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 今年(2018年)は『2001年宇宙の旅』公開50周年ですので、様々なイベントやリリースが続いていますが、『ビヨンド〜惑星探査機が見た太陽系』や『ファー・アウト〜銀河系から130億光年のかなたへ』などの著作がある作家・写真家のマイケル・ベンソンが、『2001年…』のメイキング秘話をまとめた『Space Odyssey: Stanley Kubrick, Arthur C. Clarke, and the Making of a Masterpiece(スペースオデッセイ:スタンリー・キューブリックとアーサー・C・クラークはいかにして傑作を作ったか)』を上梓したそうです。

 ワシントンポストの記事を読む限りでは、よく知られたエピソードが紹介されていますが、スターゲート・シークエンスの宇宙(生命)の誕生のパートについて「1965年にニューヨークのブラジャー工場で制作」と解説されています。今までは「マンハッタンにある廃工場で制作され『マンハッタン計画』と呼ばれていた」とまでは紹介されていたのですが、それはブラジャー工場だったんですね。妻のクリスティアーヌは、身なりを構わず、様々な溶剤を落として不可思議な映像制作に夢中になっているキューブリックに対して不満を漏らしていた(臭いとか汚いとか。笑)そうですが、1965年というと制作準備段階でまだ脚本も固まっていない頃。この年の7月にキューブリックは渡英しますが、その前にこの映像は撮影されていたことになります。

 あと、「ボーマンの呼吸音はキューブリック自身の呼吸音を使った」とありますが、これは以前からそういった情報があったものの、確定しても良いようです。アレックス・ノースの音楽を「あとは既成曲と呼吸音でいくからいらない」と拒否したのは編集時、1968年始めの頃のはずなので、俳優シーンの撮影は終了(1966年夏)した後です。1969年公開の『De Sade』に主演しているケア・デュリアを呼吸音のためだけに呼び戻すとは考えにくいので、「自分の思い通りに映画を作りたい」キューブリックが自身の呼吸音を使ったとしても不思議ではありません。ちなみにキューブリックは『フルメタル・ジャケット』でカウボーイの無線の相手、マーフィー(の声)も演じています。

 既知の情報もありますが、新たに取材をしていると思いますしファンなら気になる一冊です。邦訳すればそこそこの部数も望めると思いますので、出版不況と言われる昨今ですが、久しぶりにキューブリック関連本の出版を強く望みたいですね。


Space Odyssey: Stanley Kubrick, Arthur C. Clarke, and the Making of a Masterpiece (英語) ハードカバー(amazon)