2020年07月

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『ルナティック・アット・ラージ』を監督する予定のテリー・ギリアム

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キューブリックとともに脚本を執筆したジム・トンプソン

〈前略〉

 「私は今年の9月に撮影することになっていたんだ 」とギリアムはLa Repubblicaに明らかにしました。「もともとスタンリー・キューブリックのアイデアだった映画をやっていたんだ。脚本もあったし、キャストも決まっていたんだけど、ロックダウンのせいですべてが台無しになってしまったんだ」

 Cinergieによると、キューブリックが放棄したプロジェクトは『ルナティック・アット・ラージ(Lunatic at Large)』の映画化で、キューブリックの当時の製作パートナーであったジェームズ・B・ハリスが1950年代に著名な犯罪作家のジム・トンプソンに依頼し、キューブリックのアイデアを基にした70ページに及ぶ作品だという。

〈以下略〉

(全文はリンク先へ:/Film/2020年7月28日




 テリー・ギリアムが監督することになったんですね。10年前のこの記事で、キューブリックの義息(長女カタリーナの夫)であるフィリップ・ホッブスが、1956年に企画された本作の脚本を1999年に見つけたと話題になっていました。その時は監督やキャストを探している段階でしたが、10年の時を経てその企画が動き出していたとはちょっと驚きです。

 そのホッブスとカタリーナは2001年に離婚してしまったのですが、この脚本はホッブスがまだ権利を有しているんでしょうか? もしそうならクレジットで名前が確認できると思いますが、それよりも何よりも完成させないことにはどうしようもないですね。でも、ギリアムが監督すると決まっているなら、時間はかかっても実現の可能性は大きそうです。


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キューブリック全13作品のタイトルバックを集めた動画。

[映画.com ニュース]仏映画情報サイトallocineがオープニングが素晴らしい映画20作品を選出。映画.comの作品情報と共に紹介する。

〈中略〉

■「2001年宇宙の旅」(1968)

「わずかな音で映像が優雅な瞬間に。観客はリヒャルト・シュトラウスの『ツァラトゥストラはかく語りき』を背景に、地球、月、太陽の整列を発見する」

スタンリー・キューブリック監督と原作者アーサ・C・クラークによる、映画史を代表する不朽の傑作SF。極端に少ないセリフや固定した長回しのカメラワーク、クラシック音楽の使用などが斬新で印象を残す。撮影時に開発された新技術と、科学的裏付けの追求により人工知能HALの暴走がリアルに描かれ、第42回アカデミー特殊視覚効果賞受賞。

〈中略〉

■「時計じかけのオレンジ」(1971)

「オープニングで、アレックスの苦悶のまなざしがクローズアップされる。これに続いてバーでの印象的な場面に移り、私たちはこの主人公の不穏で、不健康で、超暴力的な世界に飛び込んでいく」

原作者のアンソニー・バージェス自身が”危険な本”と語った同名の小説をスタンリー・キューブリックが映像化。非行少年による暴力が横行する近未来のロンドン。喧嘩とレイプに明け暮れる日々を過ごすアレックスは、中年女性を死に至らしめた彼は刑務所行きに。しかし2年後、とある治療法の被験者になることを条件に、社会に戻ることを許される。

〈以下略〉

(全文はリンク先へ:映画.com/2020年7月24日




 20作品中2作もキューブリック作品を採り上げていただいております。他は定番ものから「?」なものまでラインナップされていますが、それはリンク先でどうぞ。

 キューブリックはオープニング(タイトルバック)について

 「メインタイトル(タイトルバック)のことは全然気にかけていない。とても凝っていて感心したものもあるが、凝ったメインタイトル製作費の無駄遣いに過ぎず、その映画を損なうものだと思う。私の見方は非常に単純だ。映画の最初のショットは観客が席についてから最も興味深いものであるべきだということだ。タイトルと比べて映画の中身がつまらなく見えることに加えて、凝ったタイトルというのは、アニメーション、特殊効果、オプティカル処理、それに大抵、非常に高いデザイナーを意味する。これはつまり相当多くの経費がかかるということだ。私ならその費用を映画自体にかける方を選ぶ」(引用:『イメージフォーラム増刊 キューブリック』)

と語り、力を入れないわけではないか、力を入れすぎても本末転倒でお金の無駄という、至極真っ当なことを言っています。1960年代頃には凝ったタイトルバックがもてはやされた時代もありましたが、今振り返ると凝りすぎて本編が霞んでしまった例もチラホラ。キューブリックはこだわり抜いて映画を作ったことで有名ですが、同時にこだわりすぎて客観性を失うことも恐れていました。これは口で言うほど簡単なことではなく、作家性が強いアーティストであればあるほど自分のアイデアに固執してしまうものです。キューブリック作品が今日に至っても普遍性を持ち得ているは、この「自作を厳しく客観視して判断する姿勢」があったことも大きな要因だと思うのですが、凝ったタイトルバックを採用しなかったのもその「客観視した上での判断」であったのでしょう。

 そう考えれば、キューブリック作品で唯一「凝ったタイトルバック」が採用されてしまった『スパルタカス』を「自分の作品ではない」と拒否するのも仕方ないかな、と思いますね。

