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 脚本が残っていたんですね。日付がないので時期は不明ですが、少なくとも脚本時には仮題として『バイオレンスの日(Day of Violence)』というタイトルが与えられていた時期があった、ということがこれでわかります。クレジットは伝えられている通り「脚本:スタンリー・キューブリック、追加台詞:ジム・トンプソン」となっています。

 よくキューブリックは脚本のクレジットで揉めますが、それはキューブリックにとって脚本は叩き台でしかないからです。脚本が完成しストーリーラインが決定すると、それをベースに俳優のキャスティング、セットやロケの手配をしますが、キューブリックの場合「撮影も創造の場」ですので、台本は撮影現場でどんどん変更になります。その影響で元の脚本から違った作品になってしまうのが常で(キューブリックは「脚本が完成するのは撮影が終わった時」と語っています)、その変更の判断ができるのはキューブリックだけであり、その結果、最終的な脚本のクレジットでキューブリックの占める割合が大きくなってしまうのです。

 もちろん叩き台としての当初の脚本や、その制作に協力してくれた小説家の役割を軽視しているわけではありません。ですが、キューブリック独自の撮影現場の方法論を知らなければ、脚本協力者からクレーム付くのも仕方ないといえば仕方ないですね。