『2001年宇宙の旅』の有名なスターゲート・シークエンスは、大きく4つのパートに分けることができます。

(1)ワームホールによる空間転移シークエンス

SS1


(2)星の誕生・銀河の誕生、もしくは生命の誕生シークエンス

ss2


(3)地球外知的生命体との遭遇シークエンス。このシーンには「マインドベンダー(催眠術師)」というタイトルがある。このダイヤモンドの物体はモノリス初期案のピラミッド型(正四面体)のアイデアがベースになっているので、UFOではなく地球外知的生命体(もしくはそれを象徴するもの)と解釈するのが正しい。

SS3


(4)原始惑星の誕生シークエンス

SS4


 こうしてみると、全て映像で説明しきっているのがわかります。(1)はワープという解釈でも良いのですが、小説版やその原案小説である『地球への遠征』にははっきりとワームホールである描写があります。(3)はもっと映像を準備するはずでしたが、当時の技術では納得できる表現ができず、かなりの部分が没になった経緯があります。

 撮影の種明かしをすれば、(1)と(3)はダグラス・トランブルの開発によるスリット・スキャンを中心に、様々な手法を駆使して撮影。(2)は溶剤に色の液体を落とし、超スローモーションで撮影したもの。(4)はスコットランドのヘブリディーズ諸島と、アリゾナ州とユタ州にまたがるモニュメント・バレーの空撮で、それらの映像にソラリゼーション(厳密には単なるソラリゼーションではなく、もっと複雑な工程だったそう)の処理を施したものです。

 人類が決して目にする事が出来ない宇宙や生命の成り立ちや、何万光年を一瞬に飛び越えるテクノロジーを映像化する事によって、地球外知的生命体の存在と、その力の強大さを印象づけるために、このシークエンスを作成しましたが、当時の若者はそれを全く理解せず、映画館の最前列に座り、ポケットからマリワナ取り出し吸い始めてしまいました。これにはさすがのキューブリックやクラークも頭を抱えてしまい、はっきりと「反ドラッグ」の立場を明確にしています。

 もちろん、ディスカバリー号を男性器、スペース・ポッドを精子、スターゲートを女性器とする解釈も暗喩としては有効でしょう。リアルといえばリアルですが、あまりにもそのままを映像化しすぎて身も蓋も無いCGが氾濫する昨今、アナログな故に、含みを持たせる表現になってしまった10分余りのこの「スターゲート・シークエンス」は、今も様々な議論の対象になっています。

加筆修正:2018年10月25日