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 私は、一流フィルムメーカーたちの作品の特性を祭り上げて、称賛することには気乗りがしない。なぜならば、そうすることで彼らの作品を否応なく単純化してしまい、その価値を下げてしまう傾向があるからだ。

 しかし、クシシュトフ・キェシロフスキと彼の共同執筆者クシシュトフ・ピエシェヴィッチによるシナリオをまとめたこの本においては、着想を語るのではなく、むしろ「ドラマタイズする(劇的に表現する)」その稀なる能力を、彼らが持っていることについて観察することは場違いではないはずである。

 物語内の劇的な動きを通して、自分たちが狙ったポイントを押さえることにより、彼らは説明することなしに、今、スクリーン上で実際は何が進行しているのかを、観客に自由に「発見させる」ための、より一層の力を獲得している。

 彼らはその驚嘆すべき技術を用いて着想を表現するが、それについてを観客であるあなたは決して気づかない。観終わってからずっとあとになり、その着想がどれだけ自分の心に深く届いていたのかをあなたは知るのである。

スタンリー・キューブリック
1991年1月

I am always reluctant to single out some particular feature of the work of a major filmmaker because it tends inevitably to simplify and reduce the work. But in this book of screenplays by Krzysztof Kieslowski and his co-author, Krzysztof Piesiewicz, it should not be out of place to observe that they have the very rare ability to dramatize their ideas rather than just talking about them. By making their points through the dramatic action of the story they gain the added power of allowing the audience to discover what's really going on rather than being told. They do this with such dazzling skill, you never see the ideas coming and don't realize until much later how profoundly they have reached your heart.

Stanley Kubrick
January 1991




 キューブリックが「自分が監督できればよかったのに」とまで言わしめたクシシュトフ・キェシロフスキ監督のTVシリーズ『デカローグ』ですが、その脚本が書籍化された際に、キューブリックが序文を寄稿しました。その訳文が上記になります。

 これだけ読んでみてもキューブリックの心酔ぶりがわかろうかというものですが、キューブリックは感激のあまり「これぞ」と思う人にはビデオを送りつけて強制的に観させるという行為に及んでいました。その中の一人、『アイズ ワイド シャット』で脚本を担当したフレデリック・ラファエルは「このように延々と続く硬い話から何を学び取ればよいのか、私にはわからない」と言われてしまうのですが、ラファエルに限らず、仕事仲間にビデオを送りつけてまで感想を聞きたがったのは、本作のどこにその魅力があるのか、明快な答えを探していたのかも知れません。

 本作は最近IVCよりHDレストアでBDが発売されました。興味のある方は少々高額ですがぜひどうぞ。管理人は現在未見ですが、観るのを楽しみにしています。

翻訳協力:カウボーイさま


デカローグ クシシュトフ・キェシロフスキ Blu-ray BOX 初期作品集収録特別盤(amazon)

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1:42の飛行機のカーペットが『シャイニング』しています。

 イギリス出身のポップスター、デュア・リパ(Dua Lipa)の新曲『ブレイク・マイ・ハート(Break My Heart )』のMVに「シャイニングカーペット」が登場しているのでご紹介。

 このデュア・リパ、日本じゃまだ無名ですが世界的には超有名なポップスターで、それはこちらの本家動画の再生回数からも伺えます。音楽的にはレディ・ガガからの流れの正統派デジタル・ダンス・ポップといった感じですが、ワーナーもわざわざ日本語字幕版のMVを作るほどプッシュしています。

 同じワーナーつながりで『シャイニング』というわけではないんでしょうけど、MVにもかなり金がかかっていますね。まあ、これだけのお金をかけられるほど「世界」というマーケットを意識してのことでしょうけど、ガラパゴス化激しい日本の音楽マーケットでも、タイアップ次第では今後人気が出るかも知れませんね。

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警察無線の声は「10th Street and 2nd Avenue」。

 最近NHK BS1でオンエアされた『キューブリックが語るキューブリック』を視聴して、「キューブリックの肉声が聞けるなんて珍しい」というコメントが散見されましたがそんなことは全くなく、数多くのドキュメンタリーや、ボックスセットの特典として付属していたインタビュー音源など、ファンにとっては聞き馴染みのある声です。

 そんな声が『非情の罠』のワンシーンから聞こえてきて、個人的には非常に嬉しい驚きでした。この頃のキューブリックはお金がなく、「映画制作に関することはなんでもやった」と自虐的に豪語するぐらいなんでもやったので、声だけの出演なら金欠も影響しているのかな、と思わなくもないですが、後年、制作費の捻出に苦労しなくなった『フルメタル・ジャケット』でも声だけの出演をしているので、これは例の「どんな些細なことでも徹底的にこだわる」というキューブリックの考え方が影響しているのかもしれません。そういえば『2001年宇宙の旅』の呼吸音もキューブリックでした。「この程度のことなら、人にあれこれ指示するより自分でやったほうが早い」と思っていたのかも知れませんね。

カウボーイの無線の相手「マーフィー」の声がキューブリック。

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