2019年11月29日(金)より全国公開される『ドクター・スリープ』の予告編最終版がアップされました。かなりキューブリック版『シャイニング』に寄せていますが、メインの要素はそれではなく、かなり大雑把な言い方をすれば、この小説、そしてその映画化はあくまで「異能力バトルもの」です。

 この映画化について、特にキューブリック版の映像を引用することについてキングはどう考えているのか、ローリング・ストーン誌にそのコメントが載っていました。

〈前略〉

 スティーブン・キングは、1980年のスタンリー・キューブリックによる脚本の大幅な変更を常に嫌っていましたが、キングは『ドクター・スリープ』の映画製作者が、キューブリックのバージョンの要素を使用することを許可しました。「キューブリックの映画に関する私の問題は、とても “冷たい” ということでした」「この脚本で問題がなかったのは、キューブリックの要素をいくつか抜き出して “暖めた” からです」

〈以下略〉

Stephen King on His New Horror Novel, the ‘Nightmare’ of Trump, and ‘Stranger Things’より
(全文はリンク先へ:Rolling Stone/2019年9月1日


 これはキングがキューブリック版を批判する際のコメント「高級車(お金のかかった映画)だかエンジン(心)がない」と同じ意味ですが、自らが制作したTVドラマ版『シャイニング』の映像を使うよりも、キューブリック版を使う方が興行的に有利だと理解した上でのコメントなので、言い回しが若干穏やかになっています。ですが、どちらにしてもキングはキューブリック版の「冷たさ」を嫌っていたのは事実ですので、キューブリック版を傑作たらしめているその「冷たさ」を排除し、キングの言う「暖かさ」を導入した時点で、この『ドクター・スリープ』はキューブリック版『シャイニング』の続編でないことは明らかです。

 キューブリックの映画化による「冷たさ」を嫌ったのは何もキングだけでなく、アーサー・C・クラークもそうでした。その結果が小説『2010年宇宙の旅』、そしてその映画化の『2010年』ということになります。ですので、この『ドクター・スリープ』については、『2001年宇宙の旅』における『2010年』ぐらいだったらまあ御の字、という感覚で観に行った方が何かと宜しいんじゃないか(キューブリック版の続編と思って観に行くと肩透かしを食らう)、という気がしています。