2019年05月

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TIMBERLINE
引用元:Raddit/stephenking/A letter sent from the Timberline Lodge (Overlook Hotel) to Stanley Kubrick, explaining why Room 217 was changed to 237 in the film.

・・・すでに217号室を見たいとおっしゃる何人かの観光客がいらっしゃいます。映画が公開され、地元で知られるようになると「バスタブの女性」の肥大化した死体に襲われると観光客が恐れてしまう可能性があります。可能であれば「217」を237、247、または257に変更してください。どれもティンバーライン・ロッジには存在しません。



 キューブリックファンにはおなじみですが、映画『シャイニング』の舞台であるオーバールック・ホテルの外観として使用されたティンバーライン・ロッジが「宿泊客が怖がって泊まりたがらなくなるので、幽霊が出る部屋を217号室から存在しない237号室に変更して欲しい」と依頼したというエピソードを裏付ける、ティンバーライン・ロッジからキューブリックに宛てた手紙が発見され、現在ロンドンで開催中の『スタンリー・キューブリック展』に展示されているそうです。227号室がないところを見ると、それは存在したんでしょう。結局キューブリックは原作の217号室を237号室に変更することにしましたが、その旨を手紙に書き込んでいます。

 そして以下が現在のティンバーライン・ロッジ側の公式コメント。

「宿泊客が217号室に泊まるのを怖がるかもしれないので、キューブリックに217号室を描かないように依頼、存在しない237号室に置き換えました。ですが奇妙なことに、そして多少皮肉なことに217号室はロッジの他のどの部屋よりも頻繁にリクエストされています」

(引用元:ティンバーライン・ロッジ公式サイト/ヒストリーページ


 確かに「皮肉」な話ですね(笑。


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beyond1
銀座の資生堂ギャラリーで2017年11月21日〜12月24日まで展示されていた『善悪の荒野(Beyond good and evil, make way toward the waste land.)』と題されたアート作品

 現在ロンドン・デザインミュージアムで開催中の『スタンリー・キューブリック展』ですが、日本でも多くの方が関心を持たれているようで、当ブログで2012年頃から日本開催をお願いしてきた管理人としても嬉しい限りです。最近、キューブリックの長女であるカタリーナ(キャサリーナとも)さんがTwitterを使い始めたらしく「Please come to Japan!」とメッセージを送ったところ「A museum in Japan has to want the exhibition there. Maybe you could organise that?(舌出しと考える絵文字)」というなんとも返事に困る返信をしていただきました。皮肉っぽいニュアンスはともかくも、キューブリック展開催には美術館側からのオファーと組織が必要とのことなので(まあ、当たり前といえばそうなのですが)、そのご協力を皆さまにツイートさせていただきました(カタリーナさんからは「ジョークだった」とやんわり謝罪されているのでお気になさらないように)。

 おそらくカタリーナさんは「そんなに簡単に言わないで、ロンドンだって大変だったんだから!」という気持ちがあったからだと推察しますが、まさにその通りで、キューブリックのお膝元であるロンドンでさえ「今になってやっと」ですから、この日本での開催がいかに困難かは察するに余りあるものがあります。しかしそれを望むのがファンというもの。そこで誠に勝手ながらKUBRICK.Blog.jp 管理人が、その考察とご提案をここでさせていただけたらと思います。

 そのキューブリック展ですが、大きく以下の3つの点を考慮すべきかと思います。

(1)ライトなファン向けか、コアなファン向けか

(2)ルック社カメラマン時代のキューブリックの扱いをどうするか

(3)『ナポレオン』や『アーリアン・ペーパーズ』などの未完作品をどう扱うか


 (1)は後回しにして、まず(2)については、別枠で写真展を開催すべきだと考えます。昨年(2018年)の5月3日から10月28日の期間、ニューヨーク市立博物館で『Through a Different Lens:Stanley Kubrick Photographs』と題して写真展が開催されました。それに合わせて同名の写真集もすでに刊行されています。ですので、キューブリック展では最低限触れる程度で良いかと考えます。理想を言えば『キューブリック展』と『キューブリック写真展』を別施設の同時期開催ですが、もし『キューブリック展』のオファーが競合し、それが実現しなかった関係者様は、より小規模な施設でも開催可能な『キューブリック写真展』の開催を企画されてみることをお勧めいたします。キューブリックがルック社時代に撮影した写真の権利は、ニューヨーク市立博物館が全て所有しております。過去の事例としてイタリア・ジェノバオーストリア・ウィーンでの開催事例がありますので、それぞれご参照ください。

 (3)についてですが、これも最低限で良いかと考えます。というのも、当ブログでこれら未完作品に関する記事は人気がないからです(笑。コアなファンの方は興味を示していただけるのですが、ここまでディープな情報に興味を示すファンはそんなに多くないな、というのが管理人の実感です(もちろん当ブログではそんなことは一切気にせず、今後も記事にするつもりです)。

 次に、当ブログの現在までのアンケート結果をこちらでご覧ください。このように、現在キューブリックファンは男性比率が多いものの、女性も約1/4とキューブリック作品の特性(エロや下ネタが多い)を考えれば健闘していて、世代に至っては30代以下の世代もそれなりに分布している印象です。このアンケートを始めた当初は圧倒的に男性が多く、世代も40代以上が多数を占めていたのですが、約6年でファン層が広がった事実がここからもわかります。

 そして、昨今の展覧会のトレンドも無視できません。すなわち「インスタレーション(体験型展示)」です。その一例ですが、銀座の資生堂ギャラリーで2017年11月21日〜12月24日まで『1/2 Century later.』と題したアート展が開催されました。そこに展示されていたのは『2001年宇宙の旅』に登場した「白い部屋」を模した展示でした(上記画像)。この展示はキューブリックファンの話題を集めましたが、それは劇中のワンシーンを展示で再現する「体験型展示」だったからです。もちろん展示点数の多いキューブリック展では同じようにはできませんが、現在ロンドンで開催中のキューブリック展も、写真や動画で見る限りはそういった方向性を感じ取ることができました。

 ただ、そうなるとおのずと展示点数は少なくなり、作品の世界観再現のためにレプリカの展示が多くなるという問題があります。キューブリック作品のプロップやセットはほとんど残ってなく(現存するものはかなり貴重)、現在展示されている大型のプロップはレプリカ、大量生産品は同型他機種がほとんどです。コアなファンからしてみれば「そんな価値のないレプリカよりも、実際に映画製作に使用した台本やメモ、手紙、スケッチ、絵コンテ、ストーリーボードなどの紙資料を展示してほしい」と思うかも知れませんし、管理人もそう思います。しかし、ここはそれをグッと我慢し、「いかにキューブリック作品の世界観に没入できるか」という体験型展示を目指すべきだと考えます。それに最適な一例として、海洋堂さんの『ディスカバリー号プロップ完全再現モデル』の展示を希望いたします。現在キューブリック展で展示中のディスカバリー号の模型はお世辞にも工作精度の高いものとは言えません。海外のキューブリック関係者に「日本のものづくりの真髄」を見せつけるためにも、是非の実現を希望いたします。

 他には、紙ものの展示縮小はやむなしとの意見と逆行するようですが「黒澤明との手紙「スタンリー・キューブリック・アーカイブ」に残っていれば)」と「手塚治虫との手紙(封筒のみ手塚治虫の遺族が所有)」の展示もキューブリックと日本とのつながりを示す貴重な資料なので展示を期待したいです。

 このような点を勘案すると(1)の結論は「ライトなファン向け」となります。もちろん集客の面からもそちらの方が有利なのは言うまでもありません。コアなファン向けには『The Stanley Kubrick Archives』の邦訳本を発刊していただければある程度溜飲は下がるでしょう。そうなると出版社さんも巻き込まなければなりませんが。

 実現するか否かはともかく、以上がKUBRICK.Blog.jp 管理人の『スタンリー・キューブリック展』に関する(勝手な)考察とご提案です。なお、Twitterでも申し上げたように、当ブログはその実現のための内部資料であれば、許可も報告も不要でご自由にご活用していただけます。関係者様各位の賢明なるご判断を何卒よろしくお願いいたします。

参考:『スタンリー・キューブリック展』関連リンク
ニューヨーク市立博物館
スタンリー・キューブリック展公式サイト
スタンリー・キューブリック・アーカイブ(ロンドン芸術大学内)
『スタンリー・キューブリック展』開催地リスト

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anthony-burgess-2

 スタンリー・キューブリック監督の代表作「時計じかけのオレンジ」の原作となった、英作家アンソニー・バージェスの同名小説の続編と思しき未完の原稿が、伊ブラッチャーノにあるバージェス氏の旧宅で発見された。

〈中略〉

「兵役を終えて故郷に戻った1945年のある日、ロンドンのパブでコックニー訛りの老人が、誰かのことを『時計じかけのオレンジみたいにヘンな奴』と言っているのを耳にした。それから20年近くずっと、いつか何かのタイトルに使いたいと思っていた。古風な比喩的言い回しだが、伝統へのこだわりと突飛な技法が組み合わさったあの小説には、まさにぴったりのタイトルだった」と独創的なタイトルにまつわる秘話も披露している。

〈以下略〉

(全文はリンク先へ:映画.com/2019年4月30日




 ソースとなったIndiewireの元記事は見当たらなかったのですが、スミソニアンのニュース「‘A Clockwork Orange’ Follow-Up Found in Burgess Archives」やガーディアンの「The Clockwork Condition: lost sequel to A Clockwork Orange discovered」の記事を読む限り、続編「小説」と呼ぶには無理がありそうです。「それは200ページに及ぶタイプされた下書き、メモ、そしてアウトラインで構成」とあるので、おそらく草案・骨子・下書きといった程度でしょう。制作年は1972年〜73年。公開された『時計じかけのオレンジ』人気に目をつけた出版社がバージェスに「時計じかけ」タイトルの続編制作をもちかけ、バージェスも書こうと試みたのもの頓挫してしまったという、よくあるボツプロジェクトだったようです。バージェス本人も「The Clockwork Conditionはアイデア段階以上に発展しなかった」と1975年のインタビューで応えていると記事にはあります。その頓挫したプロジェクトの代わりにバージェスが書き上げた自伝的な短編小説が『Clockwork Testament』(未邦訳)。あまり採り上げられることもない作品なので、大した小説ではないのでは・・・と想像します。

 以前の「【企画作品】キューブリックの幻の脚本『燃える秘密』が2018年11月20日にオークションにかけられることが判明」という話題もそうですが、こういった埋もれた原稿を見つけ出した本人は、大衆の耳目を集めたいがために「幻の原稿発見!」などと大げさに騒ぎ立てますが、結局たいしたものではないので、そのまま時間の経過とともに忘れ去られてしまうものです。この件もおそらくこれで終わりでしょう。

 『時計じかけのオレンジ』のタイトルの由来は伝えられている通りでした。その記事はこちらにまとめております。

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