と海外のキューブリックファンが驚愕した貴重な取材をして頂いた、という意味では今では感謝しかありませんね。