『アイズ…』で使用されたフランク・シナトラの名曲『夜のストレンジャー』ですが、あまりこの曲について語られていないようなので少し考察を。劇中で使用されるのはインストルメンタルバージョンですが、このメロディを聴いてこの歌詞を思い浮かべない人はいないでしょう。「夜に出会った知らない者どうしが恋に落ち、熱い抱擁とダンスを踊る。知らないものどうしだから恋は上手くいった」という内容のラブソングです。

 ただ『アイズ…』ではとても皮肉な使われ方をしています。そう、例の乱交パーティーの後のダンスシーンです。これでは見知らぬもの同士の恋などというロマンチックさの欠片も無く、まさしくタイトル通り「奇妙な人たちの夜」になってしまっています。仮面を被り、顔を見せない代わりに全裸でチークしているわけですからね。でも、ある意味では正しいかも知れません。「知らないもの同士だから恋(セックス)は上手くいった」わけですから。(キューブリックってこういうダブルミーニングが本当に好きですね)この事だけでも『アイズ…』が挑発的で皮肉に満ちた物語であることが良くわかりますね。