故スタンリー・キューブリック監督の右腕として知られるエミリオ・ダレッサンドロを追ったドキュメンタリー映画『エス・イズ・フォー・スタンリー(原題) / S Is For Stanley』について、アレックス・インファセリ監督が、1月27日(現地時間)ニューヨークのジェームズ・ホテルで語った。

〈以下略〉

(全文はリンク先へ:シネマトゥデイ/2017年2月3日




 キューブリックのパーソナルアシスタント兼運転手のエミリオ・ダレッサンドロについてはこのブログでも何度か採り上げています。この『S Is For Stanley』は書籍『Stanley Kubrick and Me』として刊行されていますが、ドキュメンタリーも制作していたんですね。上記の動画は観ていましたが書籍のPVと勘違いしていました。

 そのドキュメンタリーの監督のインタビューなんですが・・・ちょっと話を盛りすぎていて違和感があります。もちろんキューブリックのプライベートおけるエミリオの役割は小さくなかったですし、キューブリック作品にもスタッフとして参加(『アイズ…』では新聞スタンドのおじさんとしてエキストラ出演)していますが、その役割は主に「使い走り」であって、キューブリックのクリエイティブな側面には全く寄与していないと言っていいでしょう。そもそもエミリオ自身がこのインタビューで映画自体に興味がなかったことを明かしています。

 現在メキシコシティで開催中の『スタンリー・キューブリック展』についても、そこに展示されている品々のほとんどはキューブリック邸の倉庫に眠っていたものなので、ここでもエミリオは貢献していません(キューブリックの指示で整理や管理はしていたかも知れませんが)。それにエミリオとキューブリックが知り合ったのは『時計…』の頃なので、「その頃のキューブリックは、アート映画として評価されていても、興行面では成功を収めていなかったため、ディープな映画ファン以外の知名度はそこそこだったんだ」というコメントにも違和感があります。キューブリック作品にエミリオが多大な影響を与えたような印象を与え、集客に結びつけようとする意図がありありと透けて見えます。

 もちろんこのドキュメンタリーは観たいと思いますし、管理人のようなコアなキューブリックファンには興味深い内容であるのは間違いありません。しかし、そこで語られているのは恐らくキューブリックのプライベートに関することがほとんどだと思われます。ですので、キューブリックの生涯を俯瞰した評伝『映画監督スタンリー・キューブリック』の内容が頭に入っている人でないと楽しめないと思います。ドキュメンタリー映画として公開しても集客は望めないでしょう。

 DVDやBDの特典映像で構いませんので、ぜひ視聴してみたいです。ワーナーには何らかの形でのリリースを期待したいですね。