『レディ・プレイヤー1』の元ネタになった『シャイニング』でジャックがゴールドルームへ向かうシーン。



【注意!!】この記事は映画の内容に深く入り込んでいるので、映画視聴後にお読みください。

 ただいま絶賛公開中の『レディ・プレイヤー1』の中盤で、重要なターニングポイントの舞台として登場する『シャイニング』のオーバールック・ホテルですが、ここで主人公たちは「オアシス」の創始者であるハリデーから二つ目の鍵を受け取ることになり、その過程でハリデーの「トラウマ」を知ることになります。そのトラウマとはキューブリック版『シャイニング』で、ジャック・トランス(ジャック・ニコルソン)が邪悪な力によってホテルに取り込まれたこと示す(管理人は全く別の解釈をしていますが、ここでは一般論を採用します)「古いパーティーの写真に写り込んだジャック・トランス」の部分が、ハリデーに置き換わっていることでより強調される仕掛けになっています。また、隣にはその際のデートの相手らしき女性の姿が写っています。つまりハリデーのトラウマとは、「好きな女の子と映画デートにこぎつけながらもキスどころか、ダンスさえできなかった」というものです。ということは、この一連のシークエンスには以下の条件が必要になるということになります。

(1)1980年代のメジャータイトルであること

(2)恋愛要素があること

(3)オタクが好きな(SF)映画であること

(4)デート向きの映画であること

 この記事でも説明した通り、当初、このパートは『ブレードランナー』が採用される予定でした。しかし、続編である『ブレードランナー2049』と公開時期が近かったために許可が降りず、次策としてこの『シャイニング』が選ばれたそうです。ですが、上記の条件に全て合致するのはやはり当初案の『ブレードランナー』(4の要素はちょっと微妙?)だと思います。それがNGとなり、他の作品としてすぐ思い浮かぶのは『スター・ウォーズ・シリーズ』『バック・トゥ・ザ・フューチャー・シリーズ』でしょう。しかし『スター・ウォーズ』は許可が下りず(版権はディズニー社が保有)NG、『BTTF』はスピルバーグが「自身プロデュース作だから」と却下したでしょう。劇中では『ザ・フライ』が語られますが「デート向きでない」と却下。であれば『エイリアン』や『遊星からの物体X』も同様です。だからといって『シャイニング』が選ばれたのは不思議に思えます。なぜなら前述の条件の(1)にしか合致していないからです。

 では原作でこのパートはどうなっているのかというと、「テキストアドベンチャー形式のゲーム『ゾーク』が3Dの世界に再現されたゲームに勝利すること」(ソースはこちら)となっています。この『ゾーク』の世界観ですがそれはこのようなものです。

 ゾークの舞台は、「巨大地下帝国」 (Great Underground Empire) の一部を占める不規則に広大な地下迷宮である。プレイヤーが演じるのは、洞窟に隠された宝物を発見し、それらを持って生還することを目的とする無名の冒険者である。地下迷宮では、正体不明の怪物グルーやゾーク世界の通貨ゾークミッドなど、多数の珍奇な生物や品物が待ち構えている。

(引用元:wikipedia/ゾーク


 つまりスピルバーグは、キューブリックへのオマージュ云々の前に、原作のイメージに倣った、ということになります。生け垣迷路が登場したのもそのためでしょう。加えて本作の配給が『シャイニング』と同じワーナーだったので、使用許可が取りやすかったという事情もあるでしょう(『ブレードランナー』もワーナー)。となれば、以前この記事で書いたオマージュ云々は副次的要素ではなかったか、というのが管理人の感想です。

 とはいえ、「キューちゃん大好き!」なスピのことです。『シャイニング』のカメラワークを完コピ(ゴールドルームに向かう主人公たちを追った横移動のドリー・ショットは、キューブリックファンのツボです。笑)したり、『2001年…』のスペースポッドを登場させたりなど、スピルバーグにとって「とっても楽しい仕事」だったことは間違いないでしょうね。