UFO追跡や超常現象研究でおなじみの矢追純一氏が、『シャイニング』を撮影していたエルスツリー・スタジオを訪問するドキュメンタリーの未編集動画がYouTubeにアップされていたのでご紹介。撮影時期はロンドンで『シャイニング』『エレファントマン』が公開されていること、服装が秋っぽいことから1980年秋(10月以降)〜冬だと思われます。

 この取材は「『シャイニング』制作中に火災などの事故が多発したのは超常現象のせいではないか?」という切り口で、矢追氏を現地に向かわせ突撃取材を敢行!という企画だったそうですが(いかにも『11PM』らしいノリ。笑)、そんな番組スタッフの思惑は見事に空回りし、単なる『シャイニング』の制作舞台裏取材に終始しています。矢追氏の超常現象やUFOなどの質問が浮いているのはそのせいのようです。

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 取材はまずエルスツリー・スタジオの訪問シーンから。ワーナーの広報担当ジュリアン・シニアが出迎えてくれます。

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 ジュリアンがもったいぶりつつ『シャイニング』のTVスポットを見せてくれます。これは不採用シーンが含まれたもので、それは以前この記事でご紹介しています。

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 撮影ステージに案内されますがセットは撤去されたあとです。新しいセットの立て込みが始まっているようです。「ここはホール(コロラドラウンジ)だった」とジュリアンは説明しています。セット火災の状況も説明しているようです。コロラドラウンジは全焼しましたが、けが人はいませんでした。その記事はこちら

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 『シャイニング』の外国語版プリントの作業中。ここはおそらくキッチンのセットが組まれた部屋でしょう。

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 キューブリックの三女、ヴィヴィアン登場。編集作業をしていたようです。

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 ヴィヴィアンが倉庫を案内します。その倉庫は『シャイニング』の食料倉庫だった場所。シェリー・デュバルの衣装や、『2001年…』で使用されたフロント・プロジェクション用のポジフィルム(『人類の夜明け』のシークエンスはエルストリーで撮影された)、『バリー・リンドン』で使用されたF0.7レンズなどを紹介しています。

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 ヴィヴィアンがどの部屋がどのシーンで使用されたか、フィルムを見せながら説明しているところ。

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 『シャイニング』のポスターやスチール写真が置かれたキューブリックのオフィス。肝心のキューブリックは不在ですが、ひょっとしたらTVカメラを避けてどこかに隠れてしまったのかも(笑。

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 矢追氏がキューブリックへ電話インタビューをしているシーンです。『シャイニング』のラストシーンについては「リ・インカーネーション(転生)」、『2001年』のラストシーンについては「純粋なエネルギー」「人間動物園」「超存在」「超人間」などの言葉が聞こえてきます。電話のノイズで非常に聞き取りづらいのですが、ラストシーンの意味を丁寧に説明をしてくれているようです。内容は以前この記事でご紹介したインタビューと同じだと思われます。ただ、矢追氏の超常現象やUFOの質問については真意を測りかねたらしく、困惑したような回答も。矢追氏も電話を切った後でなんとも言えない表情をしています。キューブリックは日本の取材班の相手をヴィヴィアンに押し付けて雲隠れしているように思えます。電話の冒頭で「探したよ、スタンリー」と言われたちゃっていますので。

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 ヴィヴィアンへのインタビューシーン。映画制作についてや姉妹の話、父母の馴れ初めの話、『メイキング・ザ・シャイニング』の制作の話など。超常現象取材班としては「使えないなー」と思ったことでしょう(笑。

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 エルスツリー・スタジオの全体図です。矢追氏らスタッフが訪れたのは画像下の車が一列に並んだ建物の玄関から入って、その建物の裏口から撮影ステージに向かい、ホテルキッチン(動画では作業所と倉庫)とコロラドラウンジのセットが組まれたステージの部分(ステージ2〜3)だけですね。それでも撮影所内部の映像は貴重です。

以下は動画のチャプターリストです。

00:00 導入シーン。ロンドン中心部からEMI エルスツリー・スタジオ(ボアハムウッド)へのドライブ
04:14  EMI エルスツリー・スタジオに到着
07:07 ジュリアン・シニア(ワーナー・ブラザーズ)との会合
12:16 ジュリアン・シニアと撮影スタジオへ案内、制作の詳細
18:30 プロダクションオフィスに戻る。撮影シーンの詳細
23:00 ビビアン・キューブリックと会い、シャイニングのドキュメンタリーを語る
27:20 ビビアン・キューブリックが「キューブリック倉庫」を紹介
31:50 『バリー・リンドン』で使用された有名なツァイス社 F / 0.7 NASAレンズの紹介
34:00 キューブリックの倉庫
36:15 『2001年宇宙の旅』関連資料(フロントプロジェクション用のスライド)
38:04 キューブリックの事務所
41:40 編集テーブルにてヴィヴィアン・キューブリックへのインタビュー
45:24 キューブリックへの電話インタビュー
55:45 ヴィヴィアン・キューブリックとのインタビュー
1:15:26 エルスツリー・スタジオスタジオの外装
1:16:35 エンディング。ロンドン中心部、ソーホーへドライブ
1:22:57 ABCシネマがあるシャフツベリーアヴェニュー(『シャイニング』のポスターと看板)

 このビデオはUFO研究家のウェンデル・スティーブンス氏(故人)所有のものだったそうです。『シャイニング』(国際版)の日本公開は1980年12月13日。『11PM』でのオンエアは映画公開に合わせてのもの(12月12日辺りだと推測)だと思いますが、キューブリックがこうして映画の舞台裏を公開するのは異例。それだけ「『シャイニング』は何が何でもヒットさせるぞ!」と意気込んでいた表れだとは思いますが、逆に『バリー・リンドン』の興行的失敗がよほど堪えていた、とも言えます。

 動画を見た感想ですが、キューブリックファンにしてみれば当時のTVスタッフの頓珍漢ぶりに「わざわざキューブリックに会いにイギリスまで行って恥を晒すなよ!」と言いたくもなるのですが、まあ今も昔もTV番組なんて所詮そんなもの。キューブリック作品制作の舞台裏映像がどれほど貴重かはファンの方ならよくご存知のはず。当時のスタッフが「使えない」と切り捨てた映像の方が価値があるという皮肉な結果も、今となっては感謝するしかないですね。