『アイズ ワイド シャット』の原作である、アルトゥル・シュニッツラーの小説『夢小説(Traumnovelle)』は1971年頃には映像化権をキューブリックが取得していたことがわかっています。このTVドラマ『夢小説』はIMDbによると、1969年8月31日にオーストリアで、1970年8月5日に西ドイツでOAされたとあります。つまり、キューブリックはこの小説がすでにTVドラマ化されていたことを知っていて、なおかつこれを観ていた可能性さえあります。そんなお宝映像の全編をYouTubeで観ることができるというのは今の時代ならではですが、削除される可能性も高いので視聴するなら早めの方が良いでしょう。

 ざっくりと飛ばし見をした限りでは原作小説を忠実に映像化しているようです。ラストシーンも原作と同じです。キューブリックはこのシーンの後におもちゃ屋のシークエンスを付け加え、アリスの「一言」で物語を終わらせていますが、その意味はあまり議論されていないように思えます。キューブリックがシュニッツラーの『夢小説』から「何を加え、何を削ったか」は、このTVドラマ版と比較することにより、より明確になるでしょう。そういう意味でも非常に貴重な映像資料だと思います。