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ダニー・ロイド(一番右)と3人の少年。ダニーの横の走り書き「19.4kg」は体重でしょうか?



 興味深い資料です。4人の少年が写っていますが、手書き文字を判読すると左からジャスティン・キルティ(Justin Kielty)、ダニエル・ストック(Daniel Stocke)、 マーカス(Marcus)、ダニー・ロイド(Danny Lloyd)です。

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 別の資料によると、写真の欄外に走り書きされたジャスティン・リー・ストロング(Justin Lee Strong)がダニー・ロイドの代役、別の代役がダニエル・ストック、三番目としてジャスティン・キルティの名前が記載されています。マーカスはこの時点で外されてしまったんでしょう。他の2人に比べるとダニーと少し印象が異なるからでしょうか。ここにダニーが代役と写っている写真がありますが、この少年がジャスティン・リー・ストロングかもしれません。

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 書類の日付は1979年4月12日。すでに撮影はほぼ終わっていますので、この資料は最終決定だったのでしょう。キューブリックは「撮影」という不確定要素の多いプロセスでも、なるべくコントロールをしたがる(気象条件に左右されるロケを嫌がり、セットを好むのはそのため。ただし「旅行(飛行機)嫌い」という側面も)ので、プリ・プロダクションには時間をかけ、ありとあらゆる事態を想定して準備をするのが通例でしたが、ダニーの代役を3人もリストアップするなど、この『シャイニング』でもそれは徹底していますね。

 確かにホラー映画の主役が少年(ダニーは当時5〜6歳)だと、事故や病気、それに精神的な負荷によるストレスや拒否行動などは十分に考えられる事態です。キューブリックはダニーにはホラー映画を撮影しているとは悟られないよう、ホラーシーンの撮影にダニーを近づけさせないなど最新の注意を払っていたそうですが、それに加えての3人の代役です。キューブリックの映画制作に対する「こだわり」もしくは「慎重さ」が伺える、貴重な資料と言えるでしょう